南軍のクレイ・タッカーが指揮する部隊は戦いに敗れて捕虜収容所にいた。
「先住民と戦う」という条件で北軍に加わってソーン砦に来た。だがいろいろな軋轢があり、脱走を考えていた。
護衛した荷馬車の中に南軍の工作員がいて、南軍に復帰することを決めた。だがソーン砦が先住民の部隊に包囲されていると聞いて砦に向かった。
製作年:1950、監督:Robert Wise、脚本:Casey Robinson、Frank S. Nugent、Curtis Kenyon
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
クレイ・タッカー南軍大佐(ジョゼフ・コットン) →北軍中尉
ヘンリー・ケニストン少佐(ジェフ・チャンドラー)
エレナ・ケニストン(リンダ・ダーネル) ヘンリーの弟の妻、未亡人
マーク・ブラッドフォード大尉(コーネル・ワイルド)
エフライム・ストロング(ハリー・フォン・ゼル)南軍工作員
◆ 補足
「アメリカ合衆国/United States of America/USA」は北軍、「アメリカ連合国/Confederate States of America/CSA」は南軍。軍服は北軍が紺、南軍はグレイ。
なかなか豪華キャストだが、個人的にはジョゼフ・コットンとコーネル・ワイルドを入れ替えた方がよかった。ジョゼフ・コットンは名優だが、コーネル・ワイルドの方が好き。
ジョゼフが演じるのは(グレゴリー・ペックと同じく)いつも抑制されたキャラクタである。これが彼の持ち味ではあるのだが。「ジョセフ」の記述が多いようだが「ジョゼフ」が正しい。
ジェフ・チャンドラーは今回の役によく合っている。
リンダ・ダーネルは今回は普通の役だが、悪女もやるしマジメな役もやるしコメディもこなす。わりと万能の女優。だが41歳で死亡した。
■ あらすじ
◆ 捕虜収容所
1964年。南北戦争はすでに北軍有利の状況。
南軍第五ジョージア騎兵隊の生き残りの兵士はイリノイ州の捕虜収容所にいた。
リンカーン(合衆国)大統領は「南軍捕虜が先住民と戦うならば解放する」という布告を出した。
マーク・ブラッドフォード大尉は、この話を捕虜部隊の隊長クレイ・タッカー南軍大佐に話した。
タッカーは「連合国と戦わないならば」という条件で話を受諾した。
この話は捕虜たちの間で賛否を呼び起こしたが、ともかく話は決まった。
◆ ソーン砦
タッカーは北軍中尉となり、ブラッドフォードの引率で、彼らはニューメキシコ州ソーン砦に到着した。砦には兵士だけではなく、一般人も住んでいる。
その砦の隊長はヘンリー・ケニストン少佐。戦傷で足を引きづって歩いていた。
そのせいかケニストンは彼らに冷たい態度で臨んだ。また砦には戦死したケニストンの弟の妻エレナがいた。
エレナも夫を殺されたことで彼らを憎んだ。さらに夫が戦死した戦いをタッカーが指揮していたことを知ると憎悪に変わった。
エレナは故郷に帰るつもりであるが、長い間足止めをされている。そしてケニストンが死んだ夫にとって代わろうとしているのではないかと疑っている。
一方エレナはブラッドフォードと知り合いで、親しそうに話した。
◆ 脱走を計画
先住民部隊との戦いでタッカー配下の部隊とケニストンの間で齟齬が生じた。
さらに銃乱射の罪で有罪となった民間人二人の射殺を命じられたが、彼らは南軍の工作員であった。タッカーは抗議するが、二人は射殺された。
タッカーは部下を連れての脱走を計画する。
◆ エレナは砦に戻された
ケニストンはタッカーに荷馬車の護衛を命じた。タッカーの部隊は荷馬車とともに砦を出発する。ブラッドフォードも一緒。
だが荷馬車の中にエレナが潜んでいた。タッカーはエレナを発見したが、そのままにした。
さらに荷馬車の隊列の中には実は南軍工作員のエフライム・ストロングがいた。
ストロングは南軍をカリフォルニアに進軍させる計画を進めていた。ケニストンを信用させるために、エレナをソーン砦に送り返すように指示した。
荷馬車部隊を送り届けて、エレナは不満を漏らしたがソーン砦に連れて帰ることになった。
◆ ソーン砦は包囲された
タッカーの部隊が砦を離れていた間に、ケニストンは捕らえていた先住民のリーダーの息子を処刑した。
ここでストロングの使者からタッカーは南軍部隊に加わる指示を受けた。ソーン砦に戻る話はなしとなった。
ブラッドフォードを捕虜にして、部下に命じてソーン砦に護送した。
部下が戻ってきて、ソーン砦が先住民の部隊に包囲されていることを報告した。
これを受けてタッカーは部隊を再びソーン砦に向けた。
砦では兵士だけではなく、住民も銃を持って戦ったが、次第に状況は悪くなってきた。
到着したタッカーの部隊は包囲を突破して砦に突入して、先住民部隊と戦った。ここでブラッドフォードは死亡した。
日没が来て、先住民部隊はとりあえず撤退した。
◆ 先住民は撤退した
だが夜が明けたら、さらなる大部隊で攻撃を仕掛けてくる。
この事態にいたってケニストンは砦の門を開けて、一人で先住民の前に立ち、自分の命と引き換えに攻撃を止めるようにと提案した。リーダーの息子を射殺したのは自分の責任だからである。
先住民は和解して撤退した。ケニストンの死体が転がっていた。
ここで「南軍が降伏し連合国が消滅した」との伝令が届いた。タッカーとエレナも和解した。
■ 出演作
◆ ジェフ・チャンドラー
(1950)折れた矢/Broken Arrow
(1954)ヤンキー・パーシャ/Yankee Pasha
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers
(1951)南海の劫火、極楽鳥/Bird of Paradise
(1951)激闘の大砂漠:野生の黒馬/FLAME OF ARABY
(1952)謎の海賊/Yankee Buccaneer
◆ ジョゼフ・コットン
(1941)市民ケーン/Citizen Kane
(1944)ガス燈/Gaslight
(1944)恋の十日間/I'LL BE SEEING YOU
(1949)第三の男/The Third Man
(1950)旅愁/September Affair
(1953)ナイアガラ/Niagara
(1964)ふるえて眠れ/Hush... Hush, Sweet Charlotte
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77
(1953)殺人の青写真/Blue Print For Murder
<1950)追いつめられた男/Walk Softly, Stranger
(1943)恐怖への旅/Journey into Fear
(1956)殺し屋は放たれた/The Killer Is Loose
(1958)宇宙冒険旅行:地球から月へ/From the Earth to the Moon
(1958)黒い罠:凄腕の警部/Touch of Evil
(1943)疑惑の影:二人のチャーリー/Shadow of a Doubt
◆ コーネル・ワイルド
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1948)深夜の歌声/Road House
(1952)剣豪ダルタニアン/At Sword's Point
(1945)魔法のランプ/Magic Lamp
(1952)カリフォルニア征服/California Conquest
(1954)怒りの刃/Passion
(1947)ホームストレッチ、美女の迷いと競馬/The Homestretch
(1942)人生が始まる夜/Life Begins At Eight Thirty
(1955)ビッグ・コンボ:刑事の執念とギャングの反撃/The Big Combo
◆ リンダ・ダーネル
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1948)殺人幻想曲/Unfaithfully Yours
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1944)明日起こったこと/It Happened Tomorrow
(1951)カジノで負けた女教師/The Lady Pays Off
(1954)私の愛と恨み/This Is My Love
(1940)怪傑ゾロ
(1951)戻ってきた男/The Guy Who Came Back
(1944)夏の嵐/Summer Storm