High Sierra

ロイは出獄した。さっそく次の仕事に取り掛かった。
リゾートホテルを襲って宝石を奪ったが、仕事を斡旋したフェンスが死亡しており換金することができない。
ロイは一緒に仕事をしたマリーと逃亡を続けた。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1941年、脚本:ジョン・ヒューストン他、監督:ラオール・ウォルシュ


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ロイ・アール(ハンフリー・ボガート)
 マリー・ガーソン(アイダ・ルピノ)
 ベイブ・コザック(アラン・カーティス)
 レッド・ハタリー(アーサー・ケネディ)
 ルイ・メンドーサ(コーネル・ワイルド)
 パード(ゼロ) アジトに住みついていた犬
 ビッグ・マック(ドナルド・マクブライド) フェンス
 クラマー・クラマー(バートン・マックレイン)
 パーカー(?) 医者
 ヴェルマ(ジョーン・レスリー)

ストーリーから見ればアイダよりもハンフリーの方が主演で、またハンフリーの方が有名だが、キャスト紹介はアイダが先となっている。アイダは好きだからいいけど。

コーネル・ワイルドもでているなんて、わりと豪華キャスト。

ヴェルマ関連の話題はなくてもストーリーは成立する。「ビッグ・マック」って何?

「フェンス/fence」とは犯罪者をサポートする者。仕事を斡旋したり、犯罪者を匿ったり、盗品を売りさばいたりする。注、本作では「フェンス」という言葉は使われてはいない。
 


■ あらすじ

◆ 特赦出所

ロイ・アールはモスムーア刑務所を出所した。車で迎えが来ている。次の仕事が待っているからである。

クラマー・クランマーを訪ねていった。ロイの仕事をアレンジしているビッグ・マックから指示をもらうためである。ロイはクラマーとは初対面、元警官とのこと。

今回のターゲットはトロピコ・スプリングス・ホテル。ここに金持ちが集まる。その宝石を奪う計画。アジトの地図と当座の金を受け取って別れた。

注、クラマーは「お前の脱獄を助けたのは、マックだ」と言うが、脱獄はしてない。ちゃんと出所した。

◆ キャンプ場

アジトになっているキャンプ場に着いた。仲間はコザック、ハタリーそしてマリー。マリーはコザックが「ロスで拾ってきた」。マリーはロスでいろいろ嫌なことがあったらしい。

しかしハタリーがマリーにちょっかいを出しているので、マリーは嫌っている。

ハタリーはロイに「あんたと仕事できるなんて夢みたいだ」と言って、ホテルに入り込んでフロント係をしているメンドーザから貰った内部の見取り図を渡した。

◆ マリーとロイ

ロイはハタリーに「マリーをロスに帰せ」と指示した。

その後ロイはマリーと話した。「ここが好きなの」「お前の身が心配だ」「コザックはいい、ハタリーがイヤ」。ロイは納得し、マリーは微笑んだ。

次の朝、マリーがロイに朝食を持ってきた。パードがそばに来た。木こりに飼われていたが、木こりが死んで、ここで暮らしている。

メンドーザが来て打ち合わせをした。

◆ マックに会う

ロイはターゲットのホテルを偵察した。

その後マックを訪ねていった。しかしマックはベッドに寝ていた。調子がよくないらしい。

医者のパーカーが来た。ロイも知っている人物。こっそりと話を聞くと、マックはもう長くはないらしい。

宝石を手に入れた後、マックに渡して現金化してもらう予定。しかしマックも自分の状態を自覚をしていてロイに自分が死亡した時の指示を渡した。

◆アジトに帰ってきた。

アジトに戻ってくるとパードが出迎えた。自分の部屋に入るとマリーがいた。目の横が腫れて青くなっている。

コザックとハタリーが喧嘩して、とばっちりを受けたらしい。

ロイはハタリーの部屋に行った。コザックもいる。興奮している。ロイは二人にきつく注意をした。

マリーは、自分の部屋には戻りたくないというので、ロイの部屋に止まった。

マリーはロイの寝言を聞いた。ロイであっても、悩み事があることを知った。

ロイとマリーは一緒に朝食を食べた。マリーは「私も脱走のことばかり考えていた」。マリーが言う脱走とは、マリーが育った環境から抜け出すこと。

「だからコザックと一緒に逃げてここに来た」と言った後「でも今までの男とは違うあなたに会った」と自分の気持ちを表現した。

ロイが無反応だったので、後でマリーは泣いた。

◆ 出撃

さて決行の日。デイブとハタリー、ロイとマリーの二台の車で出発する。しかしパードが窓から抜けて追いかけてきたので、車に乗せた。

ロイは「犬と女を連れて仕事か。俺も落ちぶれた」と言うが、それほどイヤではなさそうである。

◆ ホテルの襲撃

マリーを除いた三人はホテルに入っていった。マリーは外で見張り。

フロントで拳銃を突き付けた。メンドーザもいるが、彼は偽装して手を挙げている。

ロイが拳銃でロビーを制圧している間に、二人は宝石が入っている金庫を開ける。

外に車が来て、客が中に入っていった。マリーがクラクションを鳴らして知らせた。ロイは客に拳銃を突き付けて、ロビーのソファに座らせた。

また車が来た。今度は警官。警官はいったんは立ち去ろうとするが、中に入っていくので、またマリーがクラクション。

ロイは入ってきた警官に拳銃を向けたが、警官も拳銃を出したので、射殺した。

ロイとベイブ、ハタリー、メンドーザは外に出て車に乗った。ロイはマリーの車。他の三人はもう一つの車。

◆ 三人の車は事故

ロイとマリー(とパード)の車が後を走っていく。前の車は別の道には行った。しかしすぐに事故を起こして転落した。

ロイは「しょせん、小者だ」と言い放って走っていった。

二人は公園のベンチで話す。「三人は警察に話すと思う?」「構うもんか」「君にも分け前がある、別れる前に必ず渡す」「私も一緒に行く」「苦労するぞ」「何があってもついていく」。

◆ マックが死亡

マリーは別行動で、ロイはマックを訪ねていった。クラマーが出てきた。そしてなんとマックは死亡していた。

ロイは事前に貰っていた指示書を取り出した。クラマーは「二人で貰おう」と提案したが、ロイにはマックとの義理は絶対である。クラマーが拳銃を取り出したので射殺した。しかしロイもケガをした。

それから指示書に書いてあるところに電話した。

パーカーと会って傷の手当てをしてもらい、マリーと合流した。

◆ まだ金は手に入らない

二人はマックが指定した場所に出かけた。マリーは外で待ってロイが入っていった。

「分け前をくれ」「すぐには渡せない、マックの後釜はラリーだ」と言う話になった。けっきょく宝石は渡して、仮に200ドルだけを受け取った。

渡さなかった指輪をマリーの指に嵌めた。マリーは抱き着いた。

二人はモーテルに入った。ロイの傷が痛みマリーが手当てした。

新聞にロイの手配写真が載っていた。二人は今までのことで口論となった。ロイは「俺を突き出せば賞金が入るぞ」と切れた。

◆ ロイとマリーは別行動

ガソリンを入れるためにスタンドに立ち寄った。店員に依頼して、ロイは電話をかけた。宝石の代金の件。金を用意してくれたとのこと。

しかしここでスタンドの店員がロイの手配に気がついた。拳銃で脅して閉じ込めた。

新聞には「女と犬と一緒」と書いてある。マリーは「もうお金はどうでもいいの。二人で東部に行きましょう」と言ったが、別行動をすることにした。

ロイはとりあえず持っている金をすべてマリーに渡した。マリーはパードをペットバッグに入れてバスに乗った。

◆ 非常線が張られた。

ロイは金を持ってないので、コンビニで強盗をした。店員が警察に連絡し、非常線が張られた。

ロイは車で逃げる。パトカーと白バイが追いかける。山の方向に逃げた。峠の道をぎりぎりで通過していく。

しかし倒木で道が遮られていた。ロイは車を降りて岩山に登っていった。警察も追跡する。

ロイは大きな岩の陰に隠れた。警官隊は、ずっと下からロイのいるところを見上げている。

夜になった。警官隊は下からライトを照らして見張っている。

◆ マリーとパードが現れた

朝になった。ニュースを聞いて野次馬が集まった。メディアも集まった。

スコープ付きライフルを持った狙撃手が岩山に上り、ロイの上の位置に来た。しかし陰になっているので撃てない。それ以上は近づけない。

マリーも駆けつけた。警察はマリーに気がついて、ロイを説得させようとする。マリーはいったんは同意するが、ロイの説得を拒否する。

ロイは「マリーは事件に無関係」というメモを書いた。

パードが騒ぎに気がついてペットバッグから顔を出した。そして声を上げながら走り出した。どんどん上に上っていく。

パードの声を聞いたロイは身を乗り出して下を見た。

狙撃手からロイが見えた。狙撃手は引き金を引いた。ロイは撃たれて落下した。

パードがロイに駆け寄った。マリーも駆け寄った。泣き崩れた。
 


■ 補足/ヴェルマ

本筋のストーリーと並行してヴェルマと言う少女の話が展開する。

◆ 出会い

ロイがアジトに向かって走っている途中で、道路に動物が飛び出してきて、あやうく他の車とぶつかりそうになる。ロイがうまく避けて衝突が免れた。

しばらく走って店で止まっていると、その車も到着。「あんたのおかげで事故にならずにすんだ」と感謝された。

ボーマンと言う老夫婦と孫娘。仕事の関係で東部からこちらに移って来たらしい。娘の親は別にこちらに来るらしい。

その娘はヴェルマと言ったが足が悪い。先天性の内反足とのこと。

◆ 再びボーマン一家と会う

ロイがターゲットのホテルに偵察に行った後、偶然ボーマン一家の車と他の車がトラブルを起こしている現場を見かけた。

ロイは相手と交渉して100ドルを貰ってボーマン一家に渡した。再度感謝された。

この時にボーマン一家が泊っているモーテルを聞いた。ブラウンモーテル。

◆ ロイはヴェルマが好きになった

ブラウンモーテルにボーマン一家を訪ねていった。ヴェルマの父母もいた。

なぜかロイは年が随分と離れているにもかかわらずヴェルマが好きになったようである。

「ヴェルマの足は手術すれば治るかも」という話をした。しかし金がないらしい。ロイは「知り合いの医師に見てもらおう」と言った。

夜はモーテルに泊まり、ヴェルマと夜空を見ながら話した。ロイは見かけに寄らずロマンティストで、ヴェルマに星の話をした。

◆ 医師に診てもらう

マックに会いに行ったときに、パーカー医師に「内反足は治るのか?」と聞いた。事情を話し、パーカー医師に見てもらうことになる。

パーカー医師を伴って再びボーマン一家を訪ねた。

パーカーによると手術すれば治るらしい。ただパーカーではなく、別の医師が手術を行うので、パーカーが医師を手配することになる。

ロイは「費用は自分が出すので心配ない」と言った。

祖父は「ヴェルマと結婚するつもりか?ヴェルマには恋人がいる」と言った。しかし祖父はその恋人のことはあまりよく思ってはいないようである。

帰りにバーカーは「ヴェルマがお前の正体を知ったら傷つく」と心配した。

注、実はパーカーはもぐりの医者で正規の免許を持っていない。このような事情もある。

◆ ヴェルマの内反足が治った

ホテル襲撃の前にロイとマリーは偵察に行く。注、パードも一緒。

偵察の後、二人は別行動をとり、ロイはパードを連れてボーマン一家を訪れた。マリーにはヴェルマのことをそれとなく話した。

手術は終わっていた。ヴェルマはまだベッドにいたが、数日で歩けるようになるとのことであった。ヴェルマはとてもうれしそう。

ロイは思い切って言った。「大きな仕事がある、それが終わったら結婚したい」。しかしヴェルマは遠慮がちながらはっきりと「恋人がいる」と答えた。

◆ 再度ヴェルマと会う

ホテルの仕事が終わり、ケガをしたのでパーカーに治療をしてもらった後にボーマン一家を訪れた。

マリーは車の中で待つことになるが、「なんでこんな時に」と文句を言う。

ヴェルマは、もう元気で嬉しそうに歩き回り走り回っていた。そしてヴェルマの恋人のロンが来ていた。

ヴェルマとロンはダンスをする。

マリーは外でイライラしていたが、パードが隙を見て外に飛び出した。そして家に中に入っていった。マリーはパードを追いかけて入ってきた。

マリーは事情を理解した。

ロンは「治療費を出す」と言ったが、断って出てきた。


 


■ 出演作

アイダ・ルピノ
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1941)生きてる死骸(生きてゐる死骸)/Ladies in Retirement
(1948)秘境/Lust for Gold
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1948)深夜の歌声/Road House
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1942)夜霧の港/Moontide
(1954)地獄の掟/Private Hell 36
(1955)悪徳/The Big Knife
(1941)海の狼/The Sea Wolf
(1952)優しき殺人者、記憶が途切れる男/Beware, My Lovely
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1950)逃亡する妻/Woman In Hiding
(1942)人生が始まる夜/Life Begins At Eight Thirty
(1954)仮装舞踏会/Masquerade
(1953)ジェニファー:失踪した管理人/Jennifer
(1947)逃げちゃ嫌よ:二人の作曲家と二人の女性/Escape Me Never
(1976)巨大生物の島/The Food of the Gods
(1950)レイプのトラウマ/Outrage
(1937)結婚気象台/Let's Get Married

コーネル・ワイルド
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1948)深夜の歌声/Road House
(1952)剣豪ダルタニアン/At Sword's Point
(1945)魔法のランプ/Magic Lamp
(1952)カリフォルニア征服/California Conquest
(1954)怒りの刃/Passion
(1947)ホームストレッチ、美女の迷いと競馬/The Homestretch
(1942)人生が始まる夜/Life Begins At Eight Thirty
(1955)ビッグ・コンボ:刑事の執念とギャングの反撃/The Big Combo
(1950)二つの国旗:南軍捕虜部隊が北軍に/Two Flags West
(1949)仮釈放から逃亡へ/Shockproof
(1948)ジェリコの壁/The Walls of Jericho
(1947)結婚式からの逃亡/It Had to Be You

ジョーン・レスリー
(1939)邂逅/めぐりあい/LOVE AFFAIR
(1952)虐殺の砂漠/HELLGATE
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1953)私刑される女/Woman They Almost Lynched
(1946)王子と運転手と美容師:コメディ/Two Guys from Milwaukee
(1956)マミー・ストーヴァーの挑戦/THE REVOLT OF MAMIE STOVER
(1952)アリゾナの勇者/Toughest Man in Arizona