■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ラッシー(パル) - メスのコリー犬
 サム・カラクラフ(ドナルド・クリスプ) - 飼い主
 ヘレン・カラクラフ(エルザ・ランチェスター) - サムの妻
 ジョー・カラクラフ(ロディ・マクドール) - サムとヘレンの息子、小学生
 ルーディリング公爵(ナイジェル・ブルース)
 プリシーラ(エリザベス・テイラー) - 公爵の孫娘
 ハインズ(J.パトリック・オマリー)

本作は数あるラッシーの映画・番組の中で最初のもの。
 


■ あらすじ

◆ ラッシーが売られる

場所はヨークシャー。ジョーはラッシーが大好き。ラッシーもジョーが大好き。毎日学校に送っていく。

そして学校が終わる四時にジョーを迎えに行く。ラッシーは時計を持っていないが、ちゃんと四時が分かる。近所の人もラッシーが通ると時刻を認識する。

しかしカラクラフは家は貧乏である。家は借家、サムが仕事を失った。そこでラッシーを売ることにした。

ラッシーは素晴らしい毛並みのコリーである。犬をたくさん飼っているルーディリング公爵に以前から「ラッシーを買いたい」と言われていたもの。それを断っていたのだが、ついにラッシーを売ることにした。15ギニー。

公爵と公爵の犬の世話をしているハインズが来てラッシーを引き取っていった。ヘレンは「いなくなってよかったわ」と言いながら涙を拭いている。

ジョーはラッシーが学校に迎えに来なかったので、走って帰ってきて事態を把握した。悲しかった。

◆ ラッシー脱走

悲しかったのはラッシーも同じである。

金網の下の土を掘った。一生懸命に掘って抜け出して学校に行ってジョーを迎えた。家に戻ったが、サムとヘレンはラッシーに冷たくし、連れ戻された。

次は金網を飛び越えた。ラッシーにとっては難しいことだったが、なんとか飛び越えて家に戻った。ラッシーが痩せているようだったので、エサをやって、またすぐに戻した。

その騒動が終わったがハインズが訪ねてきた。またラッシーがいなくなったとのこと。ジョーもまだ帰ってきていない。

サムは「心当たりがある」と言って洞窟に出かけた。ジョーとラッシーがいた。ジョーはここでラッシーと暮らすつもりだったようだが、ラッシーはまた連れて戻された。

プリシーラはラッシーを気に入ってジョーに「ラッシーのことは心配しないで、私が面倒を見る」と言うので、ジョーは「ありがとう」と答えた。

◆ スコットランド

ラッシーはドッグショーのためにスコットランドに連れていかれることになった。そして終わっても公爵のスコットランドの領地で飼われる。

スコットランドに到着したがハインズが油断した隙にラッシーは逃げ出した。プリシーラは「南に向かっているわ。ヨークシャーよ」と言った。

これからラッシーの大冒険が始まる。

海岸の岩場を通った。森の中を走った。雨の中を歩いた。疲れて休む。

渓谷に入り滝のそばを通った。川を泳いで渡った。

羊を襲う犬と間違えられて追いかけられた。猟犬と戦った。

疲れて毛並みもヨレヨレ。また川を泳いだ。

◆ 老夫婦

夜、ある家の前。雨が降っている。疲れて倒れていた。

老夫婦がラッシーの存在に気が付いた。二人はラッシーを家に運び入れた。休ませてもらい、ミルクを貰った。

迷い犬がいないか調べたが、そのような情報はなかったので「私たちの家族よ」と自分たちで飼うことにした。

しかし老夫婦は、ラッシーに目的があることが分かったようである。

ラッシーは、老夫婦を振り返った後、出発した。

◆ 行商人

次に出会ったのは行商人。林の中で馬車を止めている。トゥーツという小さな犬を連れている。

彼もまたラッシーに親切にしてくれた。馬車が出発し、ラッシーはついていった。トゥーツとラッシーは仲良くなった。

町について商品を売る。トゥーツが芸をする。輪をくぐるとかボールの上に乗るとか簡単なもの。みんなと一緒にラッシーも見ている。

さて、この様子を怪しい二人組が見ている。人気がいないところに来て、二人組が襲撃してきた。「金をだせ」。

行商人は棍棒を取り出して戦った。トゥーツも戦った。ラッシーも戦った。結果、二人組を撃退したが、トゥーツが死亡した。

行商人は涙を流した。

行商人はラッシーに「私の家に来るか?」と誘いかけだが、彼もラッシーに目的があることを理解した。

ラッシーは一度行商人を振り返って出発した。

さていよいよ目的地が近づいてきた。

◆ ラッシーが襲われる

ラッシーが町中を歩いていると、二人の男が近づいてきた。ラッシーを捕らえて売ろうとの目的のようである。

ラッシーは逃げた。二人は追いかけた。ある建物の中に逃げ込んだ。階段を駆け上った。

だが追い詰められた。ラッシーは思い切って窓から飛び出した。

下に落ちて左前脚を負傷した。

◆ カラクラフ家

さてカラクラフ家。サムとヘレンがいつものように、あまり明るくない話をしている。仕事がまだ見つからないようである。

家の外でなつかしい声がした。ドアを開けた。ラッシー!

しかし傷ついている。ラッシーを中に入れた。ラッシーは中に入って座り込んだ。ラッシーはしばらく食べていなかったようで、体力がなくなっていた。

さて、ここに公爵か訪ねてきた。プリシーラも一緒。二人は急いでラッシーを奥の部屋に入れた。

サムはヘレンに「ラッシーは渡さない」と言った後、ドアを開けた。

公爵が入ってきた。「犬のことで話が」と切り出したので、二人は緊張した。「ラッシーが逃げ出した」。

「それはお気の毒に」ととぼける。「ひょっとしたら、こちらに」「あれ以来見かけません」。

一呼吸おいて公爵は「仕事はしているのか?」。サムは「いや、こんな状態です」と答えるが、ヘレンは「3,4件依頼はありますが、まだ返事をしていないです」と見栄をはる。

公爵は「他の話は断って、うちの犬小屋の番をしてほしい。お前にぴったりだ」。二人は笑顔になった。公爵も笑顔。注、ハインズは解雇されている。

さてここで、犬の鳴き声。公爵は不審な顔。「この声は?」「気のせいでしょう」と微妙な駆け引きが行われる。

公爵は奥の部屋の扉を開けた。ビッコを引きながらラッシーが登場。

サムは「ラッシーではありません」と強弁。公爵は「黙ってろ」と言った。そしてプリシーラに意見を求めた。「この犬をみたことがあるか?」。プリシーラはしばらく間をおいて「ないわ」。そして公爵も「わしも見たことがない」。

公爵とプリシーラは出ていった。言わなくてもわかるだろうが、二人ともラッシーであると気が付いていた。

さてちょうど四時の少し前である。律儀なラッシーは、ビッコを引きながらもジョーを迎えに出かけた。

最後の場面などはラッシーがビッコを引いているが、本当に演技したんだろうか?