■ THE ROBE
護民官のマーセラス(リチャード)がリオは次の皇帝になるはずのカリギュラとトラブルを起こしてエルサレムに左遷された。
任務でイエスを捕らえて処刑する。その後、民衆は「イエスが復活した」と噂した。
処刑前にイエスが着ていた赤い色のローブを偶然に手にしたところ、大きな衝撃が走った。それ以来マーセラスは変わってしまった。
マーセラスはキリスト教に帰依しローマに戻った。皇帝となったカリギュラの前に引き出された。恋人であったダイアナ(ジーン)と一緒に刑場に送られる。


製作年:1953、監督:ヘンリー・コスター、脚本:フィリップ・デューン、原作:ロイド・C・ダグラス


■ はじめに

◆ 登場人物
 マーセラス・ガリオ(リチャード・バートン) 護民官
 ガリオ元老院議員(トリン・サッチャー) マーセラスの父親
 ダイアナ(ジーン・シモンズ) マーセラスの幼馴染
 デメトリアス(ヴィクター・マチュア) ギリシャ人奴隷
 ティベリウス皇帝(アーネスト・セジガー)
 カリギュラ(ジェイ・ロビンソン) 後の皇帝

 ポンティウス・ピラト(リチャード・ブーン)
 ペトロ(マイケル・レニー) イエスの弟子
 ユダ(Michael Ansara) イエスの弟子、裏切り者

◆ 補足

ヴィクター・マチュアとジーン・シモンズを目当てに本作を見た。しかし、この二人の登場場面は比較的少ない。二人は歴史ものの映画にはよく出演していて適役。最後のダイアナの態度は圧巻である。

リチャード・バートンは有名俳優だが、私はオリヴィア・デ・ハヴィランドと共演の「(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel」しか見ていない。嫌いなわけではない。

この時代の映画にしては、画面が鮮明で満足。

ロンダ・フレミング出演の「(1960)奴隷の叛乱/Revolt of the Slaves」でもローマ帝国でのキリスト教の弾圧が描かれている。時代は本作より120年くらい後。

この時代の奴隷制度については知識がないのだが、本作でも「奴隷の叛乱」でも、奴隷とは言っても自由に行動している。この時代の奴隷制度がそうであったのか、単にストーリー展開のためにそうしているのかは、不明。
 


■ あらすじ

◆ マーセラスは左遷された

ローマ帝国、ローマ。ティベリウス皇帝の治世。

護民官のマーセラスは幼馴染のダイアナと町で偶然に再会した。美しく成長したダイアナは「小さい時に結婚する約束をした」と言った。

マーセラスは次の皇帝に決まっているカリギュラと奴隷の売買で競い、ギリシャ人のデメトリアスを買った。

これはカリギュラの恨みを買い、マーセラスはエルサレムに左遷された。デメトリアスも同行した。

◆ イエスを処刑した

マーセラスは総督のピラトより「神の子」を自称するイエスの処刑を命令された。

イエスは多くの人から尊敬を受けており守られていた。しかしイエスの弟子の一人であったユダの裏切りで捕らえられた。

イエスは十字架を背負わされて処刑場に歩かされた。多くの人が周りを囲んで一緒に歩いていく。

途中でイエスに鞭が打たれる様子を見て、思わずデメトリアスは駆け寄って、イエスを助けようとした。

イエスが着ていた赤いローブが落ちた。

イエスの処刑がなされた。周りで人々は泣いている。

◆ 赤いローブを手に入れた

マーセラスは良心の痛みを感じていた。その後、人々が「イエスが復活した」と不思議なことを言っているのを聞いた。

マーセラスは賭博で勝ってイエスが来ていた赤いローブを手にいれた。それを纏ってみたとたん、大きな衝撃を受けて打ちのめされ、ローブを投げ捨てた。

一方デメトリアスはイエスに帰依したようである。

マーセラスは心の平静を失ってローマに帰った。

◆ 再びエルサレムへ

マーセラスはダイアナと再会してお互いの心を確かめた。しかしカリギュラだけでなくティベリウスさえもダイアナに横恋慕していた。

マーセラスの話を聞いてティベリウスは再度マーセラスにエルサレムに行ってイエスとその運動を調査するように命じた。

マーセラスはデメトリアスと再会し、またイエスの教えを広めているペトロという漁師に会った。

マーセラスもイエスに帰依した。

◆ ラスト

ローマではティベリウスが亡くなり、カリギュラが皇帝となった。カリギュラはローマにも広がってきたキリスト教を厳しく弾圧した。

ローマにいたデメトリアスは捕らえられて拷問を受けた。

マーセラスはローマに戻ってなんとかデメトリアスを救い出したが、今度はマーセラスが捕らえられた。

マーセラスは大逆罪に問われ、カリギュラの前に引き出された。手には赤いローブを持っている。カリギュラの隣にはダイアナがいた。

マーセラスは、厳しく追及されたが断固として自分の信仰を告白した。

ダイアナも席を立ち、マーセラスと並び立った。「私の夫はマーセラス。私は夫と一緒に主の王国に行く」と宣言した。

二人は刑場に引かれて行った。
 


■ 出演作

ジーン・シモンズ
(1948)青い珊瑚礁/The Blue Lagoon
(1949)アダムとエヴリン/Adam and Evelyne
(1950)The Clouded Yellow
(1952)天使の顔/Angel Face
(1952)アンドロクレスと獅子/Androcles and the Lion
(1956)ヒルダ・クレイン/Hilda Crane
(1958)大いなる西部/Big Country
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1954)デジレ・クラリー/Desiree
(1954)セラーズ先生、こんにちは/She Couldn't Say No
(1953)聖衣、キリスト教弾圧/The Robe

◆ ヴィクター・マチュア
(1940)美人モデル殺人事件/I Wake Up Screaming
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1947)死の接吻/Kiss of Death
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1953)聖衣、キリスト教弾圧/The Robe
(1954)ディミトリアスと闘士/Demetrius and the Gladiators
(1954)エジプト人/The Egyptian
(1952)アンドロクレスと獅子/Androcles and the Lion