■ Waterloo Bridge
マイラは将校のロイと出会った。二人は結婚しようとしたが、ロイは急遽フランスへ旅立った。
ロイの戦死が報道された。マイラは失業して、娼婦となった。
しかし奇跡的にロイが帰ってきて、二人は結婚するために、ロイの故郷のスコットランドに行った。
マイラはロイの家族に受け入れられたにも拘わらず、自分の職業を卑下してロンドンに戻った。


製作年:1940、監督:マーヴィン・ルロイ、脚本:S・N・バーマン、ハンス・ラモー、ジョージ・フローシェル、原作:ロバート・E・シャーウッド


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マイラ・レスター(ヴィヴィアン・リー) ダンサー
 キティ(ヴァージニア・フィールド) ダンサー、マイラの友達
 マダム・オルガ・キーロー(マリア・オースペンスカヤ) 劇団長
 ロイ・クローニン(ロバート・テイラー) 軍人、マイラの恋人
 マーガレット・クローニン(ルシール・ワトソン) ロイの母親
 公爵(C・オーブリー・スミス) ロイの上司の上司、ロイの親戚
 大佐(ギルバート・エメリー) ロイの上司
 


■ あらすじ

本作はイギリス人将校のロイ・クローニンが、1939年9月3日、ドイツとの開戦の日にワーテルロー橋にきて、過去を回想するという形で展開される。ロイがいない部分も回想しているけど。

◆ ロイとマイラが知り合う

第一次大戦中。ロンドンはドイツ軍の空襲に見舞われた。空襲警報が鳴り響いた。

ロイ・クローニンは明日にフランスへ向かう命令を受けていた。ロイはワーテルロー橋にいたが、そこでマイラ・レスターに出会った。

ちょうど空襲警報が鳴り響いたので地下鉄の駅に避難した。多くの人々がいた。

マイラはバレエのダンサーであった。その夜に公演が行われ、マイラも出演するという。マイラは「幸運を招く」というビリケン人形をロイにプレゼントした。

二人がお互いに好意を持ったことは言うまでもない。

空襲警報が解除された。ロイは上司との食事の予定があるので、その旨を話して、二人は別れた。

◆ ロイはバレー公演を見る

ロイはマイラと別れて後、考え直して上司との食事をキャンセルし、マイラが出演する公演を鑑賞した。

マイラは舞台からロイが見ていることを認識した。お互いに見合わせて微笑みあった。

ロイはマイラに宛てて「食事をしたい」旨の伝言を依頼した。

マイラへの伝言を発見したマダム・オルガ・キーローは、マイラに、断りの返事を書かせて返信させた。

◆ 二人はデートする

しかしマイラの友人のキティが機転を利かせて、二人を会わせた。

二人はレストランで食事をしてダンスを楽しんだ。

その後、外に出て歩いた。キスをした。しかし明日にはロイはフランスに行き、永遠の別れとなる。

◆ ロイはフランス行きが延期になった

翌日、マイラが外を見ると、フランスに行ったはずのロイが雨の中に立っていた。

マイラは喜び慌てて外に出た。フランス行きが二日延期になったとのこと。

◆ ロイはマイラに結婚を申し込んだ

ここでロイは嬉しい爆弾発言をした。「結婚をしよう!」。

いくらロイを好きになっていたとはいえ、突然のことで返事を躊躇する。ロイが決意を示して、再度申し込むとマイラはオーケーした。

将校の結婚は上司の許可がいるので、二人で兵舎に向かった。マイラは外で待った。ロイの上司の大佐とさらに上司でロイの親戚の連隊長=公爵は、快く許可した。

二人は指輪を買って教会へ駆けつけた。しかし「午後三時以降は挙式はできない」とのことで、式は翌日11時となった。

◆ ロイは急にフランスに行った

マイラは劇団の宿舎に帰り、結婚のことをみんなに報告した。みんなからは拍手の嵐。

さて公演のため劇場に向かおうとすると、ロイから緊急連絡。「明日にフランスへ出発の指令」。

マイラは公演をほっとらかして駅に駆けつけた。ロイが乗った列車は発車し、二人はわずかに顔を見て手を振っただけで、別れ別れとなった。

◆ マイラとキティは解雇された

つづいてマイラは劇場に駆けつけたが遅刻した。キーローは仕事には厳しい人物でマイラを責め立てた。

キーローの態度に怒ったキティは抗議をした。結果は二人とも解雇された。

二人はアパートに引っ越した。まず仕事を探すことが必要である。しかしなかなか見つからない。

◆ ロイの母親と会うがロイの死亡記事を見る

マイラとキティは相変わらず苦しい生活をしていた。

そんな時にロイの母親のマーガレット・クローニンから手紙がきた。スコットランドからマイラに会いに来るという。

マイラは待ち合わせ場所のレストランに行った。着席する前に置かれている新聞を取って見た。

そこにはロイの戦死の情報があったっ!マイラは気絶した。近くの女性が助けてくれた。

気が付いて待っているとマーガレットが到着した。マーガレットはまだロイの戦死を知らない。

マーガレットはロイの依頼でマイラを受け入れようと来たのだが、マイラは気が動転しており、まともに話すことができなかった。

マーガレットは立ち去った。

◆ マイラは娼婦になる

マイラは無職であったが、キティは何かしら金を稼いでいる。マイラは、キティがどのように金を稼いでいるのかが疑問に思った。キティは明確には答えないがマイラは理解した。

マイラはワーテルロー橋に佇んでいた。するとマイラのことを誤解した男性が声をかけてきた。

それからマイラは娼婦となった。

◆ ロイとマイラは再会した

ある日、いつものように駅で客を探していたのだが、目の前に男性が立った。ロイっ!

ロイは捕虜になり収容所送りとなったが、脱走してスイスに逃れたとのことだった。マーガレットがマイラを訪ねたことも知っていた。

マイラは泣いて抱き着いた。嬉しかったが、しかし現在の職業のことは言えなかった。

ロイは、それを知ってか知らずか、いずれにしろマイラを受け入れた。ロイはマイラにプロポーズした。

◆ 二人はスコットランドに行く

キティに別れを告げて、マイラはロイの故郷のスコットランドに向かった。

キティはマーガレットなど家族一同に暖かく迎えられた。ようであったが、しかし一部には、明確には示されないけれどもマイラのことを批判的な目で眺めているようであった。

マイラの「職業」は知られていないものの、それは「マイラの出自がクローニン一族にふさわしくない」という類のものである。

ロイの親戚の公爵は、マイラをダンスに誘った。それは、上記の一部のマイラに対する疑念を吹き飛ばすためであった。

◆ ロイのマーガレットに話す

マイラへの疑念は、上記のダンスによって払拭されたようであるが、マイラは自己嫌悪に捕らわれた。

マイラはマーガレットの部屋を訪れて、自分の「職業」について話した。それを聞いたマーガレットは、マイラの告白を受け入れて微笑んだ。

部屋を出たマイラはロイと会った。ロイはかってマイラが贈ったビリケン人形を戻して、マイラを抱きしめた。

◆ マイラはロンドンに戻る

ここまできてマイラとロイの間には、何の障害もなかった。

はずだったが、マイラは置手紙をしてロンドンに戻った。

ロイはマイラを追いかけた。

◆ ロイはマイラを探した

ロイはマイラがいたアパートを訪ねた。しかしマイラはおらず、キティに聞いても、居場所はよく分からない。

ロイは、もちろんマイラがどのような生活をしていても、マイラを妻にすることは何の迷いもなかった。

キティにマイラがいそうなところを聞いて探し回る。しかしマイラは見つからなかった。

◆ マイラはワーテルロー橋に来た

マイラはロイと出会ったワーテルロー橋にきた。マイラの目には輝きがなかった。マイラには希望がなかった。

橋の上を多くの軍用車両が走っていく。マイラは軍用トラックの前に身を投げだした。

後にはビリケン人形が落ちていた。

■ 補足

調べてみるとロンドンに地下鉄ができたのは、1864年で、アメリカでは南北戦争のころ、日本では明治維新のころで、かなり古い。最初は蒸気機関車であって、煤まみれであったようである。

「(1944)恐怖省/MINISTRY OF FEAR」(→題名がすごく変だが)では、ドイツ軍の空襲で、地下鉄駅に避難する場面がある。こちらは第二次大戦。

本作の最後ではマイラは自分から自殺したのかあるいは意識がふらふらして誤って轢かれたのかは、ちょっと分からない。「(1948)アンナ・カレーニナ/Anna Karenina」ではアンナ(ヴィヴィアン)が列車の前に立ちはだかって自殺する。
 


■ 出演作

◆ ロバート・テイラー
(1940)哀愁/Waterloo Bridge
(1951)クォ・ヴァディス/Quo Vadis
(1954)王家の谷/Valley of the Kings

◆ ヴィヴィアン・リー
(1937)間諜/Dark Journey
(1937)茶碗の中の嵐/Storm in a Teacup
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Win
(1940)哀愁/Waterloo Bridge
(1940)美女ありき/Lady Hamilton/That Hamilton Woman
(1948)アンナ・カレーニナ/Anna Karenina