Party Girl

トーマス・ファーレルはマフィアのリコ・アンジェロの顧問弁護士をしている。
努力してせっかく弁護士になったのだが、現在の状態に嫌気がさしてきている。
また離婚に応じない妻がいるが、ダンサーのヴィッキー・ゲイと知り合い、付き合い始めた。
リコの要求で凶悪犯のクッキー・ラモッテの弁護をすることになったが拒否した。するとリコはヴィッキーの顔に硫酸をかけると脅した。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1958、監督:Nicholas Ray、脚本:George Wells、原作:Leo Katcher


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
トーマス・ファーレル(ロバート・テイラー) 弁護士
ジェヌヴィエーヴ・ファーレル(クレア・ケリー) トミーの妻
ジェフリー・ステュアート(ケント・スミス) 州地方検事

ヴィッキー・ゲイ(シド・チャリシー) ダンサー
リコ・アンジェロ(リー・J・コッブ) マフィアのボス
ルイ・カネット(ジョン・アイアランド) リコの手下
クッキー・ラモッテ(コリー・アレン) リコの相棒

◆ 補足

ヴィッキー・ゲイのダンスが素晴らしい。シド・チャリシーは女優でありダンサーでもある。チャリシーは最初の夫の姓。次は俳優・歌手のトニー・マーティンと結婚。

リー・J・コッブは善役も悪役もやるが、今回はわりとすごい悪役。

ロバート・テイラーは有名なハンサム俳優だが、善役だけでなく悪役もこなす。バーバラ・スタンウィックと結婚していた。バーバラとの共演は(たぶん)ない。

ローマ帝国のキリスト教徒弾圧を描いた「(1951)クォ・ヴァディス/Quo Vadis」が有名。「(1952)黒騎士:アイヴァンホー/Ivanhoe」はイングランドでのサクソン人とノルマン人の対立を描いたもので、エリザベス・テイラーやジョーン・フォンテインも出演。

ジョン・アイアランドは西部劇に悪役として多く出演した。同じく西部劇に出演したジョアン・ドゥルーと結婚していた。

地方検事には連邦政府から任命される連邦地方検事と選挙で選ばれる州地方検事がある。前者は州にまたがる事件あるいは全国にかかわる事件を捜査する。後者は州内の事件を捜査する。ただこの区別がきちんと明文化されたのはリンドバーグ息子誘拐事件から。

地方検事は管理職で、その下に個々の案件を担当する地方検事補(あるいは副検事)がいる。

濃硫酸は接触した物質からH2Oを奪い取る。人体に接触した場合は、タンパク質からH2Oを取るので人体が炭化する。これが濃硫酸が怖い理由である。希硫酸には、このような性質はなく、酸としての性質が強い。
 


■ あらすじ

設定は1930年代初頭、シカゴ。

◆ トーマス・ファレル

トーマス・ファレルは子供の時の事故で足が悪く杖を使っている。

努力して弁護士になったが、今ではシカゴのマフィアのリコ・アンジェロの顧問弁護士をしている。

結婚してジェヌヴィエーヴという妻がいるが別居している。妻は離婚に応じようとしない。

◆ ヴィッキー・ゲイ

トーマスはリコが経営するゴールデン・ルースターでのパーティでダンサーのヴィッキー・ゲイに出会った。

ヴィッキーはリコの手下ルイ・カネットから嫌がらせを受けたので、トーマスに家まで送ってくれるように頼んだ。

ヴィッキーはアパートに帰ったが、ルームメイトのジョイが自殺していた。犯罪者の子供を身ごもっていたのを苦にしたらしい。

この件で二人は警察の取り調べを受けた。

二人は付き合うようになった。注、もちろんトーマスには妻がいる。

◆ トーマスはストックホルムへ

トーマスはリコから離れたいと思うようになった。

このような時、足を手術すれば治るかもという情報を得てストックホルムに向かった。

ヴィッキーもトーマスを追いかけて、二人は水入らずの生活をした。

だがリコから新たな裁判を引き受けてほしいとの依頼が来て二人はシカゴに戻った。

◆ クッキー・ラ・モットの裁判

トーマスは冷酷な殺人者クッキー・ラ・モットの弁護を引き受けたが、嫌気がさしてきた。またクッキーが陪審員を買収しようとしたことも判明した。

対してリコは「弁護しないならばヴィッキーに暴力をふるう」ととんでもない脅しをかけてきた。

だがクッキーは保釈中に逃亡した。さらにジェフリー・ステュアート地方検事の殺害を企てた。

リコは面倒を起こしたクッキーをダイナーで射殺させた。

補足。ダイナーは(主に)街道沿いにある軽食店。

◆ ヴィッキーはリコに捕らわれた

ステュアートはリコに関係する人物を洗い出すことを決意した。

まずトーマスが逮捕された。トーマスは覚悟を決めて、リコの犯罪を知っている限り白状した。

ヴィッキーは当局の計らいで保護されていたが、カネットはヴィッキーの元へ行き、彼女を捕らえてリコに渡した。

その後、カネットは銃撃戦に巻き込まれて死亡した。

◆ トーマスはリコと対決

ヴィッキーが捕らえられていることを知ったトーマスは、警察に知らせた後、すぐにリコのアジトに向かった。

鉄道のそばのアジト。目隠しをされたヴィッキーが連れてこられた。

リコは硫酸が入った瓶を持ち、ヴィッキーの顔にかけると脅した。トーマスとリコは激しく言い合った。

銃声とともに警察が突入してきた。

トーマスはリコから硫酸のビンを奪い取った。リコが取り返した。銃声が響く中での殴り合い。

リコは取り返したビンを上に構えた。この時に銃弾がリコにあたり、ビンから漏れ出た硫酸はリコの顔に振りかかった。

リコは窓から転落した。

◆ ラスト

ジェヌヴィエーヴは離婚を承諾した。

トーマスとヴィッキーに新しい道が開けた。
 


■ 出演作

◆ リー・J・コッブ
(1949)深夜復讐便/THIEVES' HIGHWAY
(1947)征服への道/Captain from Casile
(1948)出獄/CALL NORTHSIDE 777
(1947)影なき殺人/Boomerang
(1957)イヴの三つの顔/The Three Faces of Eve
(1948)幸福の森、アイルランドの妖精/The Luck of the Irish
(1950)刑事=犯人が自分の事件を捜査/The Man Who Cheated Himself
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl

◆ ジョン・アイアランド
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1948)赤い河/Red River
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1950)誇りを汚すな/THE RETURN OF JESSE JAMES
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1946)目覚めと夢/Wake Up and Dream
(1951)復讐の谷/VENGEANCE VALLEY
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl
(1949)地獄への挑戦:ジェシー・ジェームズを撃った男/I SHOT JESSE JAMES
(1949)ギャングに追いかけられた男/Mr. Soft Touch
(1951)決死の騎兵隊/Little Big Horn
(1952)地獄への待伏せ/The Bushwackers

ロバート・テイラー
(1940)哀愁/Waterloo Bridge
(1951)クォ・ヴァディス/Quo Vadis
(1954)王家の谷/Valley of the Kings
(1946)底流/Undercurrent
(1947)高い壁/High Wall
(1949)夫はスパイだった/Conspirator
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl
(1944)ロシアの歌:指揮者とピアニスト/Song of Russia
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1964)ナイト・ウォーカー:夜歩く者/The Night Walker
(1956)最後のバッファロー狩り/The Last Hunt
(1955)二人の間の多くの深い河/Many Rivers to Cross
(1953)兄弟はみな勇敢だった/All the Brothers Were Valiant