Arch of triumph

ナチスから逃れてきた医者が自殺しようとしていた女優を救って恋人同士となる。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1948年、脚本:ルイス・マイルストン、ハリー・ブラウン、アーウィン・ショー、監督:ルイス・マイルストン ■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

ラヴィック(シャルル・ボワイエ) - 亡命者
ボリス・モロゾフ(ルイス・カルハーン) - 亡命者
ジョーン・マドゥ(イングリッド・バーグマン) - 俳優・歌手、イタリア人
ハーケ(チャールズ・ロートン) - ゲシュタポ

◆補足

設定はパリ、1938年始め、第二次大戦が始まる直前。ナチス・ドイツから逃れてきた人々が描かれる。しかし彼らはフランスでも歓迎されるわけではなく、見つかると強制送還される。

本作はラヴィックを主人公として描かれるが、キャラクタの描き方としてはジョーンが主人公。小説の原作がある。

「西部戦線異状なし」の作者でもある原作者のエーリヒ・マリア・レマルクは、ドイツ人でナチス時代にアメリカに亡命した。

ジョーンはラヴィックを好きであると言うものの、精神的に不安定であり一貫した行動をしない。これが本作が表現したいジョーンのキャラクタ。
 


■ あらすじ

ドイツからパリに亡命している医師のラヴィックは橋の上で自殺しそうにしていたジョーンを助けて世話をした。恋人が死亡したらしい。ジョーンは、ラヴィックが紹介したホテルミランに泊まることになった。

ジョーンはイタリア人で「端役ばかり」とは言ったが俳優であった。歌も歌える。ラヴィックの知人の紹介でクラブで歌うようになった。ラヴィックとジョーンは恋人同士となり、楽しく付き合った。

二人はリヴィエラに来た。海岸の岩の上で休みキスをする。ジョーンは「ずっとこうして暮らしたい」。夜はカジノの行ってルーレット。ダンスもした。それからドライヴ。ジョーンは楽しそう。しかしラヴィックは「亡命者なので結婚は無理」と言う。

パリに戻ったラヴィックは交通事故を目撃した。医師なのでケガ人を診る。しかしそこに警官が来た。「旅券は?」。ラヴィックは国外追放となった。

半年後ラヴィックはまたパリに戻ってきた。「ジョーンは南部に行った」と聞いた。しばらくしてジョーンがクラブで他の男性といるのを見つけた。ジョーンはいろいろと文句を並べたてて喧嘩別れをする。

ジョーンはアレックスという金持ちの男性と付き合っている。前と違ってずいぶんと立派な家である。ジョーンは「アレックスと結婚する予定なの。でもあなた以上の人はいない。助けてほしい」と言うが、今度はラヴィックが拒否する。

ジョーンから電話がかかる。「怖くてたまらない。助けて」。慌ててラヴィックがジョーンの元に駆けつけるが何事もない。「まだ駆けつけてくれるのね」とむしろニコニコしている。「アレックスとは結婚しない」と言うがラヴィックは出ていく。

ホテルミランからラヴィックに電話があった。「ジョーンが大変なことに」。ジョーンはアレックスと別れてホテルミランに戻っていたらしい。

ラヴィックはホテルミランに駆けつける。アレックスもいた。別れ話でジョーンを撃ったらしい。ジョーンはベッドにいるが、右手と両足が動かない。ラヴィックの知っている病院に運んだ。

ラヴィックが手術した。しかし見込みはない。ジョーンも「もう痛いのは嫌」と言って諦めている。

ジョーンは死亡した。すでに宣戦布告がなされておりラヴィックは収容所送りとなった。
 


■ 補足

◆ ジョーンの恋人の死亡

最初に橋の上でジョーンを助けた後、ジョーンを自分のホテルに連れていき、その夜ラヴィックは外出して翌朝戻ってきた。

ジョーンの話を聞くと「昨夜、恋人が死んだ」という話をする。

「殺したのか?」「銃で撃ったり、刺したりはしてない」。そして「医師を呼ぼうとしたが、恋人が拒否した」と言う。死体はそのままらしい。

ジョーンが泊まっていたホテルに行った。ラヴィックが死体を見ると暴行を受けた形跡はない。「愛されていたが愛していなかった」と言う。

枕の下に現金があると言うので、それを取り出してホテルの支払いを済ませた。ジョーンは嫌がったが、残りの金をジョーンに渡した。

亡命者のラヴィックとしては警察が来ると面倒である。向かいのビストロから様子を見た。警察が来て調べたが、特に問題はなかったらしい。

ラヴィックはジョーンをホテルミランに連れて行った。

◆ ハーケ

ラヴィックは一応亡命者と言うことになっている。あまり反ナチの活動をしている風ではないが、そのような設定らしい。

ハーケはゲシュタポであってラヴィックも拷問を受けた。ラヴィックは、この恨みは忘れていない。しかしハーケはラヴィックの顔を知らないという風に展開する。

ラヴィックはジョーンとクラブにいる時にハーケを見かけて「しばらくは戻れない」とジョーンに言って、ハーケを追いかけたが見失った。

その後ラヴィックが現れなかったので、例によってジョーンは不安定になり、他の男性と飲んでいたりした。

次にラヴィックがクラブにいる時に、ハーケが「混んでいるので座っていいか?」と来て話す。もちろんハーケは単に同席をするために来たわけではない。

ハーケは慎重に言葉を選びながらラヴィックに探りを入れてきた。ラヴィックがドイツ人であることを認識した。そして次に会う約束をした。明示はされないが、ラヴィックはハーケの意図は認識している。ハーケの目的は反ナチスを摘発するため。そしてラヴィックはハーケに仕返しをしようとしている。

国境が閉鎖されたのでハーケは約束の日には現れなかったが、ラヴィックはハーケが現れるのを待った。

ついに二人は会って、ラヴィックが運転する車に乗っていく。ハーケはひそかに拳銃を取り出す。ラヴィックもひそかに棒を握っている。

ラヴィックはハーケを殴り倒して、さらに止めを刺した。そしてハーケの死体を捨てた。
 


■ 出演作

イングリッド・バーグマン
(1941)ジキル博士とハイド氏/Dr. Jekyll and Mr. Hyde
(1943)誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls
(1944)ガス燈/Gaslight
(1945)聖メリーの鐘/The Bells of St. Mary's
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1945)サラトガ本線/Saratoga Trunk
(1946)汚名/Notorious
(1948)凱旋門/Arch of triumph
(1950)ストロンボリ/Stromboli, terra di Dio
(1956)無分別/Indiscreet
(1969)サボテンの花/Cactus Flower
(1942)カサブランカ/Casablanca
(1974)オリエント急行殺人事件/Murder on the Orient Express
(1954)イタリア旅行/Journey to Italy/Viaggio in Italia

◆ シャルル・ボワイエ
(1939)邂逅/めぐりあい/LOVE AFFAIR

(1948)凱旋門/Arch of triumph
(1952)幸福の時間/ビビとペギー/The Happy Time

◆ チャールズ・ロートン
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1944)容疑者/The Suspect
(1948)凱旋門/Arch of triumph
(1943)自由への闘い/This Land Is Mine
(1945)海賊キッド/Captain Kidd
(1947)パラダイン夫人の恋/The Paradine Case
(1952)人生模様-警官と賛美歌/The Cop and the Anthem
(1960)スパルタカス/Spartacus
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1932)悪魔と深海/Devil and the Deep