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 旅をしている時に、もしそのルートからほんの20km先に“世界遺産”があったなら、多くの方は「折角だから見て行こう!」と思うことでしょう。

 

 今回ご紹介するアイルランド西部の沖合16キロに浮かぶ島スケッリグ・マイケル(Skellig Michael)は、そんな旅人の気持ちをよそに、なかなか上陸を許してくれない手強い島として知られています。

 

 つまり“運が良ければ行ける“ということです。しかし世界遺産マニアの方であれば、必ずや訪れていただきたい島であり、またそうでない方も、ひとたびこの島を訪れることができたなら、どれほど感動されるでしょう。

 

 まずはアイルランドの地図をご覧ください。

 

注)この地図は「Ireland relief location map.png」に一部日本語を加えています。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ireland_relief_location_map.png

By Nilfanion [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

 

 さて、アイルランドと聞いて思い浮かぶものは多岐にわたるのではないでしょうか。歴史に関することならケルトやアイルランド紛争、音楽であればエンヤやU2、 民族文化ならアイリッシュダンスやゲール語などなど。 

 

<上半身を動かさないステップダンスとして知られる“アイリッシュダンス”>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:419-0284_gealach-gorm_st-patricks-day-2018_rieckhof-hamburg_hinnerk-ruemenapf.jpg

Par Hinnerk Rümenapf (Hinnerk R) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], de Wikimedia Commons

 ちなみにもし、このダンスを見る機会がありましたら、是非、前方の席を!上半身は本当に動きませんので・・・

 

 そして団結心強いアイルランド人。“アイルランド人いるところに「聖パトリック祭」あり“と言う具合に盛大に祝います。そう、この“聖パトリック”こそ、スケリッグ・マイケルを語る上で欠かせないキーワードでもあります。現在はアイルランドの守護聖人ですね。

 

 さらには、かの名作「風と共にさりぬ」のスカーレット・オハラはアメリカに渡ったアイルランド移民ですし、歴代アメリカ大統領にも、ケネディやレーガンほか数多くのアイルランド系アメリカ人がいます。つまりアイルランドは“移民を多く出している国“でもあるのです。

 

 アイルランドでも、首都ダブリンは学生も多く活気に満ちた町ですが、その他の地、とりわけ西部に行ったなら、肥沃な土地からは程遠い、耕しても耕しても石ころしか出てこないような不毛の地が広がっています。移民として国を出ざるを得なかった厳しい生活が肌で感じられるでしょう。

 

 そしてこの西部に、世界遺産スケリッグ・マイケル島はあります。

 

 おそらくアイルランドを周遊する日本人ツアーの多くは、上記の地図にあるキラーニー(Killarney)という町に宿泊することかと思います。

 

 というのもその目的として、キラーニーから西へ続く「ケリー周遊道」という観光名所があるからです。しかし、この「ケリー周遊道」がある半島の沖合16キロに浮かぶスケリッグマイケル島はなかなか組み込まれていないようです。

 

 なぜなら「運が良ければ行ける」といった不安定要素がこの島にはある のです。

 

 実際、スケリッグ・マイケルツアーなるものは無く、船の所有者に予約をする形です。船を出すか出さないかは船長次第ということです。

 

 天気が良ければ行けるかと言えば、そうでもなく、むしろ海のコンディションと 言えるでしょう。

 

 船が出るのは、地図にあるポートマギー(Portmagee)です。そしてその船とは、やはりアイルランド西部の島として有名なアラン諸島に渡るような大型フェリーではなく、漁船のようなものです。

 

 それではご覧いただきましょう。

 

<スケリッグ・マイケルに向かうボート>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Boat_crashing_in_to_waves_at_Skellig_Michael.JPG

By Sean MacEntee [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], from Wikimedia Commons

 ポートマギーを出たボートがまず目にするのは、小スケリッグ(Little Skellig) です。この島の存在のため、スケリッグ・マイケル島は“大スケリッグ(Great Skellig)”とも呼ばれます。

 

<小スケリッグ島>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:LittleSkellig01(js).jpg

By Jerzy Strzelecki [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0) or GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html)], from Wikimedia Commons

 

 形は似ていますね。しかし小スケリッグには無数のシロカツオドリが群を成して いるものの、スケリッグ・マイケル島にある貴重な建築遺産はありません。

 

 それではそのスケリッグ・マイケル島にある建築物とは・・・

 

 まずは、大西洋の波にもまれながら何とかスケリッグマイケル島へ到着。そして いよいよ上陸です。

 

<まるで海賊のようにスケリッグ・マイケルへ上陸>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Southeast_landing_-_Great_Skellig.jpg

By The original uploader was EoghanMac at English Wikipedia (Transferred from en.wikipedia to Commons.) [CC BY-SA 2.5 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5)], via Wikimedia Commons

 

 世界遺産の無人島スケリッグ・マイケルには、港があるわけでもなく、よってボートから直接岩山に足を踏みだす感じです。

 

 ポートマギーの港で空は晴れ渡り、海が穏やかに見えても、ひとたび海に繰り出せば、そこは地中海などの優しい海ではなく、荒々しい大西洋。予想もしないような 高波に踊らされるボート、容赦なく追いかぶさって来る波しぶき・・・ということも多々あります。

 

 ですので、上陸の際も波が邪魔をしてなかなか足が島に着けないという場面すら 否めません。

 

 

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skellig_Michael_way.jpg

By Valerie Hinojosa (Flickr) [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

 とにもかくにも上陸できたなら、あとはひたすら石で造られた階段を登って岩山の頂上を目指すばかりです。

 

<階段を登るにつれ、振り返った時の海の景色が大きくなっていきます>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:080Skellig_Michael.JPG

By Jibi44 [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html), CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/) or CC BY 2.5 (https://creativecommons.org/licenses/by/2.5)], from Wikimedia Commons

 

 海のコンディションなので、この島へ行くベストシーズンというのは、なかなか 言いづらいですが、6月初旬から8月半ばころは比較的良いのではないでしょうか。(私自身は2回6月と7月に上陸できています)また、この時期はスケリッグ・マイケルに飛来する海鳥パフィン(Puffin)が群棲しています。

 

<スケリッグ・マイケル島に群棲するパフィン(ツノメドリ)>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Atlantic_Puffin_(20593793590).jpg

By Milan Nykodym from Kutna Hora, Czech Republic (Atlantic Puffin) [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

 

 その愛くるしさから、辛い登りに心が折れそうな時も、元気がもらえるでしょう。

 

<最後の登りです・・・>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skellig_4.JPG

By Ronan Mac Giollapharaic [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], from Wikimedia Commons

 

<ようやく姿を現したスケリッグ・マイケルに築かれた建築物ビーハイヴ>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skelling_Rock_-_panoramio.jpg

Gio la Gamb [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

 

<スケリッグ・マイケル島に築かれたビーハイブから小マイケルを望む>

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skellig_hives.jpg

By Towel401 [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], from Wikimedia Commons

 

 上記写真には小マイケル(Small Micheal)も見えていますね!

 

 改めましてこのスケリッグ・マイケルに築かれた建築物ですが、その形状から“ビーハイヴ・ハット(Beehives Huts)”つまり“蜂の巣小屋”と呼ばれるもので、アイル ランド西部でよく見られますが、何とこのスケリッグ・マイケル島にも築かれています。

 

 通説では、紀元前つまりケルト人がアイルランドにやって来た際、外敵から守る ための要塞として築いたと言われます。そしてキリスト教が伝来して以降は、修道僧の“祈りの場”として利用されていたようです。

 

 ここスケリッグ・マイケルのビーハイヴは、6世紀後半に築かれたものと言われています。

 

 アイルランドに聖パトリックがキリスト教を伝えたのが5世紀。つまり、ここはキリスト教の修道僧たちが本土からも離れ、隠遁生活を送った 場所として知られています。12世紀頃までは常に修道僧がこの島に暮らしていた ようですが、以降、無人島となっています。

 

 ポートマギーの港から、荒波にもまれ、ようやく上陸。そして石の階段をひたすら登ってたどり着くスケリッグ・マイケル島のビーハイヴ。

 

 これを達成したとき、ふとここに暮らした修道僧たちの思いに近づく気がします。

 

 “運が良ければ行ける!世界遺産”スケリッグ・マイケル島はいかが でしたでしょうか。

 

 もしこの島に“挑む“機会がありましたら、酔い止めとレインコート、そして手すりなき階段を風に立ち向かって歩き進むバランス力をお忘れなく・・・

 

 苦労した分、ビーハイヴに到達したときの感動は計り知れず、その景観の素晴らしさには、この島から離れがたくすらなることでしょう。

 

 

 

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