弁護士志望のジュリアは郡検事のデイヴを尊敬していた。しだいに尊敬は愛情に転化した。
ジュリアはカンザス市に行って勉強し資格を取得した。いったんは故郷に戻ったが、既婚のデイヴのことを考慮し、またカンザス市に行った。
マージョリーという少女が男に襲われてスコップで殴り殺した。マージョリーはジュリアの元に行った。
裁判が開かれてデイヴが弁護をしたが、途中でデイヴは撃たれて病院に入った。デイヴの後をジュリアが引き継いだ。
製作年:1948、監督:John M. Stahl、脚本:Lamar Trotti、原作:Paul Wellman
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
デイヴ・コナーズ(コーネル・ワイルド) 郡検事 → 弁護士
ベル・コナーズ(アン・ドヴォラク) デイヴの妻
ダンハム夫人(マージョリー・ランボー) ベルの母親、同居
タッカー・ウェッジ(カーク・ダグラス)
アルジェリア・ウェッジ(リンダ・ダーネル) 妻
ジュリア・ノーマン(アン・バクスター) →弁護士
ジェファーソン・ノーマン(ヘンリー・ハル) ジュリアの父親
マージョリー・ランサム(コリーン・タウンセンド)
◆ 補足、感想
まず一見して豪華キャスト。デイヴは妻の母親と同居しており(サザエさんの)マスオさん状態。後に別居。
リンダ・ダーネルとアン・バクスターは同じく1923年生まれだが、ジュリアはアルジェリアと比較してずいぶん幼く見える。
見ると分かるが、主人公はジュリアである。ウェッジの件はなくてもストーリーは成立する。しかしそれでは、ストーリーが単純すぎるだろう。本稿の解説ではウェッジ関連のことは省略している。
場所は題名にあるようにジェリコということだが、調べるとアメリカにはジェリコという町は20か所程度もある。本作のジェリコはカンザス州。なぜ分かるかと言えば、ジュリアがデイヴに送った電報宛先から。しかし実際にはカンザス州にはジェリコはなさそうである。
ジュリアはカンザス市に行く。カンザス市はカンザス州とミズーリ州にあるが、両州の境界ににある一つの都市。もちろん行政組織としては別。
時代はタフト大統領が出てくるので1910年くらい。
デイヴは「Attorney」。普通は「弁護士」だが、地方検事もDiscrict Attorneyと言う。デイヴは最初は「County Attorney=郡検事」だが、後に個人事務所を開いて弁護士になる(らしい)。
デイヴとジュリアは愛し合ってはいるが性的関係はない。ジュリアは「あなたは私の人生の中心」と言う。アルジェリアもデイヴが好きである。持てるな。
ウェッジ家には自動ピアノがある。
■ あらすじ
◆ デイヴ・コナーズ
デイヴ・コナーズはベルと結婚していてベルの母親と同居している。
しかし二人の間はうまくいっていない。バーティがあった時などは、デイヴだけが出席している。
◆ ジュリア・ノーマン
ジュリア・ノーマンはデイヴを尊敬している。尊敬が転化してデイヴを好きなようである。
ジュリアは弁護士の資格を取るためにカンザス市に行って勉強する。
折に触れてジュリアはジェリコに帰ってくる。
◆ タッカー/アルジェリア・ウェッジ
デイヴの知り合いのタッカー・ウェッジはアルジェリアと結婚した。
実はアルジェリアもデイヴが好きなようであったが、タッカーと結婚することになった。
したがってアルジェリアはデイヴとタッカーを比較して考える。タッカーにはデイヴに勝ってほしい。
デイヴが上院議員に立候補すると言うので、タッカーにも立候補を勧める。
◆ デイヴは別居した
ジュリアは弁護士の資格を取得してジェリコに戻ってきた。
しかしジュリアはデイヴを愛しているとは言うものの、真面目な女性である。デイヴとベルの間に割り込むということは考えられない。
ジュリアはまたカンザス市に行って、そちらで仕事をすることにした。
デイヴはベルの家を出て別居し、また検事を辞めて弁護士になった。
◆ マージョリーは家出した
マージョリー・マンソンは家出をしようと決心した。真夜中、自宅の二階から飛び降りて駅に向かった。
列車はまだなので貨車の中に隠れて待った。
しかしそこに男が現れてマージョリーを襲った。
恐怖に駆られたマージョリーは近くにあったスコップを手にして殴り倒した。
その後マージョリーは貨物列車に乗って消えた。
新聞には男が死亡したことが報じられた。
◆ マージョリーはカンザスへ行った
デイヴの元にジュリアから電報が届いた。「すぐに私のところに来て」。
理由は書いていない。それがむしろ重大な用件であることを示唆していた。
デイヴが駆けつけると、ジュリアの部屋にマージョリーがいた。
マージョリーは取り乱して泣いているばかりである。
◆ 裁判
二人はマージョリーから事情を聴いた。法律家の二人は法律を無視するわけにはいかない。取り乱すマージョリーを説得した。
マージョリーは裁判にかけられた。弁護士はデイヴ、ジュリアはデイヴのサポートをした。
検事の鋭いあるいは意地悪な質問に対してマージョリーはシドロモドロであった。
◆ デイヴは拳銃で撃たれた
裁判の最中にデイヴの元に新聞が差し入れられた。
その新聞には、デイヴ、ベル、ジュリアの写真が載っており「ベルが離婚訴訟を起こした」との内容が書かれていた。
デイヴはベルの家を訪れた。デイヴの荷物が玄関先に置いてあった。そこにはアルジェリアも来ていた。
ベル、ダンハム夫人、アルジェリアはデイヴを睨みつけた。
ベルは興奮して喋った。隠し持っていた拳銃でデイヴを撃った。
デイヴは命は助かったものの、しばらく入院することになった。
◆ マージョリーは無罪となった
さてマージョリーの裁判。
デイヴの代わりにはジュリアしかいない。しかしジュリアはまだ経験不足である。
おかしなことだが、検事はマージョリーの件だけではなく、デイヴとジュリアのことも追求した。陪審員に印象操作をするためである。
ジュリアは緊張気味ではあったが、しっかりと弁論を展開した。
マージョリーは正当防衛で無罪となった。
◆ デイヴは回復した
裁判の結果が出た後、ジュリアは病院に行った。
待っていると医師が出て来て「面会できる」と言った。デイヴはやっと回復した。
■ 出演作
◆ カーク・ダグラス
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)過去を逃れて/Out of the Past
(1947)暗黒街の復讐/I Walk Alone
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1955)星のない男/Man Without a Star
(1951)刑事物語/Detective Story
(1949)三人の妻への手紙/A Letter to Three Wives
(1952)ビッグ・トゥリー:森の巨木の伐採/The Big Trees
◆ コーネル・ワイルド
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1948)深夜の歌声/Road House
(1952)剣豪ダルタニアン/At Sword's Point
(1945)魔法のランプ/Magic Lamp
(1952)カリフォルニア征服/California Conquest
(1954)怒りの刃/Passion
(1947)ホームストレッチ、美女の迷いと競馬/The Homestretch
(1942)人生が始まる夜/Life Begins At Eight Thirty
(1955)ビッグ・コンボ:刑事の執念とギャングの反撃/The Big Combo
(1950)二つの国旗:南軍捕虜部隊が北軍に/Two Flags West
(1949)仮釈放から逃亡へ/Shockproof
◆ リンダ・ダーネル
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1952)海賊黒ひげ/BLACKBEARD, THE PIRATE
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1948)殺人幻想曲/Unfaithfully Yours
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1944)明日起こったこと/It Happened Tomorrow
(1951)カジノで負けた女教師/The Lady Pays Off
(1954)私の愛と恨み/This Is My Love
(1940)怪傑ゾロ
(1951)戻ってきた男/The Guy Who Came Back
(1944)夏の嵐/Summer Storm
(1950)二つの国旗:南軍捕虜部隊が北軍に/Two Flags West
(1949)ハリケーン観測/Slattery's Hurricane
◆ アン・バクスター
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1953)青いガーディニア/The Blue Gardenia
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House
(1956)十戒/The Ten Commandments
(1953)私は告白する/I Confess
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE
(1952)ポーカー・フラットの追放者/The Outcasts of Poker Flat
(1946)地獄から来た天使/肩の上の天使/Angel on My Shoulder
(1948)幸福の森、アイルランドの妖精/The Luck of the Irish
(1944)婚約者の陰謀/スカートの中の悪魔/Guest in the House/Satan in Skirts
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers
(1952)妻の親友/My Wife's Best Friend
(1958)生きていた男/Chase a Crooked Shadow
(1954)カーニヴァル物語/Carnival Story
(1948)廃墟の群盗/Yellow Sky
(1955)悪徳:神学生と歌手/Bedevilled
(1942)ナチスからの逃亡:ドイツ占領下のフランス脱出/The Pied Piper
(1957)三人のあらくれ者/Three Violent People