Criss Cross

スティーヴは故郷に戻ってきて昔務めていた現金輸送会社に復帰した。離婚したアンナとも復活した。しかしアンナは当地の悪党スリムと結婚していた。
スティーヴとスリムは、スティーヴの会社が運ぶ現金を奪う計画を立てた。しかしスリムは裏切った。とっさにスティーヴは現金を守ったが、病院に運ばれた。現金はアンナがスリムの知らないところに隠した。
スリムの手下が現れて誘拐された。ケガをしているので抵抗できない。スティーヴは手下を買収してアンナの隠れ家へ向かった。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1949年、脚本:ダニエル・フックス、監督:ロバート・シオドマク


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 スティーヴ・トンプソン(バート・ランカスター)
 アンナ(イヴォンヌ・デ・カーロ)
 スリム・ダンディー(ダン・デュリエ)
 


■ あらすじ

◆ 故郷に戻ってきた

スティーヴは、アンナと七か月間の結婚後に離婚して故郷のロスアンジェルスを離れた。二年後に戻ってきて、以前に勤めていた現金輸送の会社に再就職した。会社の給料などを輸送する。

そして以前にアンナと一緒によく行った酒場に出かけた。アンナのことは特に頭にはなかったけれども自然に足が向いていた。二度目の時にアンナがいた。

アンナは懐かしがった。スティーヴは躊躇していたが、アンナは何度も会いたがった。

しかしある日、バーテンから「アンナは来ない」と言われた。そして「アンナは結婚している」という驚きの言葉が続いた。結婚相手はスリム。当地に蔓延っているギャングである。

◆ スリム

それでも二人は会った。アンナは「望んだ結婚ではなかった」と言ったがスティーヴは、それを疑った。アンナは背中にある傷を見せた。DVを受けているらしい。

二人がスティーヴの家にいる時に、スリムが子分を引き連れて押し入ってきた。「落とし前をつけろ」と言う。

スリムは暴力をちらつかせて脅した。この時にスティーヴは唐突に「現金輸送車を襲おう」と提案する。スティーヴの会社の現金輸送車である。

悪党のスリムもさすがに返事を躊躇した。しばらくの沈黙の後にスリムは同意した。

計画を立てた。どの会社の金か?ルートは?日時は?どのようにして襲うのか?

スティーヴの取り分は半分。そして奪った金はいったんアンナが管理することになった。スティーヴはアンナに「金を持って別荘に行け、あそこなら分からない」とこっそり指示をした。

◆ 実行

スティーヴとスリムは、例の酒場で派手に喧嘩した。これは偽装である。

さて当日となった。現金は専用の輸送車に積んで三人で運ぶ。担当はスティーヴと二人。当日の朝、一人の担当者に「妻が病気」との連絡が入った。もちろん、これはスティーヴの工作。もう一人の同僚は「三人で運ぶのがルール」と言ったが、二人で出発した。

輸送車が出発した。橋を渡り予定の場所に到着した。その場所には工事を装った二人のメンバーと会社員風の二人のメンバーが待機していた。

メンバーはガスマスクをつけて発煙筒と爆弾を投げた。拳銃を取り出して輸送車を襲った。もう一人の乗員は殺された。

スティーヴは彼らと戦い現金の半額を守った。負傷して病院に担ぎ込まれた。メンバーの一部は逮捕され、他は金を持って逃走した。

◆ 入院

スティーヴは強盗と対決した英雄となった。大きく報道された。そして入院した。手足を固定されて動くことができない。そしていつスリムの復讐があるやもしれないという状況である。

隣の病室の前の椅子に男性が座っていた。看護師に言って、その男性に病室に来てもらった。少しでもスリムから守ってもらうためである。その男性は、例の英雄であることを知って、むしろ喜んだ。

◆ 別荘

しかし夜になってスティーヴは車いすに乗せられて連れ出され車に乗せられた。スリムの手先であった。ケガをしているので抵抗できなかった。

スティーヴは一万ドルで手下を買収した。車は別荘に進路を変えた。

別荘に到着。アンナがいた。手下は一万ドルを貰ってスティーヴを下ろして立ち去った。

アンナは「スリムにバレる。なんでこんなことをしたの?」とヒステリックにスティーヴを非難した。

そして金が入ったバッグを抱えて立ち去ろうとした。しかしその前に杖で体を支えて拳銃を構えたスリムが立ちふさがった。
 


■ 補足

裏切ったのはどちらなのか?上でははっきり書かなった。そしてセリフでもはっきりとは示されていないが、裏切ったのはスリムの方。スティーヴにはガスマスクの用意はないし、メンバーは先にスティーヴに襲いかかった。スティーヴはとつさに判断してメンバーに反撃したものと思われる。

スリムは裏切りを決めたけれども、アンナのことは信用していたことになる。

もう一つとしてはスティーヴは、もともとスリムを陥れるために強盗を誘ったのではないかということも考えられる。映画としては十分に考えられるストーリーである。ただ,そのためにスティーヴが何らかの準備をするとかいう場面がなく、襲撃現場でも違う展開をするので、本作のストーリーではないのだろう。

スティーヴと母親の会話がわりと笑える。アンナに会いに出かけようとすると「恋人ができたの?」アンナと会っていることは秘密なので「かあさんだよ」「デートには連れて行ってくれないの?」「順番を待ってて」。
 


■ 出演作

バート・ランカスター
(1947)真昼の暴動/Brute Force
(1947)暗黒街の復讐/I Walk Alone
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1952)真紅の盗賊/The Crimson Pirate
(1953)白人酋長/His Majesty O'Keefe
(1954)アパッチ/Apache
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1960)許されざる者/The Unforgiven
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1951)復讐の谷/VENGEANCE VALLEY
(1961)明日なき十代/The Young Savages
(1950)美女と老人と偽札/Mister 880
旅路:シーズンオフの海辺のホテルで展開する人間模様/Separate Tables
(1960)許されざる者:妹は先住民の娘なのか?/The Unforgiven

◆ ダン・デュリエ
(1944)飾窓の女/The Woman in the Window
(1945)緋色の街、スカーレットストリート/Scarlet Street
(1946)黒い天使/Black Angel
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
(1949)遅すぎた涙/Too Late for Tears
(1944)恐怖省/Ministry of Fear
(1954)私の愛と恨み/This Is My Love
(1954)ララミーへの鉄道:縄張りを荒らすな/Rails Into Laramie
(1954)逮捕命令:正当防衛の殺人の証明/Silver Lode
(1948)無法者ブラックバート/Black Bart

イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック/McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands
(1945)開拓地の女/Frontier Gal
(1950)砂漠の鷹/The Desert Hawk
(1948)迷路/カスバ
(1954)怒りの刃/Passion
(1957)南部の反逆者/Band of Angels
(1955)死闘の丘/Shotgun
(1948)川の女、偽りの瞳/River Lady
(1949)カラミティ・ジェーンとサム・バス/Calamity Jane and Sam Bass
(1949)西部を股にかける女/The Gal Who Took The West
(1948)無法者ブラックバート/Black Bart