■ The Big Knife
俳優のチャーリーは、映画会社との契約の更改を控えている。が、契約は気が進まない。
会社は、チャーリーが自動車事故を起こした時に、身代わりを立てたことを知っていて、それをネタに脅している。
また契約を断れば、他に見込みがないという事情がある。


製作年:1955、監督;ロバート・アルドリッチ、脚本:ジェームズ・ポー


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 チャーリー・キャッスル(ジャック・パランス) 俳優
 マリオン・キャッスル(アイダ・ルピノ) 妻、別居中
 ビリー・キャッスル(Michael Winkelman) 息子
 スタンリー・シュライナー・ホフ(Rod Steiger) スタジオの責任者
 スマイリー・コイ(Wendell Corey) スタンリーの部下
 パティ・ベネディクト(イルカ・チェイス) コラムニスト
 バディ・ブリス(Paul Langton) キャッスルの友達、事故の身代わり
 コニー・ブリス(Jean Hagen) バディの妻
 ハンク・ティーグル(Wesley Addy) 作家、キャッスルの友達
 ディクシー・エヴァンス(シェリー・ウィンターズ) 女優の卵
 ナット・ダンジガー(Everett Sloane) エージェント

本作は元は舞台劇らしい。場所は主人公チャーリー・キャッスルの屋敷。チャーリーがいて、そこにいろいろな人が訪問してくるという展開になる。

余計なことだが、訪問してくる人は階段を下りてくるので、この屋敷は二階に出入口があるのだろう。
 


■ あらすじ

◆ チャーリーの状況

チャーリーは成功した俳優。妻のマリオンと息子のビリーがいる。しかしマリオンとはうまくいっておらず別居している。

マリオンと不仲の理由は、容易に想像可能なように、チャーリーの浮気である。

直近の問題としては映画会社との契約期間が終了し、次の契約をどうするかという問題が浮上している。

契約は金額が問題ではない。もっと違う映画をやりたいと思っている。しかし今の会社ではやれそうもないので、契約は気が進まない。

もう一つ、チャーリーは車で死亡事故を起こしたことがある。バディ・ブリスが身代わりとなった。この車には俳優の卵のディクシーも同乗していた。

おまけにバディの妻コニーと浮気をしている。

ゴシップ・コラムニストのパティ・ベネディクトがしつこくまとわりついている。彼女に、いろいろと掻き立てられると、どんなことに発展しないとも限らない。

◆ マリオン

マリオンが訪ねてきた。さっそく小競り合いの雰囲気。そしてそれが次第に激しくなる。

しかしマリオンは結婚を解消させるつもりはないようである。それと契約問題。実はマリオンも契約先を変えた方がよいのではないかと考えている。

いろいろ話しているうちに二人の意見は一致してくる。ここでチャーリーがキスをしようとするが、マリオンは微妙なタイミングで顔をそむけた。もう一度トライするとマリオンはキスに応じた。

マリオンは出て行った。

◆ ナット・ダンジガー

エージェントをして貰っているナット・ダンジガーが来た。

チャーリーは契約したくない旨を言う。ナットは「ノーチョイス」。そして「サインするか?牢獄に行くか?」。

ナットが「牢獄に行くか?」と言うのは、事故の責任を隠蔽していることを指すと思われる。

◆ スタンリー・シュライナー・ホフ

スタジオの責任者スタンリーが来た。サングラスをして、一見ギャングの風貌。部下のスマイリー・コーリーも一緒。

チャーリーは機先を制して「契約はしない」と宣言する。スタンリーはちょっと間をおいて「分かったよ」と言う。

スタンリーは足をテーブルの上に上げた。それから猛烈に反撃する。「大スターだな」といった後「何年も面倒を見てきた」。

チャーリーを指さして大声を上げて怒鳴る。チャーリーは黙った。ナットはオロオロしている。交通事故身代わりの件もスタンリーに知られている。

しばらくスタンリーの攻撃が続いた。そして契約書とペンを出した。「仕方ない」と思ったのかチャーリーはサインした。

スタンリーとスマイリーは出て行った。ナットも出て行った。

◆ コニー・ブリス

コニーが訪ねてきた。知人のバディ・ブリスの妻である。入ってきてさっそく大袈裟な動作でチャーリーに抱き着く。

もちろんコニーはチャーリーの浮気相手の一人である。

電話がかかった。マリオンから。チャーリーが話しているそばで、コニーは声を上げたり、チャーリーの体を触ったりして、電話を邪魔する。

チャーリーが嫌がっても、ニタニタして余計に楽しそうである。

電話が終わってチャーリーは二階に上がっていった。コニーも体をくねくねしながら二階へ上がった。この後に何があるかは、みなさんの想像通り。

◆ ディクシー・エヴァンス

チャーリーはディクシーに電話をかけた。ちょうどディクシーはダンスをしているところで、ダンスをしながら話す。

しばらくしてディクシーが来た。ディクシーとも浮気している。例によって例のごとくの風景が展開される。

◆ マリオン

ここでマリオンが再登場した。ディクシーは慌てて帰った。

しかしマリオンは機嫌が悪い。注、この前にマリオンが「あなたは私の人生で最悪(You're the worst one in my life)」と言う場面がある。

マリオンは誰かに電話をかけようとする。チャーリーは電話を奪い取る。しばらく攻防が続くが、マリオンは相手と話す。スティーヴンスという相手らしい。マリオンは「ダーリン」と呼んでいる。マリオンもマリオンだな。

ここで二人はまたまた激しい言葉を交わすが、それは二人が結婚を継続することを望んでいるからである。

◆ チャーリーは契約を破棄

その後、ディクシーはスタンリーのオフィスに行って、チャーリーとの契約の件で騒動を起こした。注、画面では表示されない。

チャーリーはいったんサインしたはずの契約の撤回を要求する。

再度スタンリーとスマイリーが来て、チャーリーと怒鳴りあった。

スタンリーとスマイリーはチャーリーを脅すが、チャーリーは引き下がらない。

結局、契約は撤回されることになる。

チャーリーは二階に上がった。そして自殺した。
 


■ 出演作

アイダ・ルピノ
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1941)生きてる死骸(生きてゐる死骸)/Ladies in Retirement
(1948)秘境/Lust for Gold
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1976)巨大生物の島/The Food of the Gods
(1948)深夜の歌声/Road House
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1942)夜霧の港/Moontide
(1954)地獄の掟/Private Hell 36

◆ シェリー・ウィンターズ
(1947)二重生活/A Double Life
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun
(1954)重役室/Executive Suite
(1959)拳銃の報酬/Odds Against Tomorrow
(1965)偉大な生涯の物語/The Greatest Story Ever Told
(1970)血まみれギャングママ/Bloody Mama