Hangover Square

優秀な若手作曲家ジョージは、チャップマン卿の家で開催する演奏会を控えていた。これで成功すれば、さらに世界的に認められるはずである。
しかしジョージには、異常音を聞くと記憶が欠落し、その間に何をしたかが分からないという病気があった。最近はますますひどい状況となっている。
チャップマン卿の娘バーバラとは相思相愛の間柄ではあったが、酒場でネッタという歌手に会い彼女に惹かれる。バーバラが首を絞められる事件が発生した。
ネッタはジョージに曲を作らせて利用するだけで、他の男と付き合っていた。ネッタに指輪を持っていくが笑われた。
ネッタが死亡し、バーバラとの間も修復し、チャップマン卿の家で演奏会が始まったが、


製作:1945年 脚本:パトリック・ハミルトン 監督:ジョン・ブラーム


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

ジョージ・ハーヴェイ・ボーン(レアード・クリーガー) 作曲家
ヘンリー・チャップマン卿(アラン・ネイピア)
バーバラ・チャップマン(フェイ・マーロウ) ヘンリーの娘、ジョージの恋人
アラン・ミドルトン(ジョージ・サンダース) スコットランドヤードの医師
ネッタ・ロングトン(リンダ・ダーネル) 歌手
ミッキー(?) ネッタの店のピアニスト
エディ・カーステアズ(グレン・ランガン) 劇場プロデューサー

◆ 補足

時代は20世紀初頭、場所はロンドン。本作では作曲家ジョージが不協和音など異常音を聞くと精神状態がおかしくなる。これが何度か発生してストーリーの転換点になっている。

Hangoverは地名。

ガイ・フォークスは実在の人物。1570年4月13日~1606年1月31日。1605年の「火薬陰謀事件」に関係した。本作でなぜガイ・フォークスの人形を焼いているのかは不明。英語の「guy=男」は彼に由来する。
 


■ あらすじ

◆ ジョージは優秀な若手作曲家

ジョージ・ハーヴェイ・ボーンは将来有望な作曲家である。ヘンリー・チャップマン卿が主催する演奏会のために曲を作っている。

「演奏会が成功すれば、ジョージの今後は約束される」とチャップマン卿に言われている。またチャップマン卿の娘のバーバラとは相思相愛の中である。

◆ しかしジョージは病気

しかしジョージには気になることがある。このことについてはバーバラは知っているがチャップマン卿は知らない。

それは時々記憶が途切れてしまうこと。何らかの異常音を聞いたりすることがきっかけである。しかも最近は、記憶が途切れている間が次第に長くなってきている。

記憶が途切れている間は、自分が何をしているか分からない。極言すれば、その間に犯罪を犯していることもありえないわけではない。

フラム街で骨董商が殺害されて放火される事件が発生した。その時にジョージは、フラム街を記憶喪失の状態でさ迷っていた。

実はこの事件の目撃者がいる。それは我々。ジョージが骨董屋を殺害して放火するところを我々が目撃している。

バーバラと一緒にスコットランドヤードのアラン・ミドルトン医師に相談に行った。医師が調べた限りでは、骨董商殺害事件との関係は認められなかった。「あまりに仕事に集中しすぎないように」というアドヴァイスを受けた。

しかしジョージにとっては音楽は自分の人生すべてであり、受け入れられることではない。

◆ 歌手のネッタと知り合う

ジョージはクラブで歌っているネッタ・ロングトンという歌手と知り合った。

ネッタはジョージが作曲家であるとは知らなかったが、同じ店のミッキーに「将来有望な作曲家」と言うことを聞いた。

ネッタのためにミッキーが作った詞に曲をつけてネッタが歌うと非常に評判がよかった。おまけにその曲が高く売れた。

さらにジョージはチャップマン卿の演奏会のことは忘れて、ネッタのために曲を作った。しかしネッタはジョージを利用するだけであった。

バーバラに演奏会(注、チャップマン卿の演奏会とは別)に誘われたが断って、ジョージはネッタのために作曲した。

それをネッタに持っていったが、ネッタは楽譜を貰っただけで、別の男性のところに出かけた。

それを目撃したバーバラに諭されたが、ジョージは聞く耳を持たない。

家に戻る途中にガス管を運んでいた馬車が溝に引っかかって、ガス管が崩れ落ちて大きな音を立てた。

バーバラが自宅で首を絞められる事件が発生した。

◆ ネッタは殺された

ジョージは指輪を持ってネッタのアパートを訪ねた。しかしそこにはエディ・カーステアズがいて、「エディと結婚する」とネッタに言われて、二人にバカにされた。

ジョージは二人と喧嘩して自宅に戻った。

ネッタのために作成していた楽譜を見て、それを暖炉に投げた。その時に手元が狂ってピアノの上の物を床に落とした。大きな音がした。

これからはジョージの意識にはないことが展開する。

ジョージはネッタのアパートに侵入する。ちょうどカーステアズが出てきて、エレヴェーターに乗るところであった。ネッタはカーステアズを見送って自分の部屋に入った。

ジョージはヴェランダから回ってネッタの部屋に入った。

ジョージはネッタの死体を抱えて通りに出た。

通りでは、ガイ・フォークス・デイのデモが行われていた。多くの人がガイ人形を抱えて歩いている。広場に向かっている。ジョージもその中にいた。

広場では、ガイ人形を積み上げて、それに火をつける。ジョージもネッタの死体を積み上げた。ガイ人形の山に火がつけられた。

◆ ミドルトンに事件を追及された

さて、チャップマン卿主催の演奏会の日になった。もうジョージには迷いはなく、演奏会にでてピアノを弾くだけである。

ミドルトン医師が訪ねてきた。骨董屋殺害放火事件、バーバラ首絞め事件、ネッタ行方不明事件について追及する。直接の証拠はないものの、いくつもの状況証拠が挙げられる。

「スコットランドヤードに同行を」と言われる。ジョージは「今日は演奏会」と粘るが、結局、スコットランドヤードに行くことになる。

注、画面では表示されないが、ジョージはこのあと、ミドルトンを閉じ込めて演奏会に行く。

◆ 演奏会

オーケストラ、観客がそろい、チャップマン卿とバーバラも待っている。少し遅れたが、ジョージが入ってきた。

ジョージがピアノの前に座り、演奏が始まった。チャップマン卿が指揮棒を振る。オーケストラが合わせる。

演奏が続く。一つのドアが開いてミドルトンが入ってきた。他のドアからは刑事が入ってきた。さらに他のドアからも。

ジョージは演奏を続けた。しかし過去の事件のイメージが頭に浮かんできた。そのイメージが演奏の邪魔をした。まわりの人もジョージの異常に気がついた。

ジョージはバーバラに演奏を代わってもらって別の部屋に入った。

ミドルトンや刑事が部屋に入ってきて、ジョージを逮捕しようとした。

ジョージはランプを投げつけて逃げた。みんなはジョージを追いかけた。ランプの灯が燃え移った。火がどんどん広がった。

演奏会の会場では、火事となって観客や演奏者が逃げ出した。警察も人々の避難を優先した。

チャップマン卿もバーバラも外に避難した。

しかしジョージは戻って、燃えさかる炎の中で演奏を続けた。燃えつきるまで演奏を続けた。
 


■ 出演作

ジョージ・サンダース
(1940)レベッカ/Rebecca
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1942)ベンジャミンの復讐
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1945)ドリアン・グレイの肖像/The Picture of Dorian Gray
(1952)パリの記者とハンガリーのスパイ/Assignment - Paris
(1958)宇宙冒険旅行:地球から月へ/From the Earth to the Moon
(1944)夏の嵐/Summer Storm
(1951)シャーボイコ・ドレス/I Can Get It For You Wholesale
(1940)海外特派員/Foreign Correspondent
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1954)イタリア旅行/Journey to Italy/Viaggio in Italia

リンダ・ダーネル
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1948)殺人幻想曲/Unfaithfully Yours
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1944)明日起こったこと/It Happened Tomorrow
(1951)カジノで負けた女教師/The Lady Pays Off
(1954)私の愛と恨み/This Is My Love
(1940)怪傑ゾロ
(1951)戻ってきた男/The Guy Who Came Back
(1944)夏の嵐/Summer Storm
(1950)二つの国旗:南軍捕虜部隊が北軍に/Two Flags West
(1949)ハリケーン観測/Slattery's Hurricane
(1948)ジェリコの壁/The Walls of Jericho