Samson and Delilah

サムソンはダン族の怪力の青年。ダン族の女性ミリアムはサムソンが好きだが、サムソンはペリシテ族のセマダールが好き。
サムソンがライオンを倒したことでセマダールと結婚することになるが、セマダールの姉デリラもサムソンが好きで結婚を恨む。


製作:1949年、脚本:ジェシー・L・ラスキー・Jr、フレドリック・M・フランク、監督:セシル・B・デミル


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
◇ ダン族
 サムソン(ヴィクター・マチュア)
 ミリアム(オリーヴ・デアリング)
◇ ペリシテ族
 セマダール(アンジェラ・ランズベリー)
 デリラ(ヘディ・ラマー) セマダールの姉
 サラン王(ジョージ・サンダース)
 アーター(ヘンリー・ウィルコクソン) 軍政府長官
 ガズミカル(ウィー・ウィリー・デイヴィス) 怪力の兵士

本作は旧約聖書「士師記」に記されたサムソンとデリラの物語の映画化。
 


■ あらすじ

◆ サムソンはセマダールが好き

ダン族の住むノラの村は異教徒のペリシテ族に支配されている。

ダン族の老人がみんなに「ペリシテ族の圧政から逃れて自由になる」という話をしている。

ペリシテ族の兵士たちが来た。兵士は「ペリシテ族が来たら頭を下げろ」と言う。老人は「頭を下げるのは主に対してのみ」と反論するが、倒されて踏みつけられた。

ダン族の女性ミリアムが反論すると、さらにミリアムを叩こうとする。ダン族の少年が「サムソンに言いつけるぞ」と言う。老人が「サムソンの腕には主の力が宿っている」。

そんな状況である。何を言ってもペリシテ族に支配されている現実は変えられない。

サムソンはダン族の力持ちの若者である。しかし賭け事に熱中したりして、だらしない生活を送っている。

周囲の人はサムソンとミリアムとの結婚を勧めている。ミリアムもサムソンが好き。

だがしかしサムソンはなんとペリシテ族のセマダールという女性が好きである。

◆ アーターもセマダールが好き

一方ペリシテ族の軍政長官アーターもセマダールが好き。父親に贈り物をもってきて、セマダールとの結婚を希望する。

セマダールは女性とは言っても投げ槍が得意である。父親とアーターが見に行くと投げ槍の練習をしている。アーターはセマダールには特製の槍をプレゼントした。セマダールは嬉しそう。

その光景を塀の外からサムソンが見ている。サムソンがセマダールに話しかけた。セマダールは「(ペリシテの場所なので)ここは危険よ」。

サムソン「結婚してほしい」セマダール「冗談でしょ。他の女にも言ってるんでしょ」。

それをセマダールの姉のデリラが見ている。デリラの方は石投げが得意。二人に石を投げて妨害する。

アーターが槍をサムソンに渡して「やってみろ」と言う。サムソンは投げ槍ができない。頑丈な槍をグニャと簡単に曲げてしまう。その力にみんなは驚く。

◆ サムソンはライオンを倒した

セマダールとアーターは狩りに行く。デリラはサムソンに「連中の前でライオンを倒して」という。「馬車がない」というのでデリラの馬車ででかける。

サムソンとデリラの馬車がライオンと出会った。二人は馬車から下りた。ライオンが威嚇すると馬は逃げ出した。

サムソンはライオンの前まで歩いて行った。ライオンはサムソンに飛びかかる。サムソンも殴りつける。

最初はほぼ互角、しかしまもなくサムソンが優勢になってくる。さほど時間はかからず、ライオンの首の骨を折った。

サムソンはわりと平気な顔。デリラはサムソンに抱き着いた。

◆ サムソンとセマダールが結婚することになる

ここでサラン王の一団が到着した。アーターとセマダールもいる。ライオンが死んでいるのを見る。

デリラが「サムソンが素手で殺した」と言っても信用しない。サラン王はライオンに武器による傷がないかを調べさせたが、傷は見当たらない。

サラン王はガズミカルという力持ちの男と対決をさせた。サムソンよりもかなり大きな男である。

ガズミカルは数メートル離れたところからムチでサムソンを打った。ムチはサムソンに巻き付いた。サムソンはムチを握ってガズミカルを引き寄せて頭の上に担ぎ上げて地面に投げつけた。ほんの一瞬で勝負が決まった。

サラン王は唖然とし、デリラは嬉しそう。

サラン王は「褒美を与えよう」と宝石を差し出した。だがサムソンが「自分で決めてよいか?」と言うので、サラン王はそれを許可した。

「ペリシテ族の娘を妻にしたい」と言うとデリラはウキウキ。しかしサムソンはセマダールを指定した。アーターが抗議するが「王に二言はない」と撥ねられる。デリラは悔しそうな顔。セマダールが嬉しそうな顔をしているのは変だけど。

デリラは「披露宴に30名の兵士を招待」と提案する。何か企んでいるようである。

◆ サムソンと兵士たちが謎かけをする

サムソンとセマダールの結婚披露宴が開かれた。いろいろなイヴェントが催される。アーターも出席、兵士30人も出席。兵士たちはダンの男がペリシテの女と結婚することに不満を述べ立てている。デリラも不機嫌。

兵士たちの言っていることがサムソンに聞こえて、兵士たちと口論になった。ここでサムソンは兵士たちに「強きモノから甘みがでる」と言う謎かけを出した。兵士たちが勝った場合には、兵士たちに服を渡すことになる。

兵士たちはいろいろ考えるが、すべて的外れの答え。

ここでデリラが不穏な動きをして兵士に答えを教える。詳細は省略して答えは「ミツバチの巣」なのだが、サムソンはそれぞれの兵士に服を進呈することになる。

サムソンは、それをセマダールが教えたものと誤解し「夫を裏切るとは野良猫にも劣る」と言い放つ。事情を知っているメイドの一人はデリラに「いずれ罰があたる」と言う。

◆ サムソンは大暴れする

ダンの村では人々が服を奪われる事件が発生する。映像では示されないが、我々はサムソンの仕業と知っている。

サムソンが服をいっぱい持ってきて兵士たちに投げて渡した。「約束を守った。セマダールは?」と言うと、セマダールの父親は「結婚は解消かと思ってアーターに嫁がせた。姉はどうか。セマダールより美人だ」と勝手なことをいう。

デリラはまたウキウキするが、自分が兵士に答えを教えたことを明かす。「マムシ女め、踏みつぶされたいのか」。

サムソンは、アーターとセマダールのところにいく。アーターは剣を抜いたが、一瞬でサムソンにやられてしまう。

そばにいた兵士たちも襲い掛かるが、やられてしまう。セマダールは兵士がサムソンに投げた槍が、当たって死んでしまう。

サムソンは、火をつけたり、壊しまわって暴れる。ペリシテ族の村が壊された。

デリラは「一生かかっても復讐する」と誓う。

◆ サムソンは捕らえられたが行方をくらました

ペリシテ族の兵士が動員されてサムソンの行方を探した。しかしダン族の人々は誰も教えない。

困ったサラン王は「税を強化しろ」と指示し、ダン族から、いろいろなものを容赦なく取り上げていく。

しかしそれでもサムソンの居場所は教えないが、次第にサムソンを批判する意見もでてくる。そして「彼を縛りペリシテに渡そう」となる。

サムソンが縛られてペリシテ族の兵士に渡された。サムソンが捕らえられたのはダン族から説得を受けたためである。

サラン王とデリラがいる。デリラはサラン王の妻になっている。縛られたサムソンが連れてこられた。

サラン王「サムソンをどうするか?」デリラ「動物のように粉をひかせましょう」。

サムソンが「主の力を示したまえ」と祈るとたちまちサムソンを縛っていた鎖が千切れて飛んだ。

またサムソンは大暴れして姿を消した。生きて帰った兵士が「どんな武器も通用しません。死者は1000名」と報告した。

デリラは「彼にも弱点はあるはず」と言うと、サラン王はデリラに処理を任せた。

◆ デリラはサムソンの秘密を掴んだ

岩山の間の道を通って隊商がきている。岩山の上からサムソンが見ている。

隊商にはデリラがいる。夜になって隊商は宿泊した。

サムソンが入ってきて中を見て回る。「主人をよべ」「私は独身」「デリラは王の娼婦」「知っていたのね」という話から始まって、二人は延々とやり取りをする。

探り合いが続くが、ついにサムソンがデリラにキスをした。

次の日になって、二人で池で遊んでいる。泳いだり、抱き合ったりして、わりと楽しそう。注、デリラは偽装。

「あなたの強さには秘密があるはずよ」「何も秘密はない」。これも延々と続くが「もう帰るわ」「帰るな」「私を信用してないわ」「愛してる」「それなら、あなたの秘密を教えて」。

そして「ライオンの強さの象徴はタテガミ」「あなたの強さの象徴は長い髪」とサムソンの秘密が漏れてしまう。

ここでミリアムが訪ねてきた。ミリアムは村の状況を話した。村は弾圧されてひどい状況らしい。それを聞いてサムソンはミリアムと一緒に行こうとする。

デリラは「出かける前にこれを飲んで」とカップを差し出す。サムソンはデリラの意図を疑ってデリラが持っているカップと交換を要求する。サムスンはデリラのカップを受け取って飲み干した。

サムソンは倒れて眠り込んだ。デリラはサムソンの髪を短く切り取った。

兵士たちが来てサムソンを鎖で縛った。サムソンの目の直近に灼熱した鉄棒を持ってきてサムソンの目を焼いた。補足。デリラは「サムソンを捕らえても傷つけないように」との条件を出しており、その条件を守るために、直接に目に当てることはしない。

◆ サムソンは力を取り戻した。

デリラはサラン王から褒美を貰い贅沢な暮らし。一方サムソンは小屋の中で鎖に縛られて粉引きをさせられている。もうかつての力はないので重労働である。

ある時デリラがサムソンを見に来た。サムソンの前に立ってみて、デリラはサムソンの目が見えないことに気がついた。デリラはサムソンを憐れんだ。

時は立ったがデリラはサムソンの幻影を夢に見てうなされている。サムソンも「主は私をお忘れになったのか」と嘆いている。

デリラはまたサムソンを訪れた。「悪魔の使い」「あなたを慰めに来た。あなたの目が戻るなら、私が盲目になってもよい」。

デリラがサムソンに抱き着いたが、サムソンはデリラを高く抱え上げた。鎖が切れている。サムソンの髪は伸びて、力は元に戻った。

「戦う」「目が見えないのよ、戦えないわ」「目が見えた時の私は盲目だった。主よ、正しい道を」。

デリラが「祭りが始まる。あなたを括り付けて拷問するつもり」と言うので、サムソンはちぎった鎖をまた体に巻き付けた。

兵士が来て、サムソンを連れ出した。

◆ 神殿が倒れる

サムソンは神殿の前の広場に連れ出された。サラン王とデリラが中央の席にいる。多くの人々が集まっている。ミリアムも来ている。

ミリアムと一緒に来た少年が走り寄ってサムソンに抱き着く。少年に周りの状況を聞く。「ミリアムと一緒に逃げよう」「今さら村の人に合わせる顔がない」。

ミリアムはサラン王に慈悲を求める、サラン王はデリラに聞くように言う。デリラ「お前は彼を独占したいだけ」。

サムソンに石が投げられたりする。デリラ「サムソンの元に行く」サラン王「ここには戻れないぞ」。

デリラはサムソンを案内し石段を上って神殿に行く。神殿は石で建てられた巨大な建物。中心の二つの石の柱の間に来た。二つの柱はサムソンの両手の幅よりは近い。

サムソンはデリラに愛を告白し「天罰が下る。ここから立ち去れ」。もう一度サムソンはデリラが立ち去ったのかを確認するがデリラは答えない。

デリラがいないと判断したので、両腕に力を込めて柱を押した。

柱は少しずつ動いた。ついに柱が外れ、その上の構造物が崩れ落ちた。次々に柱が倒れ、建物が次々に倒れていく。

人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。神殿はすべて崩れてしまった。

すべてが崩れ去った後にミリアムと少年が立っていた。
 


■ 出演作

ヴィクター・マチュア
(1940)美人モデル殺人事件/I Wake Up Screaming
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1953)聖衣、キリスト教弾圧/THE ROBE
(1954)ディミトリアスと闘士/Demetrius and the Gladiators
(1954)エジプト人/The Egyptian
(1952)アンドロクレスと獅子/Androcles and the Lion
(1948)都会の叫び:幼馴染の刑事と凶悪犯/Cry of the City
(1957)密輸トラック/THE LONG HAUL

アンジェラ・ランズベリー
(1944)ガス燈/Gaslight
(1944)緑園の天使/National Velvet
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1948)十番街の天使/Tenth Avenue Angel
(1962)影なき狙撃者/The Manchurian Candidate
(1965)偉大な生涯の物語/The Greatest Story Ever Told
(1956)A Life at Stake
(1956)俺を殺せ/Please Murder Me
(1945)ドリアン・グレイの肖像/The Picture of Dorian Gray
(1952)カリブの反乱/Mutiny

ヘディ・ラマー
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1947)退職した女/Dishonored Lady
(1941)結婚を買う女/Come Live With Me
(1958)女優と養女とエキストラ/The Female Animal
(1950)銅の谷/Copper Canyon
(1940)石油ブームの町/Boom Town
(1942)交錯する記憶/Crossroads
(1942)パイザノと美女/Tortilla Flat

ジョージ・サンダース
(1940)レベッカ/Rebecca
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1942)ベンジャミンの復讐
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1945)ドリアン・グレイの肖像/The Picture of Dorian Gray
(1952)パリの記者とハンガリーのスパイ/Assignment - Paris
(1958)宇宙冒険旅行:地球から月へ/From the Earth to the Moon
(1944)夏の嵐/Summer Storm
(1951)シャーボイコ・ドレス/I Can Get It For You Wholesale
(1940)海外特派員/Foreign Correspondent
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1954)イタリア旅行/Journey to Italy/Viaggio in Italia