■ A Place in the Sun(1949)


製作:1949年、脚本:マイケル・ウィルソン、ハリー・ブラウン、監督:ジョージ・スティーヴンス   予告編   予告編  


■ あらすじのあらすじ

ジョージは叔父の会社に就職し同じ職場のアリスと付き合い始めた。

一方、金持ちの娘アンジェラと知り合い、アンジェラにも惹かれた。アンジェラもジョージを好きになった。

アリスは妊娠した。ジョージはアリスを殺そうと計画し、実行しようとしたが、偶然にもアリスは死亡した。

そしてジョージはアリス殺害の罪で起訴されて、死刑が宣告された。
 


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジョージ・イーストマン(モンゴメリー・クリフト)
 チャールズ・イーストマン(ハーバート・ヘイス) 叔父、イーストマン社の経営者
 ルイーズ・イーストマン(キャスリン・ギブニー) チャールズの妻
 アール・イーストマン(?) チャールズの息子
 マーシャ・イーストマン(?) チャールズの娘
 ハンナ・イーストマン(アン・リヴィア) ジョージの母親
 アリス・トリップ(シェリー・ウィンタース)
 アンジェラ・ヴィッカース(エリザベス・テイラー)
 アンソニー・ビッカース(シェパード・ストラドウィック) アンジェラの父

本作には原作があり、また本作の前に一度映画化されている。
 


■ あらすじ

◆ 転職

ジョージはホテルに勤めていたが、叔父のチャールズに会い、チャールズが経営する水着を製造販売する会社に就職することになった。

貧乏なジョージはヒッチハイクで移動して、イーストマン社に到着した。チャールズに会って簡単な会話をして、その夜チャールズの自宅に来るように言われた。

自宅に行ってチャールズの家族に紹介され、次の日に息子のアールの指示を受けるように言われた。

ここでアンジェラが訪ねてきた。ジョージはアンジェラを横目でチラチラ見る。アンジェラはアールやマーシャと出ていった。

◆ イーストマン社

ジョージはアールに会社の中を案内されて、ある部署に配属される。その部屋ではコンベアがあって、それに商品が乗せられてきて、それを梱包する作業をしている。

ジョージはコンベアの最後で作業をする。ここでジョージとアリス(ここでは名前をまだ知らない)が目を合わせる。

◆ 映画館

ジョージは一人で映画館に入った。座ると隣の隣の席にアリスがいた。隣の席に移り隣同士となった。

二人は映画が終わってお互いのことを話した。アリスは実家が農家で貧しかった。またアリスはジョージが経営者の一族であることを気にしている。

アリスをアパートまで送っていった。二人は「会えてよかった」と言ってキスをして別れた。

イーストマン社では従業員同士の交際は禁止されているが、二人はこのようにして付き合い始めた。

◆ 昇進

いつものようにジョージが作業をしていると、チャールズが見回りに来た。ジョージが単純作業をしているのを見てアールに「もっと適した仕事をさせろ」と指示した。

その後「来月五日のバーティに来い」と誘った。

その日は実はジョージの誕生日。アリスと二人で祝うつもりであった。帰ってアリスに事情を話し「すぐに帰ってくる」と行った。

◆ バーティ

多数の人が集まった。みんな楽しそうに話したり、ダンスをしたりしている。

しかしジョージは話し相手もおらず、落ち着き場所を探してウロウロしている。

ビリヤード台が置いてある部屋に入った。誰もいない。やることもないので球を打った。

それを外からアンジェラが見ていた。アンジェラは部屋に入ってきて少し話す。アンジェラが「もっとやっと見せて」と話すが、アンジェラに見られているとうまく打てない。

その後アンジェラが誘って二人はダンスをする。

◆ アリスが妊娠

バーティが終わってジョージがアリスのところへ来た。アリスはさみしそうにしている。

「四時間も遅れたのよ。よほど社長を尊敬しているのね」と嫌味を言う。それからアリスは「二人のことは会社に知られたら終わり」と言って泣き出した。

そして「あなたには言えない、とても不安、困ったことになった」と妊娠したことを仄めかす。

◆ アンジェラとデート

ジョージはアリスに電話。アリスは「まだ医者は決めてない」と言うような話をする。

受話器を置いたら、すぐに電話が鳴った。アンジェラ。アリスとの状況は無視してアンジェラと金曜日にデートの約束をしてしまう。

そしてパーティに行く。二人はウキウキの雰囲気。アンジェラの父母は、ジョージに不審な顔をしている。

二人でダンスをする。ジョージはアリスのことが気にかかるので、アンジェラに「なんか変よ、考え事しているみたい」と言われる。

するとジョージはなんと「君を見た瞬間から愛している」と言う。アンジェラ:「あなたを愛している」ジョージ:「僕は世界一の幸せ者だ」とアリスのことを忘れてしまったかのような展開をする。

◆ アリスが医者に行く

ジョージとアリスは医者のところに出かけた。ジョージは外で待ちアリスだけが中に入った。

アリスは「妊娠しているが、金はない、そしてまだ結婚もしていない」と話した。

医者は「医療のことは相談に乗るが、他のことには力になれない」と当然のことを言う。それでもその医者はアリスを励ます。

アリスは外に出た。ジョージに「医者はいい母親になるだろうと言った」と言う。そして二人は「九月の第一週に結婚しよう」と約束する。

ジョージは自分の部屋でニュースを聞いている。「晴天が続いており交通事故が多発している、また水死も多発している、注意してください」と言う内容。ジョージはそのニュースを聞いて、何かを考えている。

◆ 結婚式は延期する

アンジェラがジョージを訪ねてきた。アンジェラはウキウキしている。そこでジョージはアリスとの深刻な状況を無視してアンジェラに歯が浮いたようなことを言う。

アンジェラは「湖のそばの別荘に父と母に会いに来て。九月の第一周」と誘う。

その後ジョージはアリスに電話してぬけぬけと「式を一週間延ばしたい、叔父(社長)に誘われた、金が入る」といい加減なことを言う。

◆ 別荘

ジョージとアンジェラは楽しそうに遊んでいる。乗馬をした後、湖に行った。

アンジェラは水着を着て水に飛び込んだが「寒くて凍えそう」と急いで上がってきた。

そしてアンジェラは、この湖のことを話した。「この湖の周りには誰も住んでいない、以前にボートが転覆し、女性の死体は上がったが、男性の死体は見つからなかった」。

この話を聞いて、またジョージは考えている、

◆ アリスがジョージがどこに行ったかを知る

アリスは郵便受けを見に行った。そして新聞を取り出した。新聞を見るとアンジェラやジョージなどが楽しそうに遊んでいる写真が載っていた。本来ならば二人が結婚式をしている時である。

真相を知ったアリスは、その場所に急いだ。

近くまで来てジョージに電話をした。「今そばにいるの、私に嘘をついたのね、今すぐこっちに来て」。

ジョージは電話を置いて「母親の具合が悪くなった」と嘘を言って別荘を出た。アンジェラが心配そうに見送る。

◆ ボートに乗る

アリスはジョージと会った。「明日式を挙げましょ、そうしなければ、みんなにばらして自殺する」と強硬に主張した。

二人で裁判所に出かけたが休みだった。ジョージは「この近くにきれいな湖がある。そこで過ごして明日来ればよい」と誘った。

ジョージとアリスは車に乗って走っていた。しかし突然ガス欠。だがこれはジョージの偽装。ガス欠ではない。

「後でガソリンを買おう。その前にボートに乗ろう。湖のそばに小屋がある」とアリスを誘う。

二人はボートを貸してもらいに行く。ジョージは名前を聞かれるので「ギルバート・エドワーズ」と偽名を使う。「今日は人は多いのか?」と聞くと「あんたたちだけだ」との答え。

◆ ボートが転覆した

二人は夜になってもずっとボートに乗っていた。アリスはいろいろ話すがジョージは黙っている。

一番星が見えた。アリスは願い事をした。「私はあなたにもっと愛されるように願ったの。あなたは?」。ジョージは黙っている。

アリスが「他の土地に行こう」という話をしたら、ジョージは怒った。

ここでアリスが切れる。「何を願ったの?私と別れたいと願ったのね。死ねばいいと思っているのね」。アリスが切れたのも無理はないけどね。

アリスが立ち上がった。興奮したアリスを沈めるためにジョージも立ち上がった。ボードが揺れてひっくり返った。

◆ 別荘に戻った

ジョージは岸にたどり着いた。アリスの姿は見えない。注、最初のころにアリスは自分は泳げないという話をする。ジョージがアリスを探した雰囲気はない。

ジョージは森の中を歩いて行った。途中でキャンプをしている家族に会い、道を聞いた。

二人が放棄した車のところに着いた。ジョージはエンジンをかける。

アンジェラたちがいる別荘に戻った。「母親の具合はたいしてことはなかった」と報告した。

アンジェラは嬉しそう。「もうどこへも行かないで」。そして「両親が機嫌がいいので、二人の結婚の話をしましょう」。

一方アリスの死体が見つかった。イーストマン社の従業員証があり、死体はアリス・トリップと判明した。

アリスの親の家に警察が来て事情を聞いている。またアリスが残した資料を調べている。その中にジョージやアンジェラなどの写真が載っている新聞の切り抜きがあった。

ジョージとアンジェラはドライヴに行って戻った。ジョージはアンジェラとは別れて別荘の外へ歩いて行ったが、そこで逮捕・連行された。

警察が別荘に来て事情聴取をする。それを聞いていたアンジェラは自分の部屋に戻って気を失って倒れた。

◆ 裁判

ジョージは起訴されて裁判となった。

ジョージがアリスを殺害したという直接の証拠はなかったが、アリスとアンジェラの二人と付き合っていた、アリスが妊娠していた、別荘から抜け出すときに「母が病気」と偽ったこと、アリスと車で湖まで来た時にガス欠を装ったこと、ボートを借りる時に偽名を使ったこと、などなど数々の状況証拠が提出された。

けっきょく判決は死刑となった。

◆ 刑務所

ジョージは収監されて死刑を待つ身となった。

アンジェラが訪ねてきた。アンジェラは、ジョージの不誠実さが暴露されても、ジョージを愛しているという気持ちはまったく変わらないようである。

「いつまでもあなたを愛し続ける」と言ってキスをして、名残惜しそうに出ていった。注、刑務所の中で受刑者が訪問者とキスができるのか?

死刑執行の日が来た。ジョージは連れられて行く。アンジェラを思い出しながら歩いていく。
 


■ 感想/リメイク案

架空の人物をカッカして批判してもしようがないが、ジョージはかなり卑怯な人物である。アリスの妊娠が判明した時点でアンジェラに事情を話してアンジェラを諦めるべきである。

そしてジョージの死刑が決まってもアンジェラの心は微動もしない。アンジェラの態度が(死刑を免れるという意味ではなく)精神的にジョージを救う形になっている。これが本作の納得がいかないところ。

本作の意図は、はっきり言って私には分からないのだが、あえて推測すれば「ジョージは本当はアリスを殺していないのに、死刑になってしまった。悲しいこと/残酷なことである」ということのようである。というか、このように考えないと、わざわざこの映画(その前に原作)を作った意図の説明がつかない。
 


■ 蛇足

「遅れるのも女の魅力よ」。ジョージが最初にチャールズの自宅を訪れた時、アンジェラが訪ねてくる。その時にこのセリフ。

「あなたは二番目」。ジョージが(アリスのことをさておいて臆面もなく)アンジェラに「僕は世界一幸せだ」と言うが、その時にアンジェラは「世界一幸せなのは私、あなたは二番目」と言う。

アンジェラは、そのような雰囲気ではないが学生らしい。学校に行っている場面がある。

アンジェラはスピード違反で何度か捕まっているらしい。

最後に刑務所にジョージの母親が訪ねてくる。母親は自分の信仰にしたがって「魂は不滅、怖いのは今だけ、本当に我々を裁けるの神だけ」と行って帰っていった。

この映画では陪審が判決まで出している。アメリカの陪審員制度は、有罪(Guilty)/無罪(Not guilty)だけを決めて、有罪の場合に量刑を裁判官が決めるものと理解している。他の映画をみてもそうである。もしかすると州によっては量刑まで決めるのかもしれない。