■ Kiss of Death/強盗をして服役。他の極悪犯罪者を捕まえるために仮出所させてもらう。しかし命を狙われる。


製作:1947年、脚本:ベン・ヘクト、チャールズ・レデラー、フィリップ・ダン、監督:ヘンリー・ハサウェイ   予告編   予告編   フル動画  


■ あらすじのあらすじ

ニックには妻と小さな子供二人がいたが失業していた。仲間三人と強盗をしてニックだけが逮捕された。

「他の仲間のことを言えば刑を軽減する」と持ち掛けられたが、「家族の面倒は見る」との約束だったため、秘密は守った。

妻からの手紙が来なくなり、妻が生活苦から自殺したことを知った。約束は守られていなかった。

今まであまり認識がなかったネティという女性が訪ねてきて、子供は孤児院にいることを知った。

ニックは前言を撤回して仲間のことを密告した。仮出所となり、ネティや子供たちと一緒になり、仕事にもありついた。

他の極悪犯罪者ユドーの捜査協力を依頼されて引き受けた。しかしユドーは無罪となり、ユドーから命を狙われる事態となった。

家族を遠くに避難させた。そしてユドーとの対決に向かう。ニックをターゲットにユドーに犯罪を犯させて、警察に捕らえさせる計画である。
 


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ニック・ビアンコ(ヴィクター・マチュア)
 マリア・ビアンコ(-) ニックの妻、本作には登場しない
 ネティ(コリーン・グレイ)
 トミー・ユドー(リチャード・ウィドマーク)
 ルイ・ディアンジェロ(ブライアン・ドンレヴィ) - 検事補
 アウル・ハウザー(テイラー・ホームズ) - 弁護士

毎度のことだが、リチャード・ウィドマークの悪役ぶりがなかなか。

ネティのナレーションが時々入る。ネティのキャラクタとナレーションが本作の雰囲気を和らげている。ネティとニックのそもそもの馴れ初めは明かされない。

この手の題の映画は(リメイクも含めて)他にもあるので注意。
 


■ あらすじ

◆ 強盗⇒逮捕

クリスマス・イヴ。失業中のニックはビルの24階の宝石店にエド・ウイリアムズとマンゴーネの三人で強盗に入った。もう一人の仲間ビート・リゾは運転手として待機している。

店員を縛り上げて宝石を奪ってエレヴェーターで降りていく。縛られていた店員がなんとか起き上がって非常ベルを押した。

ビルの出口が封鎖された。ニックは別のところから出ようとしたが、脚を撃たれて捕らえられた。エドとマンゴーネは逃げた。

◆ ディアンジェロとハウザーとユドー

地方検事補のディアンジェロから「仲間のことを言えば刑を軽くできる」と言われたが拒否した。少年のころからの罪状を読み上げられ、さらに「15年は出られない、子供のことも考えろ」と言われたが拒否した。

拒否したのは仲間への義理もあったが「家族の面倒は見る」という約束になっていたこともあった。

弁護士のハウザーと面会した。「判決には期待できないので仮釈放を働きかける。必ず出してやる」と言われた。ニックが気になっていた家族については「仲間から分け前を貰った。娘は元気だ」とのこと。

同房にはトミー・ユドーがいた。常に悪態をついており、かなりの悪人のようである。ディアンジェロが訪ねてきて、例の要求を繰り返した。ニックがきっぱりと断ったので、ユドーはニックに一目置いたようである。

◆ ネティ

刑務所に入った。妻に手紙を出している。最初のうちは返信が来たが、ぱったりと返信が来なくなった。

図書室で新聞を調べた。日付順に訃報を見ていくと、妻のマリアがガス自殺をしたことが判明した。生活苦とのこと。娘は孤児院に入った。「家族の面倒は見る」との仲間との約束は果たされていなかった。

ネティという女性が訪ねてきて「私を憶えている?」と話しかけてきた。マリアのことを聞いた。マリアが自殺する前にネティは引っ越したので、その時のことは分からないとのこと。

ネティは孤児院に行って娘のコニーとロージーに会った。ニックと娘のことを親身に心配しているようである。ネティははっきりとは言わなかったが、マリアとリゾに関係があったことをほのめかした。

ネティはニックに対して知人以上の感情を抱いているようである。「また来ます」と言って出ていった。

◆ 密告

ニックは仲間を守ったのに、仲間との約束が果たされずにマリアが自殺し子供が孤児院にいる。ニックは所長に直訴しディアンジェロに連絡を取った。

ニックはディアンジェロとともに孤児院に行ってコニーとロージーに会った。二人はニックをちゃんと憶えておりニックに抱きついた。

ディアンジェロとどのように仲間を逮捕するかを話した。エド・ウイリアムズとマンゴーネとピート・リゾをすべて逮捕するとニックが密告したことがばれてしまう。リゾを外して逮捕することになった。するとリゾが密告したと思わせることができる。

さらにリゾとは四年前に毛皮店に強盗に入っている。この件は(今までは)警察にばれていないので、これを利用する。

◆ リゾ

ハウザーと面会した。家族のことについて聞くと「仮釈放は薦めている、必ず仮釈放にこぎつける」と弁解する。そして「警察から毛皮店の件について取り調べられた。リゾが密告したに違いない」と話す。

ハウザーは戻ってリゾを処分するようにユドーに指示した。ここでハウザーとユドーの関係があったとするのは若干できすぎ。

ユドーはリゾの家を訪ねていく。リゾはおらず車イスに乗った母親がいた。ユドーは母親を追及したが、はっきりとした返事をしないので、母親を車イスごと階段から落とした。

ユドーはハウザーに報告した。「リゾは高跳びしているが、母親の記事を見たら(怖くなって)戻れない」。

◆ ヤング殺人事件

ニックは仮釈放になりネティのアパートに行った。ネティは「ずっと待っていたのよ」と大喜びで抱き着いた。

ディアンジェロからの電話がかかる。「今夜ユドーはニコラスアリーナでボクシングの試合を見る」。ヤングという人物の殺人事件の件でユドーを逮捕するための手筈である。ユドーはいったんヤング殺人の容疑で逮捕されたが証拠不十分で釈放されている。

ニックが出かけようとするとネティは心配するがネティを説得して出かける。

ニコラスアリーナでボクシングの試合が終わり、ユドーが出てくるところを偶然を装って話しかけた。「仮釈放になった」。「ハウザーはやり手だな」と陰謀には気が付いていない。

飲み屋をはしごしながら、それとなくヤングの件を聞いていく。

得た情報をディアンジェロに報告する。1.ユドーはヤング殺しを認めた。2.ヤングから大学の指輪を盗んだ。その指輪はユドーの女が持っている。3.サミーと言う目撃者がいた。

ディアンジェロは「これで完璧」と満足する。

◆ 証言

ニックはニック・カバロと名前を変えて、ネティと結婚しレンガ工場で働き始めた。コニーとロージーは楽しそうに遊び、ネティはニックに「キスされるたびに気絶しそう」と首ったけである。

ディアンジェロから電話があった。「土曜日に会いたい」」。ユドーのヤング殺しの裁判の件。

「指輪もサミーも見つけた」。そして「裁判で証言してくれ」と言われた。ニックはユドーに密告がばれることを恐れている。「名前が変わっているのでビアンコだとは思われない。写真はださない」と言われる。

しかし新聞には「ビアンコが証言」との記事が掲載された。そして夜になってディアンジェロから電話。「無罪になった。指輪は多数作られており、証拠にはならなかった」。そして「ユドーを尾行したが巻かれた。全力で君を守る」と言われたが、ニックは不安になった。

◆ 家族が避難

ニックは心配で夜も眠れない。風の音がしても起きてしまう。ネティも心配している。ネティは「みんなでどこかに」と言うが「どこに行ってもユドーに見つかる」と言う。

とりあえず家族だけを避難させることにする。汽車に乗せて送り出した。コニーとロージーは旅行にいくということで楽しそうだが、ネティは心配顔。

ニックは一人で残った。拳銃を持ったまま部屋の中に潜んでいる。不審な影が現れた。ニックは隠れて待ち構える。

現れたのはディアンジェロ。まずディアンジェロはニックの拳銃を預かった。「一時間前にユドーが姿を消した。君を保護するために連行する」。

ニックは隙を見てディアンジェロを殴り倒し拳銃を取り戻して逃げた。ユドーと直接対決するつもりである。

◆ 最後の対決

ユドーと会った店に行った。いなかったので、別の店(ルイーズ)に行った。隠れて見張っているとユドーが来て入っていった。

向かいの店の電話を借りてディアンジェロに電話した。「ユドーを見つけた。37分署で待機してくれ」。

店員に「ユドーにビアンコが来たと言え」と伝言。

ユドーが登場した。「和解しに来た」と言うと「もともとダチだろ」と言って、そもそも和解する必要はないとの言い方である。そして続いて「妻子がいるんだろ。会うのが楽しみだ。子供と遊んでやるよ」とユドーらしい言葉を吐いた。

ニックは負けずに「俺の家族に手を出すな。また密告するぞ」と言い返した。とりあえずユドーはニックに手は出せないが、不敵な笑いを浮かべて店の外に出た。

ユドーは止めてある車に乗った。そして待ち構えている。

ニックは隠れて37分署に電話した。「ルイーズの外でユドーが俺を待ち構えている。サイレンを鳴らさずに来い。二分後に出る」。

ニックは拳銃をレジに預けて外に出た。車の中から手下がニックに拳銃を向けた。ニックは「自分では撃てないのか」と挑発。ユドーは手下の拳銃を奪ってニックを撃った。

パトカーが挟み撃ちをした。ユドーは逃げ出したが撃たれて倒れて逮捕された。

最後はネティのナレーション。「ニックもディアンジェロも目的を達した」「私も最愛の人を取り戻した」。
 


■ 蛇足

ヴィクター・マチュア。「荒野の決闘/My Darling Clementine(1946)」「サムソンとデリラ/Samson and Delilah(1949)」

リチャード・ウィドマーク。「街の野獣/Night And The City(1950)」「拾った女/Pickup on South Street(1953)」「折れた槍/Broken Lance(1954)」「太陽に向って走れ/Run for the Sun(1956)」「深夜の歌声/Road Houseo(1948)」。

ブライアン・ドンレヴィ。「大平原 Union Pacific (1939)」「狂った殺人計画/Impact(1949)」。
 

コリーン・グレイ
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1948)赤い河/Red River
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(1961)幻の惑星/The Phantom Planet
(1951)アパッチの太鼓/Apache Drums
(1950)大病院殺人事件/The Sleeping City