■ Dakota Lil
強盗団が多量の小切手を奪った。「壁の穴強盗団」の仕業らしい。
捜査官のトムは、当事件を捜査するように指示を受けた。そしてサイン偽造のプロであるダコタ・リルに接触した。
二人は強盗団の首領と思われるローガンに接触した。
しかしトムが連絡員のカーターが負傷したりして手間取っているうちに、ローガンとリルは小切手のサインの偽造に取り掛かる。
製作年:1950、監督:Lesley Selander、脚本:Maurice Geraghty、原作:Frank Gruber
■ はじめに
「偽札造り」となっているが、実は小切手のこと。小切手にはサインが必要だが、そのサインの偽造のこと。
◆ 登場人物(キャスト)
キャロル/ダコタ・リル(マリー・ウィンザー,歌アニタ・エリス) 偽札造り
ヴンセント(ジョン・エメリー) リルの相棒、ピアニスト
トム・ホーン/スティーヴ・ギャレット(ジョージ・モンゴメリ) 捜査官
カーター(ワラス・フォード) 連絡員
ハーヴ・ローガン/キッド・カレー(ロッド・キャメロン) 盗賊の首領
ダミー(ジャック・ランバート) ローガンの手下
フレッチ(ケネス・マクドナルド) ローガンの手下
保安官(ラリー・ジョーンズ)
保安官の妻(リリアン・ブロンソン)
リル(マリー・ウィンザー)が歌っているが、歌はアニタ・エリス。「(1949)地獄の銃火/HELL FIRE」でも歌う場面がある。「地獄の銃火」ではマリー自身が歌っている。
■ あらすじ
◆ 壁の穴強盗団
「壁の穴強盗団」が暗躍している。しかし犯罪の内容は「壁の穴」とは特に関係ない。
強盗団は列車で輸送中の銀行券を奪った。10万ドル。しかし大統領あるいは銀行総裁の署名がなければ現金化できず、ただの紙切れである。
この事件の説明を捜査員のトム・ホーンが聞いている。トムは能力を買われて、臨時に捜査員をしているのであって、本職の捜査員ではない。
この事件にはハーヴ・ローガンが関与しているらしいが、詳細は不明である。
◆ ダコタ・リル
またトムはサイン偽造の名人ダコタ・リルの写真を見せられる。リルは相棒のヴンセントと一緒に行動している。ヴィンセントは音楽家でフィラデルフィアの金持ちの出身であるが、リルと一緒にいる理由は不明である。
リルは偽造容疑でダコタの刑務所に入っていたことがある。これがニックネームの由来である。
リルとヴィンセントは今はメキシコに行っているとのことで、トムはとりあえずメキシコに行くことになる。
◆ リルと会った
トムはメキシコのアメリカ国境の町マタモロスに来た。まず警察に行き、リルの写真を見せて協力を依頼した。
酒場に入った。ヴィンセントがピアノを弾いてリルが歌っている。大拍手。
トムとリルが話した。トムは「スティーヴ・ギャレット」と名乗る。リルは「私が警察に追われているのは知っている。まだ逃げるつもりよ」と言う。
トムは「いい仕事があるぞ」と誘いかける。壁の穴強盗団の名前をだして、一味の一人かのように装う。リルは「アメリカに戻るのは嫌」と拒否する。
ここで警察が入ってきた。リルをアメリカに送還するという。注、リルはスペイン語が分からない。
◆ リルはローガンの店で働くことになった
三人は馬に乗って逃げ出した。リルはステージ衣装のまま。そのまま国境を越えてアメリカに戻った。
トムは「ハーヴ・ローガンが強盗団とつながっている」という話をする。
しかし二人は、スキをみてトムを置いて逃げ出した。
ある町に馬車で来た二人は、保安官に会って保安官の家に泊まることになった。リルは「あの店で働くの」と言った。実はローガンの店である。
二人はローガンの店に行った。歌手が歌っていたが、リルが歌うとローガンは元の歌手を解雇してリルを雇った。
二人はローガンの店で働き始めた。
◆ ローガンのサインを貰う
リルが歌っている。トムが入ってきた。ヴィンセントはトムを指して保安官に「あの男には気をつけろ」と言う。
リルがトムの周りをまわりながら歌う。その後二人が話す。「どうして逃げた?」「馬が勝手に走り出したの」。トムは「ローガンのサインを貰え」と言う。
リルはローガンに「金額を上げてくれなければ条件のいい店に移るわ」と言って金を要求した。リルはそこにあったタイプライターで金額が入った契約書をタイプして、ローガンにサインを要求した。
トムと一緒にリルは泊っている保安官の家に戻ってサインを練習した。トムが持って来た小切手にサインをした。
◆ カーターが来た
トムは自分のホテルに戻った。しかしトムを誰かがつけている。
柱を上ってトムの部屋に近づいた。ドアを開けた。連絡員のカーターである。カーターは「注意が足りないぞ」と警告した。二人は肩を叩き合った。
「ローガンは強盗団のメンバーかも」と話す。
ヴィンセントが来たので、カーターは隠れた。
◆ ローガンの小切手を現金に換えた
トム、リル、ヴィンセントは銀行に行って、ローガンの小切手を金に換えた。担当者は疑問を呈するが「昨日、ローガンの部屋で賭けをして勝った」と言う。サイン自体は本物に思われたので、現金を渡した。
三人は馬に乗って逃げた。
直後、ローガンが戻ってきて、2500ドルの金を奪われたことを知った。
ローガンは馬に乗って追いかけた。ついでながらローガンが三人を追いかけた理由を説明しておこう。ローガンは「自分の金が奪われたこと」よりも「これだけのサインを偽造する奴は味方にして使える」と思ったからである。
◆ トムが捕らえられたが釈放された
ヴィンセントとリルは馬車に乗って、トムは馬に乗って進んでいる。
ローガンが追いついてトムと格闘した。さらに馬の一団が来た。ローガンの手下。トムは捕らえられた。
さらに保安官の一行がきて、トムは逮捕された。
ここでリルはローガンに囁く。「トムを捕らえるのは間違いよ。私たちで解決できるわ」。ローガンは被害届を撤回した。保安官は怪しみながらもトムを釈放した。とりあえずローガンは換金された金を取り戻した。
彼らは町に戻った。
◆ ローガンとリルはアジトに行く
ローガンとリルは、こっそりと抜け出してローガンのアジトに向かった。川を越えて、荒野を走り、岩山に上る。途中からは見張りが要所に隠れている。
岩山の上のアジトに着いた。ローガンの手下がいっぱいいる。
トムとカーターが二人を追いかけている。実はリルはところどころでコインを落として場所を知らせている。それを元に追跡する。
ローガンとリルはある小屋に入った。その床の下に小切手が隠してある。手下にも秘密にしているようである。
この小切手にサインをすれば莫大な金額となる。リルは「儲けの半分」を要求した。ローガンは拒否するがリルは譲らない。サインがないとダメなので、結局リルが勝つ。
二人はサインを作るために小切手を持って、また出発する。手書きのサインではなく、印刷機を使ってサインを偽造する手筈。
◆ トムとダミーは手錠で繋がれた
トムとカーターは、馬で走っていくローガンとリルを発見したが、彼らを見送り、アジトに近づいていく。
トムは馬の背に俯せになってカーターが馬を引いていく。偽装である。
手下のダミーがライフルを構えて近づいてくる。突然トムが起き上がってダミーをやっつける。
カーターは「この前は逃げられた」と言って手錠を渡す。トムはダミーに手錠をして自分と繋げた。
トムはダミーを連れて連行していく。途中で手下たちに会うのでやり過ごす。
途中でダミーが暴れたのでトムが押さえつけた。二人は崖を落ちた。この時に手錠のカギをなくして、二人は離れられなくなった。
その間、例の小屋でカーターは小切手を見つけた。注、ローガンたちは全部は持って行かなかったのね。
◆ カーターが撃たれた
トムはダミーを馬に乗せて運んできた。トムとカーター(とダミー)は合流した。一味が迫ってくる。
ここでカーターが撃たれた。トムはカーターを守るために、目立つように走って、一味を引き付けた。
ダミーを引っ張りながらの逃避行なので大変だが、なんとか一味を巻いた。
カーターは痛みをこらえながら、馬に乗って彷徨っていたが落馬した。
トムはダミーを乗せて町まできた。店の窓から金ノコギリを盗んで二人の手錠を切断した。
◆ リルはトムが捜査官と気が付く
保安官は路上に放置されていたダミー発見した。手錠が掛かっており、刑事が強盗団にやられたものと判断した。
トムはホテルの部屋に帰って、まだ手錠を切っている。そこに保安官、リル、ヴィンセントがきた。
保安官はトムを逮捕しようとするが、リルが偽の証言をして逮捕は免れた。
保安官とヴィンセントが帰った後「男(ダミー)は壁の穴のメンバーよ」と言う。注、リルはアジトででダミーに会っている。
リルはトムに「一緒に逃げましょう」と抱き着くが手錠に気が付く。リルはトムが刑事(捜査官)であると気が付いた。
ヴィンセントが入ってきて、トムに拳銃を構えた。
◆ アジトでサインを印刷する
ローガン、リル、ヴィンセントがアジトに向かった。サインの印刷機を持っている。補足。小切手は持ち出したはずなのに、なぜもう一度行くのか?
例の小屋まできた。リルがサインの印刷を始める。ローガンは食事の用意と外に出る。
ヴィンセントも外に出たが、ローガンが襲い掛かり、首にロープを巻き付けて締めた。
トムが近くに来て見ている。
リルは印刷作業をしているが、数枚をシャツに隠して盗み取る。
ローガンが入ってくるとリルが「インクの調子がおかしい。取りに戻る」と言う。その言葉を疑ってローガンがリルの首にロープを巻いた。
リルは首を絞められながらもバッグから取り出した拳銃を発射した。弾はローガンをかすめてローガンは倒れた。
◆ ローガンが捕らえられた
リルは外に逃げた。ローガンが追いかけた。トムも二人を追いかけた。
ローガンがリルを捕らえた。トムが近づいたが撃たれた。
倒れたトムにローガンが止めを刺そうとするとリルが妨害。立ち上がったトムがローガンにナイフを投げた。ローガンが倒れた。
一味が二人に迫ってきた。しかし保安官一行が駆けつけて、一味は逃げ出した。
ローガンが逮捕された。トム「壁の穴強盗団を初めて抑え込んだ」。
保安官がトムに「お前は誰だ?」。トムは「トム・ホーンだ」と本名を名乗って捜査官であることを明かした。保安官は「ミス・リルも刑事だったんだな」と誤解する。
「私はダコタ・リルよ」と言うが、保安官はダコタ・リルのことを知らないらしい。
◆ ラスト
保安官一行が立ち去った後、リルは先ほど隠した小切手をトムに見せた。「刑務所へのティケットよ」「いや、俺たちの未来へのティケットだ」。
トムとリルは小切手を持って旅立った。
■ 出演作
◆ マリー・ウィンザー
(1948)悪の力/苦い報酬/Force of Evil
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1952)その女を殺せ/THE NARROW MARGIN
(1949)地獄の銃火/Hell Fire
(1953)月のキャットウーマン/Cat-Women of the Moon
(1956)女囚大脱走/SWAMP WOMEN
(1952)マンモスの逆襲/The Jungle
(1952)アウトローの女・女強盗団の酒場/Outlaw Women
(1950)贋札造りのリル/Dakota Lil
◆ ロッド・キャメロン
(1955)サンタフェへの道/Santa Fe Passage
(1951)地獄の砦/Oh! Susanna
(1949)荒くれ男/Stampede
(1945)西部のサロメ/Salome, Where She Danced
(1952)マンモスの逆襲/The Jungle
(1945)開拓地の女/Frontier Gal
(1948)川の女/River Lady
(1957)断崖の河/The River's Edge
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1950)贋札造りのリル/Dakota Lil