■ The Spoilers
ロイ・グレニスターはアラスカ・ノームで金山を経営している。
しかし当地に来た監督官アレックス・マクナマラに「所有権に疑義がある」と言われ、とりあえず管理権をはく奪された。
その後の裁判で所有権が否定された。しかしアレックス・マクナマラたちは詐欺団であることが判明した。
製作年:1955、監督:ジェシー・ヒッブス、脚本:オスカー・ブロドニー、チャールズ・ホフマン、原作:レックス・ビーチ
■ はじめに
登場人物(キャスト)
チェリー・マロット(アン・バクスター) 酒場経営者
ダッチェス(ルース・ドネリー) チェリーのメイド
ブラッキー(レイ・ダントン) チェリーの部下
ロイ・グレニスター(ジェフ・チャンドラー)マイター鉱山の共同経営者、チェリーの恋人
デクストリー(ジョン・マッキンタイア) マイター鉱山の共同経営者
アレックス・マクナマラ(ロリー・カルホーン) 鉱区監督官
スティールマン判事(カール・ベントン・リード)
ヘレン・チェスター(バーバラ・ブリトン) スティールマンの姪
ギャロウェイ(-)
デクストリーとチェリーは(男女の関係ではなく)仲が良い。
本作には原作があり、本作以外にも映画化されている。
場所はアラスカ。アラスカが舞台の映画はめずらしい。私が知っている範囲では「(1953)四人姉妹/Those Redheads from Seattle」がある。こちらはアラスカでも奥地。出演はロンダ・フレミングなど。最初に放火と殺人事件があるが、歌と踊がいっぱいで、なかなか楽しいストーリーである。
■ あらすじ/全体
◆ アラスカ・ノーム
1899年、アラスカ・ノーム。アラスカと言っても南部ではなく、ベーリング海峡のすぐ向こうにユーラシア大陸が見える場所である。
この近くに金鉱が発見されて多数の人々が押し寄せてきた。
マイター鉱山をデクストリーと共同所有しているロイ・グレニスターは用事を片づけてノームに戻って来た。ノームには港がなく船は沖合に停船してボートで上陸する。
ここでロイは、当地で酒場を開いている恋人のチェリー・マロットとちょいとトラブった。これは「あらすじ/チェリー」で後述。
マイター鉱山は海岸から少し奥に入ったところにあって、鉱山に通じる鉄道が引かれている。
◆ 金の採掘方法
鉱山では多数の作業者が働いている。「金鉱」と言えば、金の塊が転がっているように表現している映画もあるが、実際には金は塊では存在しない。金のきわめて細かい粒が土壌の中に混じっているだけである。
この粒を手作業で取り出すのは不可能である。金粒が含まれた土を水の流れの中に通して比重の差を利用して金粒を取り出す。作業員たちは、山を切り開き土塊を手押し車で濾過装置まで運ぶ。このような作業を行っている。
話しはそれるが「(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It」では、川から吸い上げた水を放水銃で、木を切り倒した山に放水する。流れ出た泥流を濾過装置に流し込むという大規模な方法を使っている。
また「(1941)無法地帯/BADLANDS OF DAKOTA」では、個人レヴェルで小さな濾過器を手作業で運用している。
◆ 鉱区の所有権争い
ロイと一緒の船でスティルマン判事とその姪のヘレン・チェスターも到着した。
彼らの前に鉱区監督官のアレックス・マクナマラが当地に来ている。
マクナマラと数人はマイター鉱山に来て書類を見せて「所有権に疑問がある」と主張した。ギャロウェイという人物が鉱山の所有権を主張しているという。
そしてマクナマラが当面の間マイター鉱山を管理するという。
デクストリーはライフルを構えて怒ったが、ロイがデクストリーを押さえた。作業者たちも怒った。
その後、マイター鉱山にはギャロウェイ配下の作業員が入り込んだ。元の作業員たちは町に来て酒を飲んでいる状態。
◆ 裁判
この件は裁判となった。当地には常設の裁判所はない。スティルマン判事が裁判を管轄した。
ロイやデクストリー、鉱山の作業者たちはもちろん、チェリーなど町の人々も裁判に詰めかけた。
相手側関係者としてアレックスも来ている。
裁判の結果、ギャロウェイの権利が認められた。
マイター鉱山の関係者は怒って暴動を起こさんばかりの状態になったが、警官隊が銃を構えて抑えた。
◆ 彼らは詐欺師だった
その後、マイター鉱山の金庫から八万ドルがなくなっていたことが判明した。
さらにマクナマラ、スティールマンは詐欺師であると判明。
ロイ、デクストリー、作業者たちは、列車に乗り込んでマイター鉱山に向かった。
敵も武装して待ち構えており、激しい銃撃戦となった。注、この時マクナマラは町にいる。「あらすじ/チェリー」を参照。
しかしロイが脇に回って忍び込み、保管されていたダイナマイトを爆破して戦いを制した。
ロイは町に向かった。
■ あらすじ/チェリー
チェリーの酒場は(本作は西部劇ではないが)西部劇によくあるように、酒場の二階がオフィスや経営者の住居になっている造りである。
◆ ヘレン・チェスター
チェリーはロイが戻ってきて迎えにいく。しかしロイはヘレンを抱えてボートから下りてきた。
さらに雪解けでヌカルミと化している町の道路をヘレンを抱えて歩いた。ちなみにチェリーはヌカルミをスカートを上げて歩いた。
これに頭に来たチェリーは、ロイが訪ねて来てキスをしようとするが拒否する。
一回目はロイの脛を蹴とばし、次はロイの顔をひっぱたいた。
ヘレンとはことあるごとに睨み合い状態となった。
◆ アレックス・マクナマラ
ロイとは上記の状態。その間隙を突いてマクナマラがチェリーに誘いをかけてくる。
チェリーも本気ではないが、それらしい応答をする。
しかしマクナマラが詐欺師であると判明する。
ロイたちは鉱山に向かう。マクナマラもロイたちと戦うために鉱山に向かおうとする。
ここでチェリーは、マクマナラに色目を使って引き留めた。マクマナラは、これに引っかかってしまう。
まだマクナマラが行こうとするので、メイドのダッチェスに合図し、ダッチェスが気絶した振りをして引き留める。
◆ 最後の大格闘
結局マクナマラは、鉱山での戦いには参戦しない。
鉱山での戦いに勝ったロイが戻ってくる。ロイがチェリーの部屋に突入してくる。
二人は壮絶な殴り合いをする。殴り合いは酒場の二階から一階に下りて、さらに酒場の外にまで及ぶ。
雪解けの影響で外はヌカルミ状態。その中で二人は殴り合う。
最後にヌカルミの中でロイはマクナマラを倒す。
チェリーがロイに駆け寄って、泥だらけの顔にキスする。
◆ 階段の手摺
チェリーは酒場の二階から一階に下りるときに、階段の手摺を滑り台にして下りる。
■ 出演作
◆ ジェフ・チャンドラー
(1950)折れた矢/Broken Arrow
(1954)ヤンキー・パーシャ/Yankee Pasha
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers
◆ ロリー・カルホーン
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1955)暴力には暴力だ!/The Spoilers
<1947)冒険の島/Adventure Island/The Ebb Tide
(1954)止まった銃弾/A Bullet Is Waiting
(1950)帰ってきた男/Return of the Frontiersman
◆ バーバラ・ブリトン
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1946)新モンテ・クリスト/The Return of Monte Cristo
(1945)海賊キッド/Captain Kidd
(1948)奪われた銃弾/Loaded Pistols
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers
◆ アン・バクスター
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1953)青いガーディニア/The Blue Gardenia
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House
(1956)十戒/The Ten Commandments
(1953)私は告白する/I Confess
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE
(1952)ポーカー・フラットの追放者/The Outcasts of Poker Flat
(1946)地獄から来た天使/肩の上の天使/Angel on My Shoulder
(1948)幸福の森、アイルランドの妖精/The Luck of the Irish(1944)婚約者の陰謀/スカートの中の悪魔/Guest in the House/Satan in Skirts
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers