■ Big Country
ジムは牧場主の娘パットと結婚するために当地に来た。
当地では水源をめぐって二つの牧場が争っていた。これは感情的な対立にまで発展していた。
ジムはこの争いを見て、水源の所有者のジュリーに接触し、買い取る契約をした。しかしジュリーが誘拐された。


製作年:1958、監督:ウィリアム・ワイラー、脚本:ジェサミン・ウェスト、ロバート・ワイラー、ジェームズ・R・ウェッブ、サイ・バートレット、ロバート・ワイルダー、原作:The Big Country(ドナルド・ハミルトン)


■ はじめに

登場人物(キャスト)

 ジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック) ジム、パットの婚約者
 ジュリー・マラガン(ジーン・シモンズ) 学校教師、牧場経営

 ヘンリー・テリル(チャールズ・ビックフォード) 牧場主
 パトリシア・テリル(キャロル・ベイカー) パット、ジムの婚約者
 スティーヴ・リーチ(チャールトン・ヘストン) 牧童頭

 ルーファス・ヘネシー(バール・アイヴス) 牧場主
 バック・ヘネシー(チャック・コナーズ) ルーファスの息子
 レイフ・ヘネシー(チャック・ヘイワード) ルーファスの息子。
 


■ あらすじ

◆ 全体構図

本作は西部劇にはよくある水利をめぐる争いである。

水利はジュリー・マラガン所有の土地にある。ビッグ・マディと言う。ジュリーは学校教師であり、牧場も持っている。ジュリーには家族はいない(ようである)。少なくとも本作には登場しない。

その水利をテリル家とヘネシー家が貰っている。両家は、以前のいろいろなゴタゴタから対立しており、その一環としてビッグ・マディの水利を自分のものとしようとしている。

◆ 人間関係

パトリシア・テリル(パット)とジェームズ・マッケイ(ジム)は婚約している。テリル家の娘パットは、東部の学校に行っていた時にジムと知り合い、この度結婚するためにジムは当地に来た。

スティーヴ・リーチは、ヘンリー・テリルが子供の頃から育てた。今では牧童頭。そしてパットを好きである。

バック・ヘネシーはジュリーが好きである。ジュリーはなんとも思っていない。

パットとジュリーはわりと仲が良い。

◆ 位置関係

ビッグ・マディは当然ながら高い場所にある。しかしマラガン所有の牧場との関係は不明。

テリル家の牧場とヘネシー家の牧場は岩山がいくつも連なったフランコ谷を挟んでいる。

◆ 当時の牧畜業

当時の牧畜業は放牧であって、牛を草原に勝手に放して、そこに生えている草を食べさせるもの。

なので牧場とはいっても特に柵などはないのが普通である。そこで複数の牧場の牛が混在することもあるが、それは焼印で区別している。

また西部の未開の土地を農業者に無償で与えるホームステッド法が1861年に施行された。これによって南北戦争後に農業者が西部に押し寄せた。それで牧畜業者と農業者の争いが多発した。これも西部劇のテーマになっている。

◆ ジムが来た

ジムは当地に来たが、さっそくスティーヴに冷たい対応をされ、さらにヘネシー家の息子たちに喧嘩を吹っ掛けられた。しかしジムは抑制的な対応をした。

ヘンリー・テリルは、それに対して牧童を動員してヘネシーの牧場を襲撃し、ヘネシーの息子たちに復讐した。

またパットは、父親と同じくヘネシー家に敵意を抱いていた。ジムはヘンリーやパットの態度に合わないものを感じる。

◆ ジムはジュリーと契約した

ジムは、両家の間の問題を認識した。そしてジュリーと会った。

ジュリーは公正な人間であって、どちらにも不利にならないように、ビッグ・マディを維持していた。

ジムはジュリーにビッグ・マディを自分に売却するように提案した。しばらく考えた後、ジュリーはこれを受諾して契約書を交わした。

なぜジュリーが、この提案を受けたのかはかなり不思議であるが、ともかくそのような展開となっている。

◆ ジュリーは監禁された

バック・ヘネシーは、ジュリーを強引にヘネシー牧場に連れてきた。

一つは自分が好きなジュリーをものにするためである。ジュリーに迫るが、もちろんジュリーは相手にしない。

もう一つはビッグ・マディを手に入れるためである。契約書を出して、強引にサインを迫った。

ジュリーはサインをした。しかし先にジュリーはジムとビッグ・マディの売却契約を交わしており、これは無効である。ジュリーがジムとの契約のことを話さなかったのは不思議。

◆ バックとジムが決闘した

事態を察知したジムが駆けつけた。ジムが契約書を見せて、ビッグ・マディは自分が持っていることを証明し、さらに水利は自由に使えることを約束した。

だがバックは納得せず、ジムと決闘することになった。

バックの父親のルーファスは、テリル家と対決しているとはいえ、きちんとした人間で、二人に正当な決闘を要求し、特にバックに対して卑怯なことをしないように指示した。

二人は決闘したがバックが卑怯な行いをしたため、ルーファスはバッグを射殺した。

◆ フランコ谷での決戦

テリル牧場は牧童たちを集めて武装してヘネシー牧場へ向かった。先頭にはヘンリー。

両牧場の間に横たわるフランコ谷に差し掛かった。岩山が連なり、その間を細い道が曲がりくねって続いている。

その細い道の岩山の上にはヘネシー牧場の牧童たちが分散配置についている。いつでも攻撃できる体制である。

ヘンリーたちがある場所まで来たときに、前に太い材木を組み合わせた大きな柵が落とされた。ヘンリーたちは前に進めなくなった。

次にヘンリーたちの後方にも同様の柵が落とされた。

ヘンリーたちは二つの柵に挟まれた。この状態で岩の上から攻撃されれば全滅の事態となる。

◆ ヘンリーとルーファスが決闘

意を決したヘンリーは、前方の柵を乗り越えて前に出た。大きな声を張り上げて、ルーファスに呼びかけた。

ルーファスが前方に現れた。ヘンリーは決闘を呼び掛けた。

二人はライフルを構えて対峙する。どちらの側も二人の対決を見守る。

ルーファスの弾がヘンリーを倒した。両家の対立は終了した。

補足。他のレヴューを見ると「二人が相撃ちとなった」というものがある。しかし撃たれたのはヘンリーだけである。ちゃんと見てレヴューして欲しいとこである。

だがしかし個人的には、相撃ちとなった方がすっきりしているように感じる。
 


■ 補足

私はジーン・シモンズを目当てに本作を見た。だがこのようなストーリーなので、さほどは活躍しない。しっかりしたキャラクタなのは良かった。

グレゴリー・ペックは、さほど見たわけではないが、本作のような抑制されたキャラクタを演じている。グレゴリーの持ち味とも言えるし、若干物足りない感じもする。

グレゴリーの有名映画「ローマの休日」。実はジーンにオファーされたのだが、ジーンと契約していたハワード・ヒューズが断ったという経緯がある。

ジーンとしては、せっかくオファーされたのだから、受けたかったのではないだろうか?オードリー・ヘップバーンよりは断然良い。
 


■ 出演作

ジーン・シモンズ
(1948)青い珊瑚礁/The Blue Lagoon
(1949)アダムとエヴリン/Adam and Evelyne
(1950)The Clouded Yellow
(1952)天使の顔/Angel Face
(1952)アンドロクレスと獅子/Androcles and the Lion
(1956)ヒルダ・クレイン/Hilda Crane
(1958)大いなる西部/Big Country
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry

◆ グレゴリー・ペック
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1947)パラダイン夫人の恋/The Paradine Case
(1962)アラバマ物語/To kill a Mockingbird