Gilda

ジョニーはブエノスアイレスの賭場でイカサマをして命を狙われた時、バリンに助けられて、バリンのカジノで働くことになった。カジノを任されるようになった。
バリンは旅行をしてギルダという妻を連れて帰ってきた。ギルダはジョニーの元の恋人。ギルダはジョニーにあてつけるような振る舞いをし、二人は小競り合いを繰り返した。
カジノは表向きで、バリンはタングステンの会社を経営していた。カルテルを作り莫大な利益を上げていた。オブレゴンという刑事が捜査していた。
カルテルに不満を持つ人物がカジノで拳銃自殺し、バリンはジョニーに秘密書類の金庫の開け方を教えた。
二人のドイツ人が訪ねてきたが、バリンは一人を射殺して失踪した。
ジョニーは事業を引き継ぎギルダと結婚したが、ギルダとの仲は相変わらずで、ギルダはモンテヴィデオに逃れた。
しかしギルダは騙されてブエノスアイレスに戻された。その後二人の仲は、次第に修復した。
バリンが戻ってきて二人を射殺しようとしたが、逆にカジノの従業員に殺された。ジョニーとギルダはブエノスアイレスを出発した。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1946年、脚本:マリオン・パーソネット、監督:チャールズ・ヴィダー


■ ばじめに

登場人物
 ジョニー・ファレル(グレン・フォード) - 主人公
 バリン・マンスン(ジョージ・マクレディ) - カジノの経営者
 ギルダ・マンスン(リタ・ヘイワース) - バリンの妻、ジョニーの元恋人
 モーリス・オブレゴン(ジョゼフ・カレイア) - カジノの客
 アンクル・ピオ(スティーヴン・ジェレイ) - カジノの従業員

舞台はアルゼンチンのブエノスアイレス。時代は第二次大戦終了直前。
 


■ あらすじ

◆ カジノ

アメリカ人のジョニーは当地に流れ着いて、小さな汚らしい賭場でイカサマをして金を掠め取った。しかしバレテ殺されそうになった。その時にバリン・マンスンという男が助けてくれた。バリンは杖に仕込んだ長い針で相手を刺殺した。

バリンは立派なカジノを経営しており、そこで働くことになった。ジョニーは、次第にバリンから信頼され、やがてカジノ全体を任されるようになった。

カジノの中には、いつも入り浸ってはいるが、賭けをしないし酒も飲まないモーリス・オブレゴンがいた。ジョニーはオブレゴンが何者なのか疑問を持った。

◆ ギルダ

バリンは旅行に出かけた。そしてギルダという美しい女性を妻として連れて帰ってきた。ギルダはジョニーのかっての恋人であった。二人はバリンのいないところで「なぜ彼と結婚したんだ。愛じゃないだろ」「あなたに言われたくないわ」と小競り合いを繰り返した。

二人はバリンにはかっての関係を秘密にした。ジョニーはバリンに対する忠誠心あるいは過去のギルダとの軋轢からか、ギルダに対しては冷淡な態度を取った。

一方ギルダは、ジョニーを無視しているのか当てつけているのか、カジノの客などに奔放な振舞いをする。ジョニーはバリンの部下として、バリンの妻であるギルダを監視する。

バリンは二人の関係に、少しずつ気がついて行く。バリンが「ジョニーを苦しめた女の不幸を願って」と音頭をとって三人で乾杯した。その後、バリンがギルダに「(ジョニーを)知っていたな」と言うと、ギルダは「ジョニーのことなら嫌いよ」と言って、むしろ過去の関係を暗に認める。

◆ タングステン

カジノに来ている一人の客がバリンの部屋に入ってきて抗議しに来る。ジョニーが見ている。不穏な雰囲気。その男は出ていき、バリンも出ていこうとするが「危険だ、俺が見てくる」と言って引き留めた。注、引き留めたのは、実は他の男と遊んでいるギルダを見せたくなかったためもある。

抗議の男はバーで飲んでいたが、バリンが下りてくると拳銃の引き金を引いた。が命中しない。その後に男は拳銃で自殺する。この事件をオブレゴンが見ている。ジョニーが「賭博で負けたせいだ」と言うがオブレゴンは「賭博?」と疑問を呈する。

実はバリンのカジノ経営は表向きの偽装。バリンはタングステンを扱う会社を経営しており、同業者とカルテルを結んでいる。先ほどの自殺者は、バリンが彼の会社にタングステンを卸さないことに抗議したものであった。注、その代わりにその男にカジノで不正に儲けさせていた。

バリンはジョニーを自室に招き入れて金庫の開け方を教えた。「私に何か起きた場合は、この中の書類と指示書を見ろ」。バリンはジョニーにタングステンの事業について説明した。「戦略的物資を操るものが世界を支配する」。

◆ バリン失踪

カーニバルの日。ジョニーの前に二人のドイツ人が現れた。「マンスンに用事がある」。ジョニーが相手を怪しんで拒否すると、拳銃を取り出して銃口向けた。「電話をかけろ」。バリンに「ドイツの友達が」と知らせる。バリンは「一時間後に家に、そして君はすぐに家に来い」。

バリンは、ギルダとジョニーをカーニバルの会場(バリンのカジノ)に行かせる。二人は会場で仮装をしてダンスをする。

ギルダと離れて会場を見回っているとオブレゴンも会場をうろついている。ギルダは誰かと外に出たようである。

会場の中で例のドイツ人(の一人)が倒れた。上の階のブラインドの陰から撃たれた。ジョニーが上の階に行くとバリン。ジョニーがバリンを追及する。バリンは「ギルダを家に連れて帰れ」。ジョニーは食い下がるがバリンは命令する。

ジョニーは(いつものように他の男といるので)ギルダを何とか拾ってバリンの自宅に向かう。この後ジョニーはギルダに「(屋敷から)出ていけ」と言い放つ。「(ジョニーと)二人で?」「いや一人だ」。ギルダは近寄ってくる。唇を合わせようとする。二人はキス。バリンが見ていた気配。階段を見るとバリンが立ち去る後ろ姿。

バリンは車に乗って走り去った。ジョニーが追いかける。オブレゴンも追いかける。

バリンは飛行場に着いた。飛行機が飛び立った、しかし飛行機は海上に出た後に墜落した。注、オブレゴンもジョニーも知らないが、実は飛行機の墜落は偽装でバリンはボートに乗り換えている。我々だけが知っている。

ジョニーは金庫を開けて書類を取り出した。金庫の中にはカルテル関連書類や遺言書が入っていた。遺産はギルダに譲られることになっており、執行人はジョニーとなっていた。 そして書類を見た後にまた金庫にしまう。

◆ モンテヴィデオ

ジョニーとギルダは結婚した。ジョニーはカジノ(とタングステンの事業)を手に入れた。

ギルダは「誰よりもあなたを信じている」「やっと以前の二人に戻れたわね」と言ったが、ジョニーは許さなかった。ギルダの部屋にバリンの写真を飾った。ギルダに監視をつけた。ギルダを無視し、自宅に帰らなかった。

「私よ。妻のギルダよ。覚えてる?」「やっと思い出した」「思っていたのはあなただけよ」「忘れてる男がいるだろ!」「いないわ」「嘘をつくな」「またイカレタ男(=ジョニー)と結婚したわ」と激しい応酬が展開された。

「二人で話したい」という人物が現れた。先般のドイツ人の一人。マンスンが持っていた特許の権利を主張する。三年前にアルゼンチンのドイツへの宣戦を予測し、マンソンと契約した。終戦になったら戻す契約だった。「契約書がない」「紳士協定だ」「マンスンは紳士ではない」。その話を蹴った。

ギルダは適当にいろいろと男を漁ったが、彼らはジョニーの部下に呼び出されて、二度とギルダの前に姿を現さなかった。

それでギルダは(ウルグアイの)モンテヴィデオに脱出してクラブ歌手となった。ギルダの歌と踊りは客を魅了した。注、リタ・ヘイワースは両親がダンサーで自身もダンスのプロ。

ギルダはクラブで知り合った弁護士にジョニーとの離婚について相談した。弁護士は「離婚するためには夫の承諾が必要」と言い、ギルダは渋ったが弁護士とギルダは戻ってきた。

宿泊先のホテルの部屋に入った。だがその部屋にはジョニーがいた。ギルダは騙されたことに気がつく。ギルダは泣き崩れた。

◆ バリン出現

戻ったギルダはジョニーに見せつけるように店で踊り歌った。ジョニーは、ギルダの行動を無視していたが、ギルダの気持ちは分かっているので、そのうちにギルダを許すようになった。そして二人は和解した。

オブレゴンが「ドイツ人を逮捕した」「特許書類や契約書を出せ」「反トラスト法違反だ」と迫った。ジョニーが応じないと「違法カジノ営業容疑で逮捕する」。注、オブレゴンは、今まではカジノの違法性については目つぶると言っていた。

ジョニーは金庫の開け方をオプレゴンに教えた。ジョニーは店に向かった。ギルダとピオが話している。ギルダはアメリカに戻るつもり。注、ギルダはピオと(性的な関係ではなく)わりと仲が良い。

ジョニーが現れた。ギルダはジョニーに「一緒に行きたい」。ジョニーもギルダとともにアメリカに戻ることにする。

しかしここでバリンが現れた。「しばらく身を隠していただけだ」。二人を射殺しようとした。その時ピオがバリンの杖の針でバリンを刺殺。

オブレゴンが現れた。ジョニーとピオはバリンを殺したことをかばいあった。しかしオブレゴンは「バリンは三か月前に死亡している」として、刺殺事件自体を問題にしない。

ジョニーとギルダは、アメリカに向かって出発する。
 


■ 蛇足

ギルダがジョニーに微妙な雰囲気で「言ってみただけ」と言う場面が二回ある。
1.「ドアを閉めれば興奮を締め出せる」「なんだそれは?」「言ってみただけ」
2.「すごく静かね、私たち、二人きりよ」「だから何だ?」「言ってみただけ」

タングステンのカルテルのレベルのものを一介の刑事が追及するのは変。

バリンがいったん姿を消しても後で復帰するつもりならば、ジョニーに金庫の開け方を教えるのは変だが、そこは無視。
 


■ 出演作

リタ・ヘイワース
(1939)コンドル/Only Angels Have Wings
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)ギルダ/Gilda
情炎の女サロメ/Salome(1953)
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
上海から来た女/THE LADY FROM SHANGHAI(1947)
(1948)カルメン/The Loves of Carmen
旅路:シーズンオフの海辺のホテルで展開する人間模様/Separate Tables

グレン・フォード
(1941)掠奪の町/TEXAS
(1946)ギルダ/Gilda
(1953)復讐は俺に任せろ/The Big Heat
(1948)カルメン/The Loves of Carmen
(1951)脱獄者の秘密/The Secret of Convict Lake
(1953)地獄の道連れ/Appointment in Honduras
(1954)仕組まれた罠:人間の欲望/Human Desire
(1956)早撃ちガンマン:必殺の一弾/The Fastest Gun Alive
(1958)羊飼いの反撃/The Sheepman
(1947)身代わり殺人計画/Framed
(1939)アリゾナに土地を買って牧場を作る/Heaven with a Barbed Wire Fence