■ Lure of the Wilderness
ベンは沼地に迷い込んでしまった犬を探しに行った。
しかし頭を殴られて気絶した。気が付くと、沼地の奥で暮らす男と娘がいた。ジムとローリー。
男は警察に追われて八年間、ここにいるという。しかし本当は無実と主張する。
ベンは二人をなんとかしたいと思い、自分の村に戻っていく。


製作:1952年、原作:Vereen Bell、脚本:Louis Lantz、監督:Jean Negulesco


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジム・ハーパー(ウォルター・ブレナン)
 ローリー・ハーパー(ジーン・ピーターズ) ジムの娘
 ベン・タイラー(ジェフリー・ハンター)
 ザック・タイラー(トム・タリー) ベンの父親
 ダラス(?) ベンの犬
 ノーリーン・マッゴーワン(コンスタンス・スミス) ベンの恋人
 パット(ハリー・シャノン) ノーリーンの新しい彼氏
 ブリンク保安官(ウィル・ライト)
 ディヴ・ロンデン(ジャック・イーラム)

邦題がつけられているが、日本語版は見当たらない。本作は「(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water」のリメイクだが、わりとストーリーは違っている。ジム役は同じくウォルター・ブレナン。
 


■ あらすじ

◆ 沼地に入り込む

ジョージア州ファーゴの村。近くには広大な沼地が広がっている。中に入って迷えばどうなるか分からないところである。

ベン・タイラーと父親のザックと犬のダラスは、ボートに乗って沼に乗り入れた。

複雑に入り組んだ沼、周囲は森林、鳥や野獣、ワニがいる。

ダラスが動物を見て水に飛び込んだ。ワニが接近してくる。ダラスは陸に上がった。助けに行こうとするが、ザックは引き留めた。村に戻ってきた。

◆ ダラスを探しに行く

ベンはダラスを探しに行くことにする。恋人のノーリーンが反対する。「夫を亡くすなんて嫌よ」「まだ違うだろ」。他の人もクレイジーだと言っている。

ワニがウロウロ。棒の上に骸骨が乗っている。木に斧で印をつけながら進んでいく。静かな中に時々鋭い鳴き声が響く。

ダラスの姿がちらっと見えた。笛を鳴らした。追いかけていく。ボートを捨てて進んでいく。ぬかるみ。

ダラスを見失った。夜になって焚火を焚いて休んだ。ウトウトすると鳴き声がして目が覚める。またウトウトする。

後ろから突然殴られた。気を失った。

◆ ジムとローリーに会う

気が付いた。ダラスがいる。しかし手を後ろに縛られている。

男と女がいる。火を焚いている。男は年寄り、しかし女は若い。

「我々を探しに来たのか?」「犬を探しに来た」との応答の後、ベンは気が付いた。「分かった、ジム・ハーパーだな。それと娘のローリー」。ローリーはナイフで切りかかった。ジムが抑えた。

手のロープは切られた。二人はいろいろ作業をしている。ローリーは黙っているがジムはベンに話しかけてくるが「八年前、自分は自己防衛で人を殺した」。

ダラスが走り出したのでローリーが止めた。猛獣がいた。ダラスを小屋に引き戻す。

ジムは「できれば戻りたい。俺が有罪だと思ってるんだろ?」。

◆ 狩りに行く

ベンとローリーは狩りに出かけた。ベンはライフルを貸してもらった。ローリーは弓を使う。

ローリーは矢を確実に当てる。しかしベンはあまり当たらない。ローリーがニコニコ笑いだす。今まではベンには笑わなかった。

夜ジムがウクレレ弾いてで歌った。ベンは少し離れたところに座っている。ジムはローリーに「ベンがお前を見てるぞ」。そしてローリーもベンを気にしている。

ジムが何かに毒をかけられた。大声で助けを求めた。ローリーは毒を吸い出す。ジムは倒れたまま。

ベンが墓穴を掘った。埋めようとジムのところに行くと、ジムは生きていた。「幽霊じゃないぞ」。過酷な生活で生命力が鍛えられた。

◆ 村に戻る

ベンは村に戻る。ベンとダラスがボートに乗る。ジムとローリーは別のボートで送る。しばらくして別れた。

ザックは家の中からダラスの声がしたので家に駆け込んだ。しかしザックはベンを殴った。ベンはダラスと一緒に家を出た。

ノーリーンが声をかけてきた。森の中で話した。昔の通りにキスをした。しかしベンがまた沼地に行くというので、ノーリーンは怒って立ち去った。

◆ また親娘を訪ねていく

ベンとダラスは再びジムとローリーを訪ねた。ダラスがローリーを見て走っていった。

ベンはローリーにプレゼントを持ってきた。靴、ドレス、帽子。ローリーはしげしげと眺めた。しかしここでは使えないものである。

ジムには葉巻を渡した。

◆ ベンが蛇にやられた

ボート二つで出発した。野牛がいたのでやり過ごしたが、ダラスがとびかかった。ダラスは野牛にやられたかに思えたが、特に何もなかった。

魚を捕らえる籠を作った。みんなわりと楽しそうに作業をする。これを水に沈めて、後から引き上げる。

ベンが花を取ってきてローリーの髪につけた。「きれい?」。

二つのボートで出かけた。突然ダラスが吠えた。ベンのそばにある木の枝から蛇がぶら下がっている。噛まれてボートがひっくり返った。

ワニが近寄ってきた。ローリーがベンを助けて引き上げた。岸にたどり着いた。ベンは気を失っている。

ワニが迫ってきた。ジムはワニと戦い、追い返した。

ベンの首から毒を取った。たいしたことにはならなかった。

ベンは村に戻っていった。

◆ ローリーが訪ねてきた

ダンスパーティ。ノーリーンは新しい彼氏のパット・マッゴーワンと踊っている。ニコニコ。ベンは二人を見ている。

合間にノーリーンがベンのところにきた。しかしここでローリーが現れた。ベンはノーリーンを無視してローリーのところへ行った。

ローリーはベンからプレゼントされた白いドレスを着ている。ノーリーンは不審な目つき。

ベンとローリーが踊った。ノーリーンは腕組みをして二人を見ている。

この後はノーリーンがローリーの悪口を言い、ノーリーンがベンを殴り、ベンとパットが殴りあう展開となった。

その後ノーリーンはローリーの父親の悪口を言うので、ローリーは立ち去った。

◆ ベンはリンチされる

ロンデンと手下がベンに言いがかりをつける。ジムのことを追求する。保安官もいて「ハーパーのところへ案内しろ」という。ノーリーンが見ている。

ロンデンたちがベンを殴った。水のそばに連れていかれて、頭から沈められる。ぎりぎりのところで水から挙げられて、また沈められる。

ノーリーンが人を連れてきた。リンチをやめさせた。

その後、ベンを助けた男性とベンが店で話す。

補足。後の展開を見ると、郡保安官(county sheriff)が「ジムは無実である」との書類を作るのだが、ここでははっきりと示されない。

◆ ベンはジムのところへ向かい、ロンデンが追跡する

ベンはまたボートに乗ってジムのところへ向かう。そしてロンデンと手下がライフルを持って追いかける。

ベンが到着してジムが現れた。ベンは(郡保安官からの)封筒を出す。ジムは用心して「地面に置け」と言ってベンを遠ざけてから書類を見る。ローリーが現れた。

ジムは書類をみて納得した。しかしローリーは「トリックよ」と警戒する。ベン「郡保安官からの正式な書類、サインもある」。

ジムはローリーに「これ以上、沼地でいることは望まない、もう長すぎる」。ローリーは少し考えたうえで納得した。

◆ ロンデンに襲われる

ロンデンと手下は潜んでチャンスを狙っている。ジムたち三人はボートに乗って出発した。

ロンデンと手下はライフルを持って迫ってきた。引き金を引いた。撃った衝撃でボートは転覆。泳いで逃げて陸に上がった。

ローリーとジムは手にナイフ。(危ないので)ベンに立ち去るように言う。ベンが立ち上がったところ、銃声が響き、ベンをかすめた。

◆ ロンデンは底なし沼へ

ローリーはベンを誘導して移動する。ローリーが長い枝をベンに持たせる。枝でやぶを揺らして場所を偽装した。

ロンデンと手下が迫ってくる。ローリーの前に底なし沼がある。ローリーはベンの上着を脱がせて、ベンを行かせた。

ローリーは底なし沼の上に上着を投げてベンを追いかけた。

ロンデンと手下は上着を発見して取り上げようとした。ロンデンは底なし沼にはまった。手下が助けようとするが助けられない。手下は手を離した。ロンデンは悲鳴を上げながら沈んだ。

ベンとローリーが来た。手下を捕まえた。ジムも来た。

三人(と捕まえた手下)で村に向かう。

◆ ラスト

村に到着した。みんなが迎えている。上陸すると保安官が手下を捕らえた。

三人は馬車に乗った。ベンが周りに手を振って馬車は走っていった。
 


■ 出演作

◆ ウォルター・ブレナン
(1936)激怒/Fury
(1940)西部の男/The Westerner
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1941)群衆/Meet John Doe
(1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)赤い河/Red River
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness

ジーン・ピーターズ
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water/漁師とケースワーカーと孤児
(1948)征服への道/Captain from Casile/恋人ともに新大陸に渡る
(1950)Love That Brute/ギャング・ロマンティック・コメディ
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies/捕虜を救って好きになったが裏切られる
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!/メキシコ革命、伝記映画
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House/吹雪の中を歩いて肺炎に
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness/冤罪で逃亡し沼地で暮らす
(1953)拾った女/Pickup on South street/スパイ組織との対決
(1953)ナイアガラ/Niagara/殺人犯と一緒に滝に流される
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki/ハリウッドに進出しようとしたが殺された
(1954)アパッチ/Apache/ジェロニモ降伏後も白人と戦う
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain/ローマでのアメリカ人女性三人の恋愛模様

◆ トム・タリー
(1953)月蒼くして/THE MOON IS BLUE
(1947)湖中の女/The Lady In The Lake
(1944)戀の十日間/恋の十日間/I'LL BE SEEING YOU
◆ ジャック・イーラム
(1952)真昼の決闘/High Noon
(1953)アリバイなき男/Kansas City Confidential
(1948)赤い河/Red River
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide