リンダ・ダーネルの生誕百年。リンダは(本作のように)悪役ないしは男性を惑わすような役が目立ってはいるが、善人役、マジメな役、コメディなどなんでもこなす女優である。出演作はわりと多い。 リンダは41歳で火災で死亡した。タバコの火の不始末?と言われている。残念。
フェドール・ペトロフ判事はナデナ・カレーニンと婚約していた。
知人のヴォルスキー伯爵の屋敷に滞在していた。夏の嵐の夜、オルガという女性を見かけた。フェドールはオルガに引き付けられた。
映画男優リスト、 映画女優リスト、 長生きした俳優、結婚・離婚回数が多い俳優、共演回数が多い男優&女優、子供が多い女優
製作年:1944、監督:Douglas Sirk、脚本:Rowland Leigh、原作:The Shooting Party(Anton Chekhov)
■ はじめに
登場人物(キャスト)
◆ 1912年登場人物
フェドール・ペトロフ判事(ジョージ・サンダース)
ナデナ・カレーニン(アンナ・リー) フェドールの婚約者
ヴォルスキー伯爵(エドワード・エヴェレット・ホートン) フェドールの友人
アントン・ウルベニン(Hugo Haas) ヴォルスキーの簿記係
クララ・ヘラー(Laurie Lane) ヴォルスキーのメイド
クズマ(Sig Ruman) 樵、オルガの父親、ヴォルスキーの使用人
オルガ・クズミニチナ(リンダ・ダーネル)
◆ 1919年、登場人物
ヴォルスキー元伯爵(エドワード・エヴェレット・ホートン)
ナデナ・カレーニン(アンナ・リー) 出版社社長
フェドール・ペトロフ元判事(ジョージ・サンダース)
◆ 補足
本作はアントン・チェーホフの原作。
ジョージ・サンダースは悪役は少ないが、わりと冷徹な役を演じる男優である。友人(デヴィッド・ニーヴン)に「65歳で自殺する」と宣言していたようである。そして実際に65歳で自殺した。
■ あらすじ
◆ フェドール・ペトロフの原稿
革命が成功してウクライナ人民共和国のハリコフ。1919年。
ナデナ・カレーニンは昔の婚約者フェドール・ペトロフ元判事と一緒に出版社を経営している。
ナデナを昔の知人ヴォルスキー元伯爵が訪ねてきた。
ヴォルスキーはフェドール・ペトロフが書いたという原稿を渡した。フェドールがいるとは知らない。
ナデナは渡された原稿を読み始めた。以下は原稿の内容。
◆ オルガとの出会い
1912年の夏。黒海沿岸のハリコフ郊外のリゾート地。
フェドール・ペトロフ判事はナデナ・カレーニンと婚約していた。
知人のヴォルスキー伯爵の屋敷に出かけて過ごしていた。ある嵐の夜。注、これが題名の由来。
屋敷の見晴らし台で、オルガという女性を見かけて、その美しさに魅了されてしまった。
◆ オルガは結婚したが、
オルガはヴォルスキーの屋敷のキコリのクズマの娘で、ヴォルスキーの簿記係のアントン・ウルベニンと結婚することになっていた。
オルガはアントンを愛しているわけではない。少しでも貧困から逃れたいからである。
しかしオルガとフェドールは密かに愛し合う仲になった。
ナデナはフェドールとオルガが木陰でキスをしているところを見た。ナデナはフェドールとの婚約を解消した。
◆ オルガの行動
しかしオルガが、さらにヴォルスキーとも関係を持っていることが判明する。
ヴォルスキーの宝石が盗まれる事件が発生した。フェドールは犯人がオルガであると突き止めるが、ヴォルスキーは信用せずにアントンが犯人であると考えた。
オルガはアントンが自分を殴りつけたと訴えてヴォルスキーの同情を誘う。
オルガはヴォルスキーに結婚を提案する。オルガの動機は愛情ではなく裕福になれるからである。
そのようなオルガを見ていても、フェドールはオルガに惹かれていた。オルガは「ヴォルスキーと結婚しても、二人の関係は続けられる」と途方もないことを言う。
◆ オルガが刺された
ヴォルスキーのメイドのクララは水浴をした後、小屋の中で着替えをしていた。
小屋の壁のスキマから水辺が見えている。そして男性の両手が現れる。その手にはナイフが握られている。男性はナイフを水で洗っている。
そしてナイフで刺されて意識を失っているオルガが発見された。
◆ オルガが死亡した
我々には、ナイフを洗っていた男性はフェドールであると暗示される。
フェドールは教会で久しぶりにナデナに会った。フェドールは自分がしたことを告白しようとするが躊躇してしまう。
オルガの容態は悪化した。
判事としてフェドールはオルガに事情を聴取した。しかしオルガは誰が犯人であるかを喋らず「犯人を許す」と言う。
オルガは死亡した。
◆ クララの証言
さてオルガを刺した犯人としてアントン・ウルベニンが逮捕されて裁判にかけられた。
アントンには窃盗癖の他に(オルガに対する)虐待の容疑があった。そしてオルガの浮気に対する恨み。動機は十分にあった。
クララが証言台に立った。クララは自分が目撃したナイフを洗っている手について喋ろうとした。
その手には指輪があった。そしてその指輪がフェドールがしているものと同じであることに気がついた。
クララは指輪のことについては証言せず、あいまいな言葉を述べた。
実はクララはフェドールが好きだったからである。
ここでもフェドールは思い切って自分の罪を告白しようとするが、前と同じようにやはり躊躇してしまう。
アントンは有罪となって、シベリアの塩田送りとなった。
◆ フェドールは射殺された
ナデナは原稿を読み終わって真相を知った。もしフェドールが罪を償うならば、また元の関係に戻ることができると考える。
ナデナはフェドールに原稿を渡して、当局に送付するように言った。
フェドールは外に出て郵便ポストの前に立った。この原稿が当局に渡れば、自分は投獄される。
ポストの口に原稿を半分入れたところで迷いが生じた。
ここで女性が郵便を投函しに来た。原稿をポストに押し込んで、自分の郵便を入れた。
フェドールはその場にしばらく立っていた。
郵便局員が来て郵便をポストから取り出してバッグに入れた。
フェドールは郵便局員から原稿を奪い取ろうとしたが、たちまち警官が駆けつけた。
フェドールは逃げ出したが、警官によって射殺された。
■ 出演作
◆ ジョージ・サンダース
(1940)レベッカ/Rebecca
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1942)激闘/ベンジャミンの復讐
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1945)ドリアン・グレイの肖像/The Picture of Dorian Gray
(1952)パリの記者とハンガリーのスパイ/Assignment - Paris
(1958)宇宙冒険旅行:地球から月へ/From the Earth to the Moon
◆ リンダ・ダーネル
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1948)殺人幻想曲/Unfaithfully Yours
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1944)明日起こったこと/It Happened Tomorrow
(1951)カジノで負けた女教師/The Lady Pays Off
(1954)私の愛と恨み/This Is My Love
(1940)怪傑ゾロ
(1951)戻ってきた男/The Guy Who Came Back