■ Scarlet Angel
ロキシーはリンダという未亡人の女性を偶然に世話をしたが、リンダは発作を起こして死亡した。保安官には「ロキシーが死んだ」と報告。
リンダの夫の実家が金持ちであることを掴んだロキシーはリンダの子供を連れて実家に向かう。
製作:1952年、監督:シドニー・サルコウ、脚本:オスカー・ブロドニー
■ はじめに
登場人物(キャスト)
ロキシー・マクラナハン(イヴォンヌ・デ・カーロ)
フランク・トラスコット(ロック・ハドソン)
リンダ・コールドウェル(ボディル・ミラー)
ボブ・コールドウェル(-)本作時死亡、リンダの夫
ロバート・コールドウェル(-) ボブとリンダの子供
モーガン・コールドウェル(ヘンリー・オニール) ボブの父親
ユージニア・コールドウェル(Maude Wallace) ボブの母親
マルコム・ブラッドリー(リチャード・デニング) ボブの従兄弟
スーザン・ブラッドリー(アマンダ・ブレイク) ボブの従姉妹
ノートン・ウェイド(ホイットフィールド・コナー) コールドウェルの知人の金持ち
ピエール(ヘンリー・ブランドン) スカーレット・エンジェルのオーナー
カルフーン(トル・エイブリー) 探偵
ウォルター・フリスビー(ダン・リス) 弁護士
■ あらすじ
◆ スカーレット・エンジェル
ニューオーリンズ。フランク・トラスコットはタンピコ・クイーン号でコーヒー1200袋を運んできた。しかし80袋を横領して売りさばき1200ドルをくすねた。
「あの酒場には行くな」と言われたスカーレット・エンジェルに出かけた。
さっそくロキシー・マクラナハンという女性が近づいてきた。怪しい雰囲気である。少しばかり話して、二人は気が合ったようである。
さて保安官が入ってきた。ロキシーは逃げ出した。ロキシーは前日の夜、男性を酒に酔わせて財布を盗んだからである。ロキシーは保安官に捕らえられた。
それを見てフランクは店主のピエールを殴り倒した。さらに店中が大乱闘になった。そのすきにロキシーとフランクは逃げ出した。
◆ リンダ・コールドウェルを助けた
二人は逃れてフランクが泊っている部屋。ロキシーはいろいろと後ろめたいことがあるので、すぐに出て行こうとする。フランクは引き留める。
隣の部屋から赤ん坊の泣き声。いつまでたっても泣き止まない。ロキシーは、これを利用して逃げようとするが、フランクはそうはさせない。
二人でドアの前。ノックするが返事がない。開けて入るとベッドに女性が倒れている。発作を起こしたようである。そばに赤ん坊。
女性に駆け寄って助け起こした。女性はお礼を言った。ロキシーは赤ん坊を扱った経験がなくオロオロしているが、フランクは慣れている。
女性の名前はリンダ・コールドウェル。夫のボブとは一年前に出会って結婚したが、その三日後にボブは戦死。ボブの家族のことはまったく知らないとのこと。その後に出産した。名前はロバート。
ロキシーは「私が見ている」と言ってフランクを戻した。
リンダは時々発作を起こすので療養に行こうとしている。ロキシー「私がついて行ってあげる。ここ(ニューオーリンズ)にはいたくない」。リンダはまた感謝し「明日出発」という。ロキシーは「今夜出ましょう」と急かす。
ロキシーはフランクの部屋に行った。カギがかかっていたのでヘアピンで開けて忍び込んた。自分の荷物を持ち出した。ついでにフランクの財布から金をいただいた。
◆ リンダ・コールドウェルが死亡した
ロキシーとリンダはロバートを連れて旅をしている。ロキシーも赤ん坊の扱いが慣れてきた。
リンダはロキシーに感謝して何度もお礼を言う。「あなたは神からの贈り物」「私も都合がいいのよ」「何かあったら世話を頼める」「何も起こらないわよ」。
しかしここでリンダがまた発作を起こした。慌てて医者を呼んだ。しかしリンダは死亡した。
医者は保安官に報告するためにリンダの情報を聞いた。しかし何かと悪いことをしてきて後ろめたいロキシーは死者の名前を「ロキシー・マクラナハン」と報告。自分はリンダ・コールドウェル。子供は自分の子供にした。
◆ リンダの夫の親から連絡
ロキシーはロバートを孤児院に預けることにした。シスターが二人来た。「二週間預かってください」。本当は戻らないで雲隠れするつもり。
しかしここで来客。となりの部屋に通した。
来たのはフリスビーという弁護士。リンダの夫の親の依頼を受けてリンダを探していた。
「すぐに来てほしい」とのことで、とりあえず500ドルの旅費。
急遽ロキシーは方針変更。500ドルをパッと出すくらいであれば金持ちである。
貰った500ドルの中から、少しお礼を出してシスターには帰ってもらった。「ただでアンタ(ロバート)を渡すところだったわ。チャンスよ」。
◆ サンフランシスコ到着
ロキシーはリンダになりすましてコールドウェル家に馬車で到着した。大豪邸(豪邸の大きなやつなので非常に大きい)。
ボブの父母(モーガン、ユージニア)とボブのいとこのマルコム・ブラッドリーとスーザン・ブラッドリーが出迎えた。大歓迎。立派な屋敷の中に入る。
しかし最初から若干不穏な雰囲気が漂う。ロキシーが浮かれすぎていたせいもあるが、生来のロキシーの下品な態度が疑われる。スーザンはマルコムに「人違いじゃないの?」と言っている。フリスビーは「間違いありません」と保証する。
スーザンが「ボブがあんな女と結婚すると思う?好みじゃないわ」と言うとマルコムは「下品でも彼女は魅力的だ」と言う。スーザンは呆れる。
両親もロキシーのことは気にかけていて、二人に「リンダを助けてやってくれ」と頼む。
そんなことは知らずにロキシーはウキウキ。
◆ フランクが登場した
しばらく経って生活も落ち着いてきた。リンダ主催でバーティを開催することになった。
バーティに来たノートン・ウェイドは、さっそくリンダ/ロキシーを気に入ったようでタンスに誘う。離そうとしない。マルコムはなんとか割り込もうとする。
ここでリンダ/ロキシーに贈り物が届けられた。開けてみると人形。ロキシーは不安な気持ちになる。
そして来客。スーザンはマルコムに「リンダが真っ青だったわよ」と言って偵察する。
来客はフランク。ロキシーは無視しようとするが、フランクは写真を見せる。「リンダの部屋にあった写真だ」とボブの写真を見せた。
しばらく沈黙の後にロキシーは「あなたの勝ち」。フランクは自分の船を手に入れたようである。アトランティック・スター。
スーザンが入ってきてフランクをダンスに誘う。ロキシーはノートンと踊っているが、フランクばかり見ているのでノートンは疑問に思う。
◆ アトランティック・スター
ロキシーは停泊しているアトランティック・スターにフランクを訪ねて行った。例によって例のごとくに小競り合いをした。
しかしさらに来客。ロキシーは隠れた。スーザンが現れた。
スーザンは「ビジネスが目的で来た。リンダの件なの」とストレートに切り出した。スーザンらしいやり方である。
「リンダは偽者だと思ってるの。偽者と証明できれば金を払う」「いくら?」「二万五千ドル」「額はいいが、相手を間違えてる」「五万ドルでどう?」。フランクは断る。スーザンが「自分で突き止めるわ」と帰った。
ロキシー「感謝するわ」フランク「勘違いするな。もっと大きな額を狙ってる」。ロキシーはフランクを殴って帰った。
◆ マルコムがプロポーズ
アトランティック・スターは出港した。
パーティがあり、ロキシーはノートンと踊った。またいろいろなところに行った。それをマルコムが見ている。
アトランティック・スターが戻ってきた。頭痛を理由にノートンとのデートを断った。
ここでマルコムが来る。「彼(フランク)と結婚するのか?」「誰ともしない」「僕と結婚してほしい」「私を愛してないでしょ?」「今は違う」。
しかしロキシーは「私たちはいい友達になれるわ」と断った。
◆ フランクを選択する
ロバートの二歳の誕生日を祝った。フランクから手紙が来てアトランティック・スターに出かけた。
その後、船員たちとの宴会に出た。船員や酒場の女性たちかいる。以前のロキシーならば、ぴったりの場所だが、今のロキシーはみんなから浮いた状態である。
ある女性が「帰りなさい。気取ってんのね」と言ってきた。ロキシーは体を後ろにそらせて反動をつけて、その女性を殴り倒した。
それをきっかけに酒場中が大乱闘。警官隊が駆けつけた。
フランクとロキシーは、窓から外に出て飛び降りて逃げ出した。
警官隊が走り回っている中、二人は桟橋の下に隠れた。ロキシーは楽しそう。そこで思わずフランクとキス。注、フランクとキスをしたのは初めて。
「遺産とはおさらばね」という。しかしフランクは「君が財産をあきらめるとは思えない」。
フランクはロキシーの意見を変えさせるつもりで「子供はどうする?」という。ロキシーは「あの子と私は世界が違う」。
◆ しかし大逆転
ロキシーに訪問者。現れたのはカルフーン。探偵で「スーザンに依頼された」と言う。
ある医者がロキシー・マクラナハンの死亡報告書を書いた。しかしその人相を聞くとリンダにそっくりだった。そしてロキシーの人相を聞いて回るとあなたにそっくり。
ここでロキシーは腕を組んで否定の態度を示すが、もう一人が現れた。スカーレット・エンジェルのピエールっ!
ピエールはもう店を止めたらしい。「会えてうれしい」「私はうれしくない」。
それから二人はロキシーを脅しにかかる。「スーザンからはせいぜい6000ドル」「口止め料で25000ドルは固い」「これが手始め」。
最大のピンチ。と我々は思ったが、しかしロキシーは大笑い。もうフランクを好きになったロキシーはもともと真相を話すつもりであった。
「大金を捨てるのか?」「相続人の男の子(ロバート)に返すのよ」。
しかしここで「その子の出自をどうして証明する?(南北)戦争で教会が焼けて出生証明書が失われた」とカルフーン。ピエールは「酒場で働いていた君に子供がいたと証言しようか」と追い打ち。
再度ピンチになったロキシーは「時間をちょうだい」ととりあえず二人を帰した。
◆ マルコムと結婚する
頭を捻ったロキシーはマルコムと会う。「結婚してくれたらロバートは養子にしてくれる?」。
意味が分からないがマルコムは大喜び。ロキシーは「あなたは愛してないわ。でも結婚したらいい妻になる」とわりととんでもない発言。
そして「今日結婚しましょう」。マルコムに異存はない。
ロキシーはフランクに別れの手紙を書いて人に託した。
ここでフランクが訪ねてくるのだが、スーザンが応対して「リンダと兄は結婚する」という。フランクは出て行って酒場でやけ酒状態。
酒場でロキシーからの手紙を受け取るが破り捨てた。
◆ また大逆転
もう結婚式という手筈。マルコムは階下で待っている。
ロキシーは二階でドレスを着ている。母親のユージニアがロキシーを手伝う。
ユージニアはロバートの話をする。「ロバートの足にはアザがあって、それはボブのものと同じ」。
ロキシーは、それを聞いてユージニアに聞き返す。ユージニアは「知らなかったの?」と少々不思議な顔をする。
ロキシーは「こんなに幸せなのは初めて」と叫んで屋敷を飛び出した。
◆ ハッピーエンド
ロキシーはフランクがいる酒場に駆け込んだ。フランクに話す。
そばにいたフリスビーとピエールが反対して大声。フランクとロキシーは二人を殴り倒した。
続いて酒場は大乱闘。
■ 蛇足
イヴォンヌとロックは「海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils(1953)」でも共演している。
ロキシーは本作中で人を四回殴り倒す。「海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL(1950)」ではデボラ・マッコイ(イヴォンヌ)が三回殴り倒す場面がある。この二作は大推薦。あと「サンフランシスコ物語/The San Francisco Story(1952)」はよい。
■ 出演作
◆ イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック/McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced (1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands (1945)開拓地の女/Frontier Gal
◆ ロック・ハドソン
「風と共に散る Written on the Wind (1956)」
「武器よさらば A Farewell to Arms (1957)」
「海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils(1953)」
◆ ヘンリー・オニール
「無法者の群/Dodge City(1939)」
「無法街/Honky Tonk(1941)」
◆ リチャード・デニング
「大平原 Union Pacific (1939)」
「ガラスの鍵 The Glass Key (1942)」