■ LOVE AFFAIR
ミシェル・マルネーは船でニューヨークに向かった。テリー・マッケイという女性と知り合いになった。
お互いに恋人がいたが、半年後にエンパイアステートビルで会うことを約束して別れた。
半年後、ミシェルは婚約を解消しており、約束場所で待ったが、テリーは現れなかった。
そのまま時間は経過していったが、偶然にミシェルとテリーは再開し、テリーが現れなかった事情を理解した。
製作年:1939、監督:Leo McCarey
■ はじめに
登場人物(キャスト)
ミシェル・マルネー(シャルル・ボワイエ)
テリー・マッケイ(アイリーン・ダン) 歌手
ミシェ・ルの祖母(マリア・オースペンスカヤ)
ロイス・クラーク(Astrid Allwyn) ミシェルの元恋人
ケネス・ブラッドリー(リー・ボウマン) ケン、テリーの元恋人
■ あらすじ
◆ ミシェル・マルネー
ミシェル・マルネーは有名なプレイボーイである。それを鼻にかける嫌味な人間との噂もある。しかしそれは我々の僻みであるかもしれない。
このたび、ミシェルは鉱山主の娘ロイス・クラークとの婚約が決まった。新聞にも報道されている。
ミシェルはナポリ号に乗ってヨーロッパからニューヨークに向かった。
船の中でミシェルはテリー・マッケイという歌手に出会う。
ここでミシェルの病気が出てしまった。テリーに話しかけた。いや単に話しかけるのは病気ではないが、テリーに好意があるような話をする。
テリーは、ミシェルが婚約していることは分かるが、特に気にしていないようである。
◆ マデイラ島
ナポリ号はポルトガル領のマデイラ島に寄港した。ここにはミシェルの祖母の家があり二人は上陸した。
祖母は、もちろんミシェルの婚約は知っている。しかし祖母はテリーにミシェルの子供の時の話を交えて「ミシェルを変えるような良い相手が見つかれば」というような話をする。
「あの子の行く末をずっと心配してきた。いつか人生のつけが回ってくる。あなたと一緒の姿を見て安心した」「彼は婚約してます」「婚約はいつでも解消できる。あの子は聡明な女性とならば立派な男になれる」
テリーにその役割をしてほしいようである。
◆ 二人は会う約束をする。
二人はキスをする間柄となるが、明日はニューヨークに到着する。
悩んだ挙句、二人は半年後の7月1日の午後5時に、エンパイアステートビル102階の展望室での再会を約束する。「(お互いの恋人を捨てるので)嵐の中を進んでいく」と確認する。半年後にしたのは、お互いに気持ちが変わらないかを確認する時間である。
ナポリ号は入港し、ミシェルは迎えに来たロイスと会い、テリーは恋人のケンが待っていた。
◆ ミシェルは婚約解消した
ミシェルはロイスとの婚約を解消した。テリーは、それを新聞で読んでミシェルが約束を守っていると認識する。
ミシェルは金はあるので仕事に就いたことがなくブラブラしている。テリーとはちゃんとした仕事に就くという約束をした。
ミシェルは特技を生かして絵を描き始めた。最初は売れないので、代わりに看板などを描いたが、次第に売れ始めた。
そして約束の7月1日。ミシェルはエンパイアステートビル102階の展望室に行った。
◆ テリーは現れなかった
ミシェルは待ち続けたが、テリーは現れない。何度も時計を見ながら、ずっと待った。
雨も降りだしてくる。次第に激しくなってくる。それでも待った。注、このような時には多くの映画では雨が降ることになっている。
しかしついに諦めて帰った。
◆ テリーは事故に会った
ミシェルは知らないが、我々はその理由を知っている。テリーはミシェルとの約束を守ろうと急いだせいか、近くの通りで車に撥ねられてしまった。
テリーは命拾いはしたものの、車イスの生活となった。
テリーの家の隣にはワシントンハイツ孤児院があった。きっかけがあって、孤児院で歌を教えるようになった。
◆ スカーフ
ミシェルはマティラに行った。すると祖母からテリーへのレースのスカーフの贈り物を受け取った。
ミシェルは、そのスカーフをテリーが身に着けている絵を描いた。「売ってもよいが、金は貰わない」と言って画商に預けた。
◆ 劇場
さて、かっての恋人ロイスから電話があった。所在は教えてないので、探したらしい。二人で劇場に行った。
見終わって席を立つと、なんとテリーとケンに出会った。お互いに「昔の恋人と付き合っている」という状態である。
相手がいるので、おざなりの話をして別れた。ケンはテリーがミシェルを好きなのが分かっているので、仲を取り持とうとするが、テリーが断った。
◆ ミシェルがテリーを訪ねてくる
次の日テリーのところにミシェルが訪ねてきた。偶然電話番号が分かったそうである。
お互いの気持ちの探り合いになるが、お互いに「相手の心は自分にはない」と判断して立ち去ろうとした。
しかしミシェルは「スカーフを身に着けたテリーの絵」が飾ってあるのに気づいた。二人は、お互いの気持ちを理解した。
補足(長いけど)。最後の場面は、見てみれば分かるのだが、セリフでの説明が全くないので補足しておく。これをすべてセリフで言わせるのは野暮だろう。
ミシェルは「ある電話番号を調べていて、テリーの番号を偶然に見つけた」と言うが、テリーに会いたくてテリーの番号を探した(に違いない)。番号簿に住所が書いてあるのだろう。
それとこれが重要。ミシェルは「自分は約束の場所に行かなかった」と話して、自分の行動を謝る。
その真意。ミシェルはテリーが現れなかっので「テリーがミシェルに対して申し訳ないと思っている」と考えている。それを考慮してテリーの気持ちに負担を与えないようにと、自分に非があるかのように話す。
なのでこの時の状況は、二人とも相手が現れず「自分に対する気持ちがなかった」と考えている。
このような事情があるので、お互い当たり障りのない話をする。
そしてミシェルは例のスカーフの話をして「スカーフを羽織っている君の絵を書いた。ある女性が買っていったらしい」と話す。
そしてミシェルは「今夜船で出発する」というが、そこで、まさにその絵が飾ってあるのに気が付いた。ミシェルはテリーの気持ちを理解し、それを見てテリーはミシェルの気持ちを理解した。二人は和解した。
■ 補足
テリーの元恋人のケンが素晴らしい人物である。
テリーの気持ちがミシェルにあることを知って、できるだけ二人の仲を取り持とうとする。
テリーがケガをした後も、病院に駆けつけて見守っている。
本作を見て思うのは「悪い人がいない」ということ。ロイスを我儘娘のように描いているレヴューもあるが、そのような雰囲気はない。ミシェルと合う/合わないは別にして。
■ 出演作
◆ シャルル・ボワイエ
(1944)ガス燈/Gaslight
(1948)凱旋門/Arch of triumph
(1952)幸福の時間/ビビとペギー/The Happy Time