熊本から友人が仕事で東京にいらしたので、素敵なレストランへとお食事に

行きました。久々にサンパウへ。ディナーでは初めての訪問となります。

 

 

 ザ・キタノホテル東京の2Fにある『RESTAURANT SANT PAU(サンパウ)』は

スペインカタルーニャに本店のある、ミシュラン三つ星も獲得しているレストラン。

日本では、カタルーニャからの監修のもと営業しています。

 

 

 

 

サンパウを率いるのは、カタルーニャ生まれのカルメ・ルスカイエーダ氏。

その創造性豊かな料理で世界を魅了し、数々のアワードを獲得している巨匠。

 

日本の厨房を守るのは赤木渉氏。今回赤木氏が、サンパウ史上初、スペインから

のレシピではなく、スペインから送られてきたレシピを元に、日本オリジナルの

メニューを展開されるというので、お伺いしました。高木氏がこちらのシェフに

就任されてだいぶ経ちますが、その毎日の積み重ねで得た信頼は計り知れません。

 

サンパウは、ミシュランガイド東京2021で1つ星を獲得、

ゴ・エ・ミヨ2021では、3トックを獲得しています。

 

テーブルにセットされたショープレートは、ゴールドのジャンルイ・コケ、

カトラリーはクチポール。カルメシェフの洗練と抜け感がこの辺りに出ていますね。

 

すでに緊急事態宣言は解除されていましたが、

私はノンアルコールのスパークリングからスタートです。

 

今回の料理のテーマは、SDGs

サスティナブルな視点も含まれている取り組みですし、世界の料理界が

そちらの方向に進んでいるのでありといえばありですが、

その取り組みが多岐に渡るのでなかなか難しいお題だったのではないでしょうか?

 

メニューには、

自然、尊敬、ガストロノミーを重んじるこのメニューは、

世界が取り組むべき17の目標にインスパイアされたものです。

と書いてありました。もちろんあのマークも描かれていましたよ。

 

それでは、グローバルな視点で考えられた

赤木氏初のメニューをいただいてみましょうか。

 

 

最初に色々なアミューズグールがテーブルの上に登場しました。今回それぞれの

料理にテーマが設けられていたのですが、まずは野菜】から

 

 

サルモレホ

トマトのカタチをしたサルモレホです。周りはカカオバターでコーティング。

口に入れると、トマトが一気に弾け、口の中にスペインの香りが広がります。

アンダルシア料理の郷土料理がファインダイニングではこんな可愛いトマトに。

 

薩摩芋のエンパナディージャ

手の演出で登場したのを見たのは2度目ですが、まるで手渡しされて

いるようですね。もう30年近く前にスペインに行った時感じたことですが、

街に他国の料理を食べられるお店がほとんどないんです。そんな中でも

イタリア料理のラビオリやアジアの餃子のような料理が見られるのは、やはり

人間の発想のたどり着くべき食べ物のスタイルなのではと思ってしまいます。

口に入れるとシナモン風味のさつまいものピュレが広がりました。

 

カリフラワーのコカ

白と黒のコントラストが美しいですね。願いを叶えてくれると言われるペンタスが

まるで星ように輝いています。スペイン東部の料理「コカ」がベースとなって

いますが、こちらでは竹炭を使ったサンパウのオリジナルレシピで。

上にはカリフラワーのサラダ仕立て。卵白を使ったアリオリソースで軽めの

テクスチャー。2種の食感を楽しませていただきました。

 

かぼちゃのチュイル

綺麗な蝶々のカタチをしていて繊細ですね〜。

 

ヨーグルトとカモミールのソース

ソースはカモミールを使ったものです。これにマリポッサをつけて

食べるんですが蝶々がまるで蜜を吸っているみたい。

口の中になんとも言えない甘さと香りが広がります。

 

パンは2種登場しました。オリーブオイルでいただきました。

 

 

馬肉と牡蠣のタルタル、ラディッシュ、紫蘇

【プラネットアース】をイメージしたお皿です。

ラデッシュと紫蘇のゼリーの下には、馬肉と牡蠣のタルタルが。

海と山の旨味の融合も、地球に広がる山海の美味しさを表しているようです。

 

八街生姜のジンジャーエールを飲んでみました。

サンパウではソフトドリンクもなかなか充実していました。

聞いてみたところ、緊急事態宣言下でかなりドリンクを充実させたのだとか。

 

 

そして【雨】を表現したのは、貝の中に入ったスープ。

海と雨という演出で、海水が蒸発する様を表現したお料理で、とっても素敵。

 

お皿の下に溶岩石が敷いてあり、ここに海苔の出汁を流し入れると

磯の香りがふわ〜っと立ち上って来るんですよ〜。

 

海水ってこんな風には蒸発はしないと思いますが、海水が蒸発することによる

世界への影響は図りしれません。そんな循環を表現したお料理でした。

 

 

赤座海老のマルカド、魚介のラビオリ、タピオカ

赤座海老とオマール・ホタテの入ったララビオリです。赤座海老が美味しくて。

またラザニアの皮には美しい模様が入っいて食べるが勿体無いほど。

泡を表現したようなタピオカが入ったりと、美味しさも堪能できたビビッとな一皿。

 

 

蝦夷鹿のシヴェ、備長炭風味のじゃが芋、マッシュルームの土

【森】をイメージしたお料理でした。お皿の中には森の木々の葉っぱが詰め込まれ

そこには蝦夷鹿に煮込み。大地を表現しいる感じでしょうか。

ジャガイモの上には、マッシュルームやイタリアンパセリのパウダーが

ココアパウダーがまぶされたごぼうのグラッセなど、地中で育つ野菜を使い

それをまあるい地球のように仕立てた、大地の香りのお料理でした。

 

 

【河】をイメージしたお料理は2品仕立て。

 

大王岩魚の備長炭焼き、山菜のブーケ、タプナード、ヴェルデ

長野県産の大王イワナは炭火焼きにし、山椒の塩漬けとグリーンオリーブで

作ったタプナードソースが添えられていました。

山の湧水にライムジュースを混ぜた泡で爽やかに。

 

山菜のブーケ

大王岩魚の隣には、綺麗な水のあるところに自生する、せり、クレソン、水菜、

ミズなどを、束ねたブーケ。シナモンの出汁がベースのドレッシングはいい香り。

 

 

川海老とアボカド

もう一品は小さいながらもインパクトのあるお料理。川海老とグアカモーレ

ヘーゼルナッツのトルティージャでした。

 

川海老がちょっと口の中で痛かったけど・・・笑、グアカモーレの風味や

海老がパリパリと砕けるたびに、口の中で海老の力強い味わいがひろがりました。

ちょっとメキシカンのエッセンスの加わった楽しいお料理。

 

 

イベリコ ロモの低温調理、モンブラン、仔牛のアキレス腱のメレンゲ

【循環】を表現したお料理でした。

 

どんぐりを食べて育つイベリコ豚の木の実である栗とソースで繋げ、循環を表して

います。どんくりなりぬ木の実は山栗。モンブラン仕立てにしています。

 

とても綺麗に焼けていますね〜。ロースのど真ん中を使っているので、滑らかな

テクスチャーですが決して脂っぽくなく、美味しい味わいは、流石のイベリコ。

ここに、甘さと力強い味わい木の実である山栗と共にいただきました。

 

 

ココナッツミルクの雪、マンゴープリン、エキゾチックフルーツ

南極などの氷河が溶けている温暖化の問題に挑んだ【氷河の雪解け】

テーマのお料理です。ココナッツミルクをパウダーにして雪を表現しています。

ここに、バイマックルとレモングラスのスープを注いで完成。

雪が溶けると、地球の温度が上昇する。気温の高い場所で採れる

パイナップル、パッションフルーツ、バナナなどの南国フルーツのデザートという

説明はありませんでしたが、裏のメッセージもあったのではないでしょうか。

 

 

エスプレッソのエスプーマ、レチェアイスクリーム、牛乳とカカオのクルヒエンテ

【大気】をテーマにたデザートです。

 

ーヒー豆を牛乳につけて泡立て液体窒素で凍らせたものをかけてくれました。

ここで大気が上がるようなシーンがありますので是非動画でご覧ください。

 

カフェオレのムースにミルクのアイスクリームが添えられていました。

牛乳の泡を乾燥させたもの、ココアのエアの泡という組み合わせ。コーヒーの

ほろ苦さも嬉しいデザートで、最後はカフェオレの風味で〆となりました。

 

 

こんなデザートだったので、コーヒーかミルク入りのものと思いカプチーノを

お願いしました。ラテアートもアートしています。

 

 

アーモンドの砂、ラズベリーの小袋、海藻風味のキャラメル

薔薇のビニール、ブルーハワイのシーグラス、ヨーグルトの波

小菓子は【プラスチック】がテーマですが、斬新なプレートで登場しました。

ペットボトルを潰し、中には貝殻が入っています。海へのプラスチックの蓄積と

それを魚が食べてしまうという悲劇が生まれていることへのメッセージですね。

 

 

左上から、ビーチの砂をイメージしたポルボロンはかなりしっかりしたクッキーに。ラズベリーと黒胡椒風味で、小袋は口に入れるとパチパチ弾けます。

ちょっと見づらいですが、透明のキャラメルがあり、オリーブと塩で。

右下から、波をイメージしたヨーグルト風味のボンボンチョコレート、

シーグラスをイメージしたスピルリナを使って着色したブルーハワイ、

最後、泡のイメージのお菓子は、薔薇の香りがするパリパリとした食感で作られて

います。それぞれ浜辺や海底を連想するものですが、こういった

表現での小菓子もなかなかインパクトありますね。

 

 

普通に食べればプレゼンテーション力の高いガストロノミーコース

なのですが、テーマ設定が高い次元のものだったので

おそらく赤木シェフもかなり悩み、学んだコースだったと思います。

 

今回のテーマは SDGsでしたが、ガストロノミーの世界でいえば、

やはり魚や野菜など食材と密接な地球環境問題へと結び付けられます。

 

ファインダイニングで一皿ひとさら小さなことに気づ気を得る。

時にはこんなディナーでふと地球について考えてみるが

大切な時代になっているのかもしれませんね。

 

 

 

RESTAURANT SANT PAU(サンパウ)

東京都千代田区平河町2-16-15 ザ・キタノホテル東京 2F

03-3511-2881