誕生日:1922年9月1日~死亡日:2007年1月8日
■ River Lady
シークイン(イヴォンヌ・デ・カーロ)は客船「River Lady」の所有者で歌手。おまけに木材シンジケートのボス。ただしボスの立場は秘匿されている。
そして単なるキコリのダン・コリガン(ロッド・キャメロン)の恋人。シークインは、出世欲がないダンを木材会社の社長にさせる。ただし自分が裏で糸・意図を引いているのは秘密。
だが、木材会社の娘ステファニー・モリソン(ヘレナ・カーター)がダンを好きになり、またシークインの陰謀がばれて、ピンチになる。
製作年:1948、監督:George Sherman、脚本:D.D. Beauchamp、William Bowers、原作:Houston Branch、Frank Waters
■ はじめに
◆ 登場人物
シークイン(イヴォンヌ・デ・カーロ) シンジケートのボス、ダンの恋人、歌手・経営者
ダン・コリガン(ロッド・キャメロン) キコリ、シークインの恋人
マイク・リレー(ロイド・ゴフ) ダンの友達、酒飲み
ダニガン夫人(フローレンス・ベイツ) 飲み屋の女将、店の名前はMa Dunnegan
ビーヴァイス(ダン・デュリエ) シンジケートの一味
H.L.モリソン(ジョン・マッキンタイア) 木材会社のオーナー
モリソン夫人(エスター・サマーズ) 妻
ステファニー・モリソン(ヘレナ・カーター) 娘
エスター(アニタ・ターナー) モリソン家のメイド
日本語版DVDがあり、邦題は「偽りの瞳」となっているが、まったく意味不明。
「The River Lady」はシークインが所有する客船の名前。船尾に水車がある蒸気船。
シークインは、木材シンジケートのボス、リヴァー・レディの所有者&歌手、そしてダンの恋人と多重定義されている。なかなかよろしい。ただ「シンジケートのボス」の立場は秘匿されている。
シークイン=イヴォンヌ・デ・カーロもよろしいが、ステファニー・モリソン=ヘレナ・カーターの気合い=粘り=ダンへの愛情が非常によろしい。大拍手。
イヴォンヌが本作の中で歌っている場面。Louie Sands and Jim McGee
本作はロッド・キャメロン&イヴォンヌ・デ・カーロ共演三作の一つ。「西部のサロメ」「開拓地の女」「川の女」。
■ あらすじ
◆ 木材の集積地
当地はミシシッピ川流域のある町。木材の集積地である。小規模な木材会社が集まっている。
キコリたちは、冬の間も山に困って木材を伐採している。山の中で木材を切り倒し枝を払って山から川に下ろす。
雪が融けて川の水が多くなると、木材を筏に組んで川に流して当地まで運んでくる。
当地ではキコリたちの酒場も栄えている。
◆ 木材シンジケート
運ばれてきた木材は当地の木材会社に売られる。しかし近年は異変が生じている。木材シンジケートが進出してきて木材を買い占めている。
ビーヴァイスという人物が現地に来て木材会社と交渉している。「交渉」と言うのは上品な表現で、やり口はなかなか強引である。
だがしかし、ここが重要なのだが、木材シンジケートの真のボスはシークインである。これは秘密にされている。我々は知っているが、土地の人々は知らない。
シークインは、客船リヴァー・レディ号の所有者、そしてそこの歌手でもある。
そしてシークインは、当地の単なるキコリのダン・コリガンの恋人でもある。シークインはダンと結婚してもっと大きな仕事をしてほしいと思っているが、ダンはそんな気はない。
他のことは自由になるが、ダンのことは自由にはならない。これがシークインの悩みである。
◆ ダンは社長になった
そこでシークインは一計を諮った。当地の木材会社「モリソン木材」に声をかけた。モリソン木材を買収してダンを経営者にするのである。もちろんダンの性格は知っているので自分は表には出ない。
モリソンは、突然の話に疑問を持った。が、ともかくダンを自宅に呼んで話をした。そしてダンの能力を評価した。
ダンの方も突然の話に訝りながらも、話を受けてモリソン木材の社長となった。友達で酒飲みのマイク・リレーも会社に入れた。
補足。ダンは最初は話を断る。しかしシークインとトランプで賭けをして負けて、この話を受ける。実はシークインはイカサマをしている。
しかし業績を調べると、よろしくない。あれやこれやと悩む。業績が良くないのは実はシンジケートのせいである。
そうした時に会社に森林の売却要請が来た。よい森林があり、また他の会社も手をつけていない。ずいぶんと良い物件である。買わない理由はない。
ダンは知らないが、我々はシークインの企みであることを知っている。
◆ 強敵ステファニーが現れた
シークインのダンを誘い込むという陰謀は順調に進んだかに見えたが、さすがのシークインにも、予想していなかった障害が発生した。
モリソンの娘ステファニー・モリソン。ステファニーはダンに出会って、すぐに夢中になった。
東部の学校を出て、当地に戻って来たまだ若い女性である。ステファニーはダンへの愛情をストレートに表現した。
もちろんダンにはシークインという恋人がいるので断った。だがしかしステファニーの決意は少しも揺るがなかった。ことあるごとにダンに会いに来てダンを誘った。
ステファニーは強引であったが嫌味はなく、いつもニコニコと明るくダンに接した。ダンならずとも、可愛いステファニーに言われれば、心が動いてしまいそうである。
もちろん二人のことは、シークインに知られる。
◆ ダンとシークインは結婚するっ!
ダンとシークインはリヴァー・レディの中で話した。
「モリソンの会社を黒字にしたんでしょ」と聞く。自分が裏で糸を引いているのは秘密なので、あまり知っている風はしない。
「もっと大きなことを」「今のままでいい」と相変わらず欲がない。
どのような風が吹いたのか?突然二人は結婚することになる。シークインは大喜び。みんなの前で「私たちは結婚するの。今夜の酒はおごりよ~っ」と叫んだ。
この話はモリソン家にも伝わった。ステファニーは愕然状態。父親と「彼はキコリだ、お前とは合わない。お前はまだ子供だ」「私の自由でしょ」と話す。
しかしとにかくステファニーの気持ちは揺るがない。「結婚式を止めに行く」と家を飛び出した。
◆ シークインの正体がばれた
小さな酒場。シークインとダンとマイク。シークインは「結婚するので船は売る」という話をしている。
ここにステファニーが乱入してきた。ステファニーにしては乱暴な言葉を使って喋りまくる。
ステファニーはシークインと父親の打ち合わせの時に会ったことがあり顔は知っている。二人は殴り合った。
ダンはモリソン木材の件はシークインが仕組んだものと分かって怒った。二人の間で激しい言葉が飛び交った。
「会社から出て行く」「それならば、この川から追い出すわよ」「そんなことはできないぞ」。そして「馬鹿ね、私がシンジケートなのよ」と秘密にしていたことも喋った。
店を移ってダンとステファニーが話した。ダニガン夫人の店。ダニガン夫人は「この店は上品な女性が来るところではない」と言う。
「結婚したい」「それは女の方から言うものではない」と話す。とにかくステファニーは何を言われても決意が揺るがない。
◆ ステファニーに逆転された
ダンとマイクの部屋。ダンは今の会社を辞めて転職するという話をしている。
それとステファニーと結婚する話。マイクは「シークインへの仕返しで結婚するのはおかしい」と諫めている。
ここでまたステファニーが乱入。「家を出る口実か?」「それはあるかも」「無理してないか?」「それはないわ、私が嫌になったら、離婚してもいいわよ」と強気の説得。
このように展開してステファニーと結婚することになった。ステファニーの粘り勝ちである。
モリソン家を訪問して両親と話す。新婚旅行は東部に行くという。
◆ 東部の木材会社とり引き
二人は列車に乗って東部に行った。新婚旅行だが、仕事の話も予定に入っている。
二人でいくつもの木材会社を訪問して取引を願い出る。もちろんそんな簡単には取引に応じてはくれない。
木材の取引のおさらいをしておくと、産地の木材会社からシンジケートに木材が売られて東部に輸送される。その木材が東部の複数の会社に転売される。
「今までも独立の会社と取引したことがあったが約束が守られなかった」と言われると「納入の違約金を支払う」と応じた。
何社も回って契約にこぎつけた。
◆ 独立木材業者をまとめる
ダンとステファニーは戻って来た。東部の会社と契約はしたものの、モリソンだけではできる仕事ではない。当地の木材業者をまとめる必要がある。
木材業者たちをまとめて話す。なんとかみんなをまとめることができた。
みんな頑張って作業にはいる。しかしこのまますんなりいくわけがないのはもちろんである。まだ上映時間が残っているからである。
この状況をシークインとビーヴァイスが話している。なんとか妨害するためである。
ついでにビーヴァイスがドサクサに紛れて「俺と結婚しないか?」と持ち掛ける。するわけないだろ。
シークインは「全財産をかけて、彼らを廃業に追い込む」というすごい決意を示した。
◆ 流れをせき止められる
業者たちはいったんはまとまるが、ビーヴァイスに切り崩されて、ダンはリンチされる。さらに切り返して業者を説得すると情勢が二転三転、いや三転四転した。
ステファニーは自分の屋敷から粗末な家に移っている。しかし幸せなようである。料理はあまり得意ではないらしいが。
ついに木材を出荷することになる。作業は順調である。筏に組んで下流に流す。
だがしか~し。途中で川がせき止められていた。もちろん水は流れていくのだが、筏が前に進めず滞留している。
ダンは「もうダメだ」と叫んだ。いやそれで諦めてはいけない。
ダンは仲間を集めて現場に向かった。敵側と激しい戦いになる。
筏をせき止めている堰をダイナマイトで爆破した。ここの戦いではビーヴァイスは流れに落ちて死亡した。
また筏は流れ出した。
◆ シークインは当地を去った
ここでダンはステファニーを追い出する展開となる。補足。ここで、いくら仕事に支障が発生したとしてもステファニーは関係ないが、そのようなストーリーになっている。
ダンの部屋。先般の奮闘でダンはケガをして寝ている。
シークインが訪ねてきた。「結婚したのね」「隠してたわけじゃない」「まだ待ってるの?」。
シークインは「あなたに私の土地を管理してほしい。私はもうここには戻らない」と提案する。
そしてシークインはでていく。入れ替わりにドアの外で待っていたステファニーが入ってくる。二人の仲は元にもどった。
シークインはリヴァー・レディに乗って当地を立ち去った。
■ 出演作
◆ ダン・デュリエ
(1944)飾窓の女/The Woman in the Window
(1945)スカーレット・ストリート/Scarlet Street
(1946)黒い天使/Black Angel
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
(1949)遅すぎた涙/Too Late for Tears
◆ ジョン・マッキンタイア
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1954)アパッチ、最後の戦い/Apache
(1953)ミシシッピの賭博師/The Mississippi Gambler
(1950)ウィンチェスター銃'73/Winchester '73
◆ ロッド・キャメロン
(1955)サンタフェへの道/Santa Fe Passage
(1951)地獄の砦/Oh! Susanna
(1949)荒くれ男/Stampede
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1952)マンモスの逆襲/The Jungle
(1945)開拓地の女/Frontier Gal
(1948)川の女/River Lady
(1957)舞い散った札束/断崖の河/The River's Edge
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1950)贋札造りのリル/Dakota Lil
◆ イヴォンヌ・デ・カーロ
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1953)海賊船シーデビル号の冒険/Sea Devils
(1963)マクリントック/McLintock!
(1950)海の無法者/海賊の女/BUCCANEER'S GIRL
(1952)サンフランシスコ物語/The San Francisco Story
(1952)優しい悪魔/Scarlet Angel
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands
(1945)開拓地の女/Frontier Gal