■ Blood and Sand
ファンは立派な闘牛士になることを夢見てマドリードへ向かった。
10年後「立派な闘牛士」へはまだ道半ばであったが、故郷に戻って幼馴染のカルメンと結婚した。
ファンはさらに精進してスペイン一の闘牛士となった。しかしここで金持ち女性との愛に溺れてしまった。
闘牛の腕は落ち、人気も下降状態、そして一番大事なカルメンのことも忘れた。
落ちるところまで落ちたが、カルメンの愛に気づき、最後の試合に臨んだ。


製作年:1941、監督:ルーベン・マムーリアン、脚本:ジョー・スワーリング、原作:ビセンテ・ブラスコ・イバニェス


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ファン・ギャラルド(タイロン・パワー) 闘牛士
 セニョーラ・アウグスティアス(アラ・ナジモヴァ) 母親
 エンカルナシオン(リン・バリ) 妹
 カルメン・エスピノーサ(リンダ・ダーネル) 恋人→妻
 マノロ・デ・パルマ(アンソニー・クイン) 知人/闘牛士
 ガラバト(J・キャロル・ナイシュ) 元闘牛士
 ドーニャ・ソル・デス・ミューア(リタ・ヘイワース) 金持ち女性
 ナタリオ・クーロ(レアード・クレガー) 闘牛の評論家

配役を見てみると、かなりの豪華キャスト。「血と砂」→ありがちな題名だな。でも内容はよい。

タイロン・パワー&リンダ・ダーネルの共演作は四作。他は「(1939)Day-Time Wife」「(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young」「(1940)快傑ゾロ/The Mark of Zorro」。

リタ・ヘイワースが登場すると突然に不穏な雰囲気が漂ってくるのだが、本作も例に漏れない。
 


■ あらすじ

◆ 闘牛士を目指してマドリードに向かった

スペイン、セヴィリア。ファンの父親は偉大な闘牛士だった。今は母親は掃除婦をして家族を養っている。

ファンはカルメンという女の子が好きである。二人ともまだ子供だが(本人たちは)真剣に愛し合っている。

ファンは闘牛士になるために、カルメンに別れを告げて、仲間四人とともにマドリードに向かった。

◆ 十年後故郷に戻って来てカルメンと結婚した

十年後ファンは闘牛士となって、列車で故郷を目指していた。

列車の中で新聞に自分の記事があるのを発見し、記事を切り取った。

ファンは酒場の楽団を雇ってカルメンの家に来た。恋の歌を演奏させながらカルメンを呼び出した。

すでにベッドにいたカルメンは、着替えて大急ぎで飛び出してきて、ファンに抱き着いた。

得意になって新聞記事の切り抜きを見せた。しかしカルメンは記事の内容を呼んで聞かせた。実はファンは文字が読めない。

記事はナタリオ・クーロという評論家が書いたもので、ファンの技量を酷評するものであった。

それを知ってファンはさらに努力・奮起を誓った。

二人は結婚した。ファンが帰郷したことで母親は掃除婦を止めた。

◆ さらに精進して立派な闘牛士になった

ナタリオには酷評されたが、それなりの収入があった。妹のエンカルナシオンと恋人に金を与えて、二人は店を開くことができ結婚もできた。

また元闘牛士で、今はホームレスとなっていたガラバトを雇った。

ファンの闘牛の技量は向上し、誰にでも厳しい評価をするナタリオさえも激賞した。

ファンはスペイン一のマタドールとなった。マタドール、闘牛の主役で、牛にとどめを刺す役目を負う。選ばれた闘牛士だけが許される。

◆ ドーニャに溺れる

ファンはいつものように華麗な技量を披露していた。それをドーニャ・ソル・デス・ミューアという金持ちに女性が観戦していた。

当然のことながらドーニャもファンの技量に感動した。

ドーニャはファンを支援するようになった。それが単に「金持ちが闘牛士を支援する」ということに留まっていれば、むしろ望ましいことなのだが、さらに個人的に付き合うということになれば、面倒なことになってくる。

ファンはドーニャに、いわば魂を奪われ腑抜け状態となった。

闘牛の訓練もせず、当然技量は落ちていき、人気は下降状態の真っ逆さま。

そして一番大事なカルメンのことも忘れてしまった。

それでもファンはドーニャに囚われていた。

人気はファンの幼馴染でもあるマノロ・デ・パルマに奪われた。

◆ 最後の勝負

ファンは落ちるところまで落ちた。

しかし最後にファンを救い出したのはカルメンである。ファンは目が覚めた。

ファンは最後の勝負に臨む。

この勝負でファンは偉大なマタドールであることを証明した。観客からは大きな拍手。

だがしかし、観客に向かって挨拶をしている時に、雄牛が最後の力をふり絞ってファンを突き刺した。ファンは倒れた。

ファンはカルメンに抱かれながら死んでいった。
 


■ 出演作

◆ リン・バリ
(1946)操られた目撃者/Shock
(1952)僕の彼女はどこ?/HAS ANYBODY SEEN MY GAL?
(1946)殺人夜想曲/ノクターン/Nocturne
(1943)ハロー、フリスコ、ハロー/Hello Frisco, Hello
(1934)美人探し/SEARCH FOR BEAUTY
(1941)裁判証人護送作戦/Sleepers West
(1941)血と砂/Blood and Sand

◆ アンソニー・クイン
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1957)舞い散った札束/断崖の河/The River's Edge
(1941)血と砂/Blood and Sand

◆ レアード・クレガー
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1940)美人モデル殺人事件/I Wake Up Screaming
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1943)ハロー、フリスコ、ハロー/Hello Frisco, Hello
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1941)血と砂/Blood and Sand

タイロン・パワー
(1939)地獄への道/Jesse James
(1941)血と砂/Blood and Sand
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1953)ミシシッピーの賭博師/The Mississippi Gambler
(1947)征服への道/Captain from Casile
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1942)激闘/ベンジャミンの復讐
(1951)私はあなたを忘れない/二つの世界に住む男/The House in the Square/I'll Never Forget You/Man of Two Worlds
(1948)幸福の森、アイルランドの妖精/The Luck of the Irish

リンダ・ダーネル
(1941)血と砂/Blood and Sand
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1948)殺人幻想曲/Unfaithfully Yours
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1944)明日起こったこと/It Happened Tomorrow
(1951)カジノで負けた女教師/The Lady Pays Off

リタ・ヘイワース
(1939)コンドル/Only Angels Have Wings
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
血と砂/Blood and Sand(1941)
(1946)ギルダ/Gilda
情炎の女サロメ/Salome(1953)
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
上海から来た女/THE LADY FROM SHANGHAI(1947)
(1948)カルメン/The Loves of Carmen
(1941)血と砂/Blood and Sand