■ The Cop and the Anthem
冬が近づいたので、ホームレスのソーピーは冬を快適に過ごすために、刑務所に入ることを計画した。毎年のことである。
盗み、無銭飲食、警官への暴行、店のショーウィンドーの破壊。いろいろ試みたが、なぜか警察は逮捕してくれない。
疲れて教会に入った。讃美歌が聞こえてきた。その神聖な雰囲気に触発されてか、ソーピーは自分の態度を反省した。まじめに仕事を探すことにした。
そして教会をでたところ....。
製作:1952年、脚本:ラマー・トロッティ、監督:ヘンリー・コスター
■ はじめに
本作はオー・ヘンリーの五本の短編を映画化したオムニバス映画「人生模様/O. Henry's Full House(1952)』。以下の映画を含んでいる。
「警官と讃美歌』『クラリオン・コール新聞』『最後の一葉』『赤い酋長の身代金』『賢者の贈物』。
登場人物(キャスト)
ソーピー(チャールズ・ロートン)
ホラス(デヴィッド・ウェイン) ソーピィーの友達
レストランの管理者(トーマス・ブラウン・ヘンリー)
レストランの会計係(マージョリー・ホリディ)
レストランのヘッドウェイター(リチャード・カーラン)
レストランのウェイター(フランク・コザック)
店のオーナー(ニコ・レック)
傘を持っている男性(フィリップ・タング)
判事(ウィリアム・ヴェダー)
通行人の女性(マリリン・モンロー)
■ あらすじ
◆ 冬対策
ソーピーは公園のベンチで寝ていた。警官に注意されたので、起き上がって歩いて行った。
冬が近づいてきている。ソーピーはホームレス。寒い冬をどうやってやり過ごすかが問題である。
友達のホラスと出会った。ソーピーは冬対策についてホラスに話す。
ソーピーによれば、一番いいのは「刑務所に入ること」である。刑務所にはベッド、食事、安全すべてがそろっている。いやいやソーピーは毎年これをやっているそうである。経験に基づいた確実な方針である。
刑務所に入るには、何らかの犯罪を犯して捕まり有罪になる必要がある。さっそく実行していく。
◆ 傘を盗る
店のカウンタで紳士が話している。そばに傘を立てている。おまけに近くに警官が見える。実に好都合である。
傘を手にする。紳士がクレームをつけた。ソーピーは警官を指さして「それなら警官に」と言う。
しかしその紳士は傘を取り返さないまま、急ぎ足で歩いて行った。おそらく、その紳士も傘を不正に手に入れたものと思われる。
ソーピーは傘を持ったまま歩く。
◆ 無銭飲食
さてソーピーはレストランの前に来た。無銭飲食は大罪である。おまけに満腹になるという副次効果が見込まれる。
まずは金持ち紳士のように堂々と中に入り悠然とテーブルに着く。なるべく高価なものを注文する。
次いでに最高級の葉巻も頼んだ。「カモはちょっと焼きすぎだ」といっぱしの文句を言った後に「勘定書」と言った。
ソーピーは目の前に出された勘定書を受け取ると二つに破った。そしてきっぱりと「私は金をまったく持ってない。早く警察を呼べ」と言い放った。
店員は慌てて店長を呼んできた。店長は店員に「追い出せ、面倒はごめんだ」と指示した。
ソーピーは「逮捕される権利があるっ!」と喚きながら外に連れ出された。
◆ 何をしても失敗
しかし、このくらいでは諦めないのでソーピーのいいところである。
見かけた警官を後ろから蹴飛ばそうとしたが、滑って転び、警官に助けられた。
店の前で石を拾ってショーウィンドーに投げてガラスを割った。店から店員が飛び出してきたが、他の人を犯人と思いソーピーは無視された。「私が犯人だっ!」と訴えても駄目である。
前から若いきれいな女性。「お嬢さん、私の行きつけの店で飲まないか?」「おごってくれるなら、かまわないわよ」。
「君に期待させたが、金がない。許してくれ」と話を引き取った。この女性は「お嬢さん」と呼ばれたことで嬉しそうな顔をして立ち去った。
注、ここのストーリーは少しおかしい。金がある振りをして二人で食べて、その後「金がない」言えば作戦は成立するはず。
さすがのソーピー「誰も私を捕らえてくれない」と弱音を吐いた。
◆ 教会の讃美歌
落ち込んでいるソーピーの耳に教会の讃美歌が聞こえてきた。
ホラスと一緒に教会に入った。誰もいない部屋で、他の部屋から聞こえてくる歌を聞いていた。
ホラスは「明日にはいいことがある」と慰めた。ソーピーは立ち上がった。
「病んでいるのは体ではない。私の魂だ」と言って、さらに続けた。「私に必要なのは信仰や希望だ。堕落した人生は終わりだ。明日は仕事を探そう」と反省した。教会に充満している霊気の影響だろう。
ソーピーはむしろ晴れ晴れとした顔で教会をでた。昔に貰った名刺を取り出した。仕事をお願いに行くつもりである。
しかしそのソーピーを警官が見ている。連行された。
裁判所で「改心して仕事を探そうとした」と釈明したが、浮浪の罪で、禁固30日が言い渡された。
■ 出演作
チャールズ・ロートン
「ノートルダムの傴僂男/The Hunchback of Notre Dame(1939)」(モーリン・オハラ、トーマス・ミッチェル、エドモンド・オブライエン)
「海賊キッド/Captain Kidd (1945)」(ランドルフ・スコット、バーバラ・ブリトン)
「パラダイン夫人の恋/The Paradine Case(1947)」(アリダ・ヴァリ、グレゴリー・ペック、ルイ・ジュールダン)
「凱旋門/Arch of Triumph(1948)」(イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ)
マリリン・モンロー
「彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk(1950)」(アン・バクスター)
「イヴの総て/All About Eve(1950)」(ベティ・デイヴィス、アン・バクスター)
「素晴らしき哉、定年!/As Young as You Feel(1951)」(モンティ・ウーリー、セルマ・リッター、マリリン・モンロー、デヴィッド・ウェイン、ジーン・ピータース、アルバート・デッカー、コンスタンス・ベネット、ラス・タンブリン)
「熱い夜の疼き/Clash by Night(1952)」(バーバラ・スタンウィック)
「ナイアガラ/Niagara(1953)」(ジョゼフ・コットン、ジーン・ピーターズ)