■ A Life at Stake
エドワードは不動産開発関係の仕事をしていたが失敗して今はブラブラしている。
ドリスという女性から事業に誘われて一緒にやりだした。しかし車のブレーキが利かなかったり、睡眠薬を飲ませられたりする。
ドリスの妹からドリスの最初の夫が睡眠薬の飲みすぎで死亡し、保険金がドリスに渡ったことを知った。


製作年:1955、監督:Paul Guilfoyle、脚本:Russ Bender、原作:Hank McCune


■ はじめに

事件の構造だけを知りたければ「補足/事件の構造」を参照。

登場人物(キャスト)
 ガス・ヒルマン(ダグラス・ダンブリル)
 ドリス・ヒルマン(アンジェラ・ランズベリー) ガスの妻、元不動産ブローカー
 マーベル(ジェーン・ウッド) ヒルマン家のメイド
 マッジ・ネイラン(クローディア・バレット) ドリスの妹
 エドワード・ショー(キース・アンデス) 建築業者
 アパート管理人(ジェーン・ダウウェル) ショーのアパート
 サム・ピアソン(ギャヴィン・ゴードン) 弁護士
 マイルス・ノルマン(ウィリアム・ヘンリー) 刑事
 メアリー(キャスリーン・マルクイーン) エドワードの事務所の秘書

ドリスとガスはかなり年が離れている。
 


■ あらすじ

◆ 不動産開発計画

エドワード・ショーは不動産開発関係の仕事をしていた。しかし事業に失敗し、家も知人も失って、狭いアパートに住んでブラブラしている。

サム・ピアソンという弁護士がエドワードを訪ねてきた。ガス・ヒルマンの依頼だそうである。レストランで二人で話した。エドワードはあまり気乗りがしなかったが、ヒルマンを訪ねていくことにした。

エドワードはヒルマン宅を訪ねた。ずいぶんと立派な屋敷である。妻のドリスが応対した。

ドリスは結婚して六年だが、その前は不動産のブローカーをしていた。

ドリスは「私の幸せは夫が大きな財産を作ること」と言って、金額も含めて、いろいろな話をした。この話はむしろドリスの主導であるかのようである。

その場は別れた。

◆ 再度ドリスと会う

しばらくしてドリスから電話がかかってきた。アパートの管理人の女性が受けて、メモをエドワードに渡した。ドリスがエドワードと会いたいとのこと。

場所は屋敷でなく街中のビルの中。事務所の雰囲気ではなく、個人の住宅みたい。

「夫が計画に賛成した」と言う。前回もそうだが、ドリスはいつも夫の話をする。

酒を飲んで音楽をかけて、ドリスはエドワードの肩に手を置いて話した。わりと怪しい雰囲気になる。

ドリスの雰囲気を察したのか、エドワードはあまり乗り気ではないような顔をする。

するとドリスは態度を変えて悔しそうな顔をして「出て行って!」と言った。

◆ ガス・ヒルマンと会う

夜、エドワードは自分の部屋で悶々としていた。それは仕事がだめになったせいでもあるが、ドリスとの関係が切れたせいでもあったかも。

エドワードは外にでた。しばらく付近をブラブラしているとドリスが車に乗って現れた。「眠れなかったの」と言う。

ピアソンのオフィス。ガス、エドワード、ピアソンがいる。話しているとドリスともう一人女性が現れた。ドリスの妹のマッジ。

マッジはエドワードに話しかけて、すぐに帰った。

その後、エドワードは用意された書類にサインをして、オフィスを出た。

◆ マッジと話す

エドワードはオフィスを出てタクシーに乗った。下りたところで偶然に、先ほど会ったマッジがいた。まあ、本当に偶然であるかは不明だが。

二人はレンストランで話した。マッジはエドワードを気に入ったらしく、嬉しそうにいろいろ話す。

マッジはドリスのことも話した。18歳の時に最初の結婚をしており、その男性は睡眠薬で死亡した、保険金がドリスに入ったことなど。

ドリスは単に無邪気でいろいろ話しているのだが、エドワードは、その話に気分を害した。エドワードはレストランを出て行った。

◆ 車が転落しそうになる

事業計画が進展しており、エドワードはオフィスにいる。たった一人だがメアリーという秘書がいる。

メアリーが電話を取り次いできた。ドリスである。ドリスは「ダーリン」と呼びかける。エドワードは目で合図してメアリーを別の部屋に行かせた。

エドワードは外に出てドリスを待ち合わせた。ドリスの車に乗って行く。

坂道で停車してドリスが下りる。エドワードは、そのまま車に乗っていた。

しかし車が勝手に走り出した。体を乗り出してブレーキを踏む。しかしブレーキが効かない。ハンドブレーキを引いてなんとか止めた。崖のそば、前車輪の片側がはみ出した状態で停止した。

補足。ドリスが運転していた時には問題はなかった。

◆ 警察に調べてもらう

エドワードは警察に出かけて車の件を調べてもらおうとした。対応した警官は「こっちは忙しいだよ」みたいな反応をする。

しかしノーマン刑事に会って話を聞いてもらった。マッジから聞いたドリスの話をした。ノーマンもそれだけでは判断できないので、困った顔をした。

後ほどノーマンとエドワードは車をチェックしてブレーキがちゃんとかかることを確認した。注、ここにはドリスはいない。

◆ ドリス告発の手紙

メアリーが帰宅した後、エドワードはタイプライターを使う。あて先はのノーマン刑事。内容は「私は(ドリス・)ヒルマンから殺されかけたと信じる」。

ここでマッジが訪問してきた。マッジが「何なの?」という雰囲気で聞くので、エドワードは用紙を取り外してゴミ箱に捨てた。

マッジがゴミ箱から拾おうとしたので取り上げた。

二人は出かけた。出かける前にエドワードは用紙をコートのポケットに入れた。

二人は食事をしてダンスをした。デートの雰囲気。少なくともマッジはデートと思っている。補足。店に入るときマッジは店員に身分証明書を見せる。子供ではないことを証明するため。

マッジのアパートに行った。しばらく話した後、エドワードは帰ることになる。

マッジはかけてあったエドワードのコートを外す。その時にポケットから用紙を取り出して見る。マッジは、その用紙を隠す。

エドワードは出て行った。

◆ 睡眠薬が混入された

場所は明示されないが、おそらくヒルマン家の別荘。

ドリスがエドワードに手紙を書いている。エドワードに謝罪する内容。

車の音がしたので、手紙を破って捨てて、外に出た。エドワード。

二人でドライヴして戻ってくる。注、この間にエドワードは書きかけの手紙がなくなっていることに気が付く。

二人がいる部屋にガスが来た。コーヒーのポットとカップを持っている。

ガスはカップにコーヒーを入れてエドワードに渡す。「砂糖も」と言うので、ガスは砂糖をいれて、今度はドリスに渡す。

ここでドリスはカップを叩いて床に落とすという激しい動作をする。二人とも驚く。

ガスは改めてコーヒーを入れて砂糖も入れてガスに渡す。ガスはそれを飲む。

エドワードは帰るために外に出る。(自分の車だが)念のためにブレーキなどをチェックする。

夜道を走っていく。しかし次第に眠くなってくる。前から車が来てぶつかりそうになる。

最後には崖から転落。車は一回転したが、幸いエドワードは無事だった。エドワードは先ほどのコーヒーに睡眠薬が入っていたと認識した。

補足。誰が睡眠薬を入れたのかは明示されないが、ドリスがあらかじめ睡眠薬を入れたコーヒーを作っていて、それをガスが持って来たものと思われる。ドリスがカップを叩いたのは睡眠薬が入っていることを知っていたから。

◆ BIG BEARへ

この間にいろいろ展開がある。一つはドリスはマッジが持っていた用紙に気が付いて持ち帰り、マッジが用紙がなくなっていることに気が付く。

ドリスはエドワード宛に「ラス・ヴェガスに行きましょう」との伝言を入れてドアの下から差し込む。

それをガスが発見して内容を見るが、そのままにしておく。後ほどエドワードがそれを拾い上げる。

補足。伝言が差し込まれた部屋がどこなのかはよく分からないが、ともかくガスとエドワードの両方がこの伝言を読む。

エドワードはドリスのことをあまり信用していない雰囲気だが、ともかく二人は車でラス・ヴェガスに向かう。

二人の行動を把握しているガスも向かう。どうしてラス・ヴェガス行を把握したのかは不明だが、マッジも追いかける。

マッジはホテルに着くが、二人はホテルをチェックアウトしていて「二人がBIG BEARに行った」ことを掴んだ。注、BIG BEARはカリフォルニア州で湖がある。

補足。明示はされてないが、ガスも二人の動向を掴んでいる。

◆ エドワードが撃たれる

BIG BEARの山小屋。ドリスとエドワードの会話。

最初は穏やかだが、次第に険悪になってくる。「私があなたを愛しているようにあなたは私を愛している」「嘘だ」「嘘じゃないわ」「みんな嘘だ」「愛しているわ」。

ここでいったんキスをする。「二人で出ていきましょう」「俺は一人でいく」。ドリスは引き留める。

さらに二人はやりあうが、怒鳴りあいとなる。エドワードは出て行こうとする。ドリスが拳銃を出す。エドワードが振り返る。

ドリスが引き金を引いた。エドワードの左肩に当たって、エドワードは倒れた。

ここでガスが入ってきた。「お前は彼を愛していた」とドリスを非難。エドワードが気がつく。

ガスがドリスから拳銃を奪おうとする。ガスが拳銃をつかみ取るが、エドワードが拳銃を叩き落した。

ガスとエドワードが格闘する。ドリスが拳銃を拾い上げて、ガスに向かって引き金を引いた。

ガスとドリスは絡み合って窓から落ちて死亡した。

◆ ラスト

エドワードは拳銃を拾って外に出た。パトカーが近づいてきた。ノルマン刑事とマッジ。

エドワードはノルマンに拳銃を渡した。エドワードは一緒に来た救急車に乗せられた。マッジも乗り込む。救急車の中でマッジはエドワードにキスをした。
 


■ 補足/事件の構造

本作は日本語版がなく英語版で見ている。事件の構造は次のようになっている。若干の推測の部分あり。

ドリスは、最初の夫に保険金をかけて、睡眠薬を使って殺し、保険金を得た。

エドワードとの仕事は、ガスの提案ではなくドリスの提案。

仕事を失って貧乏生活をしているエドワードを誘い込み、また保険金を得る計画。

家族ではないので、エドワードを事業に誘い込み、保険金を掛けさせる。事業の相手が死亡するリスクに対して保険金をかけることができる。

それでドリスは、ブレーキの細工、睡眠薬でエドワードを殺害しようとする。失敗したので、山小屋で拳銃で殺害しようとする。補足。ドリスが運転している時にはブレーキが正常に動作し、エドワードの時に不正常なのは、メカニズムが説明されない。

しかしドリスはエドワードを好きである。最後には二人で姿をくらまそうとする。
 


■ 出演作

◆ ダグラス・ダンブリル
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1935)浮かれ姫君/Naughty Marietta
(1947)ジャングルの少女/Blonde Savage
1955)A Life at Stake

◆ アンジェラ・ランズベリー
(1944)ガス燈/Gaslight
(1944)緑園の天使/National Velvet
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1948)十番街の天使/Tenth Avenue Angel
(1962)影なき狙撃者/The Manchurian Candidate
(1965)偉大な生涯の物語/The Greatest Story Ever Told
(1955)A Life at Stake

◆ キース・アンデス
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1955)A Life at Stake