■ Kansas City Confidential/強盗事件の犯人に嵌められた男性が、罠を切り返して金を奪う。
製作:1953年、監督:フィル・カールソン、日本語版あり フル動画 予告編
■ あらすじのあらすじ
四人組の男によってサウスウエスト銀行から現金が強奪された。
ジョーは身に覚えがない疑いをかけられた。ジョーは犯人の一人(らしい)ピートを追ってメキシコ・ティファナに渡った。
さらにピートと入れ替わってメキシコ・ボラドスに行った。分け前の金を受け取るためである。
そこには事件の相棒二人と黒幕ティモシーがいた。そして黒幕の娘のヘレンを好きになった。
ティモシーは元警察官で、元の同僚と連絡を取っている。
■ 登場人物(キャスト)
ジョー・ロルフ(ジョン・ペイン)
ティモシー・フォスター(プレストン・フォスター)
ヘレン・フォスター(コリーン・グレイ)
トニー・ロマノ(リー・ヴァン・クリーフ)
ボイド・ケイン(ネヴィル・ブランド)
ピート・ハリス(ジャック・イーラム)
テレサ(ドナ・ドレイク)
■ あらすじ
◆ サウスウエスト銀行襲撃
カンザス市のあるビル。サウスウエスト銀行の支店があり、その隣はイヴォンヌという花屋。
毎朝9時58分にイヴォンヌに花を届ける車が到着し運転手が花を持ってイヴォンヌにもっていく。その後にサウスウエスト銀行の前に現金輸送車が到着する。二人の係員が銀行に入っていく。
花屋から戻ってきた運転手が車を発車させる。その後に現金を持って二人の係員が戻ってきて輸送車に積み込み車を発車させる。これで10時4分。
これが毎日きちんと繰り返される。道路を隔てた前のホテルの三階から観察している人物がいる。ティモシー・フォスター。
続いてティモシーは三人の前科者、トニー、ボイド、ピートを個別に部屋に招き入れて計画に引き込んだ。その際にティモシーはマスクして自分の正体が分からないようにした。
さてある日、花屋の車が来て花をイヴォンヌに運び込んだ。現金輸送車が到着し係員二人が銀行に入っていった。花屋の車が発車した。
そしてもう一台の花屋の車が到着した。係員が現金を持って銀行から出てきた。花屋の車から三人のマスク姿の男が飛び出して現金を奪って、花屋の車に乗って逃げた。
花屋の車はしばらく走って大きなトレーラーの中に走りこんだ。トレーラーは発車。走るトレーラーの中でティモシーは、三人に半分にちぎったトランプのカードと当面必要な現金を渡した。「分け前は後日ほとぼりが冷めて渡す。その時は連絡する」と指示した。全員ずっとマスクはつけたまま。
三人は走っているトレーラーから間隔を置いて順番に飛び降りた。
注、トレーラーを運転しているのは誰だろうか?
◆ ジョー・ラルフが疑われる
さていつも花屋の車を運転して花を届けているのはジョー・ラルフ。この日も花を届けて発車した。
その後ジョーは警官隊に取り囲まれて逮捕された。現金を強奪した車と同じ車を運転していたからである。
厳しい取り調べを受けた。それはジョーが前科者であったからでもある。ジョーは解雇された。
しばらくして現金強奪に使用したとみられる車が発見されてジョーは釈放された。ジョーは「自分を陥れたやつに復讐しよう」と誓った。
ジョーは知人を頼って「事件後ピート・ハリスという人物がメキシコのティファナに逃げた。賭博場にいる」との情報を得た。
◆ ジョーはビート・ハリスと入れ替わる
ジョーは国境を超えてティファナの町へ入った。賭博場を回った。そしてピートらしき男を発見した。後をつけてホテルに行った。
部屋に入って格闘になり男を抑えつけた。男の荷物からマスクと半分にちぎられたトランプを発見し、そして男にボラドスから発信された手紙と航空券があった。手紙のあて名はピート。
「俺も巻き込まれた。五人で分ける」。ジョーとビートは飛行場に向かった。しかしピートは指名手配中で、ちょうど来た警察に見つかってしまい射殺された。注、でも指名手配されていたのはアメリカでは?
ジョーはビート・ハリスとしてボラドスへ向かった。
◆ ボラドス/エル・ナシオナル・ホテル
エントランスの建物。ロビーがあって売店も付属している。周りには宿泊者用の戸建ての建物が並んでいる。プールもあり。
ロビーには宿泊客がたむろしている。すでにトニーとボイドは到着している。しかし二人は仲間であることは知らない。
二人それぞれ、誰が仲間なのか、それとなく聞いて探っている。しかし「銀行強盗の仲間か?」とストレートに聞くわけにはいかない。地元の人間であるティモシーもうろうろしている。
ティモシーは警察に20年間務めていたが解雇された。それで少しばかり恨んでいるようである。
ティモシーは訪ねてきた元同僚と「最近怪しい観光客が入ってきた」と話している。サウスウエスト銀行の事件についても話している。元同僚は「捕まえるチャンス」と言っている。捕まえれば懸賞金が貰える。30万ドル。ティモシーは何か考えているようである。
◆ ヘレンとジョーがホテルに到着
車が到着してティモシーの娘のヘレンが戻ってきた。ミズーリ州で司法試験の受験の勉強をしている。そして同じ車にジョーが乗っていた。二人は知り合いになった。そしてヘレンはジョーに好意をもっているようである。
しかしトニーとボイドは疑わしそうな眼付でジョーを見ている。
ヘレンはティモシーに会って抱き着いた。ニコニコしている。ヘレンはティモシーの不当解雇の再審理を要求する弁論趣意書を市長に提出したと報告した。それから「ビート・ハリスという男性と知り合いになったの」と嬉しそうに報告した。
ティモシーはヘレンがジョーと楽しそうに話しているのを陰から見た。また考え込んでいる。注、蛇足ながらティモシーにはピートが偽者であることは分かっている。
◆ ジョー(ピート)、トニー、ボイドの探り合い
三人の探り合いが続く。トニーとボイドは仲間であったことをわりと早く認識する。そしてトニーとボイドが組んでジョーと争うという形で展開する。この辺りは省略。
ジョーは銀行強盗の仲間であると打ち明けた。しかしボイドとピートは実はムショでの知り合いであって、ジョーはピートではなく偽者であるかことがばれてしまう。
しかし三人には「ボスが誰なのか」ということが分からない。
◆ ティモシー
ティモシーは警察の元同僚から「ビート・ハリスが射殺された」との手紙を受け取った。
ティモシーは車を走らせた。途中で停車して車の中に隠してあるものを確認した。100ドル紙幣の札束。
桟橋に着いた。マニャーナ号という船の中の倉庫に札束を移した。
三人に当てて「明日の夜明けにマニャーナ号で」と手紙を書き、トランプの破れた半分をつけて郵便に出した。
◆ ラスト
三人に郵便が届いた。ティモシーはヘレンに「やつのことは忘れろ」と言うが、ヘレンは抗弁する。
トニー+ボイドとジョーが例によって小競り合いをした後、ジョーの前にヘレンが現れて「私にはお見通しよ」と言うが「君には関係ない」と拒絶する。
ティモシーは警察に電話する。帰るとヘレンが「彼を助けたい」と言うが「奴に近づいちゃいかん」と答える。「なぜなの?」「理由は聞くな」。
朝になった。四人は、それぞれ拳銃を上着の内側に入れて出ていく。またトニー+ボイドとジョーの間でひと悶着あるが、ティモシーに「これから桟橋に行くが乗っていくか?」と声をかけられて乗っていく。
桟橋に到着し三人はマニャーナ号に乗る。ティモシーはライトを点滅させて沖にいる船に合図する。沖の船からもライトの点滅。
ジョーが先に船室に駆け込む。ドアを閉めて札束を確認する。二人がドアを壊して乱入する。ジョーに拳銃を向ける。
ボイドが外を確認に出る。ジョーはトニーに「二人で分けよう」と誘う。ボイドが戻ってきた。トニーがボイドを撃つ。ボイドが倒れトニーが止めを刺す。そしてトニーは「なぜ二人で分ける?」。トニーは独り占めするつもり。
ここでティモシーが入ってきて二人に拳銃を向けた。「警察が来るまで待て」「ボスは、もうすでに捕まっている」。
トニーが隙をついてティモシーを撃つ。三人で乱闘になるが、ティモシーとトニーが撃たれて倒れる。ティモシーは倒れたままジョーに拳銃を向けるが引き金は引かない。
注、ここでティモシーが「ジョー」と呼ぶが、なぜジョーの名前を知っているのか?これは映画のミス。
ティモシーは「ヘレンには、このことは知られたくない、お前(ジョー)は一味じゃない。懸賞金を受け取れ」と言う。
警察がなだれ込んできた。ティモシーは「ジョーは協力者だ。懸賞金を受け取るのはジョーだ」と言って息絶える。
■ 蛇足
売店の店員のテレサとトニーの会話が面白い。売店では土産物としてネックレスを売っている。テレサがトニーに薦める。「最高のものをくれ」「包みます?」「いや、君にあげる」「でも、お代はいただかないと」。トニーはテレサの手を握って「つけにしてくれ」。
我々には黒幕がティモシーであることは最初から分かっている。「これでは単純。何か裏があるのか?」と思わせるものがある。
実は裏はないのだが、このように思って見ていると「もしかするとヘレンが怪しいのでは?」と思えてくる。あまりにも素直でジョーを好きになっている。「これには何か?」と思わせるような作りになっている(と私は感じた)。
次に紹介する場面は「ヘレンは何者?」と思える。
ジョーとヘレンがプールにいてジョーが部屋に戻る。この時にジョーが拳銃を忘れる。ヘレンが気がついて拾う。ジョーは自分の部屋に帰るが、ここでトニーとボイドに襲われる。しかしヘレンが入ってくる。ヘレンは落ち着いた態度で「忘れものよ」とジョーに拳銃を渡す。
■ 出演作
ジョン・ペイン。「三十四丁目の奇蹟(奇跡)- Miracle on 34th Street (1947)」「大城塞- Tripoli (1950)」
プレストン・フォスター。「仮面の米国 I Am a Fugitive from a Chain Gang (1932)」「女囚の意気地 Ladies They Talk About (1933)」「決闘の町 Law and Order (1953)」。
ネヴィル・ブランド。「やさしく愛して Love Me Tender (1956)」。
ジャック・イーラム。「真昼の決闘 High Noon (1952)」「OK牧場の決斗 Gunfight at the OK Corral (1957)」。
ドナ・ドレイク。「海賊ブラッドの逆襲/Fortunes of Captain Blood(1950)」「モロッコへの道/Road to Morocco(1942)」。
◆ コリーン・グレイ
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1948)赤い河/Red River
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(1961)幻の惑星/The Phantom Planet
(1951)アパッチの太鼓/Apache Drums
(1950)大病院殺人事件/The Sleeping City