■ HELLGATE
南北戦争終了直後、南軍であった獣医のハンリーは「盗賊を助けた」という冤罪で逮捕されて、脱獄不可能と言われたヘルゲイト刑務所に入れられた。
仲間と脱獄したが失敗して「オーヴン」と言われる鉄の箱に入れられた。太陽にさらされてとんでもない暑さ・熱さになる。
刑務所内でチフスが流行し、地理を知っているハンリーが水をメキシコに取りに行くことになった。


製作年:1952、監督:チャールズ・マークィス・ウォーレン、脚本:チャールズ・マークィス・ウォーレン、原作:チャールズ・マークィス・ウォーレン、ジョン・C・チャンピオン


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ギリアム・ハンリー(スターリング・ヘイドン) 獣医
 エレン・ハンリー(ジョーン・レスリー) 妻
 ニール・プライス(?) ハンリー夫妻の知人
 ウッズ(?) 法務官
 ヴァーン・ブレーキン(カイル・ジェームス) 盗賊
 トッド・ヴォアヒーズ中尉(ワード・ボンド) ヘルゲイトの管理者
 カーン軍曹(Robert Wilke) ヴォアヒーズの部下
 ジョージ・レッドフィールド(James Arness) 囚人、リーダー
 ジャンパー・ホール(Peter Coe) 囚人、裏切り
 グンディ・ボイド(John Pickard) 囚人
 ダン・モット(Richard Emory) 囚人
 ハンチー(?) 囚人、先住民

軍隊ではなく刑務所なので「中尉」「軍曹」ではないかもしれないが、そのままにしておく。
 


■ あらすじ

◆ ハンリーは盗賊を治療した

1867年、カンザス州、南北戦争終了直後。まだ南軍の残党が活動している。そのような不安定な状況で盗賊も暗躍している。

ギリアム・ハンリーは獣医である。町から離れた山の中に家がある。町にでないのはハンリーが南軍だったからである。町では敵視されている。

ハンリーの家に数人の男が訪ねてきた。一人がケガをしている。実は盗賊である。

ハンリーは獣医だが簡単に見る。肋骨が折れているので、布で縛って「後は町で医者に見せろ」と言った。ハンリーは彼らが怪しい奴らであるとは半分は分かっている。

彼らは礼も言わずに外に出て馬で立ち去った。その時に一人がバッグを落としていった。

◆ ハンリーは逮捕された

次の日、北軍が入ってきた。まだ南軍の残党を探している。ハンリーが元南軍であることは知っているので、最初から疑っている。

「昨夜、中尉と保安官が撃たれた。犯人はブレーキンだ。昨日は何をしていた?」「昨夜、馬が出産した。それと落馬で肋骨を折った男が来た」。

北軍は部屋の中をじろじろと見まわして出て行った。外に出た。昨日の連中が落としていったバッグが見つかった。

すぐさま入ってきて「これは二週間前にブレキーンが奪ったものだ。ブレキーンの仲間だな」と強引に逮捕された。

◆ ハンリーは有罪になった

裁判。

「確かにハンリーのところに客がいた。ハンリーはケガ人だと言っていた」「ハンリーの家にブレーキンの馬がいた」「5000ドルが入ったカバンが見つかった」。

このような証言があり、強引に有罪となった。

拘置所にエレンが面会に来た。「上層部に事実を訴えてくれ」というような話をする。

その時まさにブレーキンが逮捕されて連れてこられた。面通しをする。ブレーキンはハンリーを見て「俺の仲間だ」ととんでもないことを言った。

◆ ヘルゲイト刑務所

ハンリーはメキシコ国境に近いヘルゲイト刑務所に移された。「ヘルゲイト=地獄の門」という名前もスゴイ。

メキシコ国境に近い砂漠の中にある。深い谷の地形を利用している。谷の底に複雑で大きな洞窟がある。その洞窟を利用して監房が作られている。谷を上がるとずっと砂漠が続いている。簡単に言えば脱出が不可能な刑務所である。

ここには水がないので麓の村から運ばれてくる。それと司令官が極悪である。戦争中に妻子を殺されたので、特に南部出身者には憎悪を浴びせる。当然ヘンリーは敵視された。

周囲には先住民のピマ族が住んでいる。もし脱獄者が出た場合に、捕らえたり殺したりすれば、彼らに賞金が出る。

ヘンリーには特に「オーヴン」が見せられた。脅しである。オーヴンは地面に横たわった鉄の箱。罰則として、この箱の中に寝かされて閉じ込められる。太陽が当たればとんでもない暑さ・熱さになる。

◆ 監房

洞窟に入る。何重にも柵や格子が張られている。いくつもの監房がある。それを一つずつ通って監房に入れられた。

イスやベッドがなく、そのまま地面に座ったり、寝たりする。

数人がいる。リーダーはレッド。ピマ族が一人いる。最初から険悪な雰囲気。喧嘩になりそうになるが、なんとか収まった。

レッドは「ここで見たものは話すな」と警告。ケガ人がいたので診察した。

昼間は、当地で水を掘り当てるための工事をさせられる。しかし、みんなそれは嘘だと言っている。水は出てこない。単に苦役のためと言っている。

◆ 脱獄を目指す

実は脱獄のために穴を掘っている。「ここで見たものを話すな」の真意である。

洞窟は上の方に伸びている。そこから穴を掘っている。なかなか進まない。今までもいろいろ試したがダメだった。まともな道具はないが、少しずつ掘っている。

それとモットがケガをしている。レッド「死んでもらっては困る」。モットは、昔は探鉱者で、このあたりの地理に詳しい。なので脱獄する時にはぜひとも必要である。

一方エレンはハンリーに手紙を書いている。またいろんなところに掛け合っている。

ハンリーはヴォアヒーズのところに呼び出された。「ブレーキンの居所を教えてくれ」との手紙が来た。もちろんハンリーは知らない。「妻からの手紙は?」と聞く。ヴォアヒーズは「手紙は来ているが見せられない」と見せなかった。注、ブレーキンは逮捕されたのでは?

ここでモットが死んだ。死ぬ前に砂漠を抜けるための地図をどこかに書いたらしい。しかし見つからない。

ついに出口に辿り着いた。まだここでは脱獄しない。

◆ ハンリーはオーヴンに入れられた

補足。ここの部分は原作から場面がわりと省略されているようである。分かりずらい。

出口に辿り着いたが、まだすぐには脱獄しない。理由はモットの書いた地図が見つからないから。

モットは、その前にオーヴンに入れられた。ハンリーはモットがオーブンの壁に地図を書いたものと推測する。それでオーヴンに入れられるように画策する。

ハンリーは監獄の格子を開けて外に出る。補足。メンバーはなぜか格子を開けるカギを持っている。ただし、外には何重にも柵や格子があり、警備兵もいるので脱獄できるわけではない。

ハンリーは外に出て、洞窟の中を進んでいくが、警備兵にわざと見つかり元に戻る。警備兵が来て追及する。ハンリーは「自分が外に出た」と名乗り出る。捕らえられた。

補足。ここで他の囚人たちが外に出て脱獄しようとする。多数の囚人が出ていくが、洞窟の入り口で警備兵が銃を構えているので、みんな捕らえられる。この部分はストーリーから言えば無意味。

ハンリーはオーヴンに入れられた。そこで中に書かれていた地図を読み取った。注、オーヴンは鉄の箱なので、閉じられれば真っ暗になると思うが、そこは許す。

◆ ハンリー仮釈放の話

エレンの元に法務官のウッズが訪ねてきた。ハンリー夫妻の知人のニール・プライスもいる。

ウッズは「私の監視下で釈放してもらう。ただし行動は監視される」と言う。

それを聞いてプライスは「ハンリーを利用する気だな」と言うが、エレンは「帰ってくることが大事よ」と期待する。

ウッズは南部側残存ゲリラの情報を知りたいらしい。

ウッズ「明日には使者が刑務所に着く。その後刑務所側が三週間かけて判断する」。

◆ 脱獄したが失敗

いよいよ脱獄の手筈である。いやだがしかし、実は密告者がいる。ジャンパー・ホールである。

ホールはヴォアヒーズに、脱獄の計画をばらした。「深夜交代の後にでてくる」「本当にモットは砂漠の地図を教えたのか?」「レッドはそう思っている」。

その後ホールは監獄に戻される。戻されれば裏切りがばれてしまうか、脱獄して撃たれるのどちらかになるので「戻さないでくれ」と言うが戻される。

ついに脱獄敢行。洞窟を上にのぼり岩穴から出た。

実はヴォアヒーズは部下を率いて、これを見ている。遠くから監視しているが「まだ撃つな」と止めている。

ここが割と長いが、結果は失敗。ハンリー以外は死亡した。

ヴォアヒーズはハンリーに対して「お前を釈放しろという書類が届いた」と知らせた上でオーヴンに入れた。ハンリーにはより大きな打撃である。

◆ チフスが流行る

刑務所にチフスが流行して来た。水があればよいが、町ではチフスを恐れてバリケードを作って刑務所からの馬車を拒否している。これでは刑務所は全滅となる。

ヴォアヒーズは「水を得る方法がある。メキシコ側に行けばよい。メキシコへの道を知っているヤツがいる」と言ってハンリーをオーヴンから出した。

本当を言えばヴォアヒーズはハンリーを釈放したくはない。「自由は約束できない。お前は南軍だ」。

ハンリーは迷った。しかし獣医なので状況は分かっている。引け受けた。

ヴォアヒーズは「護衛をつける」と言うが断った。

◆ ハンリーはメキシコにはいかない

ハンリーは馬で出発した。しかし少し行ったところで方角を変えた。

ヴォアヒーズは「脱獄だ」と叫んで銃撃を命じた。

ハンリーは実は麓の町の方へ行った。「メキシコに行って戻るには往復六日かかる」「それでは間に合わない」と言うのが医者としての判断である。

ハンリーは町に行ってバリケードの前で銃を構えた。「囚人だな」「俺を撃ったら24時間以内にみんな死ぬ」。

さらにハンリーは説得する。「バリケードや銃では感染を防げない。刑務所から感染する。感染する前に感染している場所で始末することが必要だ」。

「まず新鮮な水が必要だ。馬車一台の水が欲しい。そこで始末すれば終わりだ」。

ハンリーは馬車一台の水を持って帰ってきた。

◆ 裁判のやり直し

補足。ハンリーが出発する前に、最初にハンリーの家に現れた人物が送られてくる。彼に聞けば「ハンリーが一味かどうかが分かる」という話が展開している。しかし彼はチフスに罹っていて、意識を回復しないまま死んでしまった。

ハンリーが戻ってきてヴォアヒーズは「あいにく彼は死んだ。しかしお前は関係ないと言っていた」と言う。

しかしヴォアヒーズのこの言葉は嘘である。ハンリーが関係しているか無関係なのかを言わないで死んでしまった。

「お前の裁判はやり直しだ。俺も証言する」。

刑務所はチフスから救われた。

◆ ラスト

エレンがいる。ハンリーが帰ってきた。二人は抱き合った。
 


■ 出演作

◆ スターリング・ヘイドン
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1953)カンサス大平原/Kansas Pacific
(1954)大砂塵/Johnny Guitar
(1952)虐殺の砂漠/Hellgate

◆ ジョーン・レスリー
(1939)邂逅/Love Affair
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1952)虐殺の砂漠/Hellgate

◆ ワード・ボンド
(1937)暗黒街の弾痕/You Only Live Once
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1941)マルタの鷹/The Maltese Falcon
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1948)アパッチ砦/Fort Apache
(1952)静かなる男/The Quiet Man
(1954)大砂塵/Johnny Guitar
(1952)虐殺の砂漠/Hellgate