■ Sentimental Journey
ビルとジュリーには子供がおらず、ヒティを養女として迎えた。
しかしジュリーは心臓発作で死亡した。ビルは呆然自失状態となった。
ヒティは失踪し、ビルはヒティを探しに行く。


製作年:1946、監督:ウォルター・ラング、脚本:サミュエル・ホッフェンスタイン、エリザベス・ラインハート


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ビル・ウェザリー(ジョン・ペイン) プロデューサー
 ジュリー・ベック・ウェザリー(モーリン・オハラ) 女優
 ヒティ・ウェザリー(コニー・マーシャル) 養女
 ドネリー(ウィリアム・ベンディックス) マネジャー
 ジム・ミラー(サー・セドリック・ハードウィック) 医師
 マーサ(?) メイド

本作では(ドリス・デイが歌った)「センチメンタル・ジャーニー」の曲がかかるが、ストーリーは曲とは無関係。

途中でジュリーは死亡するが、ビルとヒティの前に幻影の形で何度も現れる。

本作の要点については「補足」を参照。
 


■ あらすじ

◆ ジュリーは心臓病

ビルとジュリー夫婦には子供がいなかった。またジュリーには心臓病の持病があった。

新しい芝居の稽古をしている時にジュリーは倒れた。ミラー医師は二週間の安静を言い渡した。

ミラー医師からは以前から注意されているが、ビルには秘密にしていた。

◆ ヒティを養女に

ジュリーが海岸を散歩している時に、ヒティという少女に出会った。近くの孤児院にいる少女で、他の子供たちと遊びに来ていた。

ジュリーとヒティは言ってみれば「波長がピタリと合った」。

ジュリーはヒティを養女にすることをビルに提案した。ビルは必ずしも乗り気ではなかったようだが、孤児院を訪れて話を進めた。

結果ヒティは二人の養女になった。

◆ ジュリーが死亡

しばらくの間は三人は幸せに過ごしたが、ヒティが環境変化になじめず病気になってしまう。

ミラー医師は「ヒティを孤児院に戻すように」とアドヴァイスした。しかしそれはジュリーにとって承諾できる話ではなかった。

このような時にジュリーが心臓発作を起こした。ジュリーはヒティとビルの両方のことを案じながら死亡した。

ヒティの悲しみが大きかったの当然だが、ビルの悲嘆も大きく呆然自失状態となった。子供のヒティの方がサポートするような状況であった。

◆ ヒティが行方不明

ビルは怒りっぽくなり、ますます状況が悪化した。

ビルはヒティに遠くの寄宿学校に行くように提案したが、ヒティはジュリーが「ビルから離れてはいけない」と遺言したことを理由にして断った。

ヒティの前にジュリー(の幻影)が現れて話しかけた。

ヒティはみんなを招いてビルを励ますためのパーティを開いたが、逆効果であった。

ヒティは姿を消した。孤児院には戻っていなかった。

◆ ビルとヒティの再会

ビルは「センチメンタルジャーニー」の曲をかけた。ジュリー(の幻影)が現れて話しかけた。ヒティと出会った時のことを話した。

ビルはヒティを探しに出かけた。

ビルはヒティと最初に出会った海岸で、潮に流されようとしていたヒティを見つけて抱きしめた。

ヒティは回復した。ビルは自分の責任を自覚した。
 


■ 補足

◆ ビルの問題

本作の要点は、ジュリーが死亡することでもなく、二人がヒティを養子に迎えることでもない。

ビルが立派な仕事をしていながらも、精神的に成長しておらず未熟であり、最後にはそれを克服することである。

映画はフィクションなので、ありえないことが描かれていたり、誇張された表現が現れる。

ジュリー:「(ビルは)私(ジュリー)なしでは生きられない」。

ドネリー:「彼は子供なのさ」ジュリー:「だからヒティが必要なのよ」。

ジュリー:ヒティに「彼を大人にして面倒を見てほしい」。

ジュリーは死亡する時にまだ幼い子供のヒティに、立派な大人のビルのことを頼む。「ビルを見守ってあげてちょうだい。彼はまだ幼いの」。

以下は蛇足。

本作は1944年の「Good Housekeeping」誌に掲載された「The Little Horse」が元になっているようである。

微妙な心理状況を描写するのは、小説に向いており、映画は不得意である。文芸作品を映画化したものが、だいたいおいて面白くないのは、この理由による。本作もビルの精神状態の表現は、それほど上手に表現されているとは言い難い。

◆ ジョンとモーリンの共演作

「トリポリ魂 海兵隊よ永遠なれ/To the Shores of Tripoli(1942)」
「センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey(1946)」 本作
「三十四丁目の奇蹟/Miracle on 34th Street(1947)」
「大城塞/Tripoli(1950)」
 


■ 出演作

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo
(1949)禁じられた街/Forbidden Street/Britannia Mews

ジョン・ペイン
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1946)剃刀の刃/The Razor's Edge
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1950)大城塞/Tripoli (1950)
(1952)カリブの海賊/Caribbean
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1953)七つの海の狼/Pirates of the Seven Seas