RAW DEAL

服役中のジョーは脱獄し、パットと弁護士アンの二人の女性を連れて逃亡した。
この脱獄は仲間であったはずのリックがジョーを陥れるために仕組んだものだった。
警察とリックの追跡を逃れて、ジョーとパットはパナマ行の船に乗り込んだが、出港直前にアンがリックに捕らえれたことが分かった。
ジョー(とパット)はアンを助け出すために船を下りて、リックのアジトに乗り込む。



映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1948年,脚本:レオポルド・アトラス、ジョン・C・ヒギンズ,監督:アンソニー・マン


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジョー・サリヴァン(デニス・オキーフ)
 パット・レーガン(クレア・トレヴァー) ジョーの恋人(とパットは思っている)
 アン・マーティン(マーシャ・ハント) ジョーの弁護士
 リック・コイル(レイモンド・バー) ジョーの「仲間」
 ファンテイル(ジョン・アイアランド) リックの手下
 スパイダー(カート・コンウェイ) リックの手下
 オスカー(?) ジョーの知人

クレア・トレヴァーは90歳まで生きたが、マーシャ・ハントは104歳まで生きた。


■ あらすじ

◆ パットはジョーに面会

パット・レーガンは州立刑務所に服役しているジョー・サリヴァンに面会に行った。しかし先に面会者がいるとのことで待たされた。

先に面会していたのは弁護士のアン・マーティン。受刑者と弁護士との型通りの言葉がやり取りされる。

アンの面会が終了しパットが呼ばれた。

パットは出てきたアンを不審な目で見る。「男は刑務所にいても浮気をするのね」。

さてジョーとパットの会話内容は、型通りではない。脱獄の話。「完璧だと思うわ」「うまくやるさ」。時刻は今日の夜11:30。

見張りが二人に「もっと大きな声で」と注意する。

バットは「あなたはリックの罪を被ったのよ」と言って出ていった。

◆ しかし脱獄計画は罠

ジョーの元の仲間のリック・コイルが手下たちと話している。

「リック、なぜジョーを助け出すんだ?騙されたと知ったら復讐される」と手下が聞く。

リックは刑務所の牢を出れる確率、塀を乗り越える確率、包囲網を突破する確率などを挙げて、いずれも非常に小さいと話す。失敗すれば射殺される。

つまりリックはジョーに脱獄の話を持ち掛けて、それでジョーを陥れようとしている。

◆ 脱獄に成功

パットが刑務所の近くに車を止めている。時計を見ている。もうすぐ。

11:30。ジョーが刑務所の塀の上に現れた。ジョーは柱を伝って下りる。気づいた刑務所の職員が銃で狙う。サイレンが鳴らされる。

ジョーはパットの車に走り寄って乗った。急発進する。刑務所からも車が追いかけてくる。銃撃を受ける。

パットはバッグから地図とパスポート、パナマ行の乗船券を出す。ジョーは地図を見る。

「リックにはいつ会うの?」。

◆ アンに会う

とりあえず追っ手からは逃げ切った。しかし車が停止した。下りて調べるとタンクに穴が開いている。

急遽別の車を奪って走った。タクシー。バットが運転手の帽子を被って運転する。

二人はモーテルに行った。

ジョーは下りてある部屋に忍び込む。女性が寝ていた。アン。

アンは驚いて「馬鹿な真似は止めて。戻った方がいいわ」と言うが、ジョーが聞き入れそうにはないので「警察に通報する」と言う。

「ここに隠れさせてもらう」「逃げられないわ。戻った方がいい、自首して」「戻れば一生出られない」と展開してアンは自首させるのは諦めた。

「仲間を呼ぶ」と言って連れてきたのはパット。アンは呆れた。パットはもう一人の女性がいるので睨みつけた。ジョーは「女が二人いれば怪しまれない」。

◆ また車を変える

外に警察の車が来たので裏口から出て、別の車に乗り換えて走った。

ジョーが運転し、アンは真ん中の席。パットはアンがジョーの隣に座っているのが気に入らない。パット「アンタは邪魔よ」アン「(ジョーを)相手にしているのなら止めなさい」と小競り合い。

ガソリンスタンドがあった。パットとアンが下りた。二人は停車していた別の車に乗り込んだ。エンジンをかけて発車した。ジョーは素早く追いかけて飛び乗った。

従業員が三人が乗っていた車に乗って追いかけた。

検問があった。手配の車ではないので、三人は難なく通過。

◆ 野営した

三人は森の中で野営。火を焚いている。アンはまだ文句を言っている。それでもパットは「ジョーはやっぱり私よりアンが好きなの?」と思っている。

馬が近づいてきた。ジョーは木の陰に隠れて拳銃を持っている。

保安官。「キャンプの許可は?」。パットが謝った。アンは黙っている。注意されたが、保安官は去っていった。

パット「もうだめかと思ったわ」アン「いつか報いを受ける」。

◆ リック

リックとその手下はジョーの動向を調べている。

手下が「ジョーが追っ手をまいた。予想外の展開」と報告すると、リックは「明日の夜、クレセントシティでジョーに会え」と指示した。

補足。脱獄以降、ジョーとリックは連絡は取っていないので、クレセントシティは予め決まっていたことになる。

◆ 三人はモーテル

三人は森の中のモーテルに着いた。迎えたのはジョーの知人のオスカー。ジョーが脱獄したのを知らなかったようである。

中に入ろうとしたがパットのヒールが取れた。ジョーがパットを抱えて中に入る。パットは「こうしてほしかったの、作戦成功ね」と緊迫した状況に似合わず嬉しそうである。

パットは「愛している」と言われたことがないのを気にしている。そしてまたアンと小競り合い。

◆ 殺人犯

さてここでもう一つの事件が起こっている。殺人事件。犯人がこのあたりに潜んでいる。

森の中をライトを照らし警察犬を使ってしらみつぶしに捜索している。オスカーが「殺人犯が、このあたりに逃げこんだ」と知らせてきた。

家の中のライトを消した。男がドアを叩いた。

みんなは反対するが、ジョーがドアを開けて入れた。「妻を殺してしまった。愛していたのに」。

警察は家を包囲して接近してくる。三人は陰に隠れた。警察は犯人に呼びかけた。

犯人はドアを開けて出ていった。射殺された。アンは「明日は我が身よ」。

警察がドアを叩いた。オスカーが応対する。そして電話を借りて警察署に状況を報告した。

◆ クレセントシティモーテル

三人は出発した。オスカーは「リックには油断するな」と忠告して送り出した。

クレセントシティモーテルに到着した。

ジョーはパットに、アンには聞こえないように「アンをバス停に送った後、リックから五万ドルを回収する」と言うと、パットは「私も行く」。

ジョーはちょっと考えるとパットに「五万ドルでやり直そう」という。バットは喜んだ。

◆ 釣具店での格闘

待ち合わせ場所の釣具店。リックの手下のファンテイルが現れた。店主のウォルトとトランプをしながら待っている。

外に車が来たので、ファンテイルは奥に隠れた。

アンとジョンが下りてきた。注、パットは別行動。

「リックは?」「奥の部屋で待ってる」。

ジョーがドアを開けるとファンテイル。「リックは?」。ここで後ろからウォルトが拳銃をつけつけた。

ファンテイルがでてきた。「リックはいないのか?」「あきらめろ」。ここでジョーは罠に嵌められたことに気がついた。

ジョーは後ろに下がりながらウォルトを殴った。ウォルトは拳銃を落とした。ジョーは二人を相手に格闘。

ここでなんとアンが拳銃を拾って一人を撃った。倒れた。ジョーはもう一人を殴って倒した。注、アンがどちらを撃ったかはよく見えないが、たぶんウォルト。

アンは拳銃を捨てて外に走った。砂浜に座り込んで「彼は死んだわ。私が殺したの」。ジョーが来て「殺してない」「生きてる?」「ああ、生きてる」。アンはまた泣いた。

補足。ここでアンと一緒に来る必然性はないが、これでファンテイルがアンの顔を記憶して、後にアンを誘拐するストーリーが展開される。

◆ アンと別れる

次の日。ジョーからクレセントシティのパットに電話。「頼みがある。理由は聞くな。車を借りて、海岸通りまで来てくれ」。

パットが行くと、ジョーとアンが車に乗っている。アンに「ここでお別れだ」と言う。アンがバットが乗ってきた車に乗る。

そしてパットがジョーと一緒に乗る。それぞれ反対方向に発車する。

◆ アンが捕まった

ジョーを見失ったファンテイルは行方を捜している。店の前の電話でリックにジョーが見つからないと言う報告をしている。

そこを車が走っていった。アンが乗っている。

ファンテイルはアンの車を追いかけてアンを捕らえた。

◆ 二人は船で出ていくことにした

注、場所はクレセントシティ?明示はされない。

ジョーはパットとサンフランシスコから船で出発するつもり。しかしその前にやることがある。

ジョーが拳銃を準備をしていると「危険なことをしないで。行けば彼の思うつぼ。自由になるチャンスよ」。

ジョーの目的は罠に嵌められた仕返しと五万ドルを取るためである。パットは切れて「アンが言えば止められるの?」「彼女の名前は出すな」「かわいい顔に騙されてるだけよ」。ジョーはパットを殴った。

しかしジョーはリックに会わないで、二人で船で出発することにした。パットは抱き着いた。

ここで電話。パットが出た。リックから「アンを預かった」と言う内容だが、パットはジョーに分からないようにして適当な返事をする。ジョーには内緒。

補足。リックはジョーを探しているのに、電話番号を知っているのはかなり変。

◆ 船着き場

ジョーとパットは船着き場にきた。船に乗り込んだ。もうすぐパナマに向けて出港する。

ジョーは船員に聞いた。「船長は信心深いか?聖書を持っていれば、結婚式をしてほしい」。パットに「新しく人生をやり直そう」。

もう数分で出港である。しかしパットはアンのことを秘密にしていることが気になっている。

パットは「ジョー、聞いて。さっきかかってきた電話は..」と打ち明けるとジョーは飛び出した。パットも後を追った。

◆ 決戦

家の周りをリックの手下が警戒している。中でリックがライトを消した。

ジョーは手下を一人一人倒して、ドアを開けた。中を窺う。拳銃を構えて中に入る。

暗い部屋の中にリックがいる。リックは「撃たないでくれ」と言いながら自分は引き金を引いた。

ジョーにあたるが、ジョーも引き金を引いた。

二人が格闘する。火災が発生する。リックを火の中に倒した。

「アン!」と叫ぶと奥の部屋からアンが出てきた。

アンがジョーを支えて火が燃え上がっている家の中から出てきた。パットと警官が見ている。

ジョーは死亡した。
 


■ 補足

全体にパットのナレーションが流れている。その意味ではパットが主人公。パットはいつもアンを気にしている。

パットの面会の順番が来たら係員は「キャメロンさん、どうぞ」と言う。キャメロンて誰?パットの苗字はキャスト紹介ではレーガン(REGAN)になっている。偽名を使ったのか?

ジョーの脱獄のメカニズムは示されない。

上に指摘したが、リックはジョーを探しているのに連絡先を知っている。ちょっと変。
 


■ 出演作

デニス・オキーフ
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1947)Tメン/T-Men
(1950)メキシコの鷲と鷹/The Eagle and the Hawk
(1950)ローラー・コースターの女/Woman On The Run
(1947)退職した女/Dishonored Lady
(1957)ドラゴン砦の決戦/Dragoon Wells Massacre
(1955)ラスヴェガス事件/Las Vegas Shakedown
(1941)検事補と女性記者/Mr. District Attorney
(1951)六人の脱獄囚/Passage West
(1945)百万ドルの浪費/Brewster's Millions
(1945)スーザンの選択/The Affairs of Susan

クレア・トレヴァー
(1939)駅馬車/Stagecoach
(1941)掠奪の町/TEXAS
(1943)ブロンドの殺人者/MURDER, MY SWEET
(1941)無法街/Honky Tonk
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1939)アレゲニーの反乱/アリゲニー高原の暴動/ALLEGHENY UPRISING
(1943)無頼漢/Desperadoes
(1942)タイムスリップ殺人事件/Street of Chance
スパルタカス/Spartacus(1960)
(1955)星のない男/Man Without a Star
(1941)掠奪の町/TEXAS
(1942)交錯する記憶/Crossroads

マーシャ・ハント
(1936)アリゾナ突撃隊/The Arizona Raiders
(1937)西部地獄街,荒野の激闘,荒原の激闘/Born to the West/Hell Town
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1949)メアリー・ライアン刑事/Mary Ryan, Detective
(1971)ジョニーは戦場へ行った/Johnny Got His Gun
(1947)Smash-Up,The Story of a Woman
(1957)死からの帰還/死人の憑依/Back from the Dead
(1952)幸福の時間/ビビとペギー/The Happy Time
(1940)彷徨う女性/Women In Hiding
(1947)/カーネギーホール/Carnegie Hall
(1943)迷へる天使/Lost Angel
(1946)エヴィーへの手紙/A Letter for Evie
(1944)間違い結婚/Bride by Mistake
(1942)ギャングとの闘い/Kid Glove Killer
(1942)マーサの事件/The Affairs of Martha
(1942)ギャングとの闘い/Kid Glove Killer

◆ レイモンド・バー
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun)
(1953)コルシカの嵐/The Bandits of Corsica
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1951)替え玉殺人事件/HIS KIND OF WOMAN
(1953)青いガーディニア/The Blue Gardenia
(1948)落とし穴/PITFALL
(1948)拳銃往来/Station West
(1956)俺を殺せ/Please Murder Me
(1954)怒りの刃/Passion
(1953)ナイルの妖女、クレオパトラ/Serpent of the Nile

◆ ジョン・アイアランド
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1948)赤い河/Red River
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1950)誇りを汚すな/THE RETURN OF JESSE JAMES
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1946)目覚めと夢/Wake Up and Dream
(1951)復讐の谷/VENGEANCE VALLEY
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl
(1949)地獄への挑戦:ジェシー・ジェームズを撃った男/I SHOT JESSE JAMES