Separate Tables

イギリス南岸の小さなホテル。今は冬でシーズンオフ。少数の客が長期滞在している。
まだ若いシビル・レイルトン=ベルがすでに引退しているデヴィッド・アンガス・ポロック少佐に好意を寄せている。だが少佐は、新聞ネタになるようなことをしでかしている。
オーナーのパット・クーパー女史とアメリカ人作家のジョン・マルコムは婚約している。しかしマルコムの元妻アン・シャンクランドが来て、マルカムを巡る状況が混沌としてくる。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1958、監督:Delbert Mann、脚本:Terence Rattigan、John Gay、John Michael Hayes、原作:Separate Tables(Terence Rattigan)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

パット・クーパー女史(ウェンディ・ヒラー) ホテルのオーナー
デヴィッド・アンガス・ポロック少佐(デイヴィッド・ニーヴン)
レイルトン=ベル夫人(グラディス・クーパー)
シビル・レイルトン=ベル(デボラ・カー) 娘
グラディス・マセソン夫人(キャスリーン・ネスビット)
チャールズ(Rod Taylor) 医学生
ジーン(Audrey Dalton) チャールズの恋人
Miss.ミーチャム(May Hallatt)
Mr.ファウラー(Felix Aylmer)
ジョン・マルコム(バート・ランカスター) 作家
アン・シャンクランド(リタ・ヘイワース)

◆ 補足

本作はいわゆる「グランド・ホテル」タイプの映画である。ホテルにいろいろな人が泊りに来る。その中でそれぞれの人の人生模様が展開される。

ただ「(1932)グランド・ホテル/Grand Hotel」にでてくるような巨大ホテルではなく、海辺の小さなホテル。

映画の中でリタ・ヘイワースが登場すると、とたんに不穏な雰囲気に転換するのだが、本作もその例に漏れない。

デボラ・カーにしては珍しいタイプのキャラクタではなかろうか。
 


■ あらすじ

上記のようにいろいろな人が登場するのだが、あえて言えばデヴィッド・アンガス・ポロック少佐&シビル・レイルトン=ベルとジョン・マルコム&アン・シャンクランドのストーリーが中心となっている。この二つのストーリーはサンドイッチになって進行する。

◆ ボーリガード・ホテルの人々

ボーリガード・ホテル。イギリス海峡を望むボーンマスにあるホテル。夏は海水浴客で賑わうが、今は冬である。

経営者はパット・クーパー女史。

すでに引退しているデヴィッド・アンガス・ポロック少佐。彼は新聞に自分のことが掲載されているのを発見して、それを隠そうとする。

レイルトン=ベル夫人と娘のシビル。シビルは神経質な性格で、高圧的な母親に支配されている。

グラディス・マセソン夫人。彼女はレイルトン=ベル夫人と気が合うようである。

ミーチャム嬢、教師のファウラー。二人は好んでビリヤードをしているが、ミーチャム嬢がいつも勝っている。

医学生のチャールズと恋人のジーン。チャールズはここにきてジーンにプロポーズしたが回答を保留された。

ジョン・マルコムはアメリカ人で作家である。酒を好み、ほぼアル中状態。またクーパーと付き合っており、婚約もしている。

◆ デヴィッド・アンガス・ポロック少佐&シビル・レイルトン=ベル

シビルは、まったく年齢が離れているポロック少佐になぜか思いを寄せているようである。

レイトン=ベル夫人とマセソン夫人は、ポロック少佐が気にしている「彼がセクハラをして、それを認めた」という記事を読んだ。

レイルトン=ベル夫人はクーパーにこの問題を提起して、ポロック少佐がホテルを立ち去るべきと主張した。

シビルは出ていく準備をしているポロック少佐に彼の新聞記事について聞いた。

ポロック少佐は「自分はいつも人を恐れている」と話す。そして「そうだからこそ、人と仲良くなろうとする」と不思議な答えをした。

シビルはポロック少佐が次の居場所が見つかるのかと心配する。

食堂にポロック少佐が入ってきて気まずい雰囲気が漂ったが、ジョンが話しかけたのをきっかけに、みんなの会話が始まる。

レイルトン=ベル夫人が、この状況に怒り、自分の娘であるシビルと食堂をでていくように指示した。だが、めずらしくシビルは母親に反発した。

レイルトン=ベル夫人が食堂から二階に上がった後、ポロック少佐とシビルが話し始めた。

二人は「なんとなくうまく行っている」という状況になる。

◆ ジョン・マルコム&アン・シャンクランド

マルコムは前述したように、オーナーのクーパーと婚約している。

アン・シャンクランドという派手な服装の女性がチェックインしてきた。これで当ホテルの雰囲気ががらりと変わってしまう。

シャンクランドは実はマルコムの元妻である。それを知っているクーパーに対して、マルコムは「自分とシャンクランドのことは全部自分が悪い」と言う。

シャンクランドはマルコムに対して「今は婚約している」と言う。対してマルコムも「自分も婚約している」というが、相手がクーパーであることは明かさない。

二人はシャンクランドの部屋で話した。

マルコムはシャンクランドに対して「あなたは、もつと裕福な男性と結婚することができたはずだ。だが私を貶めて操るために、私と結婚したのだ」と露骨なことを言う。

だがこのような言葉は、マルコムがまだシャンクランドに惹かれていることを示していた。

マルコムはクーパーからシャンクランドがマルコムとクーパーが婚約していることを知っている出版社の社長と電話していることを知らされた。

シャンクランドがマルコムを誘惑しようとした時、彼は彼女の年齢的なことからくる容姿をあげへつらった。

シャンクランドは懇願するが、マルコムは彼女を殴ってホテルをとびだした。

泣き出したシャンクランドをクーパーが慰めた。シャンクランドは婚約しているというのは嘘であり、今でも睡眠薬を常用していることを白状した。

朝になってマルコムが戻って来た。クーパーがシャンクランドを慰めるように行ったが、マルコムはまた出て行った。

次の日またマルコムは戻って来た。以後は、二人も他の人も沈黙を守った。二人は和解したようにも見えたが、本当のところは、他の人にも本人たちにも不明である。
 


■ 出演作

リタ・ヘイワース
(1939)コンドル/Only Angels Have Wings
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)ギルダ/Gilda
情炎の女サロメ/Salome(1953)
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
上海から来た女/THE LADY FROM SHANGHAI(1947)
(1948)カルメン/The Loves of Carmen

バート・ランカスター
(1947)真昼の暴動/Brute Force
(1947)暗黒街の復讐/I Walk Alone
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1952)真紅の盗賊/The Crimson Pirate
(1953)白人酋長/His Majesty O'Keefe
(1954)アパッチ/Apache
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1960)許されざる者/The Unforgiven
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1951)復讐の谷/VENGEANCE VALLEY
(1961)明日なき十代/The Young Savages
(1950)美女と老人と偽札/Mister 880