■ Nightmare alley(1947年)/透視術を披露する二人が成功するが、次第に腐敗していく


製作:1947年、脚本:ジュールス・ファースマン、監督:エドマンド・グールディング   フル動画   予告編   予告編  


■ あらすじのあらすじ

透視術を習得して演芸団を退団したスタン(タイロン・パワー)とモリー(コリーン・グレイ)はホテルなどで透視術を演じて、次第に人気者となっていった。

もともとインチキであるが、人気が高まるにつれて、またさらにインチキ度合いが高まっていった。モリーは疑問を抱いたが、スタンが好きだったのでついていった。

そして怪しげな精神分析医リリス(ヘレン・ウォーカー)と協力するようになった。

リリスと共謀して鉄壁の懐疑派グリンドル(テイラー・ホームズ)の死亡した彼女の亡霊を登場させた。実はモリーが変装したもの。

グリンドルは感激したが、インチキに耐えられなくなったモリーがトリックを明かした。

二人は姿を眩ましたが、後ほどモリーはみじめに没落したスタンと再会する。
 


■ 登場人物(キャスト)
ジーナ(ジョーン・ブロンデル)
ピート(イアン・キース)
ブルーノ(マイク・マズルキ)
モリー(コリーン・グレイ)
スタン(タイロン・パワー)
リリス(ヘレン・ウォーカー)
グリンドル(テイラー・ホームズ)
 


■ あらすじ

◆ ジーナとビート

各地を回って見世物小屋を開いている演芸団。かなり怪しげな出し物である。いや怪しげなものほど、大衆の興味を掻き立てるとも言える。

当演芸団の一番の出し物は「オオカミ男」、次に「透視術」。オオカミ男は、なにやら精神的なおかしな男が、さらにおかしなことをする。注、本作でははっきりとは描かれない。

透視術。ジーナが舞台に立つ。係が客席を回って紙を渡して観客にいろいろ書いてもらう。その間はジーナの客の興味を引き付ける口上が流れている。係は紙の束を舞台に持ってくるが、それをジーナに見せないで燃やしてしまう。それをジーナが透視する。

種を明かすと係が紙の束を持ってきて舞台に上がる前に、舞台の下に隠れているピートに渡して別の紙の束と交換する。ピートは、紙の内容を舞台に(観客には見えない)開いている穴からボードに書いてジーナに知らせる。

ブルーノは当演芸団のリーダーであるがモリーと組んでいる。注、演技内容は示されない。

さてピートはアル中である。ジーナの言葉を信用すれば、かつては素晴らしい才能を持っていた。しかし現在では酒に溺れて、まともな仕事ができなくなっている。しかしまた酒を飲まなければ当面の仕事ができないので酒を与える。するとさらにダメになる。ジーナはビートに対する酒量を厳密に制限して、なんとか二人で透視術を行っている。

◆ スタン

当演芸団にスタンが入団してきた。怪しい経歴ではあるが、入団してきて、いろいろ習得して向上するという意欲はあるようである。

スタンは「もしピートがいなくなったら、透視術はどうするのか?」とジーナに話す。これはスタンがピートの地位を狙ったものではあるが、ジーナが心配していることでもあった。ピートはジーナに「俺と組まないか」と誘いかける。ジーナは迷う。

ジーナは(出し物ではないが)タロットカード占いをする。スタンは懐疑的だが、ピートについて占った結果「吊るされた男」と「死神」のカードが出てくる。

◆ ピート死亡

スタンは小屋の外で酒を飲んでいた。ある人が通りかかった。この酒は掠めていたものなので自分が座っていた箱に隠した。

その後ピートが来た。ジーナから酒を制限されていて酒が欲しくて仕方がないようである。死にそうな顔をしている。

スタンは箱から酒ビンを取り出してピートに与えた。

しばらく後にピートが死亡しているのが発見された。原因はメチルアルコールを飲んだたため。ここでスタンを弁護しておくと意図的にやったものではなく、酒ビンを隠した箱にメチルアルコールのビンも入っており、それを間違ってピートに渡してしまったため。

注、メチルアルコールは体内でホルムアルデヒドに変化し、さらにギ酸に変化する。これが毒。メチルアルコールは酒の味がするらしいが飲んだことはない(笑)。酒類の主成分はエチルアルコール。その他の成分が味を決定する。


◆ 新しい透視術⇒スタン、モリーが離脱

さて透視術どうなったのか?ジーナが舞台に立って透視をするのは同じだが、今度はスタンが客席を回っている。今までと何が違うかと言えば、スタンは客席にいる状態でジーナに「その紙にはなんと書いてあるか?」というように聞く。ジーナがそれに対して正しく答えて観客から拍手が沸き起こる。

新しい透視術はジーナ、スタン、モリーが開発したものである。スタンの言葉遣い、アクセント、微妙な動作で内容を伝える。我々には、これだけで伝えることができるかは怪しいが、彼らが優秀だったのだろう。

ここでモリーはスタンと親しくしていることをブルーノに追求される。モリーは「私の勝手でしょ」と反論するが、「二人は(演芸団を)出ていくつもり」と言う。ここで二人とはジーナとスタンのことであって、この時点ではモリーは自分のことは考えていない。

ジーナもスタンを誤解して「私に隠れてモリーとできてたなんて」と批判する。

スタンとモリーは演芸団を追放された。すでにモリーはスタンを好きになっており「いい奥さんになって、あなたのために何でもする」という。


◆ リリス

スタンとモリーは演芸団に属するのではなく、各地のホテルなどと契約して、透視術を披露していく。

モリーが客席を回る。スタンが舞台に立って透視をする。二人は人気を博して、次第に有名になっていた。

しかし成功に比例して腐敗が進んでいく。スタンは予め出席者の情報を不正に取得して透視術に使うようになる。

そのような様子をリリスが眺めていた。心療内科の医師。このような書くと、立派な人物のようであるが、実はかなり怪しげな人物である。

二人はリリスのオフィスで話をした。二人とも相手が気に入ったようである。同じ穴のムジナだからである。リリスは仕事柄、当地の有名人を相手にしている。そして話した内容を秘密裏に録音していた。

スタンはリリスから情報を提供してもらって、透視術に活用していった。モリーは、スタンの変化に疑問を感じていたが、スタンを好きであることには変わりはなく、スタンについていった。

ここでブルーノとジーナが「たまたま近くに来た」ということで立ち寄った。ジーナは例によってタロット占いをした。対象はスタン。ピートの時と同じように「吊るされた男」が結果となった。ジーナはスタンに警告するが、現在のスタンが聞き入れるわけもなく、喧嘩別れをした。

スタンはある富豪の女性から謝礼として15万ドルを得た。それをリリスに渡した。リリスは、それを目の前で金庫に入れてしまった。

◆ グリンドル

スタンの人気はいやがうえにも高まっていったが、彼を「ペテン師である」と批判する者もいた。いや客観的に見ればペテン師と言う評価が正しい。

グリンドルという鉄壁の懐疑派がスタンの前に現れた。しかしスタンがグリンドルに昔ドリーと言う恋人がいて、ドリーが死亡したという事実を突き付けると、一転してスタンの信奉者となった。もちろんこれはリリスからの情報である。

グリンドルは今でもドリーのことが忘れられないようである。「ドリーに会わせてくれ」。スタンはリリスにドリーの写真を依頼した。

グリンドルの大きな屋敷の大きな庭園。夜。グリンドルとスタンが一角に立っている。

遠くにドレスを着た女性が現れた。グリンドルはドリーであると認識した。もちろん我々はモリーであることが分かっている。

スタンは聖書やいろいろな書物から引用して素晴らしいことを述べ立てた。グリンドルはドリーに駆け寄ろうとしたが、スタンは押しとどめた。

しかしドリー=モリーが駆け寄ってきた。自分がしていることに耐えられなくなった。すべてをばらした。


◆ スタンの妄想

今や二人は、信用をなくしたどころか、手錠を掛けられかねない状況である。

スタンはリリスを訪れ。「預けてあった金を戻してくれ」と言うとリリスは金庫から札束を取り出してスタンに渡して、急いで逃げるように促した。

スタンとモリーは逃げ出した。スタンは車の中で札束の封筒を取り出して中を開けた。中身は15万ドルではなく150ドル!

スタンは取って返してリリスのオフィスに駆け込んだ。注、モリーは別行動。

リリスは落ち着き払って驚くべきことを言う。「150ドルが正しい」。今までのことは、すべてスタンの妄想であると言う。女性の富豪やグリンドルのことも妄想であると言う。ピートを殺してしまったことの罪悪感がすべての源であると言う。スタンは何も答えられなくなる。

パトカーのサイレンが聞こえてくる。「警察を呼んだな!?」と言うと、これまた「サイレンの音はしていない」。サイレンが聞こえるのも妄想だと言う。いや、我々にはサイレンが聞こえている。

スタンは取り乱して逃げ出した。

◆ 演芸団

ある演芸団にある男が訪ねてくる。雇ってほしいそうである。困っているようで「何でもする」と言う。

男はまともに応答もできず面接者は困惑する。しかし酒を与えると、なんとかまともになる。困っているようなので雇うことにする。

しかし男は暴れだした。みんなに追いかけられて捕らえられた。やはりまともな人間ではない。そしてあの有名なスタンであることが分かって、みんな驚く。

その様子を見ている女性がいた。モリー。モリーは「スタン」と声をかけた。

ピートはスタンとなり、ジーナはモリーとなって場面が一周した。
 


■ 蛇足

15万ドル⇒150ドルの件はおかしいように思う。なぜかと言えば150ドルは1ドル札150枚。1000ドル札というのも発行されたようだが、普通は100ドル札なので枚数が異なる。同じ150枚ならば1万5000ドルとなる。リリスに渡したのは封筒に入った現金であり、150枚ではあっても1500枚ではありえない。

マイク・マズルキ。「ブロンドの殺人者(1943)」「街の野獣(1950)」「船乗りシンバッドの冒険(1946)」「海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)」「暗黒街の復讐/I Walk Alone(1947)」。
ヘレン・ウォーカー。「狂った殺人計画 Impact (1949) 」。

テイラー・ホームズ。「死の接吻/Kiss of Death(1947)」。
 

タイロン・パワー
(1939)地獄への道/Jesse James
(1941)血と砂/Blood and Sand
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1953)ミシシッピーの賭博師/The Mississippi Gambler
(1948)征服への道/Captain from Casile
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1942)激闘/ベンジャミン・ブレイクの復讐/Son of Fury:The Story of Benjamin Blake
 

コリーン・グレイ
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1948)赤い河/Red River
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(1961)幻の惑星/The Phantom Planet
(1951)アパッチの太鼓/Apache Drums
(1950)大病院殺人事件/The Sleeping City