今年、1月2日に代官山にオープンしたフランス料理の新店には、
うっとりするようなスペシャリテが完成しました(ソフトオープンは2017年12月27日)。
是非これをたくさんの皆さんに召し上がっていただきたい。そう強く思いました。
Simplicité(サンプリシテ)
日本語では 単純な、簡素な。
簡素さは美(味)しさの原点であり終着点。
そしてフランス語では女性名詞です。
古フランス語には自然に備わっている正直さ、
真っ直ぐな誠実さと言う意味が含まれていたそうです。
そんな意味から物に対する率直さ、淀みの無さ、つまり簡素さは誠実な態度。
人・食材・料理に対して Simplicité(サンプリシテ)な
心であれるようにという思いを込めて自分のお店の名前にしました。
(オーナーシェフ相原薫氏のFacebook投稿より引用)
ロゴマークは学生時代の友人作だそうです。
お魚をメインにしたレストランですが、魚のマークがそれを象徴しています。
お店は代官山のビルの2階。
最寄り駅は代官山ですが、恵比寿からも渋谷からも歩いていくことができます。
オーナーシェフの相原薫氏は、フランスの名店で修行後帰国。
銀座レカン、レヴェランス、ヴァリノール ※以前の相原シェフのお料理は店名にリンク
等の名店を経て、満を持しての独立となりました。
ヴァリノール時代からお魚の扱いがお上手で、当時から
この優しそうな風貌が表すような繊細なお料理に魅了され
時折荻窪まで相原シェフのお料理を食べに伺っていましたが
この度は、満を持しての独立開業となりました。
今回のお店は、ゆったりと8人掛けの長いカウンターごしに
相原シェフのお料理している姿をダイレクトにみら、ライブ感が楽しめます。
スケルトンから作ったそうで、真新しいまさに相原シェフワールドになっています。
テーブル席や個室もあり、用途に合わせて楽しめるスタイル。
カトラリーレストはロゴ入りのオリジナル。
カトラリーや選び抜かれたお皿などシェフのお気に入りがテーブルを彩ります。
ノンアルは何があるの?と伺ったところ、水だしのジャスミンティーがありますよと。
某名店でも使っている中国茶の茶葉を水だしにして数種類使っているようです。
またこれが料理の邪魔をしなくて美味しい。
お酒はちょっとという方も、
サンプリシテで美味しいお茶があるので安心して伺えます。
ジャスミンティーは、強すぎず上品な香り。
料理を邪魔しない味わいでした。
サワラ
竹炭のワッフルコーンに7日間寝かせて燻製した明石のさわらが入っています。
京都の白味噌とマヨネーズで。菊芋のムースも添えられ
甘さと軽い酸味とサワラのコラボレーション。
シラス マドレーヌ
アミューズグールはフランス時代のオマージュの2品。
『ルタンドヴィーブル』にいらした時、ボルディエのバターが美味しくて
バターをたっぷり食べていたんだとか。その時の経験がこの
アミューズグールに詰まっていて『サブレブルターニュ』と名付けていました。
サブレブルトンにシェフも大好きなボルディエバターを重ね
徳島産釜揚げしらすを68℃で調理した卵黄でまとめ
シブレット、台湾山胡椒を合わせています。
バターの脂感でボリュームと。山椒の優しい刺激が広がる一品。
『アレクサンドル』のものをアレンジ。
ブラックオリーブを使ったマドレーヌで、カカオバターとホワイトチョコで表面を
コーティングしているので、食べた時にバリンッとした食感。
マドレーヌの柔らかな食感と全く違うので軽いサプライズを受けます。
中には、黒オリーブと生ハムの出汁にディルを加えたものが入っていて
ゼリー状のようになっていて、オリーブの風味が活きた楽しい一皿。
オリーブはアペリティフの定番ですが、こんなに工夫を凝らしているとは驚きでした。
仕上げに何かのスプレーがひと吹き。
爽やかさをかもし出す、ライムウォーターでした。
毛蟹 キャビア ボルディエバター
パンドカンパーニュの上にたっぷりの海草入りボルディエバターをのせ
その上には噴火湾の毛ガニをたっぷりと。仕上げにはオシェトラでおめかしを。
噛み締めるたびに、ボルディエバターの海草のいい感じの塩味が口に広がります。
シェフはきっとこんな風にフランスの美味しさに目覚めたんだろうな~と
なんだか嬉しくなる一品です。
熟成細魚 生姜 白ネギ
木箱の蓋を開けると中からは薫香が漂います。
なんだかキレイなスナックが。ちょっと献上品みたいな感じですよね。
友人は銚子産の鰯でしたが、私は生の鰯が食べらないので鰆にしてくださいました。
とってキレイなスナックですよね。
お米のチップスはサクサクしていて軽いのですが、
ここに軽い生姜の風味を感じます。
樋口農園の焦がしたネギのピュレと薫香で独特の風味が広がりました。
サクッ、ねっとりの食感と葱や生姜の香りが楽しい一品。
2杯目は、港口茶 をいただきました。
甘みと苦味が広がるお茶でした。
おや!!液体窒素の作業が始まりました。
ボウルの中から、白い煙も漂って、ちょっとひんやり(気分です)。
函館産牡丹海老 薔薇
サンプリシテでは素敵なスペシャリテが完成しました。
ボタン海老は身そのものも入っていますが、
味のアクセントは、出汁や味噌を使ったジュレやペースト。
ワインビネガーでマリネれたカリフラワーが美しさと食感を引き立てます。
薔薇の花は嫌味があることもありますが
奥出雲の完全無農薬の「さ姫」とピンクの「アップルローズ」を使い、
砂糖漬けと先ほど液体窒素でパリパリに下ばかりの薔薇が入り乱れます。
甲殻類の味と薔薇の花びらの香りが引き立て合い
ハーブティーを飲んだ時のような高貴な広がりが生まれたスペシャリテでした。
シェフははじめスペシャリテと説明してくださらなかったので、
これスペシャリテにしたら~と言ったら、
こういうのやっている人がいないのでスペシャリテのしようと思っていると回答が。
他のメディアを見たら、既にスペシャリテと紹介されていたので
私もそうさせていただきました。素敵なスペシャリテの誕生ですね!
トリュフを削っている姿を発見。
黒鮑 ジャヤガイモ トリュフ
おーーー。間違いのない組み合わせです。
そして何よりいい香り。
三陸産の黒アワビを柔らかく仕上げ、真狩村の佐々木さんのじゃがいもを
使っています。そうそう。相原シェフは一時期北海道にいらしたこともあるんだった。
「トリュフをスープに落としてお召し上がりください」。
言われた通りにいただいたスープには、アワビのコクのある出汁、
ジャガイモの甘味、そしてトリュフの味や香りがしみこんで
まあ何ともいえないお料理です。
アワビをしっかり感じていいね。そんな会話をしながらいただいた一皿。
明石アラアラ ウマヅラハギ
3日間、塩と砂糖で熟成し脱水 したウマヅラハギは
濃厚な魚の旨みを放ち、フルムダンベールと肝和え仕立てに。
生マッシュルームをベースに乾燥マッシュルームを加え
2種のマッシュルームの香りや味も楽しめました。
つなぎにキヌア。そしてアクセントに加えたアーモンドのローストが
いい味を出しています。レモンオイルで全体がもったりすることもなく
ほんのり爽やかな軽さもあり、魚の余韻を楽しめる一皿。
途中お茶は東方美人にチェンジ。
一時期中国茶に凝って、台湾なんかにもよく行ったり
お教室に行ったりして、東方美人は色々飲んでいますが
こんなすっきり上品な東方美人は飲んだことないかも。
それくらい、すっとと入り込む東方美人でした。
五島林鮮魚店 鮃
明石の鱧や海老の頭などでとった出汁で作ったスープドポワソンに
イカスミを加えたソースを目の前でかけてくれました。
黒い斑点のあるお皿に黒いソース、そしてはっする黄色いソースが美しい。
ヒラメは7キロもある立派なものを。
脂ののったヒラメは、ぷりっ、しっとり食べ応えもあります。
皮はパリッと香ばしく薫り高く焼かれています。
フヌイユのピュレにアオリイカ、そしてホウレンソウの茎が添えられていました。
ソースには、エルブ・ド・プロバンスなどもきいていて
臭みなどもしっかり消えたきれいな味のソースとなり
ひらめの味を邪魔せず最後まですっきりいただきました。
鮑とかは美味しいに決まっているんだけど、「こんなの作っちゃうんだ」
実はこのソースに、私は一番関心したのでした。
相原シェフ゛、このお料理のポイントとなっている魔法の粉をかけだしました。
シャラン産鴨 加賀蓮根 鮪
お魚フレンチと聞いていたのですが、お肉も登場しました。
相原シェフ曰く、やっぱりお肉も食べたいですよねと。
私はどっちかっていうと、肉食なのでもちろんあって大満足。
白菜、 昆布、マッシュルーム、赤ワインで作ったソースを目前でかけてくれました。
シャラン産鴨には蓮根、白菜、そして先ほどかけた魔法の粉は
まぐろぶし。追い鰹ならぬ追い鮪節で。最後は炭火で仕上げられたお肉は
炭の風味と、鮪節のコクと香りが加わってまた違った楽しい料理になりました。
加賀レンコンって、それだけでも美味しいんですが
鮪節との相性がとってもよく、
ソースのつなぎのような役割も果たしていました。
田中農園宇和島ブラッドオレンジ
アヴァンデセールはブラッドオレンジとヨーグルトのすっきりしたもの。
ヨーグルトはソルベにフラッシュなブラッドオレンジとメレンゲも。
砂糖漬けのディルもくわわり、甘さとすっきれ感も。
丸久小山園ほうじ茶 フォンダン
フランボワーズのパウダーをめのまえでかけてくれました。
丸久小山園ほうじ茶のフォンダンはタルトで。
先ほどかけてくれたフランボワーズのパウダーと
緑のハーブも美しいですね。ほうじ茶のアイスクリームも添えられています。
フォンダンはカットすると中からとろお~っと
ホワイトチョコレートベースのフォンダンが流れます。
美味しいシュークリーム
表面がごつっとしたプティシューです。
中にはたっぷりとカスタードクリームが。
ヴァリノールの時代に最後はシュークリームでした。
全て新しくなったという訳ではなく、名残があっていいですね。
紅玉茶
最後は紅紅茶で。
サンプリシテは、8席の広々としたカウンターと
こちらのテーブル席。そして個室があり様々な用途で使えますが
私はやっぱりカウンターかな~。
お料理にも広がりが出たな~と思ったら、
ヴァリノールを退職され、サンプリシテを開業するまで
多くの生産者さんを巡ったり、かなりの充電をされたご様子でした。
相原シェフの見た目から感じられる優しい雰囲気そのままに
好きなものに囲まれた自分だけの空間を作り上げられたように感じました。
牡丹海老とバラのお料理や、ボルディエバター等を多用した料理など
相原シェフの好きなものがまんさい。
しかも選び抜いたお気に入りの器で出してくれてこちらも気分がよくなりました。
「やっぱり力があるなぁ~。」と
しっかと輝きを放ち、独自の存在感を感じました。
代官山にまた一つ実力派シェフの新店が加わりました。
渋谷区猿楽町3-9 アヴニューサイド代官山1 2F
03-6759-1096
月曜日・第1火曜日定休日
Lunch ¥5000 全7〜8皿のコース料理
Dinner ¥13000 全11〜13のコース料理
※別途、消費税・サービス税(10%)
https://www.facebook.com/simplicite123/