■ Ministry of Fear
製作:1944年、脚本:シートン・I・ミラー、監督:フリッツ・ラング 予告編 予告編
■ はじめに
舞台はイギリス。製作年は1944年だが、ドイツの空襲があるので、設定はもう少し前だろう。タイトルはまったく意味不明。
登場人物(キャスト)
スティーヴン・ニール(レイ・ミランド)
カーラ・ヒルフェ(マージョリー・レイノルズ)
ウィリー・ヒルフェ(カール・エスモンド)
ラルフ・ベレイン(ヒラリー・ブルック)
プランティス警部補(パーシー・ウォラム)
コスト/トラヴァース(ダン・デュリエ)
フォレスター博士(アラン・ネイピア)
ジョージ・レニット(アースキン・サンフォード)
■ あらすじ
◆ バザー
スティーヴンは重い病に苦しむ妻の願いを聞き入れて、安楽死のための薬を用意した。しかし与えるのを躊躇した。
妻は自ら薬を飲んで自殺した。このためスティーヴンはレンブリッジ精神病院に入れられていたが、二年後に退院することになった。
精神病院を出て、ロンドン行きの列車に乗るために駅に来た。列車を待つ間に、駅の近くで慈善のために開かれていたバザーの会場に寄った。「自由国家の母の会(Mothers of Free Nations Enquiries)」という団体。
ケーキの重さを当てるとケーキを貰えるイヴェントがあり重さを答えた。1500グラム。
次に占いコーナーに行った。べレインという女性が待っていた。手相を見ていろいろ言うが、あまり当たっていない。「過去より未来を知りたい」と言ったところ「ケーキの重さは2253グラム」とリプライがなされた。
再度ケーキ重さクイズに挑戦して「2253グラム」と言ったところ「あなたが優勝ね」とケーキを渡された。ケーキを持って会場を出ようとしたところ、女性が数人追いかけてきて「重さを間違えた」と言う。「正解は1417グラム。1587グラムと答えた人がいるの」。スティーヴンは「それならば私の最初の答えが正しい」と答えてケーキを持って出た。
◆ 盲目の男
列車に乗って出発を待っていると、前の席に盲目の男が乗り込んできた。列車は発車した。
先ほどのケーキの一片を分けてやった。その男は、なぜかケーキを指でつぶしてしまった。スティーヴンは気が付いていないが、盲目と言うのは偽装でスティーヴンをうかがっているようである。
空襲警報が鳴り響き列車が停止した。外では爆弾の閃光が光った。スティーヴンが外を見ていると、その男は杖を振り上げてスティーヴンを殴り、ケーキを持って外に飛び出した。
走り去っていく男を追いかけた。男は骨組みだけになっている壊れた小屋に入った。スティーヴンに向かって拳銃の引き金を引く。そこに爆弾が落ちて、小屋は木っ端みじんとなった。男も死亡した。
スティーヴンは男が持っていた拳銃を拾い上げた。拳銃を持って列車に戻った。注、その間列車は止まっていたらしい。
◆ 自由国家の母の会
ロンドンに到着して「オーソテクス探偵事務所」を訪れた。ジョージ・レニットという探偵がいた。ちょっと頼りなさそうではあったが、列車での事件を調べるのに同行してもらうことにした。
二人で自由国家の母の会の本部を訪れた。レニットは部屋の外で待機した。
「バザーでケーキを貰った。べレイン夫人の住所を」と言うと責任者に紹介された。ウィリー・ヒルフェとカーラ・ヒルフェの兄妹。ドイツに占領されたオーストリアから逃げてきたらしい。ロルフ・ベレインと言う名前と住所を教えてくれた。
バザーでの出来事と盲人偽装男の話をし、ウィリーと一緒にベレインのところに行くことになった。注、レニットはドアの外にいたが姿を眩ます。
◆ 降霊会
訪ねていくとベレインはバザー会場で会った人物とは別人で、まだ若い女性だった。しかしバザー会場にいたと主張する。降霊会を開くというので話は後にして、とりあえず降霊会に参加する。
丸いテーブルを囲んでイスが置いてある。みんなで輪になって手を繋いでイスに座る。スティーヴンの隣はニュービーという男性とペンティールという女性。開始しようとする時にコストという男性が加わった。バザー会場で見た男性だったが、コストはそれを否定した。
ライトが消されてベレインに霊が乗り移って喋りだす。「邪悪な心を持つ人物がいるわ」「スティーヴン、見たわよ」「イスに座って時計を見ていたわね」「私が死ぬのを待っていたんでしょう?」「あなたは私を毒殺したのよ」。注、ここの霊の言葉はスティーヴンの妻の話を思い起こさせる。
スティーヴンは「誰なんだ」と叫んで立ち上がった。ベレインは「手を離さないで」と叫ぶ。ここで銃声。ライトがつけられるとコストが倒れている。
フォレスターという男性がコストの心臓を触って「手遅れだ、警察を」と言う。ペンティールがスティーヴンを指さして「彼が手を離したわ、犯人よ」と叫ぶ。「僕じゃない」。ウィリーは「拳銃を見せろ」。スティーヴンは盲人偽装男の拳銃を出した。弾は六発残っていた。注、この場面はスティーヴンがここで弾を発射したわけではないことを示そうとしているようだが、盲人偽装男は弾を発射しているので、六発残っているのはおかしい。
フォレスターは「彼を捕まえろ、通報する」と言うがニュービーは「私は帰る」。するとフォレスターが「書斎に行こう」。全員が部屋から出ていく。注、フォレスターの行動は矛盾している。
部屋にはウィリーとスティーヴンと死体が残る。ウィリーは「私を殴って逃げろ。アリバイ工作だ」と言うので、言われたとおりにウィリーを殴って窓から逃げ出した。注、なぜアリバイ工作になるのかは意味不明。
ここはかなりコメントしたいことがあるが、ややこしくなるので省略。基本的には降霊会のメンバーがグルと考えると解決する。「コストが死んだ」ということは、フォレスターの言だけで、確認されたことではないことを強調しておく。
◆ 探偵事務所⇒地下鉄駅
オーソテクス探偵事務所に行くと、レニットは不在で、部屋がメチャクチャに荒らされていた。外には怪しげな人物が立っていて爪を磨いている。
自由国家母の会に電話してカーラと話した。ウィリーはバザー会場に行って手掛かりを探しているとのこと。そして警察がスティーヴンを探しているらしい。注、ここで警察がスティーヴンを探す理由はコストの事件?⇒実は違う、レニットの件、後でわかる。
カーラと落ち合ったが、空襲警報があったので、避難所となっている地下鉄駅に入った。たくさんの人が避難している。ここで二人はそれぞれのことをいろいろと話す。また先ほどの爪磨き男がうろうろしている。
◆ ニューランド書店
朝になった。新聞を見たがコストの殺人事件のことが出ていない。
カーラと一緒にニューランド書店に行った。カーラは店主に「この人をかくまって。無実の罪で追われている」と言った。
中には降霊会にいたフォレスターの「ナチズムの精神分析学」が多数置いてあった。フォレスターは「国家安全保障省」の顧問とのこと。
しばらくカーラと話していたが、カーラは自由国家母の会の会員名簿を調べるために出ていった。
◆ 自由国家母の会
ウィリーがバザー会場の調査から戻ってきた。カーラは「三年間スパイに利用されていた」「降霊会の出席者はフォレスターの推薦。自由国家母の会の登録方法が知られている」と話すが、ウィリーは「人を疑ってはいけない」と答える。
カーラが「スティーヴンに名簿を見せる」と言うと「彼にかかわってはいけない。二年前に殺人に犯している」と答えた後、「まさか彼を好きに?」と言うと、カーラは肯定する。
◆ 爆弾事件
ニューランド書店でスティーヴンとカーラが話している。カーラが自由国家母の会がスパイ組織に利用されていたことを国家安全保障省に話すというが、スティーヴンは(外国人なので)カーラ自身が疑われると警告する。
ニューランド書店に電話があり、フォレスターの依頼で「オックスフォード医学」19冊をとどけることになる。届け先はリーガルコートアパート29号。スティーヴンとカーラが届けることになった。
リーガルコートに行くと、ボーイが「トラヴァース氏から聞いている」という。「フォレスターでは?」と聞き返す。
部屋に入るが、荷物が何もなく人が生活しているようには感じられない。電話がなるが取り上げると切れた。スティーヴンが持ってきたバッグを開ける。スティーヴンは慌ててカーラを抱えて伏せる。バッグが爆発する。
スティーヴンが目を覚ますとベッドに寝かされている。そばにオーソテクス探偵事務所の外にいた爪磨き男が座っている。ロンドン警視庁のプランティス警部補とのこと。カーラのことを聞かれるが「知らない」としらばっくれる。
そしてスティーヴンが「コストは殺していない」と言うと「そんな事件は知らない」と言う。プランティスが問題にしているのはレニットのことらしい。「レニットは君と外出し、橋のそばで遺体で発見された」。
スティーヴンは、バザーのこと、盲目のふりをした男のこと、降霊会のことを順番に話した。
◆ マイクロフィルム
プランティスはスティーヴンを伴って、盲目偽装男が死亡した現場を調査した。多人数を動員してスコップで現場を掘り返す羽目になったが、ケーキとその中に隠されたマイクロフィルムを見つけ出した。
マイクロフィルムにはイギリスと大陸の地図が描かれており、両方の間にいくつもの矢印が描かれていた。つい最近、国家安全保障省の会議で用いられた機密の資料である。
会議があった日にフォレスターご用達の洋服店が採寸に来たことが分かった。トラヴァース洋服店。プランティスは降霊会のメンバーを連行するように指示するとともに、洋服店に「採寸してほしいので、午後五時半に行く」と電話をした。
◆ 洋服店
スティーヴンとプランティスは洋服店に出かけた。プランティスが先に入りスティーヴンが間をおいて中に入った。
スティーヴンはトラヴァースを呼び出した。奥から出てきた人物はなんとコストであった。バザー会場、降霊会に続いて三度目。しかしトラヴァースは、スティーヴンと会ったことを今回も否定した。
トラヴァースは、そこで電話をかけた。電話をかけるそばでスティーヴンは、その番号をしっかりと頭に入れた。電話の内容はスーツができたので届けるということだったが「肩の部分をしっかりと縫い付けました」と強調した。
トラヴァースは話し終わって受話器を置いて逃げ出した。ある部屋に逃げ込んだ。その部屋のドアを開けようとしたが、鍵がかかっている。ドアを壊して中に入るとトラヴァースの死体があった。周りには人が集まってきた。
スティーヴンは、トラヴァースがかけた番号に電話をかけた。出たのはカーラ!
◆ ヒルフェ宅
スティーヴンが訪ねていくと、ウィリーもカーラもいた。スティーヴンが話そうとしたが、ウィリーはすぐに拳銃を取り出してスティーヴンに向けた。
カーラが「兄はあなたを殺す気よ。爆弾も兄の仕業なの」と言うとウィリーは「君たちは首を突っ込みすぎた」。
ここで時間が停止したが、カーラが花瓶(のようなもの)をウィリーに投げつけた。怯んだすきにスティーヴンがウィリーに飛び掛かり、拳銃を叩き落した。二人は格闘した。拳銃をカーラが拾ってウィリーに向けた。
再び睨みあい状態となったが、スティーヴンがウィリーの上着の肩を調べるとフィルムが見つかった。
ウィリーは「兄を撃つことはできないだろう」と言ってドアから外に出た。しかしその時にカーラは引き金を引いた。ウィリーはドアの外に倒れた。
二人はエレヴェーターで下に降りようとしたが、数人の敵が上ってきた。階段で上に逃げた。屋上に出た。
屋上にある塔の陰に隠れて、屋上への出口に出てきた敵を撃った。拳銃の撃ちあいとなった。しかし警官隊が彼らを捕らえた。
ラストは二人りが車に乗って旅行をしているところ。
■ 出演作
◆ レイ・ミランド
「春の珍事/It Happens Every Spring(1949)」
「ガラスの鍵/The Glass Key(1935)」
◆ マージョリー・レイノルズ
「風と共に去りぬ Gone with the Wind (1939年)」
◆ ヒラリー・ブルック
「凸凹海賊船/Abbott and Costello Meet Captain Kidd(1952)」
◆ ダン・デュリエ
「飾窓の女/The Woman in the Window(1944)」
◆ アラン・ネイピア
「裏切りの街角/Criss Cross(1949)」
「悲恋の王女エリザベス/Young Bess(1953)」
「追いはぎ/The Highwayman(1951)」
「大城塞/Tripoli(1950)」
「船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)」
「心の旅路/Random Harvest(1942)」
◆ アースキン・サンフォード
「忘れじの面影/Letter from An Unknown Woman(1948)」
「白い恐怖/Spellbound(1941)」
◆
「ディボース・ショウ/INTOLERABLE CRUELTY(2003)」
「バード・オン・ワイヤー/BIRD ON A WIRE(1990)」
「拳銃貸します/THIS GUN FOR HIRE(1942)」
「私に決めて」
「堕ちた天使/FALLEN ANGEL(1945)」