■ D.O.A./Dead On Arrival
遅効性の毒物を飲まされたフランク・ピグローが死ぬ前に真相を追求していく。
製作年:1949、監督:ルドルフ・マテ、脚本:ラッセル・ローズ、クラレンス・グリーン
■ はじめに
登場人物(キャスト)
フランク・ピグロー(エドモンド・オブライエン) 社長
ポーラ・ギブソン(パメラ・ブリットン) フランクの秘書
スタンリー・フィリップス(ヘンリー・ハート) 貿易会社
フィリップス夫人(リン・バゲット)
ハリデー(ウィリアム・チン) フィリップスの会社の管理者
フォスター(ビヴァリー・キャンベル) フィリップスの秘書。
マーラ・ラクビアン(ローレット・リューツ) モデル
マジャック(ルーサー・アドラー) ギャング
チェスター(ネヴィル・ブランド) マジャックの手下
原題のD.O.A.はフランクがロスアンジェルス警察に到着して、(真相を語った後に)すぐに死亡したので、警察の書類に「Dead On Arrive/到着時死亡」と記録されたから。
フランクが経営する会社は「エスクロー/Escrow」という業種である。エスクロー/Escrowとは取引の記録を保存する業者。「このような取引があった」ことが後々確認できるようにする。商品自体を取引するわけではない。
■ あらすじ
◆ はじめに
フランクが遅効性毒物を飲まされた。胃洗浄の期限は過ぎており、もはや助かる見込みはない。フランクはロスアンジェルス警察に現れて、それまでの経緯を語る。
以降、フランクが語った内容が表示される。
フランクが「毒物を飲まされた」と自覚してから、いろいろなところを訪れ、少しずつ事態を把握していく。
わりとややこしので、時間軸を整理し、まとめて紹介する。
◆ 毒物をのまされるまで
フランクはごく小さな会社の社長。フランクはロスアンジェルスに行くことにする。秘書のポーラとは恋人の関係だが、目的は言ってみれば女性目当てである。ポーラは半分は分かっていて、ちょっと揉める。
ロスアンジェルスのホテルに到着、廊下を挟んだ前の部屋では、どんちゃん騒ぎ。フランクも入れてもらう。
その後、彼らと飲みに行く。フランクはカウンタに座る。少し離れたところに、好みの女性がいたので、そちらに移動する。
元いた場所の隣の男性に、自分のグラスを回してくれるように頼む。フランクのグラスがカウンタを滑らせて回される。
この時に相手の男性がグラスを取り換える。我々は気が付くが、フランクは気が付かない。男性は店を出ていく。補足、この男性は我々には後姿しか映されない。
好みの女性と外に出て飲み歩く。
次の朝、ホテルで目が覚める。しかし気分がよろしくない。
病院に行くと「君は死んだ」と言われる。発光性有毒物質を飲まされたとのこと。胃洗浄が可能な時間が過ぎているので、手の施しようがないらしい。長くて二週間の命。
慌てて飛び出して別の病院で見てもらう。しかし同じ診断。この病院の医師が警察に「殺人事件です」と連絡する。
◆ フィリップス貿易
ポーラから「昨日フィリップスの会社から何度も電話」と連絡があったので、ロスアンジェルスの「フィリップス貿易」に行く。
ハリデーという管理職から「フィリップスは死んだ。飛び降り自殺。電話した理由は不明」と聞く。
フィリップスの自宅に行って、フィリップスの妻から「イリジウムを仕入れて売ったが、盗品だった」と聞く。
ホテルに戻る。ポーラから連絡があり「半年前にジョージ・レイルズからフィリップス貿易への売渡証を認証している」との連絡。補足。フランクの会社は公証人のようなこともしている。商取引の証拠としてフランクの会社に依頼があった。
再度フィリップスの妻を訪ねると「レイルズは二か月前に失踪。売渡証があるのは知っていた」。
フランクは妻が「自分が売渡証の存在をなぜ知ったのかを聞かなかったのか?」と疑問に思う。
◆ マーラ・ラクビアン
再度フィリップス貿易に行き秘書のフォスターを追求すると、フィリップスがマーラ・ラクビアンというモデルと浮気をしていたと白状。
マーラのアパートに行く。
「あなたは誰?」「フィリップスは、昨日ここに来た後に殺された」「自殺よ」「犯人はレイルズ、売渡証のせい」。
マーラは拳銃を出した。しかしフランクはスキをみて反撃した。
ジョージ・レイルズの写真を奪って外に出た。
その写真を撮影した写真館に行って、ジョージ・レイルズの住所を聞く。なかなか教えててくれない。しかしジョージ・レイルズの本名がレイモンド・ラクビアンと判明。
◆ マジャック
その後、フランクはマジャックというギャングと手下に襲われて捕らわれる。
逃げ出して追いかけられたり反撃したりと、わりと長く展開する。
その間にマジャックとハリデーが結びついていることが判明する。
■ まとめ/蛇足
◆ 真相
ハリデーとフィリップスの妻は浮気。それを知ったフィリップスをハリデーが突き落として殺して自殺に見せかけた。補足。フィリップスもマーラ・ラクビアンと浮気している。
ハリデーとマジャックは仲間。イリジウムの不正売買の売渡証を持っているフランクを殺害した。
補足。売渡証は残っているのでフランクを殺害しても無意味だが、そのようなストーリーになっている。
ジョージ・レイルズの件がなくても本作のストーリーは成立する。
◆ ポーラがグラスを取り換える。
ロスアンジェルスに出発する前、二人は飲み屋に行く。フランクは半分くらいを飲んで、ジュークボックスに行って曲をかける。
その間にポーラはグラスを取り換える。戻ってきてフランクは取り換えられたグラスを掴んで飲む。
グラスの中の量が違うので、フランクは気が付いたはず。
これは事件との類似性はあるが、毒物は入れられていない。ポーラの意図は、フランクの飲み物が少なくなったので、自分の分を提供したものと思われる。
◆ マーシャ・ハント
フォスターがマーシャ・ハント(1917年生まれ)に非常に似ていてびっくりした。
■ 出演作
◆ エドモンド・オブライエン
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1946)殺人者/The Killers
(1947)二重生活/A Double Life
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1953)ヒッチ・ハイカー/THE HITCH-HIKER
(1949)都会の牙/D.O.A./Dead On Arrival
◆ ネヴィル・ブランド
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential