2021年7月にオープンし、ミシュランガイド東京で1つ星を獲得した『SÉZANNE(セザン)』。フォーシーズンズホテル丸の内 東京の7Fにあります。
パシフィックセンチュリープレイス脇の通路を通り、エントランスへ向かいます。行き先を告げ、案内されるがままにエレベーターに乗し、7階に到着すると、同フロアに『SÉZANNE』と『MARUNOUCHI 』の2つのスペースがあります。
ウエイティングスペースです。一度寛いで案内を待ちますが、期待感が高まる空間空間ですね。窓からは東京駅を行き来する電車が見えて楽しいんですよ♡
香港を代表する建築家アンドレ・フーによるラグジュアリーでありながら、優しく包み込んでくれるようなリラックスしたこの空間がメインダイニング。センターにあるマーブルのテーブルは、豪華ながらも優しく上質な空間を創りだします。
厨房の脇を抜け、到着したのがシェフズテーブル。厨房の動きが一目でわかるスペシャルシートです。ガラス越しに厨房の動きが見えるライブ感がありながらも、メインダイニングを通らなくても入れる入り口があり(化粧室にも直接行けます)、スペシャルな方との会食にもぴったりです(別途使用料がかかります)。
今回はこちらのシェフズテーブル(個室)で大好きなダニエルシェフのお料理がいただけるなんて、幸せすぎです。バカラのライトも素敵♡
ラディブール
氷の上に置かれたラデッシュのアミューズグールからスタートです。ラディッシュをボルディェバターでコーティングし、口に入れた時には柔らかなテクスチャーなのですが、噛んだ瞬間に口の中に広がるラディッシュのみずみずしい苦味に刺激され目が覚める感じ。苦味とジューシーな刺激で受け食べる準備も万端です。
48ヶ月熟成コンテチーズのグジェール
前回食べてびっくりしたクジェール。世の中にはたくさんのグジェールがありますが、ここまで完成度の高いものはそうはないと思います。
グジェールとはいえど、卵くらいの大きさです。48ヶ月という深い熟成のコンテチーズをクリームに注入し、かなり濃厚です。しかしながら決して重すぎず、うまく風味と塩味を生かしています。チーズシュークリームといえばわかりやすいでしょうか。前回も48ヶ月のコンテチーズを使ってたのですが、コンテチーズは牛が食べている牧草の季節によって味わいがかなり変わります。もちろん48ヶ月という長い熟成をかけているので、若いもの程差は激しくないとは思いますが、季節ごとの味わいが楽しめるんじゃないかと思います。前回が夏のミルクであれば、今回は冬のミルク。少し味の重さが変わって思えたのはミルクの季節の違いかもしれません。いずれにせよ極上のグジェールであることは間違いありません。
北海道産ボタン海老 セロリ
薄〜いパイ生地は触ると崩れてしまいそうな繊細さです。ボタンエビのクリームを挟み、細かく刻んだセロリが添えてあります。小さいながらも優雅で魅力的。
ブリザーブド黒トリュフ シャンパンクリーム
これもまた凄い!!小さなビスキュイの中にトリュフとクリームが入っています。いい香り〜。添えてあるのはシャンパンとバジルのクリームです。
麦芽大麦サワードゥ ブルターニュバター
香ばしくも風味豊かなパン。セザンではブルターニュのボルディエバターを使っていますが、バターを付けるとかえって甘味が引き立ちつ美味しさ。
雲丹 空豆 エキストラバージンオリーブオイル
前回はいくらでしたが今回は雲丹が使われた前菜です。
なるほど、セザンのここに来るお料理は海の宝石のような食材のポジションなんだと気づきます。
雲丹のゼリーとババロア、そして雲丹。オリーブオイルでマリネした空豆も美しい。甘さの饗宴とでも言いましょうか。春らしいく楽しいお皿。
エキストラバージンオイルが旨味や深みを出すかのように加わっていました。旨味の放たれたオリーブオイルは最後まで余すことなく堪能させていただきました。
フォアグラ ペルシエ
どのお料理も素晴らしいのですが、今回感動したお料理のひとつがこちら。
なんとも美しくフォアグラを表現してくれていることか!!
ソーテルニュに漬けたフォアグラは薄くスライスしてロール状にし筏のように。グリーンピースとイベリコ豚のハムとジュレ、ブリオッシュが食感のアクセント。上にはほうれん草、グリーンピース、グリーンピースのお花があしらわれていて美しいですね。フォアグラはソーテルニュの甘さ、そしてパセリのような、、、の苦味が所々に感じ、味のコントラストもたまらない美味しさでした。
プロバンス産グリーンアスパラガス 厚岸牡蠣
ツァーインペリアル オシェトラキャビア
プロバンスのみずみずしいアスパラガスに、タルタルソースのようにたっぷりかけたのは、なんと刻んだ厚岸産の牡蠣をオランデーズソース。日本では恐らく唯一ペトロシアンのオシェトラキャビアをたっぷり乗せた贅沢なお料理。ペトロシアンは初めてのキャビア専門店としてパリにオープンした老舗ですが、最上級のキャビアを扱っているんですよ〜。牡蠣の力強い味わいとアスパラのみずみずしい甘味、そしてキャビアの磯の香りと塩味がアクセントの素晴らしいマリアージュ。
モリーユ茸 ホワイトアスパラガス ローストチキンソース
今回、ダニエルシェフのインスタグラムをみて一番食べてみたかったのが一際存在感のある中国雲南省の大きなモリーユ茸のファルシーのようなお料理です。
チキンもソースを最後に掛けて下さいましたが、香り付けにヴァンジョーヌが入っています。前回同様、今回もバンジョーヌやソーテルニュなどのワインを巧みに使い、絶妙な味わいを作り出します。素晴らしいバランスのお料理の数々でした。
大きなモリーユ茸の存在感にも圧倒されますが、中に詰められたのはリードヴォーとホワイトアイスパラという贅沢さ。これだけびっしり入っているのを見ると、改めてモリーユ茸の大きさが思い出されます。自然の豊かさを感じます。
秋田県産ホロホロ鳥 ロメインレタス フォアグラソース
今回のメインは秋田県産のホロホロ鳥。最後にフォアグラとマデラ酒の入った濃厚なソースをかけて下さいました。
キメ細かなお肉は瑞々しく水分もあり滑らかな肉質です。皮目は香ばしく焼いてあるので旨味や香りもしっかりあります。ここに濃厚なソースがしっかり鳥の味を補ってくれてよりお肉の味がいきています。ガルニチュールはロメインレタス。
それにしても葉っぱを置いただけなのに、なんという美しさでしょうか。もちろんこのロメインレタスの苦味のようなものも箸休めになりました。
可憐な花びらのように百合根が添えてありますか、食感と甘味のアクセント。
ホロホロ鳥のブロス 銀杏
ホロホロ鳥の美味しさは余す所なく堪能して欲しいと、ブイヨンも出してくださいました。旨味が凝縮したスープには、食感として銀杏、よりリッチな香りとして黒トリュフ、爽やかさと深みそして味のアクセントを出すためにポワローネギが入っていました。メインの後に、間髪入れずにここでスープが登場し、最後までホロホロ鳥の旨味を堪能しながら、ちょっと安心感さえも出てくのは絶妙でした。
喜界島産シークー アールグレイティー
お口直しは酸味のしっかりしたシークーのグラにては口当たりも柔らか。アールグレーの香りや味わいが立ち上り、柑橘だけではないニュアンスがありました。
ピエモンテ産ヘーゼルナッツ バナナジャム カヌレアイスクリーム
コーヒーを染み込ませ生地とヘーゼルナッツのクリーム、そしてカヌレのアイスクリームが重ねられています。どこかに仕込まれたバナナのふわっとした味わいがじわ〜っと後追いしてくるうに、いいアクセントで際立ちます。
キャラメルのビスクで表面をカバーした卵が出てきました。中にはクレームブリュレのアイスクリーム、カスタードクリームと生クリームが入っています。
スプーンでキャラメルのビスクを割って中のアイスクリームなどをすくっていただきました。キャラメルの香ばしさも味のアクセント。楽しいデザートでした。
割った後は写真も撮らずに瞬く間に食べてしまいました💦
ミニャルディーズ
ピスタチオクリームのサントーレとブラウニー
最後はお茶と
マドレーヌをいただきました。マドレーヌも独特で食感が軽めなのも面白い。
今回もダニエルシェフの本当に素敵なお料理を堪能させていただきましたが、みなさんお皿が全て"白"だったことに気づきましたでしょうか?
ダニエルシェフのお料理はお皿をステージのように使い、白い余白の上に凛とした端正な美しさとボリュームがあるのではなく、しっかり存在感のあるお料理を置いていきます。時にはお皿を重ねてステージをよりゴージャスなものにすることも。視覚は光の屈折です。お料理が周りの空気や光を纏い、なんだか語りかけてくるように気持ちにく立ち上ってきます。スポットライトを浴びているスターのように。味も同様で、食材をリッチに使いその凝縮感が素晴らしく、メインの食材の美味しさももちろん美味しいのですが、その奥に隠れ次から次へと押し寄せてくる味わいや香りニュアンスの出し方が食べていてとても楽しいのです。
どのお料理も素晴らしく堪能させていただきました。
今回はシェフズテーブルだったので、お料理の合間に厨房を覗いたりして。ライブ感あふれる空間を楽しみながらスペシャルな時間を過ごさせていただきました。
ダニエルシェフと働くために世界中から集まったチームセザンの皆さん、
温かなおもてなしと、最高にハッピーな時間をありがとうございました。
次回も素晴らしいお料理を楽しみにしています。
東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス
03-5222-5810
月曜日 火曜日