■ HELL FIRE
賭博師のゼブは自分の命を救ってくれた牧師の遺志を継いで、教会の建設資金の寄付を募り始めたが、なかなか集まらない。
列車強盗犯で5000ドルの懸賞金がでている女強盗ドールに出会い、建設資金にできないかと思案する。


製作年:1949、監督:R・G・スプリングスティーン、脚本:ドレル・マッゴーワン、スチュアート・マッゴーワン


■ はじめに
登場人物
 ジョセフ(H.B.ワーナー) 牧師
 ゼブ・スミス(ウィリアム・エリオット) 賭博師
 ドル・ブラウン(マリー・ウィンザー) メアリー・カーソン、盗賊
 ジェーン・カーソン(-) ドルの妹
 バッキー・マクリーン(フォレスト・タッカー) 連邦保安官、ジェーンの夫、ゼブの友人
 リュー・ストーナー(ハリー・ウッズ) ドールの夫
 ギブ・ストーナー(ジム・デイヴィス) ストナー兄弟
 ダスティ・ストーナー(ポール・フィックス) ストナー兄弟
 レッド・ストーナー(ルイス・ファウスト) ストナー兄弟
 マーティン保安官(グラント・ウィザーズ)
 ダフィ保安官(エモリー・パーネル)
 


■ あらすじ

◆ 酒場の牧師

ゼブ・スミスは酒場で飲んでいた。ジョセフという牧師が来て、寄付を募っている。教会建設のための寄付である。

当然のことだが酒場には寄付をしようとする人はいない。それどころかジョセフはみんなにバカにされる。

ゼブも信仰心はまったくないのだが、ジョセフをバカにした相手を殴り倒した。ジョセフの帽子にはまったく寄付が入っていない。

ゼブは賭博師で、例によってイカサマをしていたのだが、それがばれて拳銃で脅された。

引き金が引かれた。その瞬間にジョセフが横っ跳びに動いてゼブを守った。ジョセフは倒れた。

ゼブはカウンタの後ろに回ってライフルを構えた。みんなから金を取った。みんなを外に出してジョセフの寄付金にした。

ジョセフは「教会を建設できなかったことだけが悔やまれる」と言って、ゼブに教会建設を頼んで死んだ。

◆ ドール・ブラウンと会う

ゼブのような無信仰の男が信じられないことだが、ジョセフの遺言に従って、寄付を募って回った。

しかし寄付が集まらないのは、予想されたことである。ゼブであれば、賭博で儲けて、それを寄付金にすればよいのだが、それはしたくない。

ある酒場の前に来た。中で喧嘩している声。続いて拳銃の音がした。一人の男が扉から飛び出してきて倒れた。

中から一人の男が出てきて拳銃で止めを刺した。帽子を取った。長い髪。いや男ではない女である。女は馬で走り去った。

先に明らかにしておくと、女はドール・ブラウン、本名はメアリー・カーソン。殺されたのはリュー・ストーナー。実はメアリーの夫である。

◆ 旧友のバッキーに会う

リューの弟の三人のストーナー兄弟が来た。さらに連邦保安官のバッキー・マクリーンと当地の保安官が来た。

実はゼブとパッキーとは知り合いである。彼らはドールを探している。ドールは列車強盗で手配されており、5000ドルの懸賞金が掛けられている。

ゼブは「5000ドルで教会が建つ」と考える。

◆ ドールと一緒に旅をする

ドールが荒野で休んでいた。ゼブが近づくと拳銃を構えた。しかし二人は、一緒に旅をすることになった。何かにつけてドールは拳銃をだして構えた。

ドールは妹のジェーン・カーソンを探している。

ある町に行って酒場を訪ねた。拳銃を出すと、女主人から「ドール・ブラウンみたいね」と言われて「本人よ」と答えた。ジェーンのことを聞いたが分からない。

ドールはゼブが聖書を読んでいるのに気が付いて笑い飛ばした。ゼブは「教会を建てたい。そのために(ドールの)懸賞金が欲しい」と話した。ただしドールを捕らえるのではなく自首してほしい。

◆ ストーナー兄弟に襲われる

「自分の懸賞金」と聞いたドールはゼブを殴って馬に乗った。

そこにストーナー兄弟が現れた。ドールは拳銃を突き付けられた。殴られて倒された。

ゼブが現れた。「(ドールには)法の裁きを受けさせるべきだ」。

ゼブも拳銃を突き付けられた。ここでセブは聖書を読む。兄弟は笑い出す。ゼブは聖書を下に落とした。拾う振りを反撃した。ドールも反撃した。

立場は入れ替わって、ゼブとドールが兄弟に拳銃を突き付けた。

◆ 逮捕されそうになる

二人はシャイアンにきた。ドールは酒場で妹を探したが、ここでも見つからない。

ドールが飲んでいるところに後ろに保安官が来た。「お前を逮捕する」。

しかしドールは反撃して拳銃を構えた。ゼブが援護して二人で逃げ出した。

荒野を逃げる。保安官たちが追跡している。ドールが落馬し、馬は走り去った。

二人乗りで逃げた。隠れていると保安官たちが通り過ぎた。

ドールの馬が戻って来た。

ゼブは連邦保安官のバッキーと知り合いであることをばらした。ドールは「妹にはいい生活をさせたい」と言う。

◆ ドールがドレスを着た

森の中のゼブの知人宅に行った。知人はいない。勝手に入った。

中でドールがドレスに着替えて料理をした。

バッキーが近づいてきた。中に入ろうとするところをゼブが声をかけた。

バッキーは「ドールは誰かと一緒らしい。その男がかくまっている」と話す。

バッキーは持っている写真を見せた。15年前の写真。写っているのはドールと妹である。妹のジェーンはバッキーの妻になっているとのこと。

「妻とドールを会わせたくない。ドールのままで終わらせる」「お前が決める権利はない」。

バッキーが小屋に入ろうとするので、なんとか入らないように止めた。

しかしドールが出て来て「ジュリー・ゲイ」と名乗った。バッキーはゼブが小屋に入らせたくなかった理由を理解・誤解した。

バッキーは立ち去った。「私を初めて女と見てくれた」。二人はキスした。「教会のことを忘れたら、もっと素敵なことがあるわよ」「妹にドールとしてあったら、妹はなんと思うか?」「妹の居場所を教えて」「メアリーとしていけ」。妹がバッキーと結婚していることは秘密にした。

◆ ドールは店で歌う

バッキーがドールの懸賞金の張り紙を張っている。ジュリー・ゲイ=ドールが現れた。ホテルを紹介してもらった。

その後ゼブが来てバッキーと会う。「ジュリーに会った。三人で食事を」と誘うが、ゼブは「ジュリーと会う約束はしてない」と言う。

ジュリー・ゲイは酒場で歌って踊った。大拍手。

後ほどバッキーはジュリーに「そんな仕事はするな、ゼブのことを考えろ」と言うが「彼とは単なる友達」との答え。

ジュリーがゼブの教会の建設資金の寄付を募ってゼブに渡すが、ゼブは受け取らない。

「ジュリーはドールではないか?」と疑われており、後ほど、保安官が二人来てジュリーを見る。

ジュリーはポーズを取る。「身長は同じくらいだが、ドールではない」と判定する。補足。バッキーは連邦保安官。

そして、バッキーとジュリーが親しくなっていく(ように見える)。

◆ バッキーが撃たれた

ジュリーとバッキーはどこかに行くつもりのようである。セブが意見をする。「家庭があるのを忘れている」「彼女の本命はお前だよ」

部屋の中にジュリーがいる。ノック。ジュリーはバッキーと思うが、ゼブが入ってきた。

「バッキーも妹も忘れて、ここをでよう」「教会は?」「教会も忘れよう」。ゼブの真意は「バッキーの妻がメアリーの妹なので、二人を引き合わせないため」である。

ジュリーはさらに質問。「聖書は忘れるの?」。さすがにこの質問には「忘れる」とは答えられず、拒否する。

バッキーとジュリーが話している。ゼブが入ってきた。ゼブは保安官代理となっている。「ドール・ブラウン、逮捕する」。この言葉にバッキーは驚いた。補足。ゼブが保安官代理となったのは、ジュリー=ドールを捕らえて保護するため。

ドールは鉄格子の中。聖書を読んでいる。「でも、うんざり」と言うがゼブは「君が目覚める日が来る」と諭す。

ここで「ストーナー兄弟が来る」との連絡。バッキーは対応のために出て行く。

ゼブは鉄格子のカギを開けてドールに拳銃を渡す。ドールは鉄格子から出て、ゼブに「聖書を忘れているわよ」と言う。ゼブは中に入る。その瞬間にドールは鉄格子の閉めてカギをかける。

「約束を守れないのか」「妹を探すのが優先よ」と展開するが、ドールはカギを投げてゼブに渡す。

その瞬間に再びバッキーが現れた。ドールがバッキーを撃ってバッキーが倒れた。

◆ ジェーンはバッキーの妻

ゼブは倒れたバッキーに駆け寄り、バッキーの手帳を開いてドールに見せた。メアリーとジェーンの写真!「ジェーンはバッキーの妻だ」。

ゼブは医者を呼びに行く。ドールは拳銃を落とす。「私はなんてことをしたの、神様、バッキーを助けて」。ドールは聖書を取り上げる。

◆ ドールは撃たれたが、回心した。

ドアを叩く音。続いてドアが打ち壊された。ストーナー兄弟が乱入してきた。

聖書を手に持っているドール。兄弟は拳銃を構える。それでもドールは聖書を読んでいる。

兄弟が引き金を引く。ドールに当たるが、それでも聖書を読んでいる。もう一回繰り返される。ドールが床に倒れた。

ゼブが医者とともに入ってきた。ストーナー兄弟を倒した。

バッキーはまだ生きている。ドールは「聖書を読んでちょうだい」と言って死んだ。
 


■ 補足

マリー・ウィンザーは、悪役やクセが強い役ばかりである。身長が177cmと高いので、このような役が似合う。同じ身長のヘレン・ウォーカーもわりと悪役が多い。しかしさらに同じ身長のイングリッド・バーグマンは線が細く素直な役が多い。

マリーは「(1950)贋札造りのリル/DAKOTA LIL」でも歌っているが、リルの歌は別人の吹替えである。ドールの歌は、たぶんマリー自身のもの。
 


■ 出演作

マリー・ウィンザー
(1948)悪の力/苦い報酬/Force of Evil
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1952)その女を殺せ/THE NARROW MARGIN

◆ フォレスト・タッカー
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1953)ミズーリ大平原/Pony Express)
(1949)荒原の死闘/The Big Cat
(1946)愛をもう一度/Never say good bye
(1951)地獄の砦/Oh! Susanna

◆ ウィリアム・エリオット