■ FORCE OF EVIL
悪徳弁護士のジョーは数当て賭博の胴元のタッカーに協力していた。
タッカーは他の弱小胴元を支配下に置く陰謀を企てた。
ジョーの兄リオは弱小胴元の一人である。ジョーはリオを救おうとしたが失敗し、タッカーの元に入った。
リオの会計係だった人物の死体が発見され、ジョーはタッカーを訪ねた。
タッカーは別の人間と組もうとしており、さらにリオも殺されたことを知った。


製作:1948年、脚本:エイブラハム・ポロンスキー、アイラ・ウルファート、監督:ジョン・エイブラハム・ポロンスキー   予告編   予告編  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジョー・モース(ジョン・ガーフィールド) 弁護士
 リオ・モース(トーマス・ゴメス) ジョーの兄
 ドリス・ロウリー(ベアトリス・ピアソン) リオの元で働いている女性
 ベン・タッカー(ロイ・ロバーツ) 賭博の胴元
 エドナ・タッカー(マリー・ウィンザー) ベンの妻
 ビル・フィコ(ポール・フィックス)
時代設定は1940年代。

数当て賭博。この映画では、競馬に伴う数当て賭博が行われる。競馬の掛け金の総額の下三桁を予想するもの。そしてこの下三桁を人為的に操作して不正が行われる。「このような操作が可能なのか?」とも思われるが、ともかく本作は、この不正が可能という前提に立っている。
 


■ あらすじ

◆ タッカーの陰謀

タッカーは数当て賭博の胴元である。ジョーはタッカーに協力している悪徳弁護士。数当て賭博は、ありていに言えば違法ではあるが、現在はなんとなく黙認されている。

しかしホールという人物が特別検察官に就任し、今後は厳しく取り締まろうとしている。ジョーは、数当て賭博を合法化できないものかと思案している。

さてタッカーは弱小胴元を一挙に自分の配下に収めることを計画した。メカニズムは次のようなものである。7月4日すなわち独立記念日には、多くの人が776に賭ける。注、1776年がアメリカの独立なので。

インチキをして数当て賭博の結果を776になるように操作する。すると多くの当選者が出て弱小胴元は賞金を払えなくなる。これらの胴元に金を貸し付ける。もちろん利子は取って少しずつ返済してもらう。以降はこれらの胴元を支配下に置く。

◆ リオ

さてジョーの兄のリオも胴元である。弱小胴元。ジョーは出かけて行って何年もあっていなかったリオに、はっきりとは言わずに「いい話がある」みたいな話し方をした。

リオはジョーを弁護士にするために一生懸命に助けた。リオにすれば、そのように助けたのに、悪徳弁護士になってしまったとの思いである。リオはジョーを拒絶した。

ジョーは非常手段としてリオの事務所を警察に訴えた。ガサ入れがありリオと配下の人間は一網打尽に逮捕された。

ジョーが彼らの保釈金を支払って彼らは釈放された。今度はストレートにリオにタッカーの配下になるように勧めた。リオは「ガサ入れで目が覚めた。明日廃業する」と言う。

ジョーは「明日では遅い、すぐに」と言った。それは7/4の結果が出て支払いの義務が発生するからである。ここでもリオは義理堅く、きちんと最後までやるつもりである。

結果リオは破産した。リオはどうしようもなく、ジョーの話すなわちタッカーの配下になるという話を承諾した。

◆ バウアー

リオの配下の帳簿係のバウアーもリオと一緒にタッカーの配下となった。しかしバウアーは「もう辞めたい」と漏らした。しかしジョーなどに脅されて引き留められた。

バウアーが事務所からでてくると、ウォーリーという男が待ち構えていた。ウォーリーは「俺のボスはタッカーの元相棒のフィコ」と自己紹介し「タッカーの配下の胴元のリストが欲しい。リオ・モースに会いたい」と話した。

バウアーはリオとレストランで会う約束をした。近くのテーブルからウォーリーが見張っている。リオが現れるとウォーリーがリオを拉致した。

◆ ドリス

さて言い忘れていたことがある。リオの元で働いていたドリス。昔リオに助けられて非常に感謝している女性。

数当て賭博が違法であるとは知らなかったのだが、ジョーがタッカーの話をリオに持ってきた時に二人のそばにいて、違法行為であることを知った。

ドリスはリオに感謝しつつも「もう働くことはできない」と申し出た。しかしそのタイミングで警察が踏み込んで、ドリスも逮捕された。

ドリスはまだ若いが立派な女性である。ジョーのような悪人ではない。

しかし不思議なことが起こった。ジョーとドリスがお互いを好きになった。もちろんドリスは、それでジョーの悪事を認めるように女性ではない。はっきりとジョーを批判する。しかしそれでもジョーを好きになってしまったようである。

普通の映画ならば、恋人への愛情が打ち勝って、次第に悪に染まっていくところであるが、ドリスはジョーを好きになっても、そのようなことにはならない。ここがドリスの立派なところである。

二人はレストランにいた。ここで新聞を見た。バウアー殺害の記事。バウアーの写真が大きく出ている。

◆ 決闘

タッカーとフィコがタッカーの自宅で話している。話を要約すれば二人は組むことになった。タッカーは一はほぼ退いてフィコが取り仕切る。タッカーは「連絡はジョーを介してくれ」と言う。しかしフィコはジョーを信用しない。

ジョーはバウアー殺害の記事を読んでタッカーを訪ねてきた。タッカーの仕業と思ったからである。しかしここにきて、フィコの存在を知った。

ジョーはリオがフィコに殺されたと知って怒った。フィコが拳銃を取り出した。ジョーはライトのスイッチを切った。真っ暗闇。

三人が暗闇の中でテーブルやソファに隠れながら対峙する。拳銃を構える。少しずつ移動していく。

タッカーがドアの前まで来た。ドアからはわずかに廊下の光が入っている。タッカーの姿がわずかに浮かび上がった。フィコが引き金を引いた。注、明示はされてないが、フィコはジョーを撃ったとの認識なのだろう。

タッカーが倒れた。そしてドアに寄りかかった。廊下の光が入ってきて、正面にいたフィコが照らされた。ジョーはフィコに向かって引き金を引いた。

ジョーは電話を取って警察に「自首する」と知らせた。

ジョーとドリスは、ハドソン川にかかる橋の下でリオの死体を発見した。
 


■ 蛇足

ジョン・ガーフィールド。「郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice(1946)」。

トーマス・ゴメス。「女海賊アン Anne of the Indies (1951)」「キー・ラーゴ Key Largo (1948)」「征服への道 Captain from Castile (1947)」「幻の女 Phantom Lady (1944)」。

ロイ・ロバーツ。「真紅の騎兵隊/Battles of Chief Pontiac(1952)」「征服への道/Captain from Casile(1948)」「荒野の決闘/My Darling Clementine(1948)」。

マリー・ウィンザー。「その女を殺せ/THE NARROW MARGIN(1952)」。