THE HITCH-HIKER

ロイ・コリンズとギルバート・ボーウェンはサン・フェリペへ向かう途中、ヒッチハイカーを乗せた。
しかしそれは、指名手配中のエメット・マイヤーズであった。
二人はエメットに脅されてサンタ・ロザリアへと南下した。エメットはなかなか隙を見せず、逃げ出すことができなかった。


製作:1953年,脚本:アイダ・ルピノ、コーリア・ヤング,監督:アイダ・ルピノ


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

ロイ・コリンズ(エドモンド・オブライエン)
ギルバート・ボーウェン(フランク・ラブジョイ)
エメット・マイヤーズ(ウィリアム・タルマン)

◆ 補足

「こんなヤツがいたら、怖いな~」とひしひしと思わせる映画である。冒頭に「これは事実にもとづく物語」と脅しが入っている。あまり本当とは思えないが。

監督はアイダ・ルピノ。彼女は100本以上の映画に出演し、当時では珍しい女性監督、脚本も書いて、歌も歌うという天才である。

共同脚本のCollier Youngとは結婚していたが、本作当時は離婚。彼とは会社を設立し、離婚後も仕事を一緒にした。本作当時はハワード・ダフと夫婦。

ただ当時大量生産された西部劇には一作も出演していない。出演依頼を断ることも多かったようで、その意味では評判は良くなかったらしい。
 


■ あらすじ

◆ エメット・マイヤーズを乗せた

新聞記事「ヒッチハイク殺人事件」。カップルが殺害されている。容疑者はエメット・マイヤーズ。

ロイ・コリンズとギルバート・ボーウェンは車に乗って、サン・フェリペへ向かっている。

町中を過ぎたところでガス欠で止まっている車があった。運転手を乗せた。我々はエメット・マイヤーズと知っている。

マイヤーズは乗ってすぐに拳銃を突き付けて「俺はマイヤーズ」と言った。

マイヤーズは車を止めさせて外にでるように指示した。二人の上着を肘まで下ろさせて腕が動きにくいようにして、身分証明書や所持品を調べた。トランクを開けさせて調べた。ライフルがあったので「妙な考えを起こすな」と言って自分のものにした。

車は荒野を走っていく。後ろの座席で、拳銃をもてあそびながら勝手なことを喋る。言動が不安定なので、よけいに二人の恐怖心が増幅される。

◆ サンタ・ロザリアを目指す

途中で買った地図を見て「次の横道に入れ」と指示。人家や車はまったく見かけない。

二人をまた下ろさせて「サンタ・ロザリアへの道を探せ」と地図を渡した。そこから金曜日に出港するフェリーに乗るつもりらしい。「着いたらお前たちは用済み」。

ここで缶を岩の上に置かせて拳銃の腕前を自慢する。さらにロイに缶を持たせて、ギルバートにライフルで「缶を撃て」と指示する。ギルバートはなんとかロイの手の缶を撃った。

ラジオでニュースを聞く。警察の動向を探るためである。現在のニュースでは「被害者の車で逃走中」と言っており、ロイとギルバートの車に乗っていることは掴んでないようである。

◆ 野宿をする

夜。停車して毛布を下ろさせる。野宿。流れのそば。マイヤーズは二人とは少し離れて寝る。

夜が明けて、また走っていく。小さな店があって食料を買う。二人の後ろにいて、拳銃を隠しているので、二人は助けを求めることもできない。出発。また荒野を走っていく。

夜、また野宿。相変わらずマイヤーズは勝手なことを喋っている。

マイヤーズがラジオを聞いている間に、二人は逃げ出す相談をするが、実際に実行する勇気はない。

ラジオによると、警察はマイヤーズはロイとギルバートと一緒にいることを掴んだ。

◆ 警察の動き

アメリカの警察がメキシコの刑事に状況を聞いている。食料品に立ち寄ったことや、他の場所で車の目撃情報があったことを報告。

「主要道路を避けて南下している。目的地はサンタ・ロザリアだろう」。

パンクした。「タイヤを交換しろ」。交換していると他の車が通りかかる。「何も喋るな」。

「手伝おうか?」と声がかかるが、何も喋らないので、通り過ぎていった。注、マイヤーズは隠れている。

警察は検問所を設け、パトカーを走らせ、ヘリを飛ばして捜索している。

パンク修理の時に通りかかった車が検問所で質問を受けた。「緑のセダンで男二人が修理していました」。10キロほど先とのことで責任者が見に行く。タイヤの痕と油がこぼれた痕を見つける。

◆ ガソリンスタンド

夜。二人を下りさせる。無人のガソリンスタンド。鎖で縛ってあるので、叩いて鎖を切る。その間、どこかで犬が泣いている。ガソリンを入れた。

ガソリンを入れる時にギルバートが指輪をはずしてポンプのそばに置いた。警察が見つけてくれると期待。マイヤーズは犬を射殺した。

メキシコ警察は、アメリカ警察に車の修理現場のことや、ガソリンスタンドで犬の死体と指輪を発見したことを報告。

ラジオで偽情報を流すことにする。

◆ 車を捨てた

夜。マイヤーズは拳銃を持って寝ている。二人は逃げ出そうとする。

二人は起きだして走り出した。マイヤーズが起きて拳銃を向けた。マイヤーズによれば、右の眼は、昔のケガで閉じることができず、いつでも見えているらしい。「俺から逃げられると思うな」。

走っていくと井戸があった。停車した。

ここでラジオのニュース。「ロイ・コリンズとギルバート・ボーウェンの失踪はマイヤーズとは無関係と判明。マイヤーズは単独で行動している模様。サンタ・ロザリアへの逃亡を断念した模様」。もちろん偽のニュース。

マイヤーズはニタニタ。車を出発させようとした。

しかしロイは車の下を指さした。「オイルが漏れている。動かない」。

マイヤーズは「歩け」と命令した。ロイはケガした足を引きずって歩く。ギルバートが声をかけると「喋るな」。

上空をヘリが舞っている。隠れる。また歩く。

飛行機がきた。ギルバートは「ここにいるぞ~」と叫ぶ。今回はマイヤーズは制止しない。飛行機は飛び去った。

◆ ジャングルの中

警察の車が来て、放棄された三人の車を発見した。

三人はジャングルの中を進んでいく。ジャングルを出た。そして橋、車が来たので橋の下に隠れた。

マイヤーズは、ロイと自分が体格が似ているので、服を着替えるように言う。「どこから見てもエメット・マイヤーズだ」。

また三人は歩き始めた。

◆ 町について船を待つ

やっと町が見えてきた。小さな飲み屋に入った。マイヤーズはライフルを構えたまま。

英語は通じないのでギルバートに「フェリーのことを聞け」と命令。「火曜と金曜の夜九時」。しかし「先月、船が燃えて修理中」。ギルバートはマイヤーズに「運が尽きたな」。

店主の従兄弟がいて英語を話せるとのことで聞いてみると、やはりフェリーは燃えたとのこと。しかし知人の釣り船があるらしい。

「明日の朝では?」と言われたが「すぐに出せ」と要求。

午後八時半。船の名前は「エストレージャ」。

「海辺で待つ」と二人を連れ出した。「俺は明日にはグアイマスだ。連れていけなくて残念だな」。

「グアイマスについても警察に追われるぞ。お前は終わりだ」とギルバート。

船を手配した男は、張られている手配書をみて、警察に電話。

◆ 船着き場

夜。船着き場。三人がくる。ロイを先に歩かせる。桟橋を渡る。

突然「手を上げろ」の声。

ロイは「俺はマイヤーズじゃない」と悲鳴。海に落ちた。

マイヤーズは後ろを向いた。するとギルバートが殴った。マイヤーズは逃げ出したが、警官に挟み撃ちされ、手を上げた。

手錠をかけられたが、両手を振り上げて警官を殴った。しかし取り押さえられた。
 


■ 出演作

◆ エドモンド・オブライエン
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1947)二重生活/ A Double Life
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1953)ヒッチ・ハイカー/THE HITCH-HIKER
(1949)都会の牙/D.O.A./Dead On Arrival
(1947)罠にかかった弁護士/The Web
(1950)ブックメーカー殺人事件/711 Ocean Drive
(1953)恐怖の町/Man in the Dark
(1952)黒い街:ターニングポイント/The Turning Point
(1956)1984年/1984
(1950)拳銃無情/Between Midnight and Dawn
(1948)分断された家族/Another Part of the Forest
(1962)リバティ・バランスを射った男/The Man Who Shot Liberty Valance
(1951)シルヴァーシティ\\/Silver City

アイダ・ルピノ
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1941)生きてる死骸(生きてゐる死骸)/Ladies in Retirement
(1948)秘境/Lust for Gold
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1948)深夜の歌声/Road House
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1942)夜霧の港/Moontide
(1954)地獄の掟/Private Hell 36
(1955)悪徳/The Big Knife
(1941)海の狼/The Sea Wolf
(1952)優しき殺人者、記憶が途切れる男/Beware, My Lovely
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1950)逃亡する妻/Woman In Hiding
(1942)人生が始まる夜/Life Begins At Eight Thirty
(1954)仮装舞踏会/Masquerade
(1953)ジェニファー:失踪した管理人/Jennifer
(1947)逃げちゃ嫌よ:二人の作曲家と二人の女性/Escape Me Never
(1976)巨大生物の島/The Food of the Gods
(1950)レイプのトラウマ/Outrage
(1937)結婚気象台/Let's Get Married
(1947)私が愛した男/The Man I Love
(1940)長距離トラック運転手:夜までドライブ/They Drive by Night
(1951)砂に咲くバラ:テニス選手を目指す/Hard, Fast and Beautiful