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インダス文明の真の担い手は誰か?「世界最古のトリプラ王国」①はこちらへ
インダス文明では、世界遺産ハラパー遺跡の発掘状況などから、この文明の担い手として考えられる人種として、プロトオストロイド、モンゴロイド、地中海人、アルプス人の四つが挙げられます。
<現パキスタンのハラッパ遺跡>
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:View_of_Granary_and_Great_Hall_on_Mound_F.JPG
Muhammad Bin Naveed [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]
モンゴロイド?!・・・
「トリプラ」の歴史によれば、モンゴロイドは中国からカイバル峠を通って、パンジャブ地方※からインダス川流域、そしてインド各地へと広がったという。
※場所は下記の地図にてご確認下さい。
<インド北東部8州の一つトリプラ州とその州都アガルタラ>
注)この地図は「India states and union territories map svg」に一部日本語を加えています。https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AIndia_states_and_union_territories_map.svg By w:user:Planemad [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons
トリプラ族は、“この“モンゴロイドが自分たちの祖先である可能性の一つとして自らの言語であるボロク語の「インダス」という言葉の意味合いに言及しています。
「インダス」はSINDU (シンドゥ)に由来するもので、その語源はCHINTI なのですが、トリプラ族が現在も話すボロク語で「インダス」は“中国人の川“を意味しています。
確かにインダス川の源流は中国側チベットのマナサロワール湖(Manasarovar )。
その他にも古い言語であるボロク語の中には、インダス文明に関わるような言葉が多く見られことに加え、その①でもふれたトリプラ王国初代の王が、建国の地を求めて旅立ったのが、インダス文明の遺跡ハラッパやモヘンジョダロのあるパンジャブ 地方であった!ということも興味深く思えます・・・
ここまでをまとめると、「トリプラ王国」という世界最古の王国が存在した。さらにインダス文明の担い手として可能性のあるモンゴロイドが祖先と匂わすトリプラ族の言語ボロク語の存在。
しかしながら、これらはインド史に記述されることはなく、それどころか今のトリプラ州自体がインドの他の州に比べると明らかに影が薄いと言わざるを得ません。
それはなぜか?かつて軍事力を誇ったトリプラ王国の衰退こそが、全てを 歴史の闇に葬らせてしまったのか?
・・・とここに興味深い事実を発見。それは現在のトリプラ州の民族構成。なんと現在、トリプラ州の人口の70%がベンガル人※によって占められており、トリプラ族はといえば、この州で確認される19の少数民族のひとつに過ぎないということ!
※バングラデシュの大部分を占める民族
<モンゴロイドの血をひくトリプラ族>
ちなみに下記は、やはりトリプラ州の少数民族として知られるリャン族。
<トリプラ州の少数民族リャン族ボトルダンス>
ベンガル人のほとんどは、バングラデシュからの移住者で、インド・パキスタン 分離独立(1947年)に続き、パキスタンからのバングラデシュ独立時(1971年)にもトリプラへ逃れてきました。
<バングラデシュのベンガル人がインドのトリプラ州へ移住>
そして今や主要民族へと転身し、州政府はこのベンガル人によって運営されているのです。実際に、州都アガルタラ(Agartala)を訪れて目にするのはベンガル人ばかりです。
少し内陸に入ると、少数民族の姿が見えてくる・・・これがトリプラ州の現実。
少数民族化したトリプラ族に、かつての王国の歴史を語るは愚か、今、彼らが直面している深刻な問題は、トリプラ民族滅亡の危機なのです!
しかし、これは歴史を振り返れば、トリプラ族が自ら招いた結果と言えそうです。
前のバングラデシュ独立などよりずっと以前、トリプラ王はすでに、優秀であったベンガル人を積極的に要職につけていたようです。それが、まさか民族滅亡の危機にまで至るとは思いもせず・・・
歴史に悲劇はつきものですが、トリプラの場合もまさに悲劇と言わざるを得ません。こうして、歴史の闇に葬られてしまったトリプラ王国・・・
ということで、その③では知られざるトリプラの史跡をご紹介したいと思います。
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