■ BUCCANEER'S GIRL(1950)
デビーは密航したが、その船が海賊船に襲われて、ニューオーリンズに下りた。
そこで歌手となった。出演した会場で紹介された海賊退治の役割を任されているキングストン船長は、海賊船長のバティストであった。
しかしキングストンの正体はばれており陥れるための罠がかけられた。
デビーは罠にかかったバティスト=キングストンを助けようとする。


製作:1950年、監督:フレデリック・デ・コルドバ


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 デボラ・マッコイ(イヴォンヌ・デ・カーロ) 通称デビー
 バティスト(フィリップ・フレンド) 海賊船長、実はロバート・キングストン
 ジャレッド・ホーキンス(ジェイ・C・フリッペン) バティストの部下
 ブリッツァ夫人(エルザ・ランチェスター)
 ナルボーン(ロバート・ダグラス)
 アリーン・ヴィヨン(アンドレア・キング) 知事の姪
 パトゥ(ノーマン・ロイド) ナルボーンの部下
 デュヴァル(ヘンリー・ダニエル) 警部

バティストの海賊船の名前は明示されない。ここでは「海賊船」と表記。
 


■ あらすじ

◆ デビーは密航したが捕まる

ナルボーンの船がニューオーリンズに向かって航行している。甲板においてあるボートの中にはデビーが潜んでいる。

またこの船には海賊のバティストの手下も潜んでいる。海賊船が近づいてきた。潜んでいる手下も姿を表した。

船員たちに襲い掛かり、船内は大乱闘。ついでにデビーも姿を現して数人を殴ったが、デビーも殴られて気絶した。

船が制圧されてデビーも連れてこられた。気がついたデビーは、殴り蹴飛ばし咬みついて抵抗したが制圧された。ここで海賊たちはデビーが女性であることに気がついた。

「女一人だから、俺たちといた方が安全」と海賊船に移された。どっちが安全なんだか。

◆ デビーはニューオーリンズで降りた

デビーは海賊船長のバティストに会った。「血に飢えた海賊バティスト」と自己紹介したバティストは「どこに行くつもりだ?」と聞いた。デビーは「ニューオーリンズかリオ」と答えて「歌と踊りができる。女の子が稼ぐにはいい場所」と続けた。

「ニューオーリンズで下りたら俺のことを通報するだろう」。ナルボーンはニューオーリンズ一の金持ち。バティストはナルボーンの船だけを狙っているらしい。

デビーは専用の船室を与えられた。しかし甲板に出てきて船員たちにいろいろと話しかける。船員たちは気になって仕事にならない。なにかとデビーにプレゼントしている。

バティストはデビーがドレスを着ているのを見た。ジャレッドから貰ったらしい。バティストはドレスを脱がせた。しかし脱ぐときに裾を少し破ってしまった。注、このドレスは後ほどアリーンにプレゼントされる。

ニューオーリンズについてバティストは下りた。デビーは密告の恐れがあるので、海賊船の風紀が乱れるという問題があるものの海賊船に残された。

いやしかしデビー布切れをかぶってボートの中に潜んでいた。

◆ デビーを巡って大乱闘

デビーは寝るところがなかったので八百屋の店先の野菜を置く台の下で眠った。

朝が来て八百屋の主人が発見した。妻を怖れている主人はデビーを隠そうとしたが妻に見つかり、大喧嘩となった。周囲の人も巻き込んで大乱闘。

デビーは乱闘の渦から逃げ出した。デビーを「ブリッツァ女子しつけ教室」を経営しているブリッツァ夫人が見て声をかけた。ブリッツァは歌や踊りができる女性をバーティなどに派遣している。「あなたは人気が出るわ」。

◆ ブリッツァ女子しつけ教室

ナルボーンとパトゥが待っている。ブリッツァとデビーが戻ってきた。今夜のパーティで余興をお願いされた。

デビーはブリッツァに「この部屋から出て行って」と指示されたが「あなたがナルボーンさん?」と声をかけた。

その後ブリッツァの前でいろいろなドレスを着てチェックされた。夜のバーティでキングストン船長と会うことになる。キングストンは海賊退治の責任者とのこと。

◆ バーティで歌う

デビーはバーティに行ってキングストン船長と会った。それはバティストだった。キングストンは「何しにここへ来たっ?」と聞いたが、二人は周りの人に知らないふりをした。

デビーが歌を歌った。上手な歌と、少し下品な踊りが大人気であった。

キングストンは演壇に立って自分の投資の利益(実は海賊行為で稼いだ金)を協会に還元していくことを述べた。

◆ キングストンが襲われる

キングストンとデビーが会場から出てきたところ、数人の男に突然襲われた。キングストンは反撃したが、男たちはキングストンの指から指輪を奪うと、すぐさま撤退した。

ナルボーンとパトゥが、指輪をみて「やはりバティストに送った指輪」と話している。

「本物は死んだのか?」「昔バティストを使って、ヤツの父を始末した」「今では奴がバティストを名乗って、私に仕返しをしている」。

注、この辺りは少々論理がおかしいようである。しかし要点はナルボーンが「バティスト=キングストン」であると認識したこと。

「16隻が被害にあっている。先手を打ってヤツを始末しないと」と話が展開する。

◆ キングストンをだます

デビーはパーティに出かけた。キングストンやナルボーン、パトゥもいる。

ナルボーンはキングストンと話している。「来週スペインから、高価な荷物を積んだ船が三隻到着する」。

その後、ナルボーンはパトゥに「これでパリからの三隻の安全は確保された」と話した。これをデビーが立ち聞き。つまりキングストン=バティストに偽情報を教えた。

◆ アイリーンのドレス

デビーが歌っている。みんなは楽しくデビーの歌を聞いているのに、アリーンともう一人の女性が大きな声で話している。他の人が静かにするように言ってもお構いなしである。

あまりにもひどいのでデビーは歌を止めて、二人に抗議した。殴り合いの喧嘩となった。

デビーはアリーンが着ているドレスは、前に自分が着たもので、裾を繕った跡があると指摘。アリーンはそれを確認する。

デビーが出ていくとアリーンはデュヴァル警部を呼び出した。注、アリーンは知事の姪で権力を持っている。

◆ デビーが手配される

デビーがアリーンのことでブリッツァに謝っている。するとブリッツァは「願ったりかなったり、いい気味だ」と言う。

ここでデビーはキングストンとアリーンが婚約していることを知った。「あんな魔女と結婚するなんて」。

ここでドアが激しく叩かれる。警察。ブリッツァがでると「アリーン・ヴィヨン嬢への暴行罪でデビーを逮捕する」。

ブリッツァは「ここにはいない」と時間を稼いでデビーを逃がした。デビーはわりと身軽で二階のヴェランダから飛び降りた。警察がドアを破って入ってきた。

◆ デビーは海賊船にもどる

ジャレッドが甲板にいるとボートが着いてデビーが上ってきた。ジャレッドは「またアンタかい」と言うが、顔は笑っていて嬉しそうである。

バティストが海賊船に戻ってきた。船長室に入った。ベッドにデビーが寝転んでいる。

「なぜあのドレスの話をした?」「私は警察に追われてるの、私が捕まったら大変でしょ(←バティスト=キングストンということがばれるから)」。

海賊船は出航した。

バティスト、ジャレッド、デビーが甲板で並んで話す。デビーが「これでパリからの三隻の安全は確保された」と聞いたことを喋った。バティストは「俺はなんてバカだったのか」と気づく。「スペインの船は軍艦だ、航路を変更する」。

注、パリからもスペインからも、アメリカ近辺では航路はさほど違わないような気はするが。

◆ ナルボーンの船を沈める

バティストは右目を黒い眼帯で覆って海賊船を指揮する。この方が海賊らしいスタイルである。デビーは「船室にいろ」と言われたが、例によって甲板をうろうろしている。

詳細は省略して海賊船はパリからのナルボーンの船を三隻続けて襲撃した。「これて海賊の仕事は終わり」と言う。

そして「帰ったら君の容疑を晴らす」と言う。容疑と言うのは「アリーン・ヴィヨン殴り倒し」事件のことらしい。

ここでデビーは「(戻らないで)進路を変えればいい」と言った後、バティストの口真似をして、デビーとバティストのことを喋ってバティストを説得する。ここの部分は秀逸。

バティストは「その言い方はきついな、デビー、許してくれ」とやっぱりニューオーリンズに戻ることになる。

◆ アリーンとナルボーンが結婚した

キングストンはニューオーリンズに戻ってデュヴァル警部と会った。「バティストは捕らえられなかった」と言った後、「ある女性のことでお願いがある」と切り出した。デビーのことである。

デュヴァルは「その訴えは取り消された」と答えて、さらに「アリーンはナルボーンと結婚した。(デビーのことを取り下げたのは)区切りをつけたかったからだろう」と続けた。

キングストンはアリーンのところに出かけた。「遅ればせながら(結婚を)お祝い」というが「これであなたと私はお互いに気をもむ必要がなくなった」と答えた。二人は喧嘩となった。

その後、アリーンはパトゥに会う。「キングストンとバティストは同一人物です」と教えてもらった。「なぜ通報しないの?」「(キングストンを)あなたが守られていたので」「すぐに通報して」。

◆ バティスト=キングストンが捕らえられた

キングストンはブリッツァの家にデビーを訪ねていった。

「一緒に海に出よう」「私のことなどどうでもよかったのよ」「誰を愛していたか気がついた」「それなら私も気がついた。住む世界が違う」と展開してデビーはキングストンを殴った。

キングストンは出ていった。

キングストンは船に戻った。しかし船は軍隊に占領されており捕らえられた。キングストンは密告したのはデビーだと考えた。

部下と一緒に牢に入れられた。

◆ 酒場で乱闘騒ぎ

デビーは酒場で歌った。大きな声、大きな動作。まわりには多くの観客。観客もデビーに合わせて歌って踊っている。我々には、その観客は海賊船の船員のように見える。

そして警察が警戒している。

長い間歌った後で、デビーの歌が終了すると観客同士が乱闘を始めた。デビーも殴って蹴飛ばしている。

あまりに大騒ぎなので、警察が制止し、みんなを逮捕した。

そしてみんなは牢に連れてこられた。牢全体の鉄格子が開けられて、みんなが入れられたところでデビーが合図。

するとみんなは警官に殴りかかった。不意を突かれた警官たちは武器を取られ殴られた。そしてカギを奪われた。

鉄格子が開けられて、捕まっていたバティストたちが牢から解放された。

◆ ラスト

バティストとデビーは海賊船の甲板。海賊船はどこやらへと向かうようである。もしかすると、もう海賊は止めたのかも。
 


■ 出演作

イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands