堺 だいすき ブログ(blog)

堺のいろんな情報・・・出来事・・・・もろもろを書き綴る
辛らつなブログ。
since2007.0705


テーマ:
現代ビジネス
憲法学者・木村草太さんがすすめる「人生最高の10冊」
〔PHOTO〕iStock

実体験としての「憲法・国家・人権」
私が憲法研究者になる上で影響を受けた本を選びました。『憲法の想像力』を書かれた奥平康弘先生は著名な憲法学者で、昨年惜しくも亡くなられましたが、社会的なニュースにもなった事柄を、憲法の視点から柔軟に考えてみるということをされています。


本書で扱われているのは、たとえば'99年にニューヨークのジュリアーニ市長がブルックリン美術館への公金支出を中止すると表明し、騒動となった事件。

マリア像の素材に象の糞を使ったケニア出身の画家の作品の取り扱いをめぐるやりとりから、表現の自由について考えていく。

奥平先生の学問的な代表作ではないですが、実社会の出来事から憲法について説き起こす姿勢には「研究者が専門分野の殻に閉じこもっていたのでは意味がない」と強く教えられました。

次の『比較不能な価値の迷路』は、私が大学2年の時、進路を決めるきっかけとなった一冊です。


私たちの社会は互いに理解しがたい価値に満ち溢れている。その中で国家という共同体を作りあげていく基本となるのが憲法だ、ということが説かれています。なかでも、次の一節の印象は鮮烈でした。

「人権が大切であることを、ポストモダン状況を生きるわれわれは、エアコンのきいた部屋でお茶を飲みながら、ボスニアの惨状を伝えるテレビや新聞を見ることで知るのだ」。

6位の『謎の独立国家ソマリランド』は、アフリカ東端の小国への潜入記です。憲法学とどのような関係があるのかと思われるかもしれませんが、「国家」というものを考える上で非常にいい素材を提供してくれています。


イギリスやフランスのように近代国家として長い歴史のある国だと、国家の成立過程は実感として掴みづらいものです。一方、ソマリランドは成立してまだ20年ほどの若い国家だけに、国の形が出来上がっていく過程がよくわかる。

著者の高野秀行さんが鋭いのは、単なる旅行記ではなく社会学的な視点で分析を積み重ねていくところ。

同じソマリ人による国家なのに、なぜ隣接する南部ソマリアが凄惨な内戦に陥ったのか。周囲が戦争状態にある中で、ソマリランドはなぜ武器を持たない平和国家となりえたのか。先入観を一変させられるルポで、軽妙さもあり面白いです。

『矢倉の急所』は、将棋の森内俊之九段による定跡書です。

「矢倉」というのは、駒の配置が櫓のように見えるところから名づけられた戦法で、将棋では基礎中の基礎。この本に影響されて、私は以前『憲法の急所』という本を書きましたが、法学と将棋は非常によく似たところがあると思います。

大冒険に見る憲法のあり方
将棋は、先の展開を読んだ上で次の一手を指すゲームです。法学の議論もまた、自分の解釈を述べるだけでは終わらない。反論を予想し、社会の変動を読みこみ、解釈を選んでゆく。そうした法学の基本をどう伝えたらいいのか。苦心していたときに、対局を語りおこすようにして説明する仕方もありうると手本にさせていただきました。

以下、小説が続きます。サリンジャーの短編集『ナイン・ストーリーズ』を読んだのは大学時代です。


なかでも「小舟のほとりで」という短編が印象深い。4歳の男の子が、家政婦の会話を耳にして家を飛び出してしまう。

会話の中身がユダヤ人差別にかかわるものだったことは最後に明らかになりますが、サリンジャーのすごさは徹底して客観的なその筆致です。「差別が如何に人を傷つけるものか」をドライな描写によって読者の心に刻みつけていきます。

学生時代、昼は論文を書き、夜は小説を読むのが日課でした。当時よく読んだのはボルヘス、村上春樹、新城カズマ、中島らも……。系統だった好みはないですね(笑)。

最後のトールキンの『指輪物語』を読んだのは小学生のときが最初で、後年、英語のペーパーバックスで読み直しました。日本語の翻訳の巧みさがよくわかりました。

トールキンは自身の作品が現実政治と絡めて読まれるということは好まなかったといわれています。しかし、この物語で描かれる対決図式は憲法のあり方に通じています。

サウロンという権力者のもとに統べられ、思考を放棄した集団と、多様な価値観をもちながら信頼に基づき連合するものたちとの闘い。言葉にすると陳腐かもしれませんが、連帯して戦う主人公やホビットたちの姿には、リベラル・デモクラシーの根幹となる価値観が体現され、憲法論にからめて読むことも可能な奥行きの深いファンタジーです。

(構成/朝山実)

▼最近読んだ一冊

「なぜ同性婚を認めてほしいと思うのか。著者の結婚はニュースにもなりましたが、彼女には文章力も分析力もありLGBTの当事者は何が一番つらいのかよく分かる。同時に『理解』とは想像力の問題と気づかされます」
きむら・そうた/'80年横浜市生まれ。法学者。東大法学部卒。首都大学東京大学院社会科学研究科教授(憲法学専攻)。著書に『テレビが伝えない憲法の話』『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』など
木村草太さんのベスト10冊
第1位『憲法の想像力』
奥平康弘著 日本評論社 入手は古書のみ
「天皇コラージュ訴訟」と「ブルックリン美術館事件」の対比から表現の自由を論じるなど実社会から憲法を語る

第2位『比較不能な価値の迷路 リベラル・デモクラシーの憲法理論』
長谷部恭男著 東京大学出版会 3800円
「国家はそもそも必要なのか?」という問いから法に従うことの意味を説く。「長谷部憲法学の骨格が示されます」

第3位『リヴァイアサン 近代国家の思想と歴史』
長尾龍一著 講談社学術文庫 入手は古書のみ
「当たり前と思い込んでいる『近代主権国家』が、実はそう当然なものではないと示し国家とは何か軽妙に語ります」

第4位『意味と他者性』
大澤真幸著 勁草書房 3500円
「さまざまな言語上の概念は『他者』を認めることで生まれてきたことが分かります」

第5位『居住福祉』
早川和男著 岩波新書 760円
「生存権について具体的に考えていくとき『住居』の持つ重みを教えられた本です」

第6位『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』
高野秀行著 本の雑誌社 2200円
氏族が団結と分裂を繰り返し自称「国家」が群雄割拠する紛争地帯を旅した異色の快著

第7位『矢倉の急所 4六銀・3七桂型』
森内俊之著 浅川書房 1400円
指し手の脳裏で局面がどう捉えられているかを語る十八世名人による将棋定跡書

第8位『ナイン・ストーリーズ』
J.D.サリンジャー著 野崎孝訳 新潮文庫 490円
母子の会話からユダヤ人の苦境が浮かび上がる「小舟のほとりで」などを収めた短編集

第9位『朗読者』
ベルンハルト・シュリンク著 松永美穂訳 新潮文庫 550円
「ナチ協力者の女性を裁く判事に想像力はなく、自分は善良と疑わない。その姿が怖い」

第10位『指輪物語』(全10巻)
J.R.R.トールキン著 瀬田貞二・田中明子訳 評論社文庫 (1)700円他
9人の旅の仲間が冥王サウロンと対決。大ヒット映画の原作となった長編ファンタジー

『週刊現代』2016年6月25日号より
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
『家栽の人』遺言──佐世保同級生殺害事件、加害者への手紙
講談社
『「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法』(毛利甚八)
家庭裁判所の裁判官、桑田義雄を主人公としたコミック『家栽の人』の原作者、毛利さんの絶筆となったドキュメントとエッセイです。自らの死を見つめながら最後の最後まで少年犯罪と向き合った毛利さんの思いと情熱がページのいたるところから感じられます。
少年事件や家事審判を扱う家庭裁判所を背景にした『家栽の人』はテレビドラマにもなり、ご存知のかたが多いと思います。人情味と時に厳しい桑田の姿に憧れ法曹界への道を目指した人も多かったそうです。
けれど物語が進むにつれて毛利さんはあることに気づき悩まされます。
──どうやら家庭裁判所には桑田判事はいないようだ。裁判所は自分が描いているよう和気藹々(あいあい)とした職場ではなく、ツンドラのような寒々とした場所らしい。──
物語として作られた家庭裁判所の世界、それは実際の家庭裁判所や裁判官の実像と大きく異なっていました。そのことに毛利さんは苦しみます。「『家栽の人』の物語を書いたことを後悔」するまでになっていたのです。
「人を救う物語をかいてみたい」、そんな毛利さんの思いは「桑田判事はどこにもいない」ということの前に危うくなっていきました。作品がヒットしたにもかかわらず、いやヒットしたからこそ毛利さんは、大きな現実との差から目を背けることはできなくなったのです。毛利さんは悩みぬいた末、連載を終了することを決心します。
──何も知らない物書きが裁判官の物語を書いているうち、戦後の裁判所のねじくれた歴史に巻き込まれた。そんな被害者意識が抜けなかった。──
毛利さんの心を救ったのは『家栽の人』の愛読者の姿でした。
──ぼくが書いた物語を読んだ高校生が、非行少年を救うために今、働いている。桑田判事の思想が、この若者たちによって現実の裁判所で生きている。──
毛利さんは自らの信念にもう一度立ち戻りました。そんな彼の前にある事件が起こります。「酒鬼薔薇聖斗」による神戸連続児童殺傷事件です。この事件後、少年犯罪が相次ぎ少年法の改正(改悪)の気運が高まってきました。厳罰化を進める少年法の改正は本当に少年たちを救うことができるのか、「少年一人を責め立てるだけでは何も解決しない」のではないか、毛利さんの指摘は鋭く、この問題はまだなにも解決されていません。
少年法の歴史をめぐる毛利さんの文章はジャーナリストとしての本領が発揮されている個所だと思います。
そしてルポライターとしての本領が発揮されたのが第1部の後半に収められた文章です。まず毛利さんの少年院での“篤志面接委員”の活動が描かれています。少年たちへ必死に音楽を教える毛利さんの姿。時に行き詰まりを感じることもありました。けれどそれ以上に毛利さんを励ましたのは少年たちがある達成感をみせてくれたことでした。それがウクレレのコードひとつを弾くことであっても……。そこには毛利さんが生みだしたキャラクター、桑田判事の面影があるようです。
さらに非行少年の更正、就労支援に尽力しているふたりのかたが紹介されています。
ひとりめはガソリンスタンドの社長、100人以上に及ぶ少年・少女を雇い続けてきた野口義弘さんです。(元)非行少年たちとのやりとり、彼らの親との野口さんの対話、そこには毛利さんをして「凄すぎる、この人は神様なのだろうか?」とまで思わせるものがありました。まずどこまでも彼ら、彼女たちを信じるという野口さんの行動は誰にでもできることではありません。野口さんを描く毛利さんの筆致には深い愛情と尊敬の念があふれているのが感じられると思います。
もうひとりは学習塾を開いている藤岡克義さん。「中学校の勉強をほとんどしなかった少年を受け入れて」、高卒認定試験に合格させ、大学進学までサポートしてるそうです。藤岡さんが特異なのは、自身も元非行少年だったということです。藤岡さんは大検を経て大学へ入学し、「過去の非行歴を隠すことなく大手ゼネコンに入社した」という経歴の持ち主です。一度入ったエリート進学校に嫌気がさし、故郷の友だちの元へ戻ろうとした藤岡さんでしたが、友だちとの再会は果たせず非行への道を歩んでしまった藤岡さん、自分の体験から“非行”へと向かう少年の心の傾きがよく感じられたのかもしれません。
大手ゼネコンに入社後のある日、藤岡さんの心に浮かんでくるものがありました。それは「ぼくのような元非行少年を、大検に合格させて大学受験に導く仕事が、自分の本当の仕事なんじゃないか」というものでした。そして藤岡さんは姉とふたりで学習塾フジゼミを開くことになったのです。着実に成果が上がっていきました。それは毛利さんをして、「フジゼミは元非行少年たちにまったく新しい生き方を指し示す、まぶしい光なのである」とこの本に記すまでになったのです。
そして第二部、これは2014年に起きた佐世保高一同級生殺害事件の加害者の少女宛ての手紙として書かれたものです。
──ぼくは君のことを知らない。君の声も、表情を変化させる癖も、君がどんな話題に興味を持ち、どんな言葉に反発するのか? なにもわからない。──
こう書き始められた一連の手紙は、毛利さんの少年犯罪へ向けた考えを総決算したものです。「罪を問われた人が我が身を振り返り、すなおに自分の姿をみつめることができる。それが心の底からの反省につながる。そんな場所、状況、関係はないのか?」と心の底から問いかける毛利さんの姿があります。
この時、毛利さんはすでに末期ガンの告知を受けていました。自身の半生を振り返りながら語り続ける姿、ガンとの闘病を記しながら少女に見せたかったものはなんだったのでしょうか……。
それは聞き手と話し手が一体となって、その共感力によって自らを解き放ち、「他人が生きた軌跡を追いながら、ふと自分のしたことを思い出す」ということでした。「罪を問われた人が我が身を振り返り、すなおに自分の姿をみつめることができる。それが心の底からの反省につながる」と信じて、それを彼女にも願ったのでした。その思いは届いたのでしょうか……。
毛利さんは最高裁に要望書を提出します。それは「家庭裁判所の調査員が、逆送を前提にして加害少女の調査に全力を傾けない」ということないように要望したものでした。(逆送とは少年法で、家庭裁判所に送致された少年事件を、再び検察官へ戻すことです。家庭裁判所が刑事処分が相当と認めたときにこの手続きがとられます)
それもまた彼女の世界に向き合うには必要だったのでしょう。
毛利さんは『家栽の人』という作品を作ることで初めて家庭裁判所と少年法の実態を知ることになりました。そしてそれを描いた責任を背負うことで、作品の終了後も少年法、家庭裁判所に関わり続けることになりました。この本はそのように生きた毛利さんの白鳥の歌とでもいうべきものです。
本が発売された後、1ヵ月あまりで毛利さんは亡くなりました。
レビュアー紹介
野中幸宏
編集者とデザイナーによる書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。政治経済・社会科学から芸能・サブカルチャー、そして勿論小説・マンガまで『何でも見てやろう』(小田実)ならぬ「何でも読んでやろう」の二人です。

note
https://note.mu/nonakayukihiro
今回ご紹介した本

「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法
著者名:毛利甚八
初版:2015年10月13日
この本の詳細を見る
ネット書店で探す
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
子供の貧困の実像描いた単行本、25日に出版

 貧しさにあえぐ子供たちを追った本紙連載に大幅に加筆した単行本「貧困 子供のSOS 記者が聞いた、小さな叫び」(読売新聞社会部著)が25日、中央公論新社から出版される。

 連載「貧困 子供のSOS」は2014年7月~15年10月、3部計17回を社会面に掲載。クリスマスをおにぎり1個だけで過ごした少女、行き場をなくして橋の下に10か月も滞在した少年らの証言などで、子供の貧困の実像を描いた。単行本では取材の裏話や担当記者たちの思いもつづっている。276ページ、定価1500円(税別)。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。