■ The Clouded Yellow

ゲームキーパーのヒックがナイフで刺されて殺された。
ナイフの所有者でヒックとトラブっていたソフィーが疑われた。
ソフィーは恋人のデイヴィッドと逃亡し、外国に行こうとする。


製作年:1950、原作:ジャネット・グリーン、監督:ラルフ・トーマス


■ はじめに

The Clouded Yellowは珍しい蝶の一種。

登場人物(キャスト)
 デイヴィッド・サマーズ(トレヴァー・ハワード) 元スパイ
 ソフィー・マルロー(ジーン・シモンズ)
 ジョージ・マルロー(-) ソフィーの父親、本作当時死亡
 メアリー・マルロー(-) ソフィーの母親、本作当時死亡
 ジェス・フェントン(ソニア・ドレスデル) メアリーの姉妹
 ニコラス・フェントン(バリー・ジョーンズ) ジェスの夫
 ヒック(マクスウェル・リード) ゲームキーパー
 カール・シーザー(ジェラルド・ハインツ) デイヴィッドの元同僚
 ミンナ・シーザー(リリー・カーン) カールの妻

ジーン・シモンズがアクション系の映画に出演していたとは意外。ソフィーは大したアクションはしないが、それでもイスを投げつけたりはしている。日本語版はない(らしい)。

■ あらすじ

◆ デイヴィッド・サマーズ

イギリス。デイヴィッドはイギリスのスパイだったが、最後の仕事で失敗した後に解雇された。

その後、デイヴィッドはフェントン夫妻の別荘で蝶の標本を分類整理する仕事についた。

ニコラスは、趣味で多数の蝶の標本を集めている。それが日々増えている。

簡単な仕事ではないのだが生産的な仕事ではない。友人から紹介されてお情けでもらった仕事である。

◆ ソフィー・マルロー

そこにはジェスの姪のソフィがいた。内向型だが一風変わった女性。六歳の時に両親が殺された。ソフィーは母親のメアリーに抱かれた状態だった。

はじめて会った時ソフィは「お医者さんなの?」と聞いた。つまり自分の精神的な面倒を見るためかと思ったようである。

デイヴィッドはジェスがソフィーを厳しく注意するところを目撃した。一方ソフィーは血はつながっていないがニコラスが好きなようである。

デイヴィッドとソフィは、どちらかと言えばソフィーの主導権で付き合うようになった。ソフィは「私は独りぼっち」というのでデイヴィッドは「私もそうだ」と応じた。

◆ ヒック殺人事件

ヒックは、その屋敷にゲームキーパーとして雇われていた。ゲームキーパーとは、当地の森に住む動物たちの実態を把握し、増えすぎないように、また減らないように管理する仕事である。注、「ゲーム」とは狩猟のこと。

ジェスとヒックは付き合っていたのだが、ヒックは最近は冷めてきているようである。二人は激しく言い合っている。

逆にヒックはソフィーに言い寄っている。しかしソフィーは嫌いなようである。それでヒックはソフィーに意地悪をするようになった。ヒックはソフィーの髪の櫛を取って地面に投げ捨てた。

デイヴィッドがヒックから預かったジェスへの伝言を持ってきた。ジェスは怒った顔をして破り捨てる。

ある夜ソフィは寝つけず、コートを着て外に出て行った。それをデイヴィッドとジェスが(別々に)目撃した。

次の朝、別棟に住んでいるヒックの死体が発見された。死体は道路に倒れて、背中にナイフが突き刺さっていた。

ニコラ、ジェス、デイヴィッドは駆けつけた。ソフィは、その知らせを聞いて呆然としている。

そのあとデイヴィッドは、落ちていたソフィーの櫛を見つけた。

◆ ソフィーが疑われる

警察が来て捜査開始。関係者に事情聴取が行われた。

ソフィーが夜中に外に出たことは分かっており、ソフィーもそれを肯定した。しかし「誰にも会ってない。櫛を取りに行った。しかし見つからなかった。櫛は母親から貰った大事なもの」と主張した。

使われたナイフはソフィーのものであった。ソフィーもそれを認めた。そのナイフも母親から受け継いだもの。

補足。手紙を開けるために、ジェスがソフィーのナイフを使う場面がある。ナイフはそのままジェスの手元に残っていた。

いったんここまででソフィーへの聴取は打ち切られた。ソフィーはデイヴィッドに「私が殺したと思われている」と言った。

デイヴィッドは、見つけたソフィーの櫛をみせた。デイヴィッドはソフィーに「君を信用する」と言った。また「ロンドンの弁護士も知っている」。

夜になって、デイヴィッドとソフィーは話した。「ジェスが怪しい」とかいくつか話す。そしてなんと夜陰に紛れて二人は逃げ出す。

◆ 隠れ家

二人は店で朝食を取った後、いったん分かれる。デイヴィッドは昔の同僚と打ち合わせをした後、二人は落ち合った。

二人は船でニューキャッスルに到着した。降りてバスに乗る。バスを車が追跡している。

バスを降りる。新聞に事件がソフィーの写真付きで載っている。追跡してきた車に乗る。デイヴィッドの元同僚。

二人はある家に入った。カール・シーザーの家。妻のミンナは車イス乗っている。カールはデイヴィッドの昔の同僚のようである。

デイヴィッドは一人で出かけてある店に入った。「赤いキツネを欲しい」「オスかメスか?」「メス」と話してお互いを確認した。店主の娘のカイラを紹介された。

隠れ家に戻って、二人は隠れ家を出た。

◆ 二人は逃亡する

検問が行われている。二人は歩いている。カイラが現れて「パスポートはハイ・ウイング・カフェ(high-wing cafe)で」と耳打ちして立ち去った。

運河がある。ボートに乗って移動した。上陸して止まっていた車の配線をつないで、車に乗って移動する。かなり遠くまできた。

荒野の中の道路。車を捨てて歩いた。デイヴィッドは店に寄って食料を調達。注、ソフィーは顔が割れている。

湖のそばのベンチに座って食事をした。ソフィーは両親が殺された時の状況を話した。

子供たちの集団が通りかかった。二人は立ち上がって歩いた。バスに乗った。

しかし子供の一人が新聞のソフィーの手配写真に気が付いた。警察は非常線を張った。

二人はバスから降りて森に入っていった。ここでライフルを持った女性を見かけて二人は緊張するが無関係。

◆ 二人は脱出した

二人は森、草原、岩山、絶壁を歩いた。

警察はパトカー、バイク、ヘリコプターを動員した。多数の警官が並んで、しらみつぶしに捜索した。

次第に追い詰められて来た。

デイヴィッドは元スパイ。しかしソフィーはなんの訓練も受けてない女性である。このままでは捕まる。

待ち合わせ場所を決めて別れることにした。

デイヴィッドはソフィーのコートを持って川を渡った。歩いて行ってソフィーとの距離を確保した後、ケガをした振りをして倒れた。

警察に見つかりソフィーのことを聞かれた。「ここにはいない。立ち去った」。

デイヴィッドは担架で運ばれて車に乗せられた。車の運転手と見張りをやっつけ閉じ込めて逃げた。

◆ リヴァプールへ

湖のそば。ソフィーが待っているところにデイヴィッドが来た。

ソフィーはジェスに電話を掛けた。「なぜ電話したの?」「助けてほしいの。外国に行く」「それはまずいわ」「私は殺してない」。

「リヴァプールにいく」。そばでニコラスが聞いていた。

二人はバスでリヴァプールに向かった。

補足。ここで電話をする必要もないし、むしろ危険なのだが、このようなストーリーになっている。

リヴァプールに着いて、いくつか展開する。二人は安宿に入った。

デイヴィッドは出かける。ソフィーは自分の髪をハサミで短くする。男性に見せかけるため。注、全然男性には見えないけど。

デイヴィッドは男性用の服を買う。戻ってきて再びデイヴィッドは出かける。

◆ ニコラスが来た

デイヴィッドは刑事にいったん捕らえられるが巻いて逃げ出す。

ソフィーは男物の服を着て鏡を見ていた。突然男が入ってきた。ニコラス。

ソフィーは一瞬にっこりとしたがニコラスの表情を見て愕然とした。「両親を誰が殺したか分かったわ」。

ニコラスが襲い掛かってきたので、イスを投げつけて窓から逃げ出した。ニコラスは追いかけた。

◆ 屋根の上の逃亡劇

ソフィーは、駅のそばの倉庫街に逃げ込んだ。荷物のトレーラーに隠れて逃げる。倉庫の中を逃げ回る。ニコラスは執念深く追いかけてくる。

ソフィーは梯子を上って倉庫の屋上。ニコラスも追いかける。下からは警官隊とデイヴィッドが見ている。

屋上を伝って別の倉庫。デイヴィッドはクレーンの先に捕まって追いかけた。

さらに梯子を上って別の建物の屋根。ここは屋根が急な斜面になっている。

ソフィーは這って逃げる。後ろにニコラス。その後ろにデイヴィッド。

ソフィーはニコラスに捕らえられた。二人は屋根を滑った。デイヴィッドはソフィーを掴んで止めた。ニコラスは屋根から落下して死亡した。
 


■ 補足

ヒックを殺したのはニコラス。ソフィーの両親を殺したのもニコラスで、理由はジェスの浮気。

最後の場面で警察は「ヒック殺害犯はニコラス」と把握しているのだが、どのタイミングで掴んだのかははっきりとは示されない。
 


■ 出演作

◆ トレヴァー・ハワード
「第三の男/The Thired Man(1949)」
「太陽に向って走れ/Run for the Sun(1956)」
「八十日間世界一周/Around the World in Eighty Days(1956)」

◆ マクスウェル・リード
「海賊船シー・デビル号の冒険(1953)」

ジーン・シモンズ
(1947)黒水仙/Black Narcissus
(1948)青い珊瑚礁/The Blue Lagoon
(1949)アダムとエヴリン/Adam and Evelyne
(1950)The Clouded Yellow
(1952)天使の顔/Angel Face
(1953)悲恋の王女エリザベス/Young Bess
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1960)スパルタカス/Spartacus