■ Black Angel
マーヴィス・マーロウが殺された。元夫のマーティン・ブレア、クラブ経営者のマルコ、それとカーク・ベネットがマーヴィスを訪れたことが分かった。
結局、カークが裁判にかけられて、死刑が確定した。
カークの無実を信じる妻のキャサリンは自力で捜査を開始した。


製作:1946年、監督:Roy William Neill


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マーティン・ブレア(ダン・デュリエ) ピアニスト
 マーヴィス・マーロウ(コンスタンス・ダウリング) マーティンの妻
 フロー(?) マーヴィスのメイド
 カーク・ベネット(ジョン・フィリップス)
 キャサリン・ベネット(ジューン・ヴィンセント) カークの妻
 マルコ(ピーター・ローレ) クラブの経営者
 フラッド警部(ブロデリック・クロフォード)
 ジョー(ウォーレス・フォード) ジョー、マーティンの友達
 マーティンのホテルの管理人(ホバート・キャヴァノー)
 ラッキー(フレディ・スティール) マルコの店の従業員
 マルコの店のバーテン(ベン・バード)
 Dr. Courtney(ジュニウス・マシューズ)
 ミリー(マリオン・マーティン) マーティンの知り合いの女性
 


■ あらすじ

◆ マーティンがマーヴィスにブローチを送る

ロスアンジェルスのウィルシャー・ハウス。マーヴィス・マーロウの部屋。

マーヴィスは外出の用意をしている。そこに届け物があった。

別居している夫のマーティン・ブレアからの贈り物。開けるとハートの形をしたブローチ。そういえば今日は結婚記念日である。

マーヴィスはフロントに電話した。「マーティン・ブレアが来ても通さないでちょうだい」。

やはりマーティンが訪ねてきたがドアマンが追い返した。その後マルコが「マーヴィス・マーロウと会う約束をしている」と訪問してきた。マルコは上に上がった。

マーティンとマルコは玄関ですれ違った。外に出たマーティンを車の中から二人が見ている。

補足。マーヴィスはマルコと会う約束をしているのに外出しようとしている。

◆ マーヴィスが殺された

マーヴィスの部屋。誰かが入ってきた。カーク。

ハートブレイクの曲がかかっている。誰もいないようなので、そろりとうかがいながら見て回る。マッチ。クレストヴュー2111と電話番号が書いている。拳銃。拳銃を触ってしまう。

そしてマーヴィスの死体!

レコードを止めた。警察に電話しようとしたが物音がしたので止めた。

音の原因を確かめようと外に出てしまった。ドアが閉まりオートロックなので入れなくなった。

そこでマーヴィスのメイドのフローが戻ってきて目撃された。カークは慌てて階段を下りた。

◆ カークは連行された

ベネット家。警察が来た。キャサリンが出た。カークはまだ帰っていない。

フラッド警部はストレートに内容を告げた。殺人事件があり、カークに疑いがかかっている。当然キャサリンは信用しない。

ちょうどカークが戻ってきた。早速連行された。

マーヴィスの死因は絞殺。ブローチがなくなっているが、5000ドルと毛皮のコートは盗まれていない。

発見時「ハートブレイク」の曲がかかっていた。カークは「拳銃は自分のもので、撃つ気はなかった」。注、ここの拳銃はマーヴィスの部屋に会ったものとは別。

◆ 死刑が宣告された

裁判が開かれた。求刑は死刑。

弁論が終わり陪審員団は結論を出すために退廷。その間は休廷する。

キャサリンはカークに面会して「私は妻よ、いつでもあなたの味方」と言う。

陪審員団の評決は有罪となった。有罪となったので判事は量刑を言い渡した。死刑。

◆ キャサリンが捜査を開始した

キャサリンは警察に行って「もう一度捜査を」と言ったが「この事件は終わった。毎日他の事件が発生している」と断られた。

そこで自分で捜査をすることにした。

ある店で電話をしていると、すぐそばの席で女性たちが話をしている。マーヴィスの悪口。さっそく聞いてみるが、みんな席を立って、教えてくれない。

店員に聞いてみると「アイリス・ウェーのアルの店でマーティン・ブレアに会える。いつもハートブレイクを弾いている」と教えてくれた。

アルの店に行くと「向かいのホテルにいる」と教えてくれた。管理人に聞いた。管理人は部屋を教えてくれたが、その部屋は、外側からカギがかかるようになっている。マーティンが酔っぱらって迷惑をかけるからである。

中に入ってマーティンを起こして聞いた。寝ぼけていたが「カーク・ベネットの妻」というと起き上がった。「君の夫があの部屋に行くのを見た」と言う。

マーティンはあまりまじめに答えないが「現場ではハートブレイクの曲がかかっていた」と言うと「そんなことはありえない」と答えた。

あまり埒が明かないので切り上げた。管理人は「事件の二時間前に(外から)カギを掛けた」と証言した。それを信用するとマーティンは犯人ではない。

◆ マーティンも協力する

マーティンがキャサリンを訪ねてきた。しかし「力になりたいが、何も知らない」と言う。

キャサリンが歌手であることを知って聞くと「カークが弾いて、私が歌う」と答えた。

飾ってあるカークの写真をみた。「俺が見た男と違う」と重大発言。「別の男がいたんだ」「犯人はブローチを盗んだ男よ」。マーティンは考え込んだ。

ブローチは結婚する時にマーティンが贈った。そして別れるときにマーヴィスはおいて行った。「ならば、なぜあの部屋にあったの?」「その日は結婚記念日だから届けさせた」。

カークが死刑囚棟に移されたニュースが流れた。カークの荷物がキャサリンに届いた。その中にマッチがあった。「クレストヴュー2111」と書いてある。

電話をかけて調べると「リオの店」と言う。

◆ 二人はリオの店に雇われる

二人でリオの店に行った。マーティンはウィルシャー・ハウスで目撃した男を見た。店のオーナー。

出演者を募集しているとのことだったので二人で受けた。カーヴァー&マーティンと称してマーティンがピアノを弾いてキャサリンが歌う。

オーディションを受けた後、二階のマルコの部屋で話して採用が決まった。

店に二人の看板がかかり、二人は弾いて歌った。

その間、マーティンは次第にキャサリンを好きになっていくが、キャサリンはカークのことを思って断っている。

◆ マルコの金庫を調べる

新聞に「店のオーナーが歌手に気がある」という記事が載った。固有名詞は記載されていない。

マルコとキャサリンのことと直感したマーティンがキャサリンに聞いた。キャサリンに「私がわざと漏らした」と言う。理由はマルコの部屋の金庫に近づくため。マーティンは「危険だ」。

マルコはキャサリンを自分の部屋に呼んだ。マルコは金庫を開ける。その番号をしっかりと覚えた。マルコは金庫の中からプレゼントを出して渡した。

次はマルコの部屋に忍び込んで金庫を調べるチャンスをうかがう。

知人が来てマルコをコンサートに誘った。キャサリンはコンサートを勧めた。マルコが知人と外に出て行った。

マーティンは「自分がやる」と言うが、けっきょくキャサリンが忍び込むことになる。マーティンは何かあれば「月光の曲」を弾いて知らせることになる。

キャサリンはまず電話をかける。相手がいなかったので「すぐに来てと伝えて」と伝言した。ここでは示されないが、相手はフラッド警部。

次に金庫を開けて中を調べた。手紙があった。「マルコ、あなたが前科者だと、(マルコの)娘の夫に知られたくなければ電話して。マーヴィス」。マーヴィスはマルコを脅迫していたようである。

その他、少しのものを取り出したがここで「月光の曲」が聞こえてきた。取り出したものをゴミ箱に隠して金庫を閉めた。

しかしマルコと部下のラッキーが現れた。「だからコンサートに行かせたのか?ベネット夫人」と言い、さらに「金庫の番号はわざと見えるようにした」。

ここでマーティンが入ってきた。殴り合いになりそうな雰囲気だったが、フラッド警部が入ってきた。

フラッドとマルコが言い争うが、マルコの犯罪歴のことでマーヴィスに脅されて5000ドルを支払ったことが分かった。ブローチはなかった。けっきょくマルコには嫌疑はかからない。

それとフラッドは「事件の一時間前、10:45、現場近くでマーティンを見かけた」と言った。

◆ マーティンは酒を飲み歩いた

さて、いよいよカークの死刑執行の日となった。夜中に執行される。

マーティンはキャサリンを訪ねて行った。「大事なことを話したい」と切り出して、キャサリンにプロポーズした。

キャサリンは今までの協力に感謝しつつも断った。

マーティンは出て行った。やけ酒を飲んだ。何軒も酒場を回った。飲んで飲んで飲みまくった。

あるところでマーティンは知り合いの女性に出会った。ミリー。ミリーが例のブローチをつけているのに気が付いた。聞くと「あなたに貰った」と言う。マーティンには記憶がない。ブローチを戻してもらった。

ミリーのそばにいた男性と喧嘩になって捕まった。拘束衣を着せられて寝かされた。

◆ マーティンの記憶が蘇った

事件の日の記憶が蘇った。

自分の部屋に戻ってきた。管理人はマーティンが酔っているのでドアを外から閉めた。しかし別の人間(管理人と一緒に仕事をしている人)にドアを開けてもらった。

マーヴィスを訪ねて行った。ブローチをマーヴィスの服につけようとしたが拒否された。が、口論になり絞め殺した。ブローチを取って外に出た。

ミリーにブローチをプレゼントした。

真相を知ったマーティンはカークを助けるために「フラッド警部を呼んでくれ」と頼む。担当者は「明日呼ぶ」と言うがそれでは間に合わない。

担当者が注射を打つために拘束衣を脱がせた。そのすきに逃げ出した。

◆ カークの命は救われた

迷ってマーティンはキャサリンの部屋に行った。キャサリンはいなかった。電話を取ってフラット警部を呼び出したが不在。「ベネット夫人のところに行ってくれ」と伝言。

ここでキャサリンが戻ってきた。ブローチに気が付いた。さらにフラッド警部が入ってきた。

もう執行の時刻が迫っている。大急ぎで事情を説明する。

フラッド警部は州知事に直接電話を掛けた。死刑執行の中止を依頼した。カークの命は救われた。
 


■ 補足

マーティンはいったんウィルシャー・ハウスへの入館を断られているので、その後に入ったことになる。

ブローチがなくなったことが、どうして判明するのか、今一つはっきりと表現されていない。