■ Band of Angels
農場主の娘アマンサの父親が死亡した。父親に借金があったこととアマンサの母親が黒人であったことが判明した。
アマンサは借金を清算するために奴隷として売られた。ハミッシュ・ボンドという農場主に買われたが、ハミッシュはアマンサを奴隷扱いしなかった。
農場にはハミッシュに育てられたラ・ルーという黒人青年がいた。ラ・ルーはハミッシュに恩義があったが、人種的な憎悪も持っていた。
南北戦争がはじまり、ラ・ルーは姿を消した。アマンサは農場を出て、ニューオーリンズで働いた。


製作年:1957、監督:Raoul Walsh、脚本:John Twist、Ivan Goff、Ben Roberts、原作:Band of Angels(Robert Penn Warren)


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 アマンサ・スター(イヴォンヌ・デ・カーロ)
 イーサン・シアーズ中尉(エフレム・ジンバリスト・Jr.)
 ハミッシュ・ボンド(クラーク・ゲーブル) 農場主
 ラ・ルー・ポンス(シドニー・ポワティエ)
 ミシェル(キャロル・ドレイク)アマンサのメイド
 チャールズ・ド・マリニー(パトリック・ノールズ)
 カナヴァン船長(レックス・リーズン) ハミッシュの船乗り時代の友人

本作は2時間7分の長さ。ストーリーは複雑とは言えないものの、かなりの内容を詰め込んでいる。その通りに解説すると、かえって分からないので、ある程度は省略して解説している。
 


■ あらすじ

◆ 父親が死亡した

アマンサ・スターは、ケンタッキーの大農場主の娘。多数の黒人奴隷が働いていた。

しかし父親が死亡した。そして明らかになったのは、父親には借金があった。

さらにアマンサにとってショックだったのは、アマンサの母親は黒人奴隷であったということである。

借金を支払うために農場の奴隷たちは売られていくことになった。そしてアマンサも売られる。

一挙に人生が変化したアマンサは絶望した。

◆ ニューオーリンズへ

アマンサは奴隷として売られるため、ニューオーリンズに向かう船に乗せられた。

船室で首を括って体が宙に浮いたが、すぐに気づかれて命は助かった。

ニューオーリンズに到着した。

◆ アマンサはハミッシュ・ボンドに買われた

奴隷のオークションが行われた。多数の黒人奴隷が売りに出されている。売買が成立して連れていかれた。

アマンサの順番になった。抵抗したがステージの上にあげられた。

一人の男性がステージに上り、アマンサの顔、体を舐めるように眺めた。さらにスカートを上げた。

何らかの作業をさせる奴隷と言うよりも、性的な対象として見ているようである。

その時にハミッシュ・ボンドという男性が5000ドルという法外な価格をつけてアマンサを落札した。

◆ 不思議な生活

ハミッシュ・ボンドの農場に連れていかれた。奴隷として連れてこられたので、何らかの農場の作業をさせられるはずであった。

しかしアマンサは大きな屋敷の二階の見晴らしのよい部屋を与えられた。メイドもいて、食事を運んできて、身の回りの世話もしてくれる。商人が来て衣装を選ぶと寸法を合わせてくれた。

奴隷にしては不思議な生活である。不思議な生活がずっと続いた。

時にはハミッシュと一緒に食事をすることもあった。

それでもアマンダは何かとハミッシュに不満をぶつけた。しかしハミッシュは怒らなかった。

◆ ラ・ルー・ポンス

ハミッシュの屋敷にはラ・ルー・ポンスという黒人がいた。ラ・ルーは子供のころからハミッシュに育てられた。彼も奴隷扱いはされていない。

それでもラ・ルーはハミッシュに対して人種的憎悪を持っていた。ラ・ルーにはハミッシュへの忠誠と憎悪が同居していた。

アマンサのメイドのミシェルはアマンサを逃がそうとしたが、ラ・ルーが阻止した。

◆ 二人の関係は変化した

嵐の夜、風に倒れたアマンサをハミッシュが助けた。それ以来アマンサの不満は収まった。

ハミッシュは「アマンサが奴隷ではない」という書類を書いてシンシナティに送り出そうとした。

船が出発しようとした時にアマンサは船を駆け下りた。

二人の関係は奴隷と雇用主の関係から恋人同士の関係に転化した。

◆ ラ・ルーが逃亡した

ハミッシュが農園を留守にしていた時、近くの農場主チャールズ・ド・マリニーが来て、アマンサに乱暴しようとした。

それを目撃したラ・ルーは、チャールズを殴って気絶させた。黒人が白人を襲えば死刑となる。

ラ・ルーは追われる身となり、農園から逃亡した。

◆ アマンサはニューオーリンズに

ハミッシュは、かってアフリカから黒人を連れて来た奴隷商人であった。

現在は農場を経営しているが、ハミッシュの消すことができない過去である。

それがアマンサなどに優しくする理由である。もちろんアマンサは、それを知らない。

アマンサはハミッシュの背景を知らず、農園を出てニューオーリンズに来て、仕事を探した。注、「奴隷ではない」の証明は貰っている。

◆ アマンサは農園に戻った

南北戦争がはじまった。逃亡していたラ・ルーは北軍の黒人連隊に入隊した。

北軍はニューオーリンズに到達した。

アマンサは北軍の兵士に乱暴されようとしたところを、イーサン・シアーズ中尉が助けた。

イーサンはケンタッキーの出身で、アマンサとは知り合いであった。

イーサンはアマンサに黒人の血が流れていることを初めて知ったのだが、アマンサを好きになった。

アマンサは仕事を紹介してもらった。アマンサの紹介状には「白人」と書いてあったが、アマンサはそれを修正した。そして音楽教師の仕事をした。

しかしイーサンの上司セス・パートン大尉とイーサンがアマンサを巡って争う事態となり、アマンサはハミッシュの農園に戻った。

◆ ハミッシュが捕らえられた

ハミッシュは元の農園とは別のところに綿花畑を作っていた。

しかし北軍に襲われて綿花畑や建物が焼き払われた。

呆然としているところに、軍曹となったラ・ルーが現れた。二人は対峙した。

そこに北軍の他の兵士が現れたので、ラ・ルーはハミッシュに手錠をかけた。しかしこっそりと手錠のカギを渡した。

ハミッシュは逃亡して、友人のカナヴァン船長が待っている入り江に向かった。

◆ アマンサとハミッシュは船で出発した

ラ・ルーは(元の)農園に行ってアマンサを連れ出した。そしてハミッシュがいる入り江に向かった。

ハミッシュとアマンサは抱き合った。そして船で出発した。
 


■ 出演作

◆ クラーク・ゲーブル
桑港/San Francisco(1936)
風と共に去りぬ/Gone with the Wind(1939)
モガンボ/Mogambo(1953)
(1941)無法街/Honky Tonk
(1955)一獲千金を夢みる男/Soldier of Fortune

イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック/McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands
(1945)開拓地の女/Frontier Gal
(1950)砂漠の鷹/The Desert Hawk
(1948)迷路/カスバ
(1954)怒りの刃/Passion