■ A Double Life
俳優のトニーは熱心のあまり演じていると役と自分の区別がつかなくなることがある。
「オセロ」を演じることになった。相手役は元妻のブリタ。案の定トニーはオセロになりきった。 トニーはブリタがキスで窒息死しかねないくらいにキスをした。脚本通りである。これをきっかけにブリタとの争いが起きる。
ウェイトレスのパットがキスで窒息死する事件が発生した。
製作年:1947、監督:ジョージ・キューカー、脚本: ルース・ゴードン< ガーソン・ケニン
■ はじめに
登場人物(キャスト)
トニー・ジョン(ロナルド・コールマン) 舞台俳優
ブリタ・カウリン(シグニ・ハッソ) 相手役、元妻
ビル・フレンド(エドモンド・オブライエン) 劇場の宣伝係
ビクター・ドンラン(レイ・コリンズ) ディレクター
パット・クロール(シェリー・ウィンターズ) ウェイトレス
■ あらすじ
◆ 次は「オセロ」
トニー・ジョンはブロードウェイの舞台俳優である。現在は喜劇の『紳士の中の紳士』を公演している。当然のことながら評判は非常によろしい。
女優のブリタ・カウリンとは夫婦であったが二人は別れた。トニーは舞台の役柄に入れ込みすぎて、それをそのまま私生活でも引きずってしまう。それでいろいろゴタゴタが発生する。ブリタの考える理由はこうである。しかしトニーが、それを認識しているのかは不明である。
さて次回の公演はシェークスピアの「オセロ」に決定した。相手役はブリタである。ブリタは漠然とした不安を感じたが役を引き受けた。
◆ 稽古が始まった
稽古が始まった。もちろんトニーはまことに熱心に練習した。持って生まれた才能に加えて、この熱心さが名優たるゆえんである。
オセロの人格がトニーを占領したかのようである。稽古が終わってもトニーはオセロであった。
ショーウィンドーに写る自分の姿がオセロに見えるようになった。
◆ パット・クロールと出会う
町でイタリア旅行の広告をみたトニーはイタリア人街に向かった。
立ち寄ったレストランでパット・クロールというウェイトレスと知り合い、しばらくすると彼女のアパートに行く間柄となった。
◆ 舞台興行が始まった
興業がはじまった。当然ながら評判は上々。観客はオセロになりきったトニーの演技に引き込まれた。
しばらくするとブリタや観客は、トニーの演技・表情に、感心を通り越して異常なものさえ感じた。
トニー自身も、上演時間が終わっても、オセロのセリフが聞こえていた。
◆ トニーはデスデモナを窒息させようとした
トニーとブリタは今では夫婦ではない。しかし役の上ではオセロとデスデモナである。
トニーはブリタと劇場の宣伝係のビル・フレンドが親しく話しているのを見た。トニーはこれを見て二人の仲を疑う。夫婦ではないのでとやかく言うことではないのだが、オセロの目から見ると違ってくる。
オセロがデスデモナをキスして窒息死させるシーンがある。その場でトニーはデスデモナ=ブリタが本当に窒息死する寸前までキスをしてしまう。
補足。鼻が塞がれていなければ窒息しないが、それは許す。
劇が終わった後、ブリタとトニーの間に激しい口論が発生した。周りの人もトニーの異常性に気が付いた。ブリタは部屋に逃げ込んでカギをかけた。
◆ パットが殺された
トニーは外に出て町を彷徨った。ずっとオセロのセリフを口走っている。
パットのアパートに行った。
(セリフで喋っている)場面は、ちょうどキス殺しの場面である。
トニーは、デスデモナ=パットにキスをした。窒息するまでキスをした。
◆ トニーが疑われた
事件は新聞に書き立てられた。オセロ劇との類似性が指摘された。ビルはこの事件を利用してオセロ劇の宣伝を行った。
オセロの人格のスキマに復活したトニーは、この報道に怒った。あまりにも怒り方が激しいので、むしろ警察がトニーを疑う事態となった。
警察はブリタやビルと相談して、ある女性にパットの真似をさせて、酒場に誘った。
彼らはトニーの振る舞いを見て、犯人がトニーであることを確信する。パットの店の経営者にトニーの写真を見せると、確かにトニーが店に来て、パットと親しくなっていたことを証言した。
◆ トニーは舞台で自分にナイフを刺す
警察はトニーを逮捕するために劇場に向かった。
キス殺害の場面を通り過ぎて最後の場面である。
トニーは脚本通りに、自分の胸にナイフを突き立てて自殺した。
■ 出演作
ロナルド・コールマン
(1935)嵐の三色旗/A Tale of Two Cities
(1937)失はれた地平線/Lost Horizon
(1937)ゼンダ城の虜/The Prison of Zenda
(1947)心の旅路/Random Harvest
(1947)二重生活/A Double Life
(1956)80日間世界一周/Around the World in Eighty Days
◆ シグニ・ハッソ
(1945)Gメン対間諜/The House on 92nd Street
(1947)二重生活/A Double Life
(1950)危機の男/Crisis
◆ エドモンド・オブライエン。
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1946)殺人者/The Killers
(1947)二重生活/A Double Life
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1953)ヒッチ・ハイカー/THE HITCH-HIKER
(1949)都会の牙/D.O.A./Dead On Arrival
◆ レイ・コリンズ
(1941)市民ケーン/Citizen Kane
(1946)我等の生涯の最良の年/ The Best Years of Our Lives
(1949)春の珍事/It Happens Every Spring
(1949)女相続人/The Heiress
(1953)宿命の対決/COLUMN SOUTH
(1947)二重生活/A Double Life
◆ シェリー・ウィンターズ
(1947)二重生活/A Double Life
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun
(1954)重役室/Executive Suite
(1959)拳銃の報酬/Odds Against Tomorrow
(1965)偉大な生涯の物語/The Greatest Story Ever Told
(1970)血まみれギャングママ/Bloody Mama