■ SEA DEVILS
イギリスとフランスは戦争中。イギリスのスパイのドルエットはギリアットの船に乗ってフランスに潜入した。
しかし後でギリアットはドルエットをフランスのスパイと勘違いしてイギリスに連れ戻す。
再度ドルエットはフランスに潜入するが、フランス警察のフーシェにスパイと見破られて捕らえられた。
事態を察知したイギリス側はギリアットに「ドルエットはイギリスのスパイ」と話して、ドルエットの救出に向かわせる。


製作:1953年、原作;ヴィクトル・ユーゴー、脚本:ボーデン・チェイス、監督:ラオール・ウォルシュ


■ はじめに

登場人物(キャスト)
イギリス
 ドルエット(イヴォンヌ・デ・カーロ) スパイ
 レティリエリ(デニス・オディア) ドルエットの上司
 ベンソン(アイヴァ・バーナード) ベンソン、レティリエリの部下
 ギリアット(ロック・ハドソン) シー・デヴィル号の船長
 ウィリー(ブライアン・フォーブス) ギリアットの部下
 ランティン(マクスウェル・リード) 別の船の船長
 ブラスキー(ラリー・テイラー)ランティンの部下
フランス
 レーガン(マイケル・グッドリッフ) 城の執事、味方
 フーシェ(Jacques B. Brunius) 警察署長
 ボードレック男爵(Arthur Wontner)
 ラトール将軍(キース・ピョット)
 ナポレオン皇帝(ジェラール・ウーリー)
 デュプレ(Rene Poirier) フランスの酒場の店主、味方

本作はタイトルとは違ってスパイ映画。

イギリス側とフランス側の城のそばに、それぞれ酒場がある。フランスの酒場のデュプレはイギリス側に通じている。

ロック・ハドソンとイヴォンヌ・デ・カーロは「(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel」でも共演している。
 


■ あらすじ

◆ ギリアットとランティン

イギリスとフランスは戦争状態になった。そのせいで漁師をしていたギリアットやランティンは漁ができずにフランスとの密輸に手をだしている。

しょっちゅう取り締まり船に追いかけられているが逃げ回っている。またギリアットとランティンは仲が悪い。

ギリアットとウィリーが岩に腰を掛けて沖を見ていると、沖に二本マストの船が泊り、その船からボートが近づいてきた。二人が乗っているが、一人は女性のようである。

女性だけが上陸し上に登ってくる。美人であったのでギリアットは声をかけた。ドルエット。

この上にあるレティリエリの城にいくとのこと。「アイツはあぶない」「大事な用事なの」。ギリアットは城まで送っていった。

◆ ドルエットは打ち合わせ

ドルエットは城に入った。レティリエリが迎えて打ち合わせをした。

「指示は頭に入ってるか?」「フランスに着いたらデヴァランシュ城へ。レーガンからの接触を待つ。合言葉は"例年より暖かい"→"春に雨が多いと夏は暑くなる"」。

フランスにつれていくのはランティン。ドルエットはベンソンと近くの酒場にでかけた。

◆ ランティンではなくギリアットとフランスへ

近くの酒場。ギリアットとウィリーがいる。

ベンソンとドルエットが入ってきて席に着く。ランティンが入ってきた。ベンソンは金貨を渡した。

しかしランティンはギリアットとウィリーを見て喧嘩をふっかけた。大喧嘩となった。結果ランティンが倒れて気絶した。

ドルエットは「彼の船に乗せてもらうわ」。ベンソンは反対するが決定。ランティンの財布から金貨を取ってギリアットに渡した。

ドルエットはギリアットの船に乗ったが、フランスに行く前に別の島に寄ることを提案する。ドルエットとデートのつもり。ドルエットは拒否。

ドルエットはギリアットに自分のことを話した。「両親は断頭台に送られた。私は逃げたが、弟は国に残った。弟の消息が分かった。地下牢に入れられている。脱獄させるためには大金が必要。金をなんとか工面したので助けに行く」。念のために言っておけば、これはもちろん嘘である。しかしギリアットは信用する

フランスに上陸した。「待っている」「帰ってこないかも」。ギリアットは受け取っていた金貨を渡す。ウィリーは「ただ働きだ」と不満。

◆ デヴァランシュ城

ドルエットはデヴァランシュ城に到着した。レーガンに「ルミュゼ伯爵夫人」とうやうやしく迎えられた。合言葉を合わせた。注、本物の夫人は捕らえてロンドンに拘束している。

部屋に案内された。中に入ると「本人としか思えない」。手順について話をした。ラトール将軍と接触する。イギリス軍の防衛策について嘘を教える。ヴォードレック男爵はもう年寄り。フーシェ警察署長はずる賢さが抜きんでている。一番注意が必要。城の見取り図を貰った。

補足。「イギリス軍の防衛策」はフランスの伯爵夫人に偽装しているので、これを知っているのは話がおかしい。

将軍と傷病兵の見舞いにいくので将軍から敵軍、艦隊の情報を集めることになる。

◆ ギリアットはドルエットを目撃した。

ギリアットはまたフランスに来た。密輸品を買い取って運び出すためである。

ギリアットは病院のそばでドルエットを見かけた。偉そうな軍人と一緒である。

近くの人に聞いた。「女性はルミュゼ伯爵夫人。数年不在だったが戻ってきたらしい。隣にいるのは諜報機関の幹部、ラトール将軍」。

前にドルエットから聞いた話とはずいぶんと違う。

ギリアットは酒場に入って酒をあおった。機嫌がわるい。「ドルエットはフランスのスパイ」。

◆ ナポレオンが城にくる

ドルエットとラトールは城に戻った。ラトール「伺った情報は大変貴重でした」。

そして明日、ナポレオン皇帝が当地の軍港を視察し、デヴァランシュ城に宿泊するとのこと。それで午前中に警察がチェックにくる。ラトールは帰った。

知りえた情報をレーガンに知らせた。「艦隊の位置情報が欲しい」「ナポレオンなら知ってるかも?」。

◆ ドルエットがさらわれた

夜になったが、ギリアットとウィリーはまだフランスにいる。ギリアットは「スパイをただで運んだ」と悔しそうである。

ギリアットは城に忍び込んだ。ドルエットは寝ている。ギリアットはドルエットに猿轡を嵌め毛布でぐるぐる巻きにして担ぎ出した。ドルエットは足をバタバタさせるのが精いっぱい。

事態を察知したレーガンは追いかけたが追いつかない。

イギリスに戻った。「反逆罪のスパイをただで乗せた」「計画が台無しよ」「弟はどうした?」「確かに嘘はついたわ、でもフランスに戻る必要がある」「スパイだろ?」「城に返してちょうだい」。

レティリエリのところに連れて行った。「なぜ連れ戻した」「敵のスパイだ」「くだらん」「フランスの諜報機関の幹部と会っていた」。

レティリエリは秘密のことなので、はっきりとは反論できない。「彼女は私が預かる」と言うとギリアットは出て行った。

「明日城にナポレオンが来る、その前に戻らなければ」「すぐに手を打とう」。

◆ ふたたびドルエットはフランス

ランティンの船にギリアットが潜んでいる。ランティンとドルエットが乗り込んできた。

ギリアットがランティンに殴りかかったが、ブラスキーに殴り倒されて捕らえられた。ギリアットは船室の中で縛り付けられた。

ランティン「海に落とすぞ」ギリアット「彼女をフランスに送り返すのか?」ドルエット「レティリエリの指示を実行して」。

ランティン「ヤツ(ギリアット)を片付けるぞ」ドルエット「ちょっと待って、彼には懸賞金がかかってるのよ」。注、ドルエットの言葉を補足すればドルエットはもうギリアットを好きになっているのでストップした。

ギリアットとドルエット。「真実を話したらどうする?。愛するがために嘘をつくこともある」。「国を裏切った女」。ドルエットはキスをする。

フランスに到着したが、なぜかランティンは岸まで送らない。ドルエットはランティンを船室に閉じ込めて、海に飛び込み岸に泳ぎ着いた。

ドルエットは城に帰って寝た。

この後、ランティンはフランスに戻った。しかし三人(ギリアット、ランティン、ブラスキー)捕らえられて牢に入れられた。注、ウィリーはすでに捕らえられている。

◆ ドルエットの正体がばれた

フーシェが訪ねてきた。「ナポレオン皇帝は軍港を視察して、ここで夕食を食べられます。城内を調べさせていただきます」。

フーシェは庭にでた。庭を掃いている使用人に、庭から見える城を指さして「あそこの城は誰の城?」「知りません」「いつから働いている?」「二週間前です。まわりもみんな新顔」「誰に雇われた?」「執事のレーガン」。ここでもうばれてしまった。

フーシェはヴォードレック男爵に「いつから伯爵夫人を知っている?」「かなり前から」。ヴォードレックは話した。「完全武装の兵士15万人、2000隻の船を用意してある。一部はアイルランドに上陸、本隊はイングランドの海岸に上陸」。ドルエットは盗み聞ぎ。

フーシェのいる前でヴォードレックとドルエットが話す。「息子のアンリが死んで二年になる」「そんなことがあったのですか、存じませんでした」。

ドルエットが去った後、ヴォードレック「伯爵夫人は偽物、アンリが死んだのはずっと昔」。

ドルエットは掴んだ情報をレーガンに伝えた。

◆ ドルエットは捕らえられレーガンは殺された

ドルエットとレーガンが話しているところにフーシェが入ってきた。「これで失礼する」。

ドルエットはフーシェが出て行くのを確認して地下牢に入った。しかしフーシェが後ろから来てドルエットを地下牢に閉じ込めた。注、ドルエットが地下牢に近づく理由が不明。

ナポレオンが訪問してきた。(ドルエットはいないので)フーシェが出迎えた。

ドルエットを捕らえたことを報告した。「彼女はイギリスに情報を?」「たぶんまだ」。これを盗み聞きしていたレーガンは、イギリスに知らせるために別の棟に向かった。

フーシェが追いかけた。レーガンはドルエットが捕らえられたことを書いて伝書バトを飛ばした。直後レーガンはフーシェに殺された。

◆ ドルエット救出にフランスに向かう

レティリエリはドルエットが捕らえられたことを把握した。しかしレーガンが殺されたことは把握していない。

レティリエリは「ドルエットが捕まった。奇襲する」と言うが、ベンソンが「ギリアットを使ったら?」と提案する。

レティリエリはドルエットがイギリスのスパイであることを明かし、ギリアット、ウィーリー、ランティンに「レーガンと接触しろ」と命じた。

またレーガンに伝書バトで返信した。

三人はフランスへ出発した。

◆ 無事脱出した

伝書バト到着した。しかし手紙はフーシェに届けられる。フーシェはドルエットに暗号の解読を要求する。

「明日救援隊が到着する。いつもの工作員と落ち合え」。フーシェはドルエットが簡単に応じたので「あれは嘘。わざと隙を作り、脱出したら泳がせる」。

三人はフランスに到着した。三人はわりと小競り合い状態。ギリアットが一人で出かけた。

ドルエットは部屋を出てデュプレの店に向かう。もちろん見張られている。

ギリアットがデュプレの店に入った。「レーガンは?」「彼は来ません」。

一方、ランティンは「ギリアットを敵に売る」と言ってウィリーを殴って上陸した。

ランティンが拳銃を構えて店に入ってきた。ギリアットは縛られた。しかしランティンが撃たれた。ウィリーが入ってきた。ギリアットは解放された。

ドルエットが入ってきた。ギリアットは隠れた。続いてフーシェと兵士がなだれ込んできた。ギリアットが拳銃を構えて現れた。

しかしさらに兵士が近づいてきているので、二人は脱出した。兵士が追いかけてくる。

ドルエットを先に行かせて、ギリアットは待ち伏せする。

ドルエットは泳いで船に向かった。ギリアットも追手を振り切って船に向かった。

船を出して無事脱出。型通りに二人はキス。

注、ランティンとウィリーはどうなったの?
 


■ 出演作

イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel

◆ デニス・オディア
(1953)モガンボ/Mogambo
(1953)ナイアガラ/Niagara
(1950)宝島/Treasure Island

◆ ロック・ハドソン
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
(1952)怒りの河 Bend of the River
(1956)風と共に散る Written on the Wind
(1957)武器よさらば/A Farewell to Arms
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel