■ T-MEN
デニス・オブライエンとトニー・ジェナロは偽札偽造組織に潜入した。
トニーは正体がばれて射殺されたが、貴重な情報を取得した。
デニスは当局が作った偽札を持って組織の中心部に辿り着いた。しかし当局偽札の原版作成者と組織の原版作成者が知り合いであった。デニスも捕らえられた。


製作:1947年、脚本:ョン・C・ヒギンズ、監督:アンソニー・マン


■ はじめに

Tメンは財務省捜査官のこと。

登場人物(キャスト)
 デニス・オブライエン(デニス・オキーフ) 潜入捜査員 →ヴァニー・ハリガン
 トニー・ジェナロ(アルフレッド・ライダー) 潜入捜査員 →トニー・ガルヴァーニ
 メアリー・ジェナーロ(ジューン・ロックハート) トニーの妻
 グレッグ(アート・スミス) デニス、トニーの直属上司
 カーソン(ハーバート・ヘイス) 捜査側のトップ
 パスクアーレ(?) (怪しい)ホテルのオーナー
 カルロ・ヴァントゥッチ(?) 倉庫経営、実は酒の密輸
 スキーマー(ウォーレス・フォード) 一味の酒ビンの印紙をヴァントゥッチに提供
 オスカー・ギャフリー(-) 一味のトップ、本作には登場しない
 ダイアナ・シンプソン(ジェーン・ランドルフ) 一味のNo2
 モクシー(チャールズ・マッグロー) ダイアナの部下
 シブ(ジョン・ウェングラフ) ダイアナの部下
 ポール・ミラー(ウィリアム・マルテン) 一味の製版技術者
 ホリゾンタル(?) 一味の手下
 ブラッキー(?) 一味の手下
 エヴィー(?) 一味のカメラウーマン

注、「チャールズ・マックグロー」の表示が多いが「チャールズ・マッグロー」。
 


■ あらすじ

◆ 潜入捜査

ロスアンジェルス。財務省の潜入捜査官が偽札製造集団に潜入捜査をしていた。偽札用の紙を受け取る手はずだったが、敵の組織に射殺された。

その偽札は写真製版で紙は最高級のものを使用。その組織は紙幣だけではなく(酒ビンの)印紙も偽造していた。

再度潜入捜査をすることになる。今度は失敗は許されない。捜査官二人をカルロ・ヴァントゥッチに接触させることになる。

デニス・オブライエン。ニューヨーク出身。セントルイス勤務。現在は独身。潜入捜査の経験あり。

トニー・ジェナーロ。サンフランシスコ出身。インディアナ勤務。イタリア語ができる。既婚。

二人は、関係する犯罪記録に当たって、すらすら出てくるまで暗記した。組織の人物の人間関係、生死や現在の状況。かなりの情報があり、また間違えれば、生死に直結する。

◆ ヴァントゥッチに接触

二人は準備を終えてネヴァダのカーソンシティに向かった。デニスはヴァニー・ハリガン、トニーはトニー・ガルヴァーニと名乗る。

二人はフォリンジホテルに泊まった。

連携を取っている刑事がフォリンジホテルに現れて、オーナーのパスクアーレにヴァニー・ハリガンとトニー・ガルヴァーニの手配書を見せた。パスクアーレは知らないふり。

二人は、怪しそうな顔を装ってパスクアーレに話しかけた。パスクアーレはヴァントゥッチを紹介した。ヴァントゥッチは表向きは倉庫の経営者、実は酒を密輸している。二人は「一塁にでた。これから盗塁」と喜ぶ。

二人はヴァントゥッチの店に出かけた。話しかけるが当然知らないふり。二人は頭で憶えた知識で知ったかぶりをして話す。

ヴァントゥッチは少しずつ中身に入っていく。そして二人の手配書を見せた。「何か手伝いをしたい」と申し出た。

◆ スキーマーの情報

二人は倉庫みたいなところに連れていかれた。まず着替え。「これはスキーマーの服だ」と作業着を渡された。デニスが着る。トニーも作業着を着た。

密造酒の印紙を張った。印紙はスキーマーという人物から仕入れているらしい。

その印紙はロスアンジェルスの新聞にくるまれていた。スキーマーの作業着を盗み出して、財務省の研究所に送って調べてもらった。

ヴァントゥッチから得た情報と合わせて、スキーマーの大体の情報。50歳くらい、太り気味で白髪、身長175、葉巻を吸う、中国の漢方薬の竜胆を使っている、左肩に刺し傷。

デニスはスキーマーを探しにロスに出かけた。ヴァントゥッチはデニスが姿を消したので、トニーを追及した。

トニーは白を切る。「追手を避けるためだ」「なぜ追われている」「知らない」。

さらに責められたので「トニー・ロッコの件だよ」とあてずっぽうで答えた。これでヴァントゥッチは一応納得。

◆ スキーマーを探した

デニスはスキーマーを探して回った。苦労の末、チャイナタウンのファーガソン通りで「スキーマーに竜胆を売った」との情報を得た。しかし店主は「サウナに行くと言ったので、以後の取引を断った」とのこと。店主はサウナはよくないと思っている。

次はサウナを回ってスキーマーを探した。今度もなかなか捕まらない。回りすぎて、のぼせ上った。

あるサウナで左肩に傷がある男を見つけた。その他の特徴も一致する。竜胆を飲むところも目撃した。尾行してアパートを確認した。

◆ 偽札を用意する

デニスは結果を報告した。そして捜査用の偽札の原版と偽札を作ってもらった。原版はとりあえず預かって貰って、偽札を貰って出かけた。

デニスはスキーマーを尾行した。オーシャンパークホテルの隠し部屋に入った。フロントで、怪しい人間を装って話しかけるとデニスも入ることができた。

中ではサイコロ賭博。いくつかやり取りをして、スキーマーが外に出たところで話しかけた。

スキーマー「あんたも俺たちの同類だろ?」デニス「俺の偽札を見てみろ」。スキーマーは「これは素晴らしい技術だ。ただ紙が良くない」と言ってスキーマーの偽札を出した。

「この紙をどこで手に入れた?」「仲間がいる」。

「俺は紙、あんたは原版、手を組もう」と提案された。「一時間で戻る」と出て行った。デニスはスキーマーを尾行した。

◆ クラブ・トリニダード

スキーマーはクラブ・トリニダードに入った。

カメラを抱えた女性が来て写真を撮った。スキーマーはデニスの偽札を渡した(はず)。二人は何かを話している。デニスは電話ボックスに入って様子を見た。

スキーマーは出て行った。

デニスが席に着いた・先ほどの女性が寄ってきて「写真はどう?」と聞いた。「西海岸カメラセンター、エヴィー」の名札。デニスは写真を撮ってもらって偽札を出した。

エヴィーは受け取った偽札を確認すると出かけた。デニスは把握した事実をメモに書いて報告。エヴィーの後を追いかけた。

◆ 西海岸カメラセンター

エヴィーは西海岸カメラセンターに到着し、中の秘密の部屋に入った。スキーマーに渡された偽札を渡し、さらにデニスのことをは報告した。注、スキーマーとデニスが渡したものは同一の偽札である。

「スキーマーが帰った後、同じ折り方をした偽札を貰った。初めて見る顔」。エヴィーは撮影したデニスの写真を見せた。

「財務省の人間かも?あるいは我々の商売仇。調べてよう」。

◆ 試し刷りをすることになる

デニスが自分の部屋に戻ってきたところ、待ち伏せされていて捕らえられた。モクシーと他一人。

体を痛めつけられながら「クラブ・トリニダードで何を探っていた?」と追及された。

デニスはしらばっくれたが、ビヴァリーヒルズの邸宅に連れてこられた。さらにシブという男がいた。

「こちらにはいい原版がある。手を組もう」と提案した。

微妙な駆け引きが行われるが「提供される原版と用紙がうまく適合するかどうか分からない」ということで、用紙の提供を受けて試し刷りをすることになった。

用紙を受け取って引き返した。

◆ 中国からの用紙

デニスは用紙を本部に渡した。本部では一枚で偽札を刷って、残りを分析した。

「本物の紙幣に限りなく近い。中国の製紙会社が使う収縮剤が用いられている」。さっそく中国から運ばれてくる用紙の監視が指示された。

デニスは、刷られた偽札と原版の裏面を持って出かけた。

刷った紙幣を渡す。「裏面だけか?」「相性を確認するだけなら、それでいいはずだ」「四枚分渡しただろ」「三回失敗した、燃やした」。

その場でチェックした。「我々の紙との相性は最高。原版は裏面だけか?」「表面はボスに会った時に渡す」。

◆ トニーとメアリーが遭遇する

この間トニーはスキーマーと接触していた。二人ともロスアンジェルスにきている。

スキーマーは、かっては組織の中心部にいたが、今では落ちぶれている。状況によっては命も危ない立場である。

しかしスキーマーは「自分の身は安全だ」と言っている。知りえた情報を暗号化して、分からないところに隠しているとのこと。

トニーは、その情報を探る。

一方、トニーの妻メアリーは友達とともにロスアンジェルスに旅行に来ていた。トニーがいることは知らない。

トニーとスキーマーがいる時に、メアリーと友達がトニーを見つけた。友達はトニーに喜んで声をかけた。

トニーは秘密任務の最中なので無視しようとする。友達はメアリーに同意を求める。メアリーは、トニーがロスアンジェルスにいるとは知らなかったものの、状況を察知して知らないふりをする。

友達は非常に不審な顔をするが、メアリーと立ち去った。

しかしこの状況はスキーマーに観察されていた。

◆ ダイアナ・シンプソン

デニスは、入港した貨物船に連れられて行った。ある船室に入った。

女性がいた。ダイアナ・シンプソン。「これはよくできている」と言う。デニスは相手が女性なのでびっくりする。「あなたがトップか?」「いや、まだ上にいる」。

しかしまだ最終決定ではない。「後で連絡する」とデニスを外に出した。

ここでダイアナが電話。ダイアナは少し話した後に、モクシーに「スキーマーを始末してちょうだい」と指示を出した。

◆ トニーが殺された

モクシーはスキーマーをサウナで殺害した。しかしスキーマーは殺される前に、トニーのメアリ遭遇事件のことを話した。組織はトニーを尾行した。

デニスはトニーのことを聞かれた。「トニーは結婚しているのか?」「してないだろう」。

「ヤツがサンフランシスコの妻に電話していたらしい。相手はメアリー・ジェナーロ。ヤツは偽名を使っている」。

デニスは公園でトニーに会った。いや危険なのですれ違うだけである。すれ違いにトニーの正体がばれたことを伝えた。「すぐにロスアンジェルスを離れろ」。

しかしトニーは、もう一つやることがあった。スキーマーが持っている秘密の情報を探さなければならない。

トニーはスキーマーの部屋に行って部屋中を探した。「ウィルトシャーホテルの手荷物引換証」を発見した。引き出しの奥に貼り付けてあった。

ここでモクシーを先頭に一味が入ってきた。その中にはデニスもいた。

デニスには何もできない。トニーは目でデニスに必死に何かを訴えた。トニーは射殺された。

後でデニスはスキーマーの部屋を訪れて手荷物引換証を発見した。トニーが必死てデニスに知らせたものである。

本部は手荷物引換証でスキーマーが隠していた情報を取得し解析した。情報の宝庫であった。

◆ デニスが捕らえられた

デニスは原版の表面を持っていく。注、裏面はすでに渡している。

最終段階に差し掛かった。待機している部隊は「合図があったら突入する」。

しかしここで「ポール・ミラーはバウマンの元仕事仲間」との情報が入る。「デニスに原版を持って逃げろと連絡しろ」。

ここでなぜデニスが逃げなければならないかと言えばポール・ミラーは敵の原版の鑑定者。バウマンは、デニスが持っていった原版の作成者。

デニスがモクシーに「タバコを買いに行く」と外にでようとした。しかし「ボスの準備ができた」と連絡が入った。

「原版はあるのか?」と聞かれた。仕方なく「今はない」と答えるが、ポケットを探られた。原版が見つかった。拳銃をつきつけられた。

車に乗って港に行き、船に連れ込まれた。部隊の方では「デニス・オブライエンから連絡が切れた」と騒いでいる。

◆ デニスは命拾い

船室に入るとダイアナがいた。ダイアナは原版を受け取って奥の部屋に入った。みんなは緊張している。

ダイアナが出てきて手下に「捕まえて」と指示した。デニスは拳銃を突き付けられて見張られた。注、明示はされないが、奥で原版を確認した人物はポール・ミラー(のはず)。

ここで金属の床を歩く足音が聞こえてきた。ダイアナたちも緊張するので、予測していなかった人物である。

男が入ってきた。ダイアナは「誰が作ったか確認して」と指示する。原版をチェックした男は「初めて見るものだ。ヨーロッパのものらしい、問題ない」と言う。ダイアナは「私たちが間違っていたのね」。

この後ダイアナは原版を持って、試し刷りをするために奥の部屋に入る。

補足。ここのストーリーが混乱しているように感じられる。新しく入ってきた男が誰か明示されていない。前後を考えてもずれている。そもそも試し刷りはすでに済んでいるはず。

◆ 部隊が突入する

船室の外で、新しく入ってきた男がデニスに話す。「財務省の捜査官だな?原版を見た瞬間に分かった、オーガスト・バウマンの作品だ。俺は政府の証人になる。俺は君の命の恩人だ」。

ここで男が後ろから撃たれた。この銃声を聞いた部隊は船に突入する。デニスは男の拳銃を拾って戦った。

船はすべて制圧された。同時にクラブ・トリニダードと西海岸カメラセンターも捜索された。

黒幕はオスカー・ギャフリーと判明した。
 


■ 出演作

◆ デニス・オキーフ
「脱獄の掟/RAW DEAL(1948)」

◆ アート・スミス
「忘れじの面影/Letter from An Unknown Woman(1948)」
「真昼の暴動 Brute Force (1947)」

◆ ハーバート・ヘイス
「生きるためのもの/Something to Live for(1952)」
「陽のあたる場所/A Place in the Sun(1951)」
「大城塞/Tripoli(1950)」

◆ ウォーレス・フォード
「罠/The Set-Up(1949)」
「白い恐怖/SPELLBOUND(1945)」
「街の野獣/THE BEAST OF THE CITY(1932)」

◆ チャールズ・マッグロー
「殺人者/The Killers(1946)」
「真昼の暴動 Brute Force (1947)」
「替え玉殺人計画 His Kind of Woman (1951)」
「その女を殺せ The Narrow Margin (1952)」
「ジョニーは戦場へ行った Johnny Got His Gun (1971)」
「手錠のままの脱獄/The Defiant Ones(1958)」


「深夜の歌声/Road House(1948)」
「青い戦慄」
「青いガーディニア The Blue Gardenia (1953)」
「二つの頭脳を持つ男/THE MAN WITH TWO BRAINS(1983)」
「美人モデル殺人事件(1941)」